身軽に行こうよ

本部長

更新日:2006年8月20日
 夏が、やってきました。
 夜は寝苦しい、汗による体臭に気を遣う、食べ物が腐りやすい、日焼けetcと、色々困った問題もありますが、光の国M78星雲からやってきた本部長は寒さにとても弱いので、夏が一番行動力が上がります。
 そんな「夏が大好き」な本部長にも、この時期ならではの悩みがありました。


 本部長の数少ない趣味の一つに「バイク」があります。
 といっても、別段レース場やトライアルコースを走るわけではなく、普通に街乗りやちょっとしたツーリングに使う程度ですけど。
 で、当然ですがバイクというものは、あまり荷物を積める乗り物ではありません。
 もっとも、ある程度の大きさの荷物なら、ゴムロープやネットでリアシートに固定できます。
 むしろ困るのは、「財布」「携帯」「カードケース」などの小物の類です。
 ちなみに、本部長はカードケースとして『仮面ライダー龍騎』の「変身ベルトVバックル」に付属してたカードデッキを常用してます
 これは、どうせ一般人には龍騎の紋章なんてピンと来ないだろうと思って、密かな自己主張のつもりで使ってるのですが、驚いた事に男女問わずこれを見た殆どの人に、「あ〜コレって、朝TVでやってる仮面ライダーで使ってたやつでしょ?」とバレてしまいます。
もっとも、元が玩具のパーツとはいえ、ちょうど名刺入れと同じサイズになっているせいか、まさかホントのおもちゃを流用してるとは気付かれないらしく、面白アイテムとして結構ウケはいいです。 
 で、これらの小物は、上着を着用する冬場ならポケットに入れれば何の問題もありません。
 が、思いっきり薄着になる夏場は、衣服のポケットの数も激減してしまうため、これらの小物の所持が結構な問題になるのです。
 スクーターならヘルメットの収納スペースがありますし、今流行のビッグスクーターになると、ハンドル周りに小物を収納するスペースを装備しているのですが、本部長のオフロードバイクにはそんなものはありません。
 携帯やカードケースは、胸ポケットのあるシャツを着れば何とかとかなりそうですが、それにしてもバイクに乗る時はボタンの付いたタイプのポケットでないと、走行中にいつ落ちるか分かりません。
 つまり、着る服がかなり限定されてしまうのです。
 さらに、財布はそれなりの大きさ、厚みがあるので(注:決して“中身が厚い”わけはない)胸ポケットに押し込もうなんて土台無理な話です。
 ではズボンのポケットはどうかというと、前ポケットはライディングの際に潰れてしまうので、ハンカチやらのやわらかい物しか入れられませんし、後ポケットもお尻で敷く事になるから、やっぱり財布は入れられません。
 本部長は大抵ブーツカットジーンズを好んで履くのですが、これは腰の部分はかなりタイトになるので、ズボンのポケットは殆ど有効利用できません。
 バッグか何か使ったらどうか、とも思いましたが、バイクに固定できないセカンドバッグは使えませんし、リュックなんて大げさなものを使うのは逆に取り出しが不便です。
 ウエストポーチってのもありますが、あれ腹の部分が思いっきり膨らむんであまり見栄えが良くないんですよね。

 考えてみれば、我々はどこへ行くにも「完全に手ぶらな状態」で出歩くことなど、めったにありませんね。
 で、常にバイクで行動していると言えば、ぱっと思いつくのが我らが仮面ライダーズ。 
 特に最近のライダーは変身アイテムも携帯しているわけですから、本部長よりも身に着けなければならない荷物は多いわけです。
 一体、彼らはどのようにしてこれらの問題をクリアしてるのか?
 結構興味深々です。

 …が。
 意外というかやっぱりというか、改めて確認してみた所、こういう問題って劇中でも華麗にスルーされてるんですよね。

 例えば、『仮面ライダー龍騎』の真司と蓮。
 襷がけタイプのバッグを多用している真司はいいとして、蓮は夏場は胸ポケットの無い半袖シャツを着用してます。
 そうすると当然、蓮は財布やカードデッキを全部ズボンのポケットに押し込んでることになりますが、彼もまたタイトなズボンを履いてるのに、特にポケットが膨らんでる様子はありません。
 にも拘らず、いざとなればお尻の部分に手を伸ばせばカードデッキが出てきてしまいます。

 『仮面ライダーブレイド』でも、カードデッキより更に大きい各種変身バックルの収納問題があります。
 更に、ワイルドカリス初登場の37話では、睦月の要求に答えて剣崎がラウズアブゾーバーを渡すシーンがありますから、実際にはバックルの他にアブゾーバーも携帯していることになります。
 両方ともかなりの大きさがありますが、そんなものを一体、身体のどこに身に着けてるのやら。

 変身アイテムや武器を一式収納できるケースが登場した『仮面ライダー555』では、一応これらの問題は解消されています。
 が、なまじ専用ケースを登場させたばっかりに、装備一式を略奪された24話では、“携帯電話として使ってるはずの555フォンまで、バイク移動の際に一々ケースに収納している”という妙な描写が登場してしまいました。

 現在放送中の『仮面ライダーカブト』でも、ゼクターを装填するベルトやヤイバーは、普段は持ち歩いている風も無いのに、ゼクターが寄ってきたらいつの間にか身に付けてますね。
 天道の場合、8話での神父のコスプレや、25話でのスーツ姿では、予めベルトを装着していたとも考えられますが、普段の彼は上着の前は開けてることが多いですからね。
 ましてこれからの季節、上着なんて着ない事が多いだろうからこういう問題がますます目立ってくるんでしょうね〜。
 …いや、その前にカブトクナイガンって一体どこか(略

 このように、携帯品についての描写がいい加減な理由は、やはりヒーローに荷物を持たせてはアクションもさせ辛いし、外観的にも美しくないからでしょう。
 特に、リュックやウエストポーチが使用されないのは、後者の理由によるものが大きいと思われます。
 前述の真司の使用してるバッグにしても、同じものを蓮に使わせたって、彼の普段のファッションには全く合いませんし。
 また、演出上の効果を優先して、かなりの量のはずの荷物までカットされてしまう事もあります。
 顕著なのが『仮面ライダーアギト』最終話ラストの、仮面ライダーギルスである葦原涼がバイクで去っていくシーンです。
 涼のバイクには全く手荷物を積んでないので、最初本部長はバイトの帰りか何かだと思ってましたが、その後子犬を拾って「一緒に行くか?」と声をかけてるので、どうやら宛の無い旅に出たようです。
 本来なら、我々が一泊二日の旅行に行く時に必要となる荷物の量を考えても、涼のあの軽装で旅だなんてトンデモナイ話です。
 が、画面から“旅=日常からの開放”というイメージを表現しようとした場合、拘束感を生み出しかねない荷物を目いっぱい所持してるのは、演出上かなり問題があります。
 実際、たまにオフロードバイクで長距離ツーリングしてる人を見かけますけど、車体の細いオフロードに沢山の荷物を括り付けてた姿からは、開放感もかけらも感じられませんし。
 こういう“演出の都合”で、本来あるべき荷物が省略されるのは『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』など、アメリカ映画にもたまに見受けられる事で、特撮番組に限ったことではありません。

 荷物の携帯問題に真っ向から取り組んだのが、『仮面ライダー響鬼』でしょう。
 何せ活動の際に必要な荷物の量が、これまでのライダーとは比べ物にならないわけですから、殆どの鬼は車で移動、バイクを利用しているイブキさえ、荷物の積みやすいアメリカンタイプに搭乗しています。
 イブキに同行する弟子のあきらは常にリュックを使用しているので、変身の際に消滅すると困る財布や免許証の類は、全部彼女に預けているのでしょう。
 実際には、ディスクアニマルや着替え、数日分の食料、テント、テーブルセット等があのバイクに全部積めるとはとても思えませんが、それでもバイクに荷物を積んである描写がきちんとある事は、本部長的には好評価でした。
 が、そんな『響鬼』も、後半からヒビキがタンデムシートも無いバイクに乗って手ぶらで移動するという番組の設定さえぶち壊しかねない行動に出てしまいます
 また、“猛士”存在前を時代背景にした映画『仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼』では、変身すると衣服が消滅してしまうというTVの設定が豪快に無視されています。
 これも、弟子という名の荷物持ちがいないため、鬼自身に着替えやらの荷物を背負わせるのは動きを拘束する&絵的に締まらない、という演出上の理由が影響した結果だと思われます。
 もっとも、だからといって“オロチとの初戦の時にイブキの衣装が変身前と後で違っている”ってのはどうかと思いますが。

 また、『仮面ライダーアギト』では、強化スーツを装着する「仮面ライダーG3」が登場します。
 これは、警視庁が開発したライダーシステムであり、普段は強化スーツや行動用のバイク(ガードチェイサー)は、G3トレーラーという、装備のメンテナンスや戦闘時の司令塔も兼ねた移動指揮車に積んでいるので、装着者(氷川誠)は、特に装備品を携帯する必要はありません。
 但し、G3トレーラーはG3システム装着者の足代わりになるわけではなく、緊急時に呼び出されて出動するため、他のライダー達のように怪人と遭遇したらすぐさま変身!というわけにはいきません。
 実際、劇中では怪人(アンノウン)と遭遇した氷川が、トレーラーに合流するまでの間にピンチに晒されるシーンがあります。

 う〜ん、なかなか上手くいかないものですね。
 本部長に限らず、ライダーの皆さんも荷物の携帯問題については苦労させられてるようです。
 いや、苦労してるのはスタッフかな?

 去年、本部長は「シザーバッグ」なるものを購入しました。
 これは、フック付の小物入れで、ズボンのベルトにフックを通して腰にぶら下げるので、ウエストポーチのようにお腹が出てるように見られることもありません。
 本部長が使用してるのは黒の合皮製なのであまり服装も選びませんし、サイズは20p×19pのタイプなので、財布やカードだけでなくスイスアーミーナイフやガム(口臭予防のために常備してます)も入ります。
 携帯だけは入りきらないんで、ズボンの前ポケットに入れてますけどね。
 ともあれ、このバッグのおかげで、夏の悩みはかなり解消されました。
 TVのヒーローたちも、こういう便利で見栄えを損なわない携帯品の所持方法を、是非考えて劇中で採用して欲しいものです。


 何せ、大きなお友達の中には、本部長のように普段の服装さえTVのヒーローに影響されるような人もいたりしますから、ね

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