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更新日:2005年3月27日 | ||
どうも、すっかりご無沙汰している柏木です。
今回は、ちょっと面白い商品を見つけたので、利き手の話をしたいと思います。 いや、どうして“面白い商品”から利き手に飛ぶのかと言うと、その商品が、通販会社フェリシモの、WEB上で展開している左利き専用カタログで見つけた商品だからです。 さて、その素晴らしい商品を紹介する前に。 まあ、こんな商品をチェックしているくらいですから、当然、私は左利きです。 左利きと言っても、文字だけは左でないと書けない方、箸だけは左でないと……などという、どちらかと言えば両利きよりの方もいらっしゃると思いますが、私は、右手でできる事などほとんど無いくらい、相当な左利きです。 【とても分かりやすい柏木が右手でできる事一覧表】 1.ゲーム機を操作する。 2.パソコン等のキーボードを打つ。 3.毛筆で字を書く(書道を習わされた名残。でも下手)。 終わり。 右利きの人の左手より使えねぇ。 小さい頃、親には書道を習わせられたりしたのですが、結局変わりませんでした。 上記一覧の3は、その名残でございます。 あ、「なぜ書道?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんので、解説を。 書道、特に毛筆書道は、左手で書き順通り正しく書こうとすると、先に引いた線を擦ってしまいがちなので、右利きへ変更したい時には有効な手段の一つなんですね。 ただ、書道は主に縦書き文字を練習するので、右手でだって、筆の持ち方が悪ければ擦りますが(←よくやった)。 ちなみに私、噛み合わせのように治さないと健康に悪い訳でも無いものを矯正(=欠点を正しく治す)というのは失礼だと長年思っていますので、作為的に使う時以外は、変更と言う事にしていますので、よろしく。 昔は気にしていなかったのですが、成長するにつれて、どう考えてもこれ、差別だろ、と思うようになりました。 利き手が違うのは、個性の範疇であって、決して欠点では無いはずです。 確かに左利きには、色々不利な点があります。 例えば、ほとんどの道具は右利き専用にできています。 大多数の人間が右利きだから、という理由ですが、それはおかしい。 実際に左利きの人間が居る以上、本来、どちらの手でも使えるように配慮すべきなのに、左利きの人間が、なまじ頑張って右利き用商品を使ってしまうモノだから、なかなか考慮されないだけです。 どんな商品でも左手で“使いにくい”だけで、決して左手で“使えない”訳では無い、これが最大の問題点。 加えて、右利きの皆さんは、その使いにくい道具を無理矢理こなす過程で、訳の分からない理屈を唱えて下さいます。 おかげでよく、寂しい気持ちにさせられたものです。 だって、左利き=器用って決めつけられるんですもの。 【分かりやすい左利き=器用の例文】 シチュエーション:柏木がハサミを左手で使っている時 どこかの見知らぬオバサ……熟女:「あら、すごいわ〜。左手でハサミが使えるなんて。器用でいらしゃるのね〜」 ※このような言われ方をされた場合、「右利きの人が右手でハサミを使っているのは、器用だと褒めないのに、変なの〜」などと、フッと空しさが湧き、つい下記のように寂しくなる訳です。 【分かりやすい寂しい気持ち(別名・本音)】 ああん、何、ほざいてやがる! こちとら、てめぇら右利きの人間の事しか考えて無い道具類を使ってんだよ! 器用だと? ああ、器用だとも。使いづらい道具を長年無理して使ってんだからな! けどな、このモタモタしたハサミ使いのどこが器用だっての、テメェの目は節穴か?! それとも何か? オメーらは、刃の向きが左利き用のハサミを使って、モタモタしてる右利きの人間を、器用って褒め讃えんのか?! ※寂しがり屋の自分は、心の中で、この例文のような事を考えている事が多いのですが(寂しがり屋で無い左利きの皆様、誠に申し訳ございません)、そこは大人なので、とてもそのまま言う訳にはまいりません。 ではどうするかと言うと、このように変換して答えるのです。 【分かりやすい大人の対応(別名・皮肉)】 「いや〜。左手は使えますけど、右手はほんと何にも使えないんで。あなたの左手と同じか、それ以下に何もできないんで、逆になっただけですよ〜。それに私、左利きにも拘わらず、ものすごい不器用でして、缶詰を開けるのも、フツーの人の二倍はかかりますね」 捕捉:缶切りは逆回しで使う事になるため(見ている人間には恐いと大変不評)、嫌でも時間がかかる。 ※こう言うと、「まあ、そんな事無いでしょう?」とにこやかに返ってくる事が多く、皮肉の分からない人間が増えて困ったものだと、いつも思います。ふぅ。 ……と、上記のような文章を書く人間に育つくらい、左利きの人間は、レフト・ハラスメントを受けているのです。 一番大きいのは、先述の“矯正”という言い方だと思いますが、この他にも、「右はお箸を持つ方よ〜」という教え方など、明らかに配慮が足りないと思います。 幼稚園の先生が、こうやって教えてくれたおかげで、私はいまだに左右が混乱する時があります(怨)。 これは血液型差別などより由々しき問題です。 なぜなら、血液型差別の方は、「血液型ごときで差別するなんて不当」と意識している人がちゃんといるではありませんか。 ところが、左利き差別は、意識せずに、しかも相手は、「褒めた」つもりだったりする事も多いというのが、始末におえません。 皆様、無意識のレフト・ハラスメントに、ご注意の程を。 それでは閑話休題(えっ? 今までの全部閑話?!)、話を最初のカタログへ戻します。 この左利きカタログ、作っている方が左利きなので、見ていて嬉しくなる物が多いです。 「それって当たり前じゃないの?」と思われるかもしれませんが、さにあらず。 世の中には、「この“左利き用”作ったのもモニターしたのも、絶対左利きの人間じゃねぇ」なんて商品も多いのですよ。 ま、それはそれとして。 さすがに企画しているのが左利きの方だけに、右利きの人間では盲点になるような商品が揃っています。 例えば、キッチンツール。 おたまから、例に挙げた缶切り、栓抜き、すり鉢、らくらくお箸(補助器具のついたお箸)などがあります。 頭の固くなった古くさ……うぉっと、少々、最新知識のお少ないご年配の方に、「料理がしづらくなるから右利きに変更を」と言われた時でも、こういう商品がある、と言えば無問題。 また、はさみ類も充実していて、通常の工作用ハサミ以外に、糸切りバサミもあります。 ん? それのどこがすごいか分からない? やだなあ、これだから右利きは。 全部刃と向きが、あなたの使っている物と逆に付いているんですよ。 左手で使う以上、本当はそうでないと使いづらいのです。 余談ですが、私の裁ちバサミ(右利き用)の使い方は、他人様からホラーと言われています。 だって、刃を上向きにして切っているから。 何、意味が分からない? では、裁縫箱から布切り用の裁ちバサミをご用意下さい。 そして、刃を下向きにして(いつも持っているように)、左手で持ちましょう。 で、紙でも何でもいいから切ってみて下さい。 ほら、無理でしょ? 仮に切れたとしても、相当ギザギザになるはずです。 ま、それ以前に、利き手で無い方で刃物を持つのは、危険だから真似しないで下さい(えっ?)。 もっとも、刃物等は分かりやすい部類ですよね。 このカタログのすごい所は、逆開きのガマ口、扇子、目盛りが両側についている定規(右から左へと線を引くから)、四隅にマークのついているトランプ(左手で扇子開きに持とうとすると、通常のトランプではマークが隠れるため)などがある事です。 この辺りは、商品企画者が右利きじゃ、絶対に気付くまい。 ただですね、このカタログ、「左利きをもっと楽しもうよ」的に作られていて、大変に前向きな訳です。 つまり、私のような歪んだ恨み節を抱えている人間としては、「このカタログの制作者の方は、ポジティブでいいな〜」と感じていたと。 ところが、最近の新商品の中にこんな物が 商品名こそ、『右利きの人に愛の手を』となってますが、愛無ぇ! むしろ、明らかに「普通のきゅうすが、いかに左利きには使いにくいか」思い知らそうとしてる!! そういえば昔、前向きっぽい左利きの本(左利きは、素晴らしい個性である云々、という内容の本)の中に、「将来の夢は、玄関の取っ手から蛇口まで、すべて左利き対応の家を建てて、友達を呼ぶ事」と書いてあったなあ……。 ……左利きというのは、大なり小なり、右利きの人間に「思い知ってもらおう」と考えてしまうもののようです。 最後に。 そこまで言うなら、変更すればいいという意見もあるかもしれませんが、繰り返し言います。 それは変です。 左利きは個性であって、決して治さなければならない歪みではありません。 日常生活で困るだろうから……という心配にしても、上記のような左利き専用商品も増えてきていますし、たいがいの事は右利き用でできます(ちょっと使い方は恐いらしいけれど)。 また、左利き短命説、あれは無根拠だと証明されています、念のため。 大体、今現在右利きの人でも、小さい頃に変更させられたという人もけっこう居るのでは? そういう方が、ずっと左利きだと仮定すれば、もっと左利き人口は多いはずです。 実際、世界平均からいけば、日本人の左利き比率の少なさはおかしいんですから。 また、できれば、お子さんが左利きの場合でも変更させるな、とは言いませんが、最低限、矯正という表現は使用しないであげて欲しいです。 最近では無理に右利きへ変更させると、本来の能力が発揮できないという学説もありますがね、へっ。 しかし、ここまで書いても「分からない」と首をひねる人がいたので(=元締)、とても分かりやすいたとえを書いておきます。 もしこの世界が左利きが基本の世界だとしたら、うっかり人に右手で字を書いているのを見られたりすると、「あら、あなた右利きなの? 小さい頃、ご両親に直されなかったの?」などと常に(いいですか、“常”に)言われ続けるのです。 ……ていうか、我が家は今日からそれが基本の世界にするか……。 右手で包丁を使うと、「右手で包丁なんて危ないわよ」と、常に声をかけられる家に……。 そして、「箸を持つ方は左よ」と、何も分かっていない幼い子ども(当然右利き)に言い続けるのです。 その子がもし、実は将来、右手で剛速球が投げられる超名投手になれる可能性があろうが、右手で絵を描かせたら鳥山明先生以上の売れっ子マンガ家になる可能性を秘めていようが、そんな事、知ったこっちゃありません。 我が家では左利きが法律なのです! 道具もすべて左利き用で揃え、「ほらね、左手でないと、道具って使い辛いでしょ? しょうがないわよね、日本て国はそういう国なのよ」と教える……いずれ事実に気が付くでしょうが、その時にはすでに遅いのです……フフフフフ。 いえ、嘘です、嘘です。 ほら、原作『デビルマン』のサタン様もおっしゃっておられるではありませんか。 「力の強い者が強いからといって弱者の生命を権利をうばってよいはずはないのにな……」とね。 でもこれ、右利きの勘違いした親が、左利きの子どもに平気でやっている事と同じですけどね、フフフフフフ。 いや、ようするに結論として何が言いたいかというと、左利きへの無意識ハラスメントに気を付けてね(はぁと)&右利きへの強制変更反対!! って事です。 それだけです、ハイ。 → NEXT COLUM |
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