|
||
更新日:2005年12月25日 | ||
警告: 先に書いておきますが、今回ものすごく濃い内容です。 しかも、普段扱っている方面のネタではありませんので、くれぐれもご注意ください。 と、念を押しておいて… 突然だが、筆者はレコードが大嫌いだ。 CDメディアが普及する今になって、突然何だという気もするが、とにかく、音源といえばアナログしかなかった時代、早くレコードには滅びて欲しかった。 こんな事書くとコアなアナログマニアな人達に怒られそうだが、そんな事を言う理由は、昔「保存性の悪さ」に辟易させられた経験があるからだ。 ご存知の通り、レコードは盤面の溝に針を当てて、そこからアナログ的に刻み込まれた音を拾って鳴らすものだ。 という事は、何回も聴いているうちに溝は針で削られてしまう。 そうなると、貴重かつ大切な盤なんかは、うかつに聴く事ができない。 結果的にカセットテープなどに録音して聴くわけだが、録音ミスをしたりするともう一度録り直さなければならず、しかもテープ自体物理劣化するから、ダメになったらまた録り直しだ。 こんな事を繰り返していたら、いつか絶対にダメになる。 また、レコード針自体も劣化が早いし、カセットにしても、どんなに良いメタルテープを使用したって、プレイヤーがテープ噛んだらお終い。 半永久保存にはもっとも向かないメディア…それが、80年代中期までのさばっていたアナログメディアだったのだ。 その「劣化する事が判りきっている」上で買わなければならない音楽メディアというものが、筆者はとても我慢ならなかった。 そう、筆者はアナログ時代経験者でありながら、生まれてから一度たりとも、レコードという存在に有り難味を感じた事がないという人間なのだ。 というより、コレクション的な意味を除いて、レコードにはいまだに一切の価値を認めていない。 OVA「新キューティハニー」の主題歌が、あの時期にしてなぜかレコードで出た時は素直に笑ったけど。 そのため、(レコードより音質・音の奥行きが遥かに劣っている事を理解しつつも)CDの登場には心の底から感激&感謝した。 そして、一刻も早くレコードを駆逐しきって欲しかった。 なにせ、信号を読み取って音に変換する仕組みなわけだから、持ち主が誤って傷をつけてしまわない限り、物理破損は(ほとんど)ない! 演奏中に劣化していく事がないのだ。 だから筆者は、CDプレイヤー購入後、コレクション物を除いてすべての音源をデジタルへと移行させた。 当然、聴く為に買ったレコードはすべて処分! ふははは、ただ劣化してしまうだけのアナログになど、もはや関心も興味もないのだよ! それくらい徹底して、アデューレコード人生を宣言した筆者だったのだが…実は、いまだにレコードの呪縛から逃れられていない。 そう、この時代になって今なお、CD音源化していない名曲が多数存在するのだ。 CDやCDプレイヤー自体は、実は70年代初頭にはすでに開発されていた。 しかし、一般に広まるようになったのは、だいたい87年頃だったのではないかと記憶している。 その頃は、まだレコードが主体で、CDは別バリエーション的に扱われており、現在のような「CD主体」ではなかった。 また、かつてレコードとして発売されたものが、あらためてCD化する事も少なかった。 90年代に入り、もうCDが当たり前という時代になつて、ようやくアナログ音源のCD化が本格的に行われるようになったのだが、その「メディア移行期」に度外視されたまま放置されているタイトルが、あまりにも多いのだ。 つまり、CDもまだまだ完全にフォローが行き届いているわけではないのだ。 さあ、前置きが長くなったが。 というわけで、今回は「デジタル音源化していない名曲」の話。 CD音源化していないとなると、当然、その曲はある程度以上古いものになる。 まずアニメ作品を振り返ってみると、筆者がパッと思いつくものとして「剛Q超児イッキマン」がある。 これは、東映動画の作品で、日本テレビ系列で1986年4月13日から同年年11月23日まで、全32話製作された。 具体的な内容については検索などで調べていただきたいが、これの主題歌は妙に熱くて、カラオケなどやったら相当燃えること必至の名曲だ。 だが、不思議なことに、こんな時期放送作品なのに、いまだCD音源化に恵まれていない。 う〜む、まあ…マイナーアニメだしなあ。 あのオープニング画面思い浮かべながら「♪派手なアクション! 決めりゃ! 怒涛の嵐が巻き起こるぜー!!」なんてやったら…はあぁぁ♪ いいと思うんだけどなー。 NHKアニメで「太陽の子エステバン」という作品がある。 1982年6月29日から1983年6月7日までの放送なのに、なぜか39話しかないという変わった作品だが、これの主題歌はいずれも絶品で、心に深く残る名曲だった。 特に、エンディングの「いつかどこかであなたに会った」は、筆者個人としては五大名アニソンの一つとしてカウントしているほどだ。 これは、元作品を知らずとも是非とも聴いていただきたい…のだが、ここに挙げているという事は、残念ながらCD化されていないわけだ。 オープニングも大変良い曲で、耳に残る軽快かつ爽やかなメロディの逸品なのだが、これは昔からファンによるデジタル音源化が求められてきたにも関わらず、なぜか頑なに実行されずにいる。 しかもこの曲、もはや当時のレコードを持っていない限り、まともに聴く機会すらないという悲劇性も持っている。 2年ほど前にエステバンのDVDボックスが発売されたのだが、実はここでも、主題歌はまともに聴けない。 そう、一番限りでも! 理由は、NHKの製作作品の管理の杜撰さ。 エステバンだけではないのだが、NHKの過去作品のほとんどは大幅な破損や紛失が多発しており、再放送を行っても部分的にしか見られなかったりする。 かつてエステバンが再放送された際も、音源が使用不可能な状態になっていたそうで、なんと現在の声優を寄せ集めて一からアフレコを入れなおすという、恥知らずな事をやってのけた(エステバン役の野沢雅子氏は、一度演じ終えた役をまた一からやりなおした訳だ…むなしいなあ)。 しかし、オープニングとエンディングだけはどうしようもなく、再放送時は、なんと曲の途中でフェイドアウトして消えるという、噴飯物の編集が行われていた。 ええもう、それを見た当時の筆者の怒り様ったら。 これで、もう絶対にNHKの受信料払わないと決めたくらい(笑)。 で、なんとDVDボックスに収録されているのは、こっちの編集尻切れバージョンなのだ! エステバンは、本編も大変面白いのだが、個人的には、あの主題歌がなければその価値が半減すると言っても良い。 本当に、NHKのどうしようもなさは目に余る。 「キャプテンフューチャー」がほぼ完璧な状態で“発掘”されたのは、ヘタしたら最後の奇跡だったのかもしれないのだ。 ちなみに本作以外にも、2005年12月現在CSのファミリー劇場で放送中の「ニルスのふしぎな旅」で、同じような処理が見られる。 オープニングは盛り上がる手前で切られた上、「ララララ〜ララ、いい奴なんだ〜ララララララ♪」という、あのエンディングは丸々カットである。 ぶっ殺ギャー。 「幾時代ありまして」。 あまり馴染みのないタイトルだと思うが、ご存知の方はどれくらい居るだろう? これは、1988年2月25日から同年11月14日まで、全34話放送された「魁!男塾」のエンディングテーマ。 実は、アニソン集めの前に80年代までの邦楽コレクターだった筆者は、男塾以前から「一世風靡セピア」に心酔しており、音源を漁りまくっていた。 いやもう、どれくらいのめっていたかって、勢い余って路上宙返り習得したくらい(笑)。 だから当時、男塾の主題歌を担当すると聞いて、腰を抜かすほど驚いた記憶がある。 この辺、語り始めるとえらく長くなるので断腸の思いで割愛するが、とにかく、筆者は当時から一世風靡セピアの音源には大注目していたのだ。 CD化されたものも、すぐに飛びついたし、実はいまだにしっかり持っている。 …が。 この「幾時代ありまして」は、なぜかいまだCD化される兆しすらない。 オープニングの「汚れつちまった悲しみに」は、メンバー活動中にCD化されているというのに。 これは、どうしてなのだろう…もう何年待ったことだろうか。 関係ないが、以前オープニングのフルコーラス版をスタッフのエルトリア氏に聴かせた時、「ライブバージョンじゃない奴は持ってないんですか?」と言われて激しくヘコんだ事がある。 おいおい、この、後ろで歓声が上がっているのがオリジナルだっての(笑)。 あ、カラオケで「汚れつちまった悲しみに」を唄う人、お願いですから、間奏の「行くぜー! うがー! ごっついやっちゃのぉ!!」は、絶対に省かないでくださいね♪ カラオケだと文字出ないけど(笑)。 アニソンではまだ色々あるのだが、最後はこれにしておこう。 「夢」 山崎ハコ。 多分、ほとんどの人が知らない曲だと思う。 逆に、知っていたらとんてもなくコアな方だと思われる。 これは、実は「ドラえもん(シンエイ動画版)」の劇中曲として、今から20年以上前にたった一回だけ使用されたものなのだ。 1981年1月2日放送のテレビスペシャル内「精霊よびだしうでわ」の回。 原作にもあるエピソードなので概要をご存知の方も多いと思われるが、実はこの話、のび太のファーストキスシーンがあるという幻の回で(笑…でもマジよ)、しかもビデオ等には未収録。 雪の精と遊びすぎて風邪を引いたのび太の熱を下げるため、彼の体温を奪い続け、朝には溶けて消えてしまう雪の精が悲しくて切ない話なのだが、「あなたに風邪を引かせるつもりはなかったのよ(だったかな?)」というセリフの辺りから流れるこの曲は、身震いするほどいい雰囲気を作っていて、その後の、眠るのび太に口づけする雪の精の場面、そして、夢の中でのび太と戯れるシーンは圧巻。 曲は二番に入った辺りで徐々にフェイドアウトしていき、終わる頃には朝に…雪の精が消えているシーンに移る。 ここで涙腺決壊ですよ、もう。 「命吹き込むのは、私だけなのに…」という歌詞が、24年以上経った現在でもいまだに脳裏に焼きついているが、それほど悲しく、美しい名場面だったのだ。 当然、筆者はこの曲を求めて20年以上奔走したが(なんせ当時はタイトルもアーティストも知らなかったわけだし)、結局ごく最近になって詳細が判明し、また未CD化という事も理解した。 正確には、「夢」自体はCD収録されているらしいのだが、これはリニューアル版らしく、本編で使用されたバージョンではない。 言うまでもなく、近年やたらと見られるようになった「ドラえもん全曲集」の類にも収録はされていない。 結局、当時のレコードを探すしかないわけだ。 嗚呼…せつないなあ。 他にも、ドラえもんは一度きりしか使用されていない名曲が沢山あり、それらを追い求めているコレクターは多い。 山崎ハコ…“コンコンコンコン釘を刺〜す、藁の人形血を流〜す”で有名な「呪い」しか知らなかったけど(笑)、こういう素敵な曲もある人なんだなあと感動しつつ、どうか筆者の命あるうちにデジタル音源化させていただきたいと願う次第。 さて、未CD化音源の話はまだ続くのだが、次回はアニソンじゃなくて別なジャンルで行きたいと思う。 「闇の道」 「涙の裏側」 「みちのく流れ旅」 「透きとおる季節」 「男と女がいて」 この辺りのタイトルに反応してくれた素敵な人は、是非次回もチェックよろしく! → NEXT COLUM |
→「気分屋な記聞」トップページへ |