ネーミングの話5 後付け語呂合わせ
鷹羽飛鳥
更新日:2006年2月19日
 世の中には、縁起を担ぐ人が大勢います。
 スポーツ選手が、試合の前日の夕食をステーキとトンカツ(敵に勝つ)の組み合わせにするなんてのは有名ですね。
 こういった元々の名前の由来とは無関係に、語呂合わせで縁起を担ぐというのはよくあることで、特に(実力の如何にかかわらず)精神的に切羽詰まっている人なんかは、精神安定の意味もあって、こういうのにすがりたくなったりするようです。
 そうなると、そのネタが口コミなんかで広まって、無視できないほどの需要に成長してしまうことなんかもあり、生産者側でも積極的にその需要を育てようとしたりします。
 受験なんかでも、ステーキとトンカツのコンボはよくあるようで、1〜3月には、牛や豚の屠殺数が跳ね上がるそうです。

 …というのは嘘です。
 ただ、受験時期、お肉屋さんやスーパーでは、そういった需要に合わせて特売を組むことが多いので、本当に殺す数が増えてるかもしれませんね。
 便乗値上げするのではなく、そのころにセールをやって薄利多売を狙うというのは、むしろ良心的かもしれません。
 
 で、今回は、元々あったものが縁起担ぎに利用されるようになって、業者がそれ用に特化させたお菓子のお話です。

 数年前から受験生の間では、この時期にネスレの『キットカット』というチョコ菓子を買うという縁起担ぎが流行しているそうです。
 なんでも福岡辺りの受験生が「きっと勝っとお」に引っかけたのが始まりで、口コミで噂が広まったのだとか。
 元々この『キットカット』というのは、ウエハースをチョコで包んだ棒状のお菓子が2本ずつ2組の合計4本入(基本形)の、年中売っているお菓子です。
 基本形のほかに、大袋入り、一口サイズのミニ、冬限定のホワイトチョコバージョン、メープルシロップ味、抹茶味、現在発売中の葡萄、冬限定つぶつぶ苺(去年は粒なしの苺だったような…)、有名なパティシエに制作を依頼して高級感を醸し出したパッションフルーツ、ワイン、カカオスペシャルといったタカギオリジナルなど、かなり商品バリエーションが豊富だったりします。
 時期限定のほか、たしかセブンイレブン限定なんて商品もあったように記憶しています。
 で、ネスレでは、受験生向けの需要を受けて、数年前から受験時期限定商品を発売しています。
 上記のとおり、元々時期限定の品も結構発売していますから、流行には敏感なのでしょう。
 今年は、このさくら風味

キットカット さくら風味

 パッケージにもあるとおり、「きっと、サクラサクよ」ということで、桜の花の香料を使った桜色のバージョンです。
 鷹羽は、受験とは就職試験でさよならしましたが、こういう一風変わったものには目がないので、食べてみました。
 香料使いすぎの上、味の方もオッペケペですが、いかにも合格しそうなキャッチコピーに春らしいパッケージと、なかなかいい感じです。
 …味はオッペケペですが。
 
 ちなみに、一昨年がなんだったかは忘れましたが、去年は、ノーマルのキットカット2本とマグカップのセットが発売されました。
 正確な名前は忘れましたが、合格マグカップというものです。
 キットカットのイメージカラーである赤地に白抜きでロゴが入っているだけのシンプルな模様で、特に合格をイメージさせる言葉などはプリントされていません。
 ですので、これだけの説明だと、どうして合格マグカップなのか分かりませんが、上から見るとすぐ分かります。
 5角形なのです。
 つまり、5角と合格を掛けてあるわけですね。

キットカット マグカップ

 たしかセットで300円弱と、マグカップだけの値段としても安いだけあって、でかいわ厚いわ重いわと、非常に使い勝手の悪い安物でした。
 おまけにコーヒーカップ2杯分くらいは入りますから、これになみなみ注いで飲んだりしたら、お腹はすぐにガバガバになっちゃいます。
 下手すると、飲んでる間に冷めちゃいます。
 もしかしたら、コーヒーをガブガブ飲んで眠気を覚ませという意味だったのでしょうか。
 そういう説明は特にありませんでしたが。
 どうして受験生でもないのにこんなものを買ったかというと、こういう一風変わったものには目が(以下略)

 受験生御用達は、キットカットだけではありません。
 明治製菓の「カール」というスナック菓子がありますね。
 なんでも日本で最初のスナック菓子だそうで、現在はチーズ味と塩味がレギュラー販売されています。
 こちらもまた、数年前から受験時期限定パッケージを出していまして、今年は『ウカール』と名前まで変えてしまいました。

明治ウカール

 もちろん中身はいつもと同じですが、パッケージデザインだけでなく商品ロゴも変えてしまうというのは、なかなかすごいです。
 なんと、レシートにはきっちり「ウカール」と表示されてます。
 3年前は、『カール』のロゴの前に「きっと、う」と入っていて、イラストが神社に詣でるカールおじさんだったと記憶していますが、今回は「う」がちゃんと商品名にくっついていました。

 もっと極端に名前を変えたものもあります。
 東鳩の『キャラメルコーン』は、会社更生法の適用以来、パッケージをリニューアルし、顔のような模様になりました。
 時々黒目の部分が「●」でなく「★」になっているのがあったり、クリスマス前になると、顔がサンタになったりトナカイになったりするので見ていて楽しいのですが、今年は受験シーズンを前にダルマになりました。
 その名も『カナエルコーン』!

東鳩カナエルコーン

 パッケージの脇には、願い事を書き込むスペースまで用意してあります。
 そして、裏面には、「願いが叶ったらダルマに目を入れてください」との説明まで。
 もう、至れり尽くせりです。
 思わず、往年の名CMを思い出して「カナエルコ〜ン、ホホ〜ホホ〜♪」とか歌っちゃいそうです。
 CMソングを歌っていた成田氏の声から連想して、「弔いの鐘がぁ、よく似〜合〜う〜♪」とか歌っちゃ駄目ですよ、縁起悪いですから。
 
 結局このカナエルコーン、鷹羽は願いを書くこともなく、目を入れることもなく食べちゃいましたけど、ちょっと惜しかったかもしれません。
 これは、ほかのと違って受験生以外にも使えるネタですから。
 「○○が商品化されますように」とか、「セクハラ上司が今度の異動でいなくなりますように」とか書き込んでも面白いかもしれません。
 ただ、何しろ約5か月という賞味期限のあるお菓子ですから、願いは、叶うにしろ叶わないにしろ、早めに結果の出るものにしなきゃなりませんけどね。
 「早く人間になりたい!」とか書いても、待ってる間に賞味期限切れちゃいそうですから。
 
 次はどんなのが出てくるのか、来年のキットカットはどういう趣向を凝らすのか、七夕あたりには、笹の葉と短冊のカナエルコーンが出るんじゃないかと、そりゃあもう楽しみです。
 どうしてお菓子限定の話題なのかって?
 よく言うじゃないですか、甘いものは別腹って(意味不明)。

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