フェイント、すなわち不意打ちをくらったら、大概の人はとまどうのではないでしょうか。
　まあ、中には、常に不測の事態に備えており、不意打ちなど何するものぞ！　というような、豪気なお方もいらっしゃるかもしれませんが、少なくとも柏木はとまどいまくり、混乱しまくりでございます。

　例えば、今現在私は、主にデータ入力の仕事をしているのですが、たまに「これ大急ぎでやっといて」などと、至急の仕事が割り込んで来ただけで「ふにゃもら〜」状態に。
　「その程度でふにゃもらるとは、何という不甲斐ない奴よ」とお思いでしょうが、流れを途中でせき止められた気がしてしまうらしく、割り込みの仕事が入ると、どうも能率が落ちてしまうんですね。
　特に、「昨日よりたくさん入力するぞー！」などと意気込んで仕事をしている時だと、混乱倍増。
　と云うのも、そういう時は大抵、「あと何分でこれを終わらせて、次のアレを何時までにすれば、目標数値を上回れる！　フフフ、今日はもらったぜ」などと細かく計画を立ててしまっているため、「予定が狂ったー！　ムキー！」となってしまうようです。


　……駄目じゃん、自分＿|￣|○


　とは云え、不意打ちに弱いのは自分ばかりでは無いようで。
　特に、予測していたものとは違う事態が起きた場合……。


　先日、セット物が豊富な某ファーストフード店のカウンターでの出来事です。
　柏木の前には、ちょっと渋い顔立ちのおじ様が並んでいました。
　そのおじ様の注文は、「ナントカバーガーとカントカバーガーとホニャララバーガーとオレンジジュース」という、単品尽くしのシロモノでした。
　この店では、店内で食事をしていく人の殆どがセットを頼みます。
　ですから、注文を受けたカウンターのお姉さんは、当然のように、「テイクアウトでよろしいですか？」と確認をしました。
　……が、おじ様は「いいえ」と答え、頼んだ物を受け取ると、店内に入って行きました。

　ここまでは、何の問題もありません。

　ええ、問題が起きたのは、後ろに居た柏木にでした。
　うん、前の人に続いて、「キノコムニャララバーガーとチーズバーガーを単品で。あと、ホットコーヒーを」などと注文する方が良くなかったかもしれない。
　その上、お姉さんの「テイクアウト」という予想を、またしても裏切ったのだから、私が悪いのやもしれぬ。

　しかし、私めはただ、セットのポテトが食べたくないだけで他意はございませぬ。
　サラダに代える事もできると存知上げておりまするが、今日は生野菜の気分では無いのでございます。
　
　ただそれだけ、それだけでございまして、別に嫌がらせではございませぬ。
　だから、ホットコーヒーのサイズをＳかＭかという事と、ミルクと砂糖はご入り用か、という、いつものマニュアル通りの事を聞いて下さいませぬか？

　いや、聞かないだけならまだしも、なにゆえ、ミルクだけ勝手に置かれているのでせう？
　どうせ片方だけ置くなら、砂糖だけの方が良いのでございまするが。

　……などと思っていましたが、特に何も言いませんでした。
　何故かというと、「ああ、顔は懸命にスマイルしているけど、予想外の事態が二度もあったんで、手順が混乱しちゃったんだな〜」と、何となく察しがついたので。


　ようするに、同病相憐れ……ゲフンゲフン。


　さて、近頃最大のフェイントと云えば、やはりこの寒さでしょう。
　誰だ、「今年は暖冬です」とか最初に予報した奴！　責任者出て来い!!　と言った気分ですね。
　日本各地で、雪や冷え込みによる被害が出ているようですが、柏木の周囲にも、わずかながら影響が。

　まず第一に、寒いのがてんで駄目な柏木、歩いて駅に行けなくなりました。
　もっと寒い地域の方には鼻で笑われそうなのですが、今現在私は、徒歩20分の駅までバスで行っております。
　また、去年より、ババシャツの枚数が増えました（笑）。
　金額にすると大した額では無いですが、暖冬なら無くていい出費だよ、ママン……。

　また、年末上京する予定だった雪国の友人が、「一日雪かきをしないといけないから」という理由で来られなくなりました。
　いつもはこの時期、まだそこまで雪は積もっていないそうです。
　楽しみにしていたのになあ。


　ところで、この寒さ、単なる「予報が外れた」的なフェイントでは無いような気がします。
　柏木の行動範囲内（東京＆神奈川＆千葉）限定の話ですが、2005年11月までは、比較的暖かい日が多かったのです。
　つまり、そこから段々と寒くなるとしても、やはり暖冬であろう、と予想されるような気候だったんですね。
　実際、仕事場の人と、「こりゃ今年も暖冬だね〜」と話した記憶もあります。

　ところが、大方の予想に反し、12月に入った途端、急に冷え込みが激しくなりました。
　前日とのあまりのギャップに、びっくり仰天（死語）したものです。

　これは、“予想が裏切られた形での不意打ち”な訳で、先述の某ファーストフード店のお姉さんの例を見ても分かる通り、単なる不意打ちよりダメージが大きい気がします。
　まあ、元々自然の事を人間が完全に予想するのは不可能なので、“予想が裏切られた”も何も……と言われてしまえばそこまでですが。

　それにしても、近年暖冬が続いていた事を、「地球温暖化の悪影響」のように言っていた方達は、この冷え込みによる被害（事故や凍死者の増加など）をどう見ているのでしょうか……。


　たかが砂糖をつけてもらえなかっただけで、最終的に、こんなブラックな事を考えてしまいました。
　きっと、つけてもらったミルクも入れないでコーヒーを飲んだせいでしょう（オヤジギャグだ……）。


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