ネーミングの話その6 妙な名前

鷹羽飛鳥

更新日:2006年9月18日

 世の中には、全く予期しなかった経緯から、妙な名前や情けない名前になってしまうことがあります。
 「真紀」さんが「原」さんと結婚して「腹巻き」さんになるとか。
 普通なら全然気にならないような名前が、ある理由で突然気になったりすることもあります。
 今回は、そんなお話です。
 
 ドコモの携帯電話に、カメラ機能と撮った写真をメール添付する機能が付いたころのCMで、妙な動物の写真を撮って送り合うというのがありました。
 そのCMでは、最後に「かも歯科」という看板を撮って「カモシカか〜〜」というオチになっていましたが、「かも歯科」という歯医者さんが新潟市内に本当にあります
かも歯科
 もちろん、このCMに出てくる「かも歯科」とは別物です。
 鷹羽は、このCMが流れる前から、その看板を「カモシカ」と呼んで笑っていたのですが、このCMを見た後で見ると、感慨もひとしおです。
 
 同じようなネタで、やはり新潟市内に「猫山宮尾病院」というのがあります。
猫山宮尾病院
 「猫山ミャオー病院」…なんだか猫がいっぱい住んでいそうな名前ですが、どうやら猫山先生と宮尾先生が共同経営している病院のようです。
 動物病院ではなく、整形外科・内科です。
 
 同じく新潟市内にある「ときめきハートクリニック」。
 恋の病専門のような名前ですが、これは「新潟市ときめき西」という町内にある内科・循環器科の病院です。
 
 ちなみに、この「新潟市ときめき」という地名は、地名変更で生まれた「新潟県東蒲原郡黒埼町ときめき」が、平成13年に新潟市に合併されてできたもので、その辺りの新興住宅地には、「ときめきタウン」とか付けられていたりしたものです。
 そんな中、新潟電鉄という私鉄が廃線になる直前の平成9年春、「ときめき停留所」という駅が新設されました。
 どうして「停留所」名称なのかというと路面電車の駅だったからで、形式としては、はっきり駅でした。
 ここは、もうじき廃線になる運命と知れ渡っている駅でしたから、当時まだブームさめやらなかったゲーム『ときめきメモリアル』のファンが記念写真を撮りによく来ていたようで、駅のあちこちにヒロイン藤崎しおりのシールなどが貼られていました。
 え? 何で知っているかって? そりゃあ、鷹羽も話の種に行ってみたからですよ♪

 こういったものとは別に、名前は普通なんだけど“表記の仕方が変”というパターンもあります。
 例えば「やぎ小児科医院」。
 名前自体、全く妙なところはありません。
 「やぎ」というのは、新潟市周辺によくある「八木」という名字でしょうし、ひらがな表記も小児科にはよくあることです。
 ところが、この医院の看板を見ると…

やぎ小児科医院
 「やぎ」なのに「うさぎ」の絵とは、これいかに。
 いえ、分かるんですよ。
 「やぎ」は名字であって「山羊」ではないってことは。
 うさぎの絵も、雰囲気を和らげるために書いているんでしょう。
 でも、「やぎ」なのにうさぎの絵というのは、そこはかとなくミスマッチ感が伴います。
 どうせなら可愛い山羊の絵にしておけば違和感はないんでしょうけど、可愛くするのは難しかったんでしょうかねぇ?
 それとも、ずばり「山羊」と思われるのが嫌で、敢えて避けたんでしょうか?
 「俺は山羊じゃねえ、八木だ〜〜〜っ!」って。

 新潟市内にある「新潟中央自動車学校」では、生徒の送迎用バスや路上教習車にローマ字で名前が書いてあります。

新潟中央自動車学校
 「O」の上に「^」という伸ばす記号が付いていますね。
 「U」と「O」両方の上に「^」が付いていれば、素直に“「チューオー」と伸ばすんだな”と思いますし、どちらにもなくて「CHUO」なら、それもまた素直に「チューオー」と読むでしょう。
 でも、片方にだけあるというのは、どういうことなんでしょう?
 これでは「チュオー」としか読めないじゃないですか。
 鷹羽は、これに気付いて以来、これらの車を見ると(よく走ってるんだ、これが)笑ってしまうようになりました。

 最後に、ちょっと面白い例を1つ。
 新潟県周辺に勢力を持つ「ライオン堂」というスーパーがあります。
 いや、ありました、かな。
 今は違う名前になってます。
 といっても、経営母体などは変わっておらず、変わったのは名前だけのようです。
 現在の名前は、「リオン・ドール」といいます。
 
 …勘のいい人は、もう気付いていると思いますが、「リオン」というのは、フランス語でライオンのこと。
 そう、アルファベットに直すと、「LION D'OR」!
 「らいおんどー」そのまんまなんですよ、これ。
 ただし、あまりにまんまなわけではなく、一応意味も持たせてあります。
 「D'OR」というのはフランス語で「黄金の」という意味でして、「黄金の獅子」というなんだか偉そうな名前になっています。
 以前の名前をもじっておいて、偉そうな名前にグレードアップなんて、ちょっといいじゃないですか。
 でも、やっぱり側を通ると笑っちゃいます。

 名前って、やっぱ大事ですよね♪

→ NEXT COLUM