●巨大ロボ…なりきりと合体ロボの融合(ハザードレベル73)
前回書いたとおり、スーパー戦隊シリーズの歴史は、巨大ロボの歴史でもあります。
最初に断っておきますが、作品によっては巨大ロボがメカニックでないことも多いですが、いちいち設定に準拠した扱いをすると非常に面倒なので、
ここでは全てメカという括りで話を進めます。
さて、もともと『スパイダーマン』(東映版)における“マーベラーからレオパルドンへの変形システム”に端を発する戦隊ロボ玩具は、“バトルフィーバーロボと空母バトルシャークとの連携”という商品展開へと進み、『デンジマン』では“空母デンジタイガーから発進するデンジファイターがダイデンジンに変形する”という様式に、『サンバルカン』では、“空母ジャガーバルカンから発進するコスモバルカンとブルバルカンが2機合体する”システム、『ゴーグルV』では“空母ゴーグルシーザーから発進するゴーグルジェット、ゴーグルタンク、ゴーグルダンプが3機合体する”システムに進歩しました。
そして『ダイナマン』では、空母ダイジュピターから発進するダイナマッハ、ダイナモビル、ダイナギャリーの3機合体に加え、更に別合体パターンとして、ギャリーの上にマッハとモビルを載せることができました。
正確には合体ではありませんが、ロボ形態以外の形に合体する素地はここでできたと言えるでしょう。
この“ロボ形態以外への合体”というのは、『ダイナマン』以降も『ファイブマン』のファイブロボ→ファイブトレーラー、『ジェットマン』のジェットイカロス→イカロスハーケン、『ジュウレンジャー』の大獣神→ダイノタンカーなどを経て、『タイムレンジャー』ではタイムロボα→タイムロボβ→タイムジェットγという3形態を取れるようになりました。
ゴーゴービークルのトレーラーフォーメーションは、この流れです。
この“別形態への合体”は、もう1つのパターンとして、メインとなる小型ロボと、他の4機が合体するサポートメカという組み合わせを持ちます。
『ダイレンジャー』での龍星王と天空気殿、『マジレンジャー』でのマジフェニックスとマジドラゴンです。
一方、合体システムそのものも複雑化し、『マスクマン』グレートファイブの5機合体、『カクレンジャー』無敵将軍は人型ロボ:巨大獣将5体が合体と、合体方式が進歩しています。
また、『カーレンジャー』では、車型のメカ5台が小型ロボ:VRVファイターに変形し、更に大型ロボ:VRVロボに合体するという二段変形システムが登場しています。
また、『フラッシュマン』から登場した2台目ロボは、『ライブマン』以降、1台目ロボとスーパー合体するようになります。
このスーパー合体は、基本的に2台目ロボが1台目ロボの強化装甲・増加武装になるという形を取っていますが、スーパー合体の代わりに組替合体して2台目ロボになるパターンも登場します。
『ジュウレンジャー』では、1台目ロボ:大獣神の頭部・胴体部・大腿部を構成する守護獣ティラノサウルスと胸部装甲となる守護獣プテラノドンがドラゴンシーザーと入れ替わることで、2台目ロボ:剛龍神になります。
続く『ダイレンジャー』でも、龍星王を他の4機が装甲として覆うように合体して1台目ロボ:大連王になりますが、2台目ロボである牙大王は、龍星王の代わりにウォンタイガーを中心に、胸部装甲になっていた星獅子が背面装甲に、腰部装甲になっていた星鳳凰が武器:飛翔剣と位置を変えることで外見を大幅に変化させました。
『マジレンジャー』でのウルカイザーとファイヤーカイザーも、核になるのがウルザードかマジフェニックスかで変わるわけで、組替合体の一種と言えるでしょう。
また、『カーレンジャー』では、玩具展開として、RVロボとVRVロボの手足の交換が可能なことがウリになっており、本編でもVRVロボのボディにRVロボの手足を付けた特別バージョン“浪速のど根性ロボ”が登場しています。
これは、RVロボ・VRVロボ2台とも戦闘不能になったため使える部分を集めたという設定で、番組中では1回限りのイレギュラー合体でした。
この“組替合体”と“手足換装システム”の融合が、『ガオレンジャー』の精霊王システムです。
頭部・胸部に変形するのがガオライオン+ガオイーグルだとガオキング、ガオゴリラだとガオマッスルになるという棲み分けです。
また、精霊王では、手足も色々と組み替える百獣武装システムによって多彩な合体バリエーションを増やしましたが、この“合体パーツ交換方式”の武器換装システムは、『アバレンジャー』の爆竜コンバインに受け継がれ、本作『ボウケンジャー』でも、轟轟武装システムとして採用されています。
この武装システムは、非常に重大な問題を内包しているのですが、それについて書くと長くなるので、次回にでも触れることにしましょう。
さて、『ボウケンジャー』では、変身アイテム:アクセルラーを使ってメカを呼んだり合体したりしていますが、意外なことに、変身アイテム等と巨大ロボの連携というのも、実は結構歴史があったりします。
『バイオマン』の時、バイオロボのコクピット玩具(バイオロボの胸像の背後に操縦桿とモニター風のパネルを付けた、操縦気分を味わう玩具)が発売されました。
これは、同時期の『宇宙刑事シャイダー』の銃:ビデオビームガン同様、敵ロボなどが書かれたシートをロールしてモニター部から見えるようにするタイプの玩具です。
簡単に言うと、ハンドルやシフトレバーが付いた子供向けのドライブ玩具のようなもので、風景が敵ロボになっていて、ドライブの代わりに戦闘するのだと思えばいいでしょう。
この種の玩具は『フラッシュマン』以降しばらく消えますが、『ジェットマン』でグレートイカロスのものが発売されています。
この時は、劇中同様に、バードキーをセットする部分が設けられていました。
「バードキー」というのは、ジェットマンの変身アイテム:クロスチェンジャーブレスの左手側に付いている通信モニター部分で、巨大ロボ:ジェットイカロスのパーツとなる各メカ操縦席のコンソールにブレスから取り外したバードキーをセットすることで合体システムのロックが解除されるという設定でした。
つまり、ロボの操縦席を模した玩具にそのシステムを盛り込んでみたというわけです。
これは、ロボを操縦するというなりきり遊びの舞台にできることを意味します。
子供はよくイスなどを利用して、車を運転したり飛行機を操縦したりしている気分を味わう遊びをしますが、そういった遊びの一助となるアイテムなんですね。
もちろん、操縦席玩具の方にも廉価版のバードキーが付属していました。
連携も大事ですが、やはり商品単体でも遊べなければ仕方ないのです。
『仮面ライダー555』で、ファイズポインターやカイザブレイガンの商品に廉価版のミッションメモリーが付いていたのと同じです。
その後、操縦席玩具は発売されなかったと記憶していますが、戦士のアイテムと巨大ロボの連携は続きました。
『ジュウレンジャー』では、大獣神の操縦桿となるダイノクリスタルは変身アイテム:ダイノバックラーのメダルから出てきました(商品化はせず)。
また、『ダイレンジャー』では巨大メカ:気伝獣を操るための天宝来来の玉が、『カクレンジャー』では巨大ロボ:隠大将軍のパーツとなる超忍獣を呼び出すためのアイテム:忍之巻が、それぞれ商品化されています。
『オーレンジャー』でも、変身アイテム:パワーブレスの右手側から取り外したストレージクリスタルを巨大メカの操縦席コンソールにセットすることが、オーレンジャーロボの合体キーとなっていました。
また、『ゴーゴーファイブ』では、初期必殺武器:カラミティブレイカー(鳥型のライフバードから変形)は、5人の基本武装であるファイブレイザーから取り外したグリップ部を合体させることでビークドリラーなどのレスキューツールになりましたが、このグリップ部は、巨大ロボの操縦桿としても利用されていました。
連携すべき操縦席玩具が出なかったのは残念ですが、これはファイブレイザーを持っていないと遊べないという理由からと思われます。
廉価版にするにしても、グリップのような大型パーツを余分に付けると高額になりますからね。
勿論、ちゃんと商品展開とリンクしているアイテムもあります。
『タイムレンジャー』の6人目の戦士:タイムファイヤーの変身ブレスであるVコマンダーは、そのまま巨大ロボ:ブイレックスの操縦アイテムでしたし、商品的にもブイレックスのリモコンとして作られており、なんと単体では発売されず、ブイレックスに同梱されていました。
スーパー戦隊の変身アイテムで単体売りされなかったのは、これだけです。
また、タイムファイヤーの武器であるDVディフェンダーも、別売りながらブイレックスのリモコンとして使うことができるという商品展開になっていました。
この違いは、ギミック上、Vコマンダー単体では遊べないために別売りすることができなかったというところからきているのでしょう。
DVディフェンダーは、剣→銃の変形ギミックがある分、単体で遊べますから。
続く『ガオレンジャー』では、基本武装である獣皇剣にガオの宝珠をセットすることで巨大メカ:パワーアニマルの召喚・操縦を行っていましたし、パワーアニマルの商品に付属するパーツを獣皇剣の宝珠パーツに入れることで、各パワーアニマル用の宝珠になるという連携がなされていました。
追加武器であるファルコンサモナーも、宝珠を取り付けられるようになっています。
『ハリケンジャー』では、変身ブレス:ハリケンジャイロに収納されているシノビメダルをコクピットから投入することで、巨大ロボの武器等になるカラクリボールが使用できるという設定でした。
『ボウケンジャー』では、アタッシュケースのように持ち歩いているボウケンドライバーを操縦席に置き、変身アイテム:アクセルラーをセットすることで、操縦システムが作動するという設定になっています。
戦闘中にメカを呼んだ時に、基地からボウケンドライバーが射出されてきたり、メカを降りる時にボウケンドライバーを取り外して持ち歩いたりとかなり面倒なことになっていますが、鷹羽としては、射出はともかく、取り外し可能なのは巧い手だと思っています。
11話『孤島の決戦』では、操縦桿のないコクピットを見たリュウオーンが途方に暮れるという巧い見せ方もしていましたし。
実のところダイボウケンは、自動操縦状態でも合体できるし轟轟武装もできるので、ボウケンドライバーの存在意義自体は薄いのですが、アクセルラーをコンソールの一部として使用するというのは、商品展開とのリンクを考えると非常に有効です。
前作『マジレンジャー』では、巨大ロボ:マジキングのパーツとなるマジマジンに大変身(巨大化)する際に変身アイテム:マージフォンを使用しており、合体等の呪文も当初は全てマージフォンで再現可能というのがウリでした。
ところが、一旦マジマジンになってしまうと、もうマージフォンは全く使いません。
必殺技などの呪文もマージフォンで再現できるのに、です。
また、呪文自体は再現できるのに、特定の効果音はごく初期の呪文にしか対応していないため、悪く言うと適当にボタンを押すと、適当な呪文になるだけということになってしまいました。
これは勿体ない話でした。
その点、今回のアクセルラーのウリは、巨大メカの発進と合体・換装合体の指令音声が出ることです。
そして、メカの発進指令や合体コード、轟轟武装などの再現は、画面上でもアクセルラーで行われる形になっているのです。
また、実質的に全てのメカが1つのアクセルラーで遠隔操作可能なので、ミニプラやDXのダイボウケンを持っていれば、発進〜合体のシークエンスを1人で無理なく演出できます。
つまり、両方持っていると、アクセルラーで「発進シフトオン! ダンプ、フォーミュラ、ジャイロ、ドーザー、マリン、ドリル ゴー! ゴー!」とやってからメカで遊び、「合体シフトオン! ダンプ、フォーミュラ、ジャイロ、ドーザー、マリン、ドリル ボウケンフォーメーション! ドリルパワーオン!」とやって合体・武装させるなどという遊び方ができるわけです。
これはおいしい。
ほとんどなりきり系かマスコットしか買わず、ロボは投げ売りになってからしか買わない鷹羽が早々にミニプラを買ってしまったくらいです。
同じようなことを考えた人は、かなりいるんじゃないでしょうか。
また、ボタン構成と音声の関係上から、ネタバレしやすいという欠点もあります。
発売直後には、6、7、8、9、10でボウケンフォーメーション2というのまで発見されていました。
また、逆に言うと、おそらくボウケンフォーメーション2以降には対応できないであろうという問題点もあるわけです。
ただし、今年も中盤の強化二段変身とそれに伴う新アイテムが登場するのは目に見えていますから、9月までもてば十分とも言えます。
実際、『マジレンジャー』でも、強化変身用ロボのマジレジェンドに関してはマージフォンは使われていませんでしたし。
実際問題、商品展開の絡みもあって、アクセルラーが1個あればメカ発進から合体・武装までこなせるので、各メカが直接戦闘する時以外は、『絶対無敵ライジンオー』のライジンコマンダーのように、代表者1人がコンソールにセットすれば十分だという突っ込みの余地があります。
ただ、『ガオレンジャー』の百獣武装システムの場合、宝珠を入れ替えることでパワーアニマルを召喚・操縦していたわけですが、例えばガオキングソードアンドシールドやガオナイト、ガオマッスルストライカーではパワーアニマルが同時に6体合体しており、獣皇剣5本では足りないという疑問点がありましたので、足りないよりは余る方がマシかと思ってるんですけどね。
5月末には、DVDレコーダーに接続して操縦気分を味わえるボウケンドライバーが発売されますが、なんでもこれは一種のリモコンで、付属のDVDの画像等を利用する形だとか。
しかも、DVDは追加発売の予定もあるということなので、ロボが新しくなっても操縦システムさえ同じなら、いくらでも対応が利くことになります。
最近普及してきたDVDレコーダーに対応したシステムを持ち込むとは、なかなかやりますね、バンダイも。
では、お盆辺りに少し安売りしたら買ってみましょうか。
…って、うちのレコーダーには対応してないじゃん!
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