『仮面ライダー生誕35周年記念番組』なんて仰々しい触れ込みでスタートした、平成仮面ライダー第7弾「
仮面ライダーカブト」。
実際の所、製作サイドが“何周年”なんて響きにどのくらいの思い入れを持ってるかはわかりませんが、前2作が商業的な部分でかなりの落ち込みを見せてしまったわけですから、とにもかくにも気合は十分に入っていることでしょう。
玩具の方も同様で、「仮面ライダーブレイド」「仮面ライダー響鬼」の商品展開はなりきり系がメイン、可動フィギュアは事実上の独立ブランドである装着変身におまかせ、というスタイルでした。
が、今回は商品展開も見直しが行われたようで、「ファイズ」以来2年ぶりに、“劇中シチュエーションに絡ませた”可動フィギュア【商品】が発売されました。
カブトの敵怪人、ワーム(WORM)は、サナギ体から脱皮して成虫になる事により、超高速での活動(クロック・アップ)が可能となります。
これに対抗すべく、カブトも防御力の高いアーマーを纏ったパワータイプの「マスクドフォーム」から、クロック・アップを発動できるスピードタイプの「ライダーフォーム」へと強化変身するのです。
その強化変身時に装甲を吹き飛ばす(キャスト・オフ)シーンを玩具で再現…そう、単に装甲を取り外すのではなく、文字通り「吹っ飛ばす」ギミックを仕込んだ可動フィギュア。
それが、『C.O.R(CAST OFF RIDER)』です。
いつもなら、玩具系のコラムは元締の守備範囲なのですが、今回は、元締よりもちょっとだけ早く実物を手に入れた本部長がレビューさせていただきます。
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●バンダイ キャストオフライダーシリーズ「仮面ライダーカブト」
価格1,785円(税込)
- 仮面ライダーカブトフィギュア本体(素体)
- マスクドアーマー ボディー(前後分割式)
- マスクドアーマー 両腕
- カブトクナイガン ガン(アックス)モード
- カブトクナイガン クナイモード
- カブトゼクター
- 取扱説明書
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素体の大きさは、ソフビに準じたサイズ(約16cm)で設定しているようで、装着変身よりは約3cm大きめ。
やはりプレイバリューとしてソフビと絡ませる前提で作られた、ファイズのS-RHFとほぼ同じ大きさになっています。
素材はオールプラ製。
フェイスのアンテナ部(カブトホーン)は、破損や可動軸の負担を考慮して軟質素材で作られています。
この素体のベルト部のカブトゼクターがスイッチになっており、これを押すと取り付けたアーマー(両腕、ボディー前面、背面の計4パーツ)が離脱して、ライダーフォームが姿を現す訳です。
残念ながらカブトゼクターは、ライダーフォームの状態で固定されており、展開不能です。
せめて、レバーだけでも動かせるようにしてくれればよかったのに。
…なんて未練がましくレバーをいじっていたら、実はここも軟質素材である事が判明。
なるほど、突起部分は全て、安全&破損防止の対処済みというわけですね。
最初の状態は、ライダーフォームにボディーと両腕のアーマーを取り付けた「マスクドフォーム」。
ヘルメットは、ボディーアーマーと一体化しているため、実際のスーツとは、首回り及びクラッシャー部分の解釈が若干異なっています。
首の露出がなくなっているのは当然として、ヘルメットの両側からクラッシャーに接続されてるはずのパイプは、C.O.Rでは前襟につながっています。
また、口元のモールドはカブトホーン展開の都合上、かなり凹んでいます。
それでも、よく見るとしっかりモールドはされているんですが。
ボディーアーマーも、カブトホーンが収納される都合上、よりバストアップされています。
さらに、細かい所ですが、アーマー裏側には申し訳程度とはいえ、メカっぽいモールドが施されています。
何事も外見の美しさばかりに気を取られる本部長は、こういうのはあまり気にしないんですが、好きな方には堪らなくツボな処理らしいので、やはりGJ! なんでしょう。
塗装や造形は、細かい箇所が所々オミットされているようです。
左肩のカブトマークに“ZECT”の文字がなく、手首パーツもグリップのプロテクターは表現されていません。
クナイガンの塗装も、かなり簡略化されています。
この辺りの玩具化の際に省略される部分については、人によっては難点に思えることでしょう。
本部長はさほど大きな問題とは捉えてませんが、欲を言えばカブトクナイガンは引き抜き式にして欲しかったかな?
とはいえ、この上半身のみやたらマッチョになるマスクドフォーム、玩具的な見栄えはなかなか映えるものになっています。
そのせいか、スーツとの細かい違いはあれど、それがフィギュアのデザイン上の欠点に直結していません。
両腕のアーマーは肘の部分で折れるようになっており、装着時でも、素体の肘の可動を極力活かすようにしているのも嬉しいですね。
本部長的には、ライダーフォームよりもこちらのマスクドフォームの方がお気に入りです。
このマスクドフォームの状態で、スイッチになっているカブトゼクターを押すことで、「キャストオフ」を再現するわけです。
当然、注目点は、アーマーがどの程度の勢いで離脱するか、でしょう。
スイッチを入れたらアーマーのロックが外れて、後は自然落下…程度では全くお話になりませんからね。
それでは早速、キャスト・オフ!!
…どひぇっ!? …ちょっと、これ、飛び過ぎッ!!!!!
先ほど“自然落下程度では全くお話にならない”とは書きましたが、正直な話、実際の所はその程度のもんじゃないの? と高をくくりまくってました。
…が、見込みは全ッ然甘かった!!
パコン! という小気味良い音とは不似合いなほどに、どのパーツも想定外の勢いで吹っ飛んできました。
ゼクターを模したスイッチは入れるのにちょっと力が要るものの、はじけ飛ぶパーツの勢いと、その飛距離は尋常ではありません。
一体、どのくらいパーツを弾き飛ばしたのか実際に計ってみた所、それなりに重さがあるはずのボディー前部で約26cm、後部はやや跳力の伝わりが鈍いようですが、それでも25cmは飛んでいきます。
特に右腕アーマーは、軽量なだけでなくよほど動力の伝達率が良いのか50cm以上ぶっ飛びます。
アーマーを痛めるのが怖い本部長は、キャストオフ時は全てカーペットの上で行っておりますので、この数字には落下後のバウンドは入ってません。
これはもはや、前後左右にロケットパンチを放っているといった方が的確な表現かもしれません。
劇中のキャスト・オフも、ワームを倒すほどの攻撃力があるのは第2話で披露済みですが、このC.O.Rでも装着変身やらソフビやら、適当なサイズのフィギュアを四方に置けば、アーマーを命中させてなぎ倒すシーンを再現できるわけです。
いやぁ、スゲー迫力。
ここまでの飛距離が出る以上、遊ぶ際にはそれなりの環境を整える必要があるでしょう。
キャスト・オフ発動時は、フィギュアの周り50cm以内は綺麗に片付けて、なおかつなるべく部屋の中央で行うのが望ましいです。
散らかった部屋や、タンスや机の近くでポンポン飛ばしてしまうと、こんな大きなパーツでも、紛失させる恐れがありますからね。
まして車の中なんて狭い空間で行った日には、パーツがシートの隙間に落ち込んだりして、取り出すのも一苦労でしょう。
いやあホント、あの時はもう二度と取り出せないかと思いました。
本来の姿、「ライダーフォーム」も、TVよりやや濃厚なワインレッドの主張が実に良い感じで、キャスト・オフ後の姿を引き立てるのに一役も二役も買ってます。
アーマーの下から出てくるカラーの美しさは、「とにかく実際に見てくれ」としか言いようがありません。
なるほど、このワインレッドを引き立てるために、各アーマーはあんなに華々しく散っていくのね…。
ライダーフォームが現れた瞬間、空中で寝転びながら「おおっ…ブラボー!!」なんて叫ぶ某戦車のスタンド使いの姿がつい思い浮かびます。
仕上げにカブトホーンを展開すれば、ライダーフォームの完成です。
ホーンは手動ですが、「これを引き上げれば完成!」という締めの作業ですから、自動展開よりもむしろ手動の方が達成感が味わえると思います。
アーマーを被せる都合か、実際のカブトのマスクは面長なのに、造形はちょっと丸顔っぽくなって若干イメージが違うのはかなり残念ですが。
予想以上の効果を上げているキャスト・オフ機能ですが、その一方で、このC.O.Rを「可動フィギュア」として見た場合、逆に難点の方が目立ちます。
既に各所でも指摘されていますが、アーマー発射ギミックの内蔵が、思いのほか可動範囲を狭めてしまったのです。
ライダーフォームには、ボディー内部にアーマーを弾き飛ばす(発射する)ギミックが仕込まれており、その跳力の伝導口として、胸部、背部、それと両肩の横に穴が開けられています。
この穴自体は、胸部以外はさほど目立つ物ではありませんし、個人的にはそれほど外観を損なうものには感じられません。
が、あまり肩の可動の自由度を高めると、この穴が役に立たなくなってしまいます。
そのため、C.O.Rでは肩の横方向の可動はオミットされ、腕の可動は「ソフビに肘の可動を足しただけ」の代物となってしまいました。
更に、キャスト・オフのギミックには無関係に思える肘の回転軸も、何故か上腕ではなく前腕に施されています。
この部分に回転軸を設置しても肘の関節部が回らないため、ベルト部に手を当てたり、胸元でクナイガンを翳すようなポーズも取れません。
手首もそれ自身できちんと回転するため、この部分に回転軸をつける意味は全く無い筈なんですが…。
この手首も、僅かにスナップが利くようになってますが、ポージングの自由度にはあまり貢献できていません。
他にもキャスト・オフ機能を仕込んだ代償として、腰の回転もできなくなりました。
これは、首が回らないマスクドフォームには、特に致命的な影響を与えています。
下半身の可動は、膝が二重関節でない以外は装着変身並みの自由度がありますが、なまじ下半身が動くために、上半身の可動の狭さにはかなりイライラさせられます。
どんなに腰を落としたポーズを取らせても、脇が開かない上半身ではぎこちない動きしか出来ないため、アンバランスな事この上ありません。
本来、可動フィギュアとして適さない仕様の素体に出来る限りの可動関節を仕込んだわけですから、仕方のない部分もあるとはいえ、やはり遊んでいる際には「これで、もっと動けばな〜」という不満は沸いてきますね。
結論としてはこのC.O.R、可動フィギュアとしての不満はあるものの、それをキャスト・オフ再現の楽しさで十分補う事の出来る商品だと思います。
価格も税込1,785円と抑え目ですし、前作「仮面ライダー響鬼」商品で同価格帯だったディスクアニマル(税込1,575円)と比べてもプレイバリューは遥かに勝っています。
いくつかの無視できない不満はあれど、劇中シーンを玩具的解釈で再現したフィギュアとしては、完成度は大変高いでしょう。
本部長も、豪快ともいえるパーツの飛ばしっぷりにすっかりハマってしまいました。
ただし、今後の関連商品で、この程度の可動しかしないフィギュアに、搭乗用のバイクが発売されるというのはかなり疑問です。
上半身はもちろんの事、自由度のある下半身でさえ膝は非二重関節、股関節も太腿は90°も上がらないのです。
これで、かなりの前傾姿勢を強要されるオンロードタイプの「カブトエクステンダー」に搭乗させようというのですから、そりゃ心配するな、というほうが無理でしょう。
実際、C.O.Rカブトエクステンダーには、シート後部に搭乗フィギュア保持用の余計なパーツがあり、巨大なフットステップをありえない位置につけたため、外観は劇中のものとかなり変わってしまっています。
本格的なバイク玩具も2年ぶりの商品化になるわけですから、出来には期待したい所なんですけどねぇ。
さらに、3月に発売が決定している『装着変身・仮面ライダーカブト』も、C.O.Rでの不満を解消してもらおうと、かなりの完成度が求められているようです。
ある意味で、ユーザーが求める合格ラインは過去の装着キャラの中では一番高い、とも言えるでしょう。
既に「肘の二重関節が初採用」「歴代装着最大の股関節展開」「同・両肩のスイング」という嬉しいニュースもある反面、画像を見る限り、マスクドフォームの干渉を受けないはずのライダーフォームのマスクが、C.O.Rと同じく丸顔に見えるのに一抹の不安も感じるんですが…。
まあ、そっちのレビューは元締に任せちゃうんですけど。
え? 6月にDXC.O.R発売?
価格4,725円?
うむ〜…、そっちには手が出そうにないなあ。
…で、存在をすっかり忘れてたんですが、わざわざ別パーツで付属してるカブトゼクターってなんに使うんでしょ?
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