|
||
更新日:2005年2月20日 | ||
以前鷹羽氏もコラムで書いていたが、近年、DVDレコーダーの普及が広まって来ている。
二十年以上君臨してきたビデオデッキを上回るほどではないと思われるものの、その存在を大きく脅かしてきているのは、間違いない事だ。 一度、DVDレコーダーの性能を把握してしまうと、もう二度と、ビデオ生活には戻れない。 だが、大変便利な製品であるにも関わらず、DVDレコーダーにはとある大きな難題がのしかかっている。 それが、DVDメディアを巡る諸問題。 どこでも、誰でも、安定した条件でDVDメディアを買い使用するという、一見当たり前の事が出来ないのだ。 また、購入したデッキの種類によって、メディアの扱いがガラリと変わってしまう。 今回は、そんな「DVDレコーダーとDVDメディア」のお話。 先にお断りしておくが、違法コピーなどの話題は一切しないので、そこんとこよろしく。 筆者が使用しているDVDレコーダーは、東芝のRD-X4。 昨年の夏に入手して、毎日のようにこき使っている。 CSチューナーに連動するように設定されており、毎週平均40〜50本ほどの番組が録画されている。 最近は、「萌えミギー(仮名)」や「死んだ人達が生き返って大喧嘩(要約)」などの一挙放送をまとめ録りしたもので、さらにとんでもない事になった。 溜まっている「地球の友よ握手は後だ」や「俺の目を見ろアイビーム」も、全然吐き出してないのに(笑)。 HDDの容量は250GBなので、放っておけばいずれパンクする。 こんな調子で、ここしばらくHDD容量の3/5は埋まり続けている状態だ。 これらをすべて編集し、CMをカットし、主題歌やパートごとにチャプターを切ってメディアに焼き込む訳だが、以前、とある問題に直面してしまったため、HDD容量限界ギリギリまで録画番組が詰まってしまった事があった。 ――吐き出すためのDVD-Rが、入手出来なかったのだ。 筆者は主にDVD-Rを使用して、録画番組をHDDから吐き出している。 DVD±RWは使用せず、DVD-RAMはHDDの延長として、一時的なバックアップとしてのみ使用する。 つまり一番安価なメディアを使用している訳だが、昨年一杯までは、海外ブランドのメディアを使用し続けていた。 いわゆる「台湾製メディア」って奴。 これは「HIDISK」と呼ばれるブランドのもので、PRINCO製らしい。 このメディアは、昨年夏頃には10枚単位のスピンドルケース入りで、だいたい800円くらいの価格で販売されていた。 後に大幅な値下げが行われ、同一規格で350円前後にまでなってしまったが、海外ブランドの割にレコーダーとの相性も良く、安定した書き込みが可能だった。 後に、50枚スピンドル版が発売されたりしたが、こちらもそれなりに上等な性能を発揮していたのだが…秋の終わり際辺りから発売されたロットから、急激に精度が低下した。 レコーダーの書き込みは成功するのに、読み込む事が出来ないとか、以前はきちんと読み込めたのに、突然読めなくなるとか。 これらは、パソコンのDVDドライブで上質なメディアにコピーすれば再生可能になるものの、かなり大きなダメージだ。 その後、これと同じ物を購入していた知人達からも、不具合報告を受けるようになった。 すべてのメディアがまったくダメ、という訳ではなかったものの、エラー発生率は、それまでからは考えられないほどに高まった。 数ヶ月間頼りにしていたメディアだったが、こうなってしまっては仕方ない。 品質劣化を認め、新しいブランドを模索し始めなければならなかった。 この「HIDISK」、実は何度も細かなバージョン変更を行っていたようで、突然店頭から姿を消したと思ったら、暫くすると別なデザインのパッケージで再発売されるというパターンを繰り返した。 そうなる度に、微妙に信頼性が変化するのだ。 そして、ついにこの時期に「嬉しくない決定打」が出たわけだ。 ところが、ネット上で調べてみると、どの海外メディアも今ひとつ信頼が置けない。 評判の良いものもいくつかあるようだが、別方面では強烈な問題指摘があったりで、今ひとつ決め手に欠ける。 今までHIDISK使っておいて、今更何をゼータクな…と言われそうだが、こうなってしまうと、今まで以上の信頼性を誇るものが欲しくなるのは人情だ。 結局、このままでは国産品に手を出さなければならない、という所まで追い詰められたのだが。 この国産品使用に踏み込むためには、とてつもなく大きな決断が必要とされたのだ。 場所にもよるが、DVDメディアはまだ高い。 一枚250円以上のDVD-Rが、ごく当たり前のように販売されている所など、沢山あるだろう。 二時間のビデオテープのように、十本1000円以下とか、そんな安売りはほとんどない。 そのため、住んでいる場所によって「二時間辺りの値段」の概念が、まったく違う事になる。 近所に安売りの店があるかどうかで、AV生活の行く末が決まるようなものだ。 ところが、海外メディアはこの条件に当てはまらない。 東京・秋葉原基準の価格で申し訳ないが、筆者が使用していたものは、50枚でなんと1700円で購入できた。 これ以下の値段のものもあるというのがすごいが、だいたい国産品の1/3かそれ以下だ。 「HIDISK」の書き込み性能が安定していた頃は、こんな値段で買って良いのだろうか? という気持ちにすらさせられたものだ。 おかげで、去年までで推定300枚以上は焼いたと思う。 これをメインで使用していた状況で、いきなり国産への寝返りを強要されたら、誰だって躊躇ってしまうのではないか。 とてもせこい話だが、一月に消費するメディアの枚数が数十枚単位以上のユーザーにとって、これは死活問題なのだ。 この頃、安い店でも国産品の50枚スピンドルは、7000円前後。 信頼性と三倍以上の価格を天秤にかけつつ、筆者は悩み続けた。 ところが年末頃、突如としてこの状況が一変した。 なんと、国産メディアが軒並み値下げを始めたのだ。 以前7000円クラスだったものが、突然4000円台に! 相場は、以前使用していたものの二倍ちょっと程度の価格になった。 これくらいなら、手が出せる! …と筆者が即決したのは言うまでもない。 ようやく国産メディアに手を出す気になったビンボ人筆者は、国産太陽誘電製のDVD-R50枚スピンドルを4300円ほどで購入し、早速焼き込みテストを行った。 ちなみに、価格が下がった理由は、あらたに8倍速対応のメディアが出始めたためだ。 それまでの4倍速は、いわば型落ち品となったのだ。 だが、4倍速はDVDレコーダーにとってちょうど良い性能だ。 以前の「HIDISK」も、4倍速を使用していた。 SP録画した番組を二時間きっちり詰め込んで焼いた場合、「HIDISK」なら約30分弱で焼き上がった。 これは、ファイナライズ処理も含めての話だ。 早速、太陽誘電の4倍メディアで焼いたところ、なんと同じ条件で、たった15分で焼けてしまった! しかも、焼き上がりは完璧で、エラーなんか全然出ない。 というか、それから結構時間が経つが、いまだに一枚も出やしない。 さらに、読み込み性能最悪と名高いプレイステーション2の初期型に入れても、あっさり読み込んでくれる。 他のメーカーのデッキとの相性も、まったく問題がないようだ。 今までの倍の価格を払ったとはいえ、それ以上のメリットを得た気分だった。 DVDレコーダー購入時から、ほとんどすべて海外メディアを使用していた筆者は、今回の件で、あらためてメディアのあり方を考えさせられた。 今まで使っていた「HIDISK」は、決して最良の海外メディアだったわけではない。 詳しく調べていくと、結構なエラーレートが弾き出されるし、ロットによって全然性質が違うとか。 だが今までは、それを知った上で妥協していたのだ。 最初から国産品しか眼中にない人にとっては「安物買いの銭失い」以外の何者でもないように見えるだろうが、それでも、やはり安いメディアは魅力的なのだ。 CD-Rがメインだった頃は、決して海外産は使用しなかったが、それは国産の価格がリーズナブルだったからだ。 DVDメディアの価格が、最初から手頃だったなら、こんな愚行は冒さなかったかもしれない。 無論、今となっては言い訳に過ぎないのだが。 少し高めのメディアを買ってでも、安心できる環境で使いたい。 そう割り切ってしまえば、DVDレコーダー生活も安泰になる。 筆者は、今回の事でそれを痛感させられた。 ―――なんて、平和なオチで締めたりはしない(笑)。 確かに、メディア自体は国産品を出来るだけ安く購入すればいいだろう。 だが実は、それより大きな問題が、よりによってレコーダー自体に潜んでいたのだ。 先日、こんな事があった。 ある友人が、自宅で録画した子供の成長記録映像をDVD-Rに焼き、両親に見せようと実家に持っていった。 そしたら、「是非コピーしてくれ」と頼まれた。 幸い実家にもDVDレコーダーがあったので、そのDVD-Rの映像をHDDにコピーする事になった。 (※この場合の行為は、私的映像の複製なので著作権問題や違法コピー問題に抵触しない) ところが、なぜか録画が出来ない。 なんと、レコーダー自体が録画にロックをかけてしまったのだ。 ご丁寧に、「コピーできません」というメッセージ付きで。 友人がDVD-Rを焼きこんだレコーダーは、東芝製。 対して実家で使用されていたレコーダーは、パイオニア製だった。 友人は、慌ててそのメディアを知人(ソニー製レコーダー所持)に渡し、そこでHDDへのコピーの実験を試みたが、そちらでは何の問題もなく成功した。 パイオニアだけが、録画不能…正確には「録画を拒絶」したのだ。 そこで、この事情の調査が筆者の元に届いた。 どーして筆者が調べなければならないのかわからないが、それはおいといて。 調べてみた結果、パイオニア製のレコーダーでは、他社製品デッキで焼かれたメディアからの録画が行えない仕様になっていたのだ。 は? なんですか、それは? 私的複製は、決して違法性の高いものばかりでなく、様々な活用パターンが考えられるから、録画機能は必要だと思うんだけど… 一方、東芝のDVDレコーダーの方…特にRD-X4は、コピーについては問題ないもののドライブ自体がかなりよろしくないようで、受け付けるメディアの種類やその対応がかなり限定される。 一応、推奨メディアというものがいくつか提示されてはいるのだが、それすらも確実な保証があるわけではない。 それどころか、推奨メディアでも結構なエラーが出てしまう場合があるらしい。 幸い、筆者の所有するドライブは性能的に当たりだったようで、これといって目立つエラーは出ていないが、中にはメディアをろくに認識しないとか、書き込みが出来なくなるとか、すぐにエラー連発ダメダメモードに突入してしまうものが混じっているらしい。 中には、ほぼ連続で二回もドライブをメーカー交換するハメになった人も居るそうだ。 当然、その際はかなり出費がかさむ事になる。 それを避けるため、RD-X4には、なんと市販DVDマルチドライブとの交換方法(もちろんオフィシャルではない)まで存在したりする。 筆者のものも、比較的安定はしているものの、以前認識した(国産の)メディアを突然認識しなくなり、入れ直したらOKになったりと、希に不安定になる。 いやはや、いずれは他人事ではなくなるかも。 このドライブ読取性能は、東芝より発売されているバージョンアップキットを使用する事によって性能を向上させる事が可能だが、それにより、バージョンアップ前に焼いたDVD-Rが認識しなくなる(事もある)という、恐るべきトラップが仕込まれている。 ものすごく機能が豊富になって、正直とても欲しいのだが…これを聞くと、どうしても踏み込めなくなる。 つーか、なんでそんな仕様になってしまったのか。 一方、ソニーの「スゴ録」を持つ知人によると、録画した番組を手動チャプター編集した上でDVD-Rに焼き込む事が出来ず、自動チャプター分け(特定分数毎に均等に切り分ける処理)されたものしか焼き込めない。 もちろん、ソニーのすべてのデッキがそうではないのだろうが、こんなメジャーな機種にトラップが仕込まれているとなると、決して無視できる問題ではない。 このように、メーカーや機種シリーズによって、「性質」がはっきりと分かれている。 これを見極めてかからないと、とんでもないところで足をすくわれる事になりかねない。 細かい所をつつけばもうキリがないくらいだが、少なくとも、現状はビデオテープのような汎用性はないわけだ。 こうなってくると今後も、どんなに良いメディアを使っても、まともに互換性が発揮できない可能性が出てくる。 事実、RD-X4は他機種で製作されたメディアの認識保証がされていない。 しかも、これがメーカーによる正式告知だからたまらない。 それ以降に発売された機種については解らないが… 結局のところ、ユーザーはどういう基準でメディアを選べばいいのだろうか? 安いものを選べば損をする可能性があり、高くて良いものを買っても、環境によってはうまく活用できるとは限らない。 ましてや、適価で購入していたものが、全国どこに行っても同じような水準で買えるとも限らない。 あらま、こうして全体を眺めてみれば、ずいぶんと安定感のない… まあ、素直にRAMに逃げたり、RW系に活路を見出す方法もあるんだけどさ。 そちらにしても、海外の安いメディアが存在するもんだから、益々ややこしい。 鷹羽氏がかつて語ったように、番組を録画出来る機器は大変便利だ。 その昇華形態である、DVDレコーダーもしかり。 だけど、これらを心の底から安心して利用できる環境には、まだ至っていないのだろうか? 知人がDVDレコーダーを購入しようとする時、筆者は必ず「候補を複数つのって、徹底的に性能を調査しろ。絶対に妥協するな!」と伝えている。 価格・性能・購入し易さ…どこかで妥協したが最後、必ず後悔にさいなまれる事になるからだ。 そうなっては、DVD-Rメディアの善し悪しすらも、関係がなくなってしまうのだ。 ところで、DVDレコーダーを買い換える時って、どうすればいいんだろう? 毎週あれだけ無数に録画している人間にとっては、切り替えのタイミングが掴めないような気がする。 筆者の場合なら、新しいデッキを繋いで録画を進行させつつ、古いデッキで必死に焼き込みを並行させなければならないのだろう。 いったい、どれだけのメディアが消耗される事になるのか…ああ、考えたくもない(笑)。 → NEXT COLUM |
→「気分屋な記聞」トップページへ |