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更新日:2004年6月17日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4月末発売の、PLAYSTATION2の大注目ソフト。 今から約20年前に「キン肉マン」にハマった世代と、現在「キン肉マンII世」にハマっている世代の人が同時に楽しめる、格闘アクションゲーム。 しかし…実はその根底には、かつての名作ファミコンソフト「キン肉マン・マッスルタッグマッチ」の影が!!
(ストーリー) 基本的には、キン肉マンの「超人タッグマッチ編」の時期をベースとしている。 そこに、II世超人(ネクストジェネレーション)や「(キン肉マン)悪魔超人編」辺りの登場超人をいくらかピックアップし、ひたすら「戦う」のみ! ストーリーを追いかけるモードは一切なく、ただ、自分の好きな超人との戦いを楽しむというコンセプトに従事。 なかなか思い切った判断である。 良し悪しはともかくとして。 本作(以下KGSと表記)は、2003年11月発売のPLAYSTATION2ソフト「仮面ライダー正義の系譜」登場以来、なぜかよくみかけるようになった「原作にこだわりまくったゲームタイトル」の一本である。 この他「ウルトラマン」などがエラく凝った作りになっていると聞くが、大昔、マンガやアニメのゲーム化にあたり“原作の持ち味完全無視”がさも当然のように行われていた時代を知る人にとっては、信じられないくらい「盛り込み過ぎ」ている。 まあ、なんと言うか…製作側の意識がファンのそれを一歩上回っているようにすら感じられる部分もあったりして、とにかく“こだわり”については脱帽しておきたい。 KGSは、「キン肉マン」が好きなら誰でも、そしてものすごく好きならなおさら楽しめるという、懐の広さを持っているタイトルだと断言していいと思う。 内容に入る前に、操作系について触れておこう。 「格闘ゲーム」「アクションゲーム」と聞くと、それだけで無条件でサジを投げる人がいるが、KGSはそんなに難しい操作を必要としない。 必殺技コマンド入力や、細かな技の判定を利用した技など、これまでの2D・3D格闘ゲームみたいな要素はほぼ皆無と言っていい。 「打ち上げ系投げ技」という特殊操作があるが、ちょっと慣れれば誰でも簡単にプレイできる。 基本的な動きや、技の発動の理屈は全キャラ共通で、技そのものの性質がそれぞれで違うというだけの事だ。 例えるなら、ボタンを押すと飛び道具が出るのは同じなのだが、Aキャラならミサイル、Bならレーザーが出るといった違いみたいなものだ(ホントにそんなものが出てくるわけじゃないので注意)。 だから、今までずっとキン肉マンを使っていた人が初めてテリーマンを使用しても、そこそこ対応できる。 これは、昨今のアクションゲームとしてはなかなかありがたい事だといえる。 もちろん、あくまで基本操作に限った話なので、実際はそれなりに適度な練習が必要となるが。 KGSは、とにかくゲーム開始の瞬間から、いきなりファンの魂をわしづかみにしてくれる。 無人の選手控え室、そこから続く廊下を進む二人の影。 外からは、試合会場のアナウンスが遠く響いてくる。 二人の影が、廊下を抜けると、試合会場のリングでは、大勢の超人がこちらをにらみ付けている。 その光景に闘志を燃やし、共に頷いて走り出す影…「キン肉マン」と「キン肉マングレート」!! そして同時に流れ始める主題歌「キン肉マンGoFight!!」。 しかも、わざわざアニメ版のOPカット! もう、このムービーだけで魂はアッチの世界へ飛んでしまう。 その後、それぞれの超人の必殺技シーンが続き、“例の歌詞の部分”ではきちんと笑わせてくれるのも忘れない。 最後に、悪魔将軍のシルエットに向かい佇むキン肉マンのカッコイイことったら! ソフトを買わない・買えない人も、是非このオープニングだけは見ていただきたい。 続いて、モードセレクト画面では「キン肉マンII世(最初のアニメ版)」の主題歌「Hustle,Muscle」が流れ、ゲームのエンディングでは「キン肉マン」の新OP「炎のキン肉マン」が流れる。 よりによって、一番燃える曲ばっかりセレクトしてきやがった!! もう、盛り上げるために情け容赦なく叩きつけられる演出には、感激すら覚えてしまう。 さて、ゲーム内容を見てみよう。 ゲーム展開は、すべてリングの上のみで行われる。 自分が操る超人と、対戦相手超人が真っ向からぶつかり合うという大変わかりやすいレイアウトで、必殺技が決まるたびに演出用の動作またはムービー画面に切り替わる。 そして、必殺技のレベルが上がるほど演出やアングルは凝りまくっていき、最終的には「合体技(タッグコンビネーション)」へと辿り着く。 そして、これら必殺技はすべて「キン肉マン」「同・II世」作品内で登場したものになる。 打撃ボタン・ガードボタン・ジャンプボタン、そしてLやRボタンに当てられる「必殺技ボタン」を使い、相手にダメージを与え、体力ゲージをゼロにすれば勝ち。 ただし、技一つひとつにより受けるダメージ値は全体的にかなり低めのため、ひたすら攻撃し続けなければならない上、とある条件下では体力ゲージがゼロになってもまだ負けないため、あっさり決着は着かない。 ぶっちゃけ、相手にただひたすら攻撃を与え続けていれば勝てる訳なんだが、ここはそんな単純プレイに走らず、色々な技を発動させて相手を翻弄・攻撃し、その演出や動きを楽しみたい。 超必殺技が一発決まって、ゲージの2/3が一気に減るなんていう過去の対戦格闘ゲームのシステムでは、決して出来ない楽しみ方がここにある。 さて、人によってはこれだけでもかなり複雑そうな操作に思えるかもしれない。 だが、心配ご無用。 もしあなたが、昔ファミコンで大人気になった「キン肉マン・マッスルタッグマッチ」をプレイした事があるなら… そう、このゲームも、実はあれと大して変わらないのだ! 「〜マッスルタッグマッチ」は、とにかく相手に向かってボタンを押し、ダメージを与えていれば勝負が着くという単純極まりないものだったが、その大雑把さが逆に魅力で、大変な人気を博した。 今回のKGSも、要は「ボタンの種類と組み合わせ」という概念が生まれただけで、根源的な部分はほとんど変わらないのだ。 だから当然、ミート君もリング外からパワーボール(ミート玉)を投げてくる(笑)。 取ると、もちろん超人パワーゲージMAXだ。 とにかく、こんな風に割り切ってプレイすれば、操作はそんなに難しくないだろう事がすくに理解できると思う。 KGSは戦闘ばっかりが続くゲームだが、基本的には
この「キン消し」モードとは、あの昔なつかしいキン消しをシリーズごとに分類したガシャポン機を自由に選択し、メダルの続く限り好きなだけ回せるというもので、当時回しまくった人にはたまらないノスタルジーだ。 キン消しの画像は彩色済みのもの(II世のガシャポンは元々彩色だが)で、もちろんビューワーで取得分を一覧可能。 しかも一つひとつに異常なほどマニアックな解説が付加される。 とにかく、このモードだけでも充分楽しめてしまう上、かつてコレクションしていた人の魂揺さぶりまくりなので、どうしても「回してみたくなる」ようになっている。 で、その結果試合数をこなす必要があり、さらには特定数キン消しを集めると、シークレット要素が展開するという仕掛けになっている。 なるほど、嫌が上にもプレイしまくらなければならないように仕向けられるという事か。 しかしまあ、この「キン消し」はすごい。 原作のたった一コマだけ、ちらりと映っていただけの超人をわざわざ丁寧に説明するという姿勢には驚かされる。 原作しか知らない人にとっては、アニメや劇場版オリジナル超人の解説なども面白く見えるのではないだろうか。 実は、筆者は当時キン消しをまったく集めてはいなかったのだが、それでもこのモードは腹の底から楽しめた。 ゲームモードは、「対戦モード」「トーナメントモード」「サバイバルモード」の三種があり、それぞれのモード内にさらなる細かなカテゴリが存在する。 「対戦モード」では、一対一の対戦にセコンドの有無(有だと試合中のサポートが受けられる)が選べ、タッグマッチの場合、タッチ制の有無などが選べる。 さらに、一度に最大四人の超人をリング上に上げて戦う「バトルロイヤル」なんてのもある。 このモードならば、例えばキン肉マン対テリーマンの「幻の十分間対戦」だって、好きなだけ再現できるのだ(ロビンは止めに入らないけどね)。 「トーナメントモード」は、最初に総合試合数を決定し、その試合数に見合った超人チームを選択して、実際にトーナメントを展開していくという内容だ。 自分が使うタッグチーム以外の組み合わせも、プレイヤーが自由に決められる上、本来自分が使っているチームの試合が終わっている間、別なチームを操作したり「観戦」したりも出来る。 この「観戦」という概念がわざわざ設定されているところが、本当によくわかってらっしゃる。 当然、原作通りの組み合わせも可能だし、敵同士で本来なら絶対組む事など考えられないチームも作成できる。 ただし、ある条件を除いて同キャラチームは作れないようになっている。 これで自チームが優勝するとエンディングになり、もし条件を満たしていると「Congratulations!」の声と共に、新規超人がエントリーする。 「サバイバルモード」は、昨今の格闘ゲームの家庭用版をプレイした事がある人ならすぐピンと来ると思うが、要するに「自分の体力がゼロになるまでひたすら勝ち抜き戦」という奴だ。 条件を満たした上で、特定人数以上倒すとまた新超人が登場するので、ここも押さえておかないとならない。 ただし、ここには「マスク狩りデスマッチ」というモードがあり、この時だけはプレイヤーの使用するキャラクターが「ネプチューンマン」「ビッグ・ザ・武道」のいずれかに限定される。 このモードには本作の暗黒面が集中しているので、詳しくは後ほど触れよう。 次に、参加超人。 最初に登場する超人は、旧新含めて全33人。 内訳は以下の通り。 【レジェンド…キン肉マン時代の超人】
【ジェネレーションズ…II世時代の超人】
しかし、実際にはここに加えて15人の隠し超人が存在する。 結果的には総合48人となり、キン肉マンの取得している殺人技の数と等しくなる。 【隠し超人】
ところが、上記を冷静に見てみると、実は隠し超人のほとんどは「バリエーション違い」のキャラクターに過ぎず、完全新登場と言い切れる存在は少ない事に気付く。 またキャラクター的には新登場でも、基本的なスペックが誰か既存のキャラと同一(あるいは酷似)しているケースが多いのだ。 基本的には中身が同じという組み合わせを見てみよう。
これらは、ノーマルと同等の性質を持つ隠し超人だが、実は最初からいる33人の中でも、基本スペックが同じキャラクターがいたりする。
「カメハメ=初代グレート」以外の組み合わせは、必殺技などが大きく違うため異を唱える人も多いだろうが、それは演出が異なるだけで、実際に動かしてみると性質があまりにも酷似している事がすぐにわかる筈。 また自信はないが、なんとなくガゼルマンやケビンマスク等にも、基本スペックが同じキャラがいるように思えてならない。 これらの「実質的に48人もいないじゃん」状態は、一部のファンには大変不評で、「超人タッグ編なのにどうしてケンダマンとスクリューキッドがいないんだ!」などといった意見も多く聞かれた(筆者も同感である)。 とはいえ、委員長や真弓までをも入れてしまうというセンスは、大変評価したいところでもあるのよね。 必殺技の演出で、きちんと「顔が手の方にくっついて行くアイアンクロー」までやってくれているんだもの(笑)。 これら総勢48人のキャラクターを好きなように使い、組み合わせて戦っていくのが、本作の真骨頂ともいえる部分だ。 キャラクターは、それぞれ独自の打撃攻撃と通常技を持ち、攻撃などで蓄積されていく超人パワーゲージのレベルによって、三段階の必殺技が使えるようになる。 例えば、バッファローマンならLV.1で「ハリケーンミキサー」、LV.2で「トマホークハリケーン」、LV.3で「超人十字架落とし」といった感じだ。 この例のように、その超人のトレードマークとなる必殺技が必ずしも最強のものとは限らない所が、なかなか憎らしいセンスだ。 超人十字架落としなんか、王位争奪戦で二回しか使っていない技なんだけどね。 かと思うと、キン肉マンなら「火事場のメガトンパンチ(ま、マイナー過ぎ…)」「キン肉バスター(またはドライバー)」「マッスルスパーク」という順当な昇華を見せてくれる。 ちなみに必殺技は、「相手の正面から仕掛けた場合」「背後から仕掛けた場合」「相手を打ち上げた後に追いかけて掴んだ場合」などで出る種類が変わる。 中には「火事場のクソ力」発動モード中に性質が変化する技などもある。 ネプチューンマンの「掟破りのロビンスペシャル(…そこまでやるか)」などは、その代表例だろう。 だがこれらも、先に記したように基本的発動理屈はファミコンのアレと同じだ。 必殺技が発動すると、そのレベルによって演出度が派手になっていく。 LV.1のものは、通常打撃がわずかに派手になったような感じのものが多いが、LV.2ではモーションが多様化し、細かな動きを一通り見せてくれる。 悪魔将軍のLV.2「地獄の断頭台」などは、原作でいうところの「サンシャインのパワー」と「ザ・ニンジャのテクニック」、「プラネットマンの宇宙的レスリング」の動きまでいちいちトレースしてくれるし、キン肉マンがジェシー・メイビアに決めた“48の殺人技の3・風林火山”などは、技を仕掛けながら空を駆け上っていく様を丁寧に見せてくれており、思わず息を呑む美しさだ。 またブロッケンJrの「ハンブルグの黒い霧」も、一度相手の頭上で逆立ちして静止、その後に全身を振りかぶって蹴り飛ばすという流れをきちんとやってくれる。 ロビンマスクの「ロビンスペシャル」などは、一番最初に武道に仕掛けた時の「ニセモノ版」まである丁寧さ。 II世超人だって負けてはおらず、チェックメイトやイリューヒンも、「ケンタウロスの黒い嘶き」や「ステルスジェネティック」などで、ちゃんと変形してくれる。 ハンゾウも、あの全身手裏剣(笑)「撥雲風車」をわざわざ展開してくれる。 スカーフェイスも、「アルティメット・スカーバスター」前にはマスクを下ろして変身する念の入れよう。 個人的には、当て身系に相当するチェックメイトの「オープン・ザ・ルークゲイト」が大好きだ。 さて、その必殺技がLV.3になると…画面が切り替わり、それまでの試合展開を無視して、独自のムービーが再生される。 もう、その手前のキャラ配置など無視! かっこよければそれでいいだろ、といわんがばかりの勢いで、超絶演出が繰り広げられるのだ。 キン肉マンの「マッスルスパーク」などは、当然「スグルの50%」と「アタルの50%」を細かく分けて見せてくれるし、ウォーズマンの「二刀流スクリュードライバー」も、ちゃんとコーナーポストからハイジャンプを繰り出し、“いつもの三倍の回転で…”のアレをやってくれる。 ペンタゴンはドロップキックの嵐をスピーディに繰り出すし(このムービーで、あの技の恐ろしさが初めてわかった…)、ブロッケンJrの「ベルリンの赤い雨」などは、わざわざ相手の攻撃を軽くかわした後、カウンターで繰り出すという演出を加えている。 ジェイドの「ベルリンの赤い雨」も、原作のように真正面に手刀をかざし、それに火がつくというかっこよさ。 ヒカルドも、本来の悪行超人の“悦楽の笑み”をきちんと浮かべる。 悪魔将軍の「超人九所封じ」などになると、わざわざすべての工程を連続で繰り出し(握手に見せかけて手のツボを狙うアレも!)、最後のトドメの直前に、相手の首元を指差して「ラスト1!」と叫んでから“地獄の断頭台”へと移行するという、もはや「何考えてんだ」レベルの作りこみようだ。 さらにとんでもない事に、この時の“地獄の断頭台”は、LV.2の時と仕掛けるモーションが違っている。 真弓と委員長にいたっては、最後に対戦相手と笑顔でガッシリ握手するという、「昔なつかしの街頭プロレス」的演出も忘れていない。 筆者も、このLV.3技ムービーをデモで見て購入を決意したほどだ。 これを見るだけでも、購入の価値はある。 こんなものが、全キャラクター分あるんだから、本当にとんでもない。 以上、とにかくLV.3のとんでもなさが少しは伝わったのではないかと思うが…これで終わりではない。 そう! 冒頭でも触れた、キン肉マンのタッグチーム専用必殺技・タッグコンビネーションが、さらに存在するのである。 これはタッグマッチ戦専用のもので、両方の超人パワーゲージがMAXの時にLV.3必殺技を仕掛けると、いつもの単独技とは違い、対戦チーム両方に同時にダメージを与える性質のものに変化するのだ。 (技発動時のターゲットになっていない超人まで、わざわざリング上に引っ張り上げられてしまう) そう、ここでキン肉マン&グレートの「マッスルドッキング」や、モンゴルマン&バッファローマンの「ロングホーン・トレイン」、ヘルミッショネルズの「クロスボンバー」、はぐれ悪魔超人コンビの「地獄のコンビネーション」などが登場するのである。 これは、キャラクターの組み合わせによって色々なものが設定されており、たとえばキン肉マン一人とっても、テリーマンや二代目グレートと組むと「マッスルドッキング」、ネプチューンマンと組むと「レインボーブリッジ・スープレックス」、万太郎と組むとオリジナル技「マッスルコラボレーション」という技に変化する。 当然、組み合わせによっては「合体技など考えられない」場合もありうるわけで、そういう場合は専用技「ダブルジャーマンスープレックスホールド」や「二人囃子延髄」などが用意されている。 組み合わせがうまく行くと、「それをやってしまうのか!」と思わず叫びたくなるようなものから、完全オリジナル技なのに原作技に勝るとも劣らない大迫力の技が炸裂する場合もあり、パートナー選びも楽しくなる。 ある程度以上極めると、だんだんワンパターンに感じられるようになってはくるが、とにかく楽しい。 筆者は、この合体技の中で、四次元殺法コンピ(ペンタゴン&ブラックホール)の「フュージョン4D」の演出が大変気に入っている。 ちょっとプロセスを説明しよう。
四次元殺法コンピは、「キン肉マン」作品中では「マッスルドッキング」の初めての犠牲者である事以外に特徴の少ない、大変マイナーなコンビなのだが、それにも関わらずこれほど凝りまくった演出を用意してくれている訳で、もはや舌を巻くしかない。 こうやって色々例を挙げてはいるが、こんなのではとても説明した気にならないほど、さらなる豪華演出がてんこ盛りなのだ。 もちろん、ギャグ方面で「狙っている」演出もあり、決してカッコイイばかりではない事も嬉しい。 必殺技の話ではないが、キン骨マン登場の時、わざわざ原作初登場時の“あのステップ”を踏んでくれる程なのだ。 色々と期待してプレイするだけの価値はあるはずだ。 各超人は、これまで紹介してきた「必殺技」「合体技」などの他に「クソ力ゲージ」と呼ばれる特殊性能を持っている。 これが戦闘によって蓄積し、規定値に達すると「火事場のクソ力」発動状態になり、一部特性が変化したり、この時だけ使用できる必殺技が出てきたりする。 基本的には攻撃力強化・防御力強化だったり、ある特性を失う代わりに他の特性が強調(または付加)されたりするのだが、中にはとんでもない例外がいたりもする。 一部のキャラはこれによって著しくパワーバランスを崩してしまう傾向もあるが、キン肉マンの「超人絞殺刑」などの魅力ある技は、この状態でないと発動しないため、やはりどうしても狙って発動させてしまいたくなる。 一番かっこいい試合展開は、最初の方でやられてピンチになり、時々反撃ペースに移るも全体的には敗色の濃い展開になり、体力ゲージが完全になくなってしまった状態から一気に逆転、大技で相手を仕留めてしまうという感じだろうか。 そしてこれは、理屈的にはすべてのキャラで可能。 全部のキャラクターが「ラスト5秒の逆転ファイター」になれるのだ。 そう、この部分にも触れておかなければ。 試合開始時、対戦の組み合わせによっては、原作内の名セリフの応酬が行われ、またまたファンを狂気させてくれる。 このゲーム内には、原作に準じた時代の流れなるものが根本的に存在していないため、キン肉マンとバッファローマンの会話が「悪魔超人編」の時の「キン肉バスターをかけてみろ」というものかと思うと、キン肉マン対キン肉万太郎戦では「ヘラクレスファクトリーでの対戦時」の会話が出て来てしまう。 ネプチューンマンは、ロビンマスクの「喧嘩男呼ばわり」を拒絶してくれるし、キン肉マン対テリーマンでは、番外編での対戦確定時の会話を交わしてくれる。 テリーマンとキン骨マンでは、テリーマンが足を撃たれる直前の呼びかけが成立する。 そんな感じで、思わずそういったセリフを聞きたいがために組み合わせを考えたくなるような気分にさせられる。 中には期待していたのに何もないという組み合わせもあるのだが、大変嬉しい演出である。 …ただ、なぜかII世超人同士の会話ネタが妙に少ないような印象がある… なお「しゃべる」といえば、試合中はずっと、吉貝アナウンサーと中野さんが解説をしてくれる。 さすがに特定のセリフの繰り返しなので、ある程度やっていると「またこれか」という気分にもなってくるが、さすがは中野さん! 「公子〜、愛してる〜!」 「これは、女房を質に入れてでも見る価値がありますね〜」 …などの、中野節を炸裂させまくってくれる。 さらに、ゲーム中にポーズをかけた時にまで演出があるのだからたまらない。 これは是非、実際に試して聴いていただきたい。 さて、ここまで色々と褒めてきたが、問題点もかなりあるので、こちらについても触れておこう。 まず、読み込みがめちゃくちゃ遅いという、根元的な難題がある。 KGSは、PS2ソフトにも関わらずなぜかDVDソフトではなく、CD-ROMソフトである。 そのせいかどうか知らないが、随分大きな幅にまたがってデータを読み込んでいるようで、特にオープニングやエンディング直前の読み込み具合は、苦痛レベルに至る。 また、いちいち何%読み込んだかを表示してくれるもんだから、益々イライラがつのる。 かつて、“読み込みの遅さではもはや世界クラス”と囁かれた迷ハード「ネオジオCD」というものがあったが、こちらも、ソフトのデータ読み込みの際にいちいち何%進行していたかを表示していた。 だが、これは「まだこんなしか読み込んでねーのかよ!」という感想を抱かせる役にしか立っておらず、結果的に益々ユーザーのストレスを増徴させるハメとなった。 今回は、まさにそれが再び…というノリなのだ。 もちろん、試合前にもかなり長い読み込みがあり、三本勝負などのルール変更を行っている場合は、かなりきつい。 また短時間ではあるものの、LV.3必殺技発動時のムービー開始前にも読み込みがあるため、テンポがぶった切られるような感覚もある。 試合前の読み込みは、慣れればさほど気にならなくなるかもしれないが、とにかくOP前はなんとかしてもらいたい。 読み込み開始してからトイレ行っても、まだ全然終わってないんだもんなあ。 操作性も、かなり悪いように感じられる。 ある程度慣れと愛情で補える感もあるが、KGSは、なんとなく思い通りにキャラが動かないように感じる「微妙なストレス」が多い。 例えば、追い討ち技(倒れた相手の近くで打撃ボタン)をかけようと思っているのに、虚空の相手に向かって突如スパーリングを始めてしまったり、バトルロイヤルではなかなか対象相手を変更できなかったり。 またこれは対戦相手の動きもあるが、対CPU戦などでは、背後から攻撃したはずなのになぜか正面からの攻撃と判断されてしまうケースが多々ある。 倒れた相手の背後で待機し、起き上がった瞬間に襲い掛かってもダメだったり。 もちろん、立ち上がった直後に振り返っている場合もあるのだが、結構判定がアバウトだったりする。 背後と正面で繰り出す必殺技が変わるため、「技が見たい」派の人にとって、これはなかなか大きな問題なのではなかろうか。 次に、キャラクターのパワーバランスの悪さ。 先ほど「基本操作はいずれの超人もほぼ同じ」とは書いたものの、実際には必殺技や通常特性、また隠し性能などによって、各超人には相性の良し悪しが発生する。 まあこれはゲームである以上やむをえないのだが、そんな言葉では収まらないようなとんでもないのが中に混じっている。 個人的な感覚で“問題児”は色々挙げられると思うが、まず誰もが「こいつはヒドイ」と挙げるのが「ガゼルマン」だろう。 間違いなく、本作最強の超人はこいつである。 “クソ力”発動中のガゼルマンは、非常識極まりない機動力を発揮してしまい、もはや狙って捕らえる事は不可能という域にまでなる(実際は捕まえられはするけど…)。 初めて見た人は、バグでも発生したのかと思ってしまうほどの非常識速度なのだ。 「悪魔将軍」も、問題だろう。 なにせ“クソ力”が発動してしまうと、それが収まるまで「無敵」になってしまうのだから。 まあ無敵になったという事は、どんなに技をかけても倒されないという訳で、こちらのゲージ溜めの材料とする見方もあるが、このあり方はどうかと思われる。 この二人はかなり特殊な例だが、こんな感じで、部分的に疑問符を抱きかねないものが多くある。 またCPU戦時、ニュージェネレーション系超人を相手に選んでしまうと、かなり不条理な戦いを強いられてしまうというのも考え物だ。 というか、どう見ても「投げ優先度」「追い討ち頻度」「フォール有効度」がプレイヤーのそれより遥かに高めに設定されているっぽい。 プレイヤーの場合、一度しか決められない「寝技系追い討ち攻撃」を、CPUは連続三回は決めてくる。 また、体力がほとんどないCPUに、体力が3/4以上残っているプレイヤーがフォールされたら、もうほぼピンフォール確定となる。 たとえ連射パッドを使っても、切り返す事ができなかったりする。 もちろん、その逆は絶対に起こらない。 しかし、レジェンド系だとこういう事が発生する比率が極端に低下する…ように思えてならない。 さすがに統計を取ったわけではないので確実ではないが、少なくとも、プレイすれば似たような印象を受ける事はよくあると思われる。 試合開始直後、あらゆる動作を行うよりも先にヒカルドにつかまれ続け、気がついたら一気に体力を1/3減らされたという事などしょっちゅう。 なお、このゲームで1/3減る事がどれほどやばいかは…いわずともかな。 さらに、タッグコンビネーションのバリエーションにも疑問がある。 これはどちらかというと「プレイヤーのわがまま」というべきものなのだが、一応触れておこう。 KGSでは、作品中で特に関係を持たなかった超人同士でタッグを組ませた場合、その合体技がものすごくチープかつ限られたものになってしまい、突然つまらなくなってしまうという難点がある。 例えば「セイウチン」と「ボーンコールド」で発動させると「二人囃子延髄」という技になるが、これを使う組み合わせは全部で18ほどある。 また同様に、「ダブルジャーマンスープレックスホールド」を使う組み合わせも17くらいあったりする。 かと思うと、「悪魔将軍」または「ゴールドマン」が他のキャラと組んだ場合は、すべて「悪魔の本質」という味方巻き添え技に統一されてしまう。 せめてもう少し、バリエーションを増やして欲しかったというのが正直なところだ。 こいつらなら、きっと何かをやってくれるはず! というプレイヤーの期待を裏切るようなパターンだけは、なんとかしていただきたかった。 そして、恐らく本作最大の問題点は「マスク狩り」モード。 ここで、膝を叩いて同意される方も多いのではないだろうか。 「マスク狩り」とは、サバイバルモードの中の一つで、ヘルミッショネルズを使ってひたすらマスク超人のマスクを狩っていくというもので、本来はその取得枚数の記録を伸ばしていく目的だ。 このモードに限り、合体技はクロスボンバーではなく「マスク・ジ・エンド(アップルシェイバー)」に変化する。 これを食らった超人は、あわれマスクを取られ……ないのが、このモードの根本的な問題点なのだ。 マスク狩りの難点を挙げると
と、こんなに目に余るものがある。 先の説明であったように、このモードは「ネプチューンマン」か「ビッグ・ザ・武道」のいずれかを選択して使用するが、もう一方の相棒は完全なCPU制御になる。 そのため、こちらの思惑や作戦意図はまったく汲んでくれず、もう好き勝手に暴れてしまう。 例えば、こんなケースがありうる。
…上記の他にも色々な事態が発生しうるが、とにかくこういった事は頻繁に…否、ほぼ毎回間違いなく一度は発生すると思っていい。 このため、こちらが緻密な計算をして狙っていても、すべて身内によって水泡に帰されてしまうのだ。 思考AI搭載じゃないんだから仕方ないとはいえ、ならばせめて「なるべくフォールを取ろうとしない」とか「勝手に合体技を発動させない」などの歩み寄りは欲しかった。 そう、とにかくこのモード最大の敵は「相棒」なのだ。 こいつのためにゲームがまったく理想通りに進行せず、凄まじいストレスがたまる。 まして、元々かなり嗜好を選ぶ内容のモードである。 そういった問題点が複雑に重なって、ホントに救いようのないものになってしまっているのだ。 「なら、やらなければいいんじゃない?」とお思いの方もおられるだろうが、話はそう簡単にはいかない。 なんと、隠し超人をすべて出現させるためには、このモードにてマスク超人をすべて狩らなければならないという条件があるのだ。 厳密には、この条件を持っているのは「喧嘩男」だけなのだが、「ゴールドマン」の条件の中に「他のすべての超人を出現させる」というものがあるため、実質二名が対象だ。 なので、隠しフィーチャー全攻略主義の人は、嫌々ながらこのモードをプレイしなければならなくなる。 そして、ある程度ゴールが見えてくると、今度は「狩りたい超人がなかなか出現しない」という事態にやきもきしはじめる。 そのため、初戦で該当超人が出なかったらリロードという行為を繰り返すようになり、結果的に、全マスク超人を狩っても「マスク狩り」モードとしての優秀な記録は残しづらくなるという難点が生じやすくなる。 筆者も、当然この地獄のロードを歩んだわけだが、途中中断も含め、マスク狩りのコンプリートにかかった時間は、それ以外のモードすべてを完全攻略するまでに費やした時間の2倍近くに達する。 つまり、実質全プレイ時間の2/3を費やした事になる。 そしてそのプレイの中で「相手に負けてしまって中断」という事はまったくない(相方がやられた事はあるが)。 はっきり言って、筆者はもう二度とこのモードをやりたくない。 そして、ある意味で最大の問題点。 これは厳密にはゲームの問題ではないが、なんと、キン肉マンの声優が「神谷明」氏ではない! という、旧作アニメファンにはなんとも我慢しがたい難点がある。 KGSでは、キン肉マンの声優は古川登志夫氏となっており、凄まじいほどの違和感を感じさせる。 ちなみに古川氏は、「キン肉マンII世」の方でキン肉スグルの声をあてているため、本当はミスキャストではない。 しかし、彼が演じているのは「年老いたスグル」であり、現役バリバリ時代のキン肉マンではない。 ましてや、アニメ版の時も「キャラの作りこみが不十分なのでは?」という疑問が囁かれたほどだ。 という訳で、「屁のツッパリはいらんですよ」という、言葉の意味はよくわからないがとにかくすごい自信のあるセリフは、ここでは聞けない。 裏事情として、神谷氏の体調問題から起用ができなかったという話が公表されているのだが、本作の前に発売されたゲームキューブ版ではしっかり神谷氏が起用されている事もあり、「だったら回復するまで待てばいいだろ」という意見も多い。 ちなみに筆者も相当な時間プレイし、今もまだ続けているが、いまだに古川氏の声の違和感が拭えない。 古川氏の演技そのものは嫌いではないし、氏の参加した作品も山ほど見てきたが、それとこれとは問題が違う。 「全然スグルらしく聞こえない」というのは、やっぱりかなりまずいのだ。 ちなみに、キン肉マンだけが声優変更されているわけではない、という事をここで強調しておく。 先に断っておくと、「キン肉マン」のテレビアニメ作品は2004年現在の時点で全部で4作品あるが、初期2作品「キン肉マン」「同・王位争奪戦」は声優の変更が著しく、同じ作品内でも話数によって超人の声が違うなんて事はしょっちゅうだった。 例えば、テリーマンといえば田中秀幸氏が定番のように思えるが、実は「王位争奪戦」だけは速水奨氏だったりする。 キン骨マンも、「キン肉マン」で二又一成氏が演じたものが印象深いが、実はそれ以降はすべて掘秀行氏(ウォーズマン役も兼ねている)である。 カナディアンマンやスペシャルマンなどは、「キン肉マン」だけでも声優が2・3人もいる。 なので、キン肉マンやロビンマスクなどのような「このキャラにしてこの声あり」というキャスティングは、実は意外に少ない事になる。 そんな訳で、KGSの「声優違い」を指摘するために、過去のアニメ作品すべてのキャスティングを調べる必要性が出てきてしまった。 筆者が調べた範囲では、KGSのキャストの中で、過去「キン肉マン」「キン肉マン王位争奪戦」「キン肉マンII世」「同・ULTIMATE MASCLE」のいずれにも、同じ超人役でキャスティングされた事のない声優は、五名いた。 悪魔将軍/ゴールドマン役の稲田徹氏、ネプチューンマン/喧嘩男役の竹本英史氏、武道/ネプチューンキング役の太田真一郎氏、初代グレート役の佐藤正治氏、クロエ役の掘秀行氏だ。 ただし、佐藤氏は「キン肉マン」にてプリンス・カメハメ(初代グレートの正体)を演じており、掘氏も同作品内でウォーズマン(クロエの正体)を演じた事があるので、本来は間違いではない。 「キン肉マン」の初代グレートの声が蟹江栄司氏になっていた事や、クロエの声が田中秀幸氏(ULTIMATE MUSCLEでは竹本英史氏!)になってしまったというのが、そもそも間違いなのだろう。 また稲田徹氏などはII世で色々な超人の声を当てている人で、太田真一郎氏もII世ではイケメン・マッスルなどを演じているので、一応立派なレギュラーメンバーなのだ。 以上の事から、KGSでは可能な限りオリジナル声優を揃えようと苦労しただろう事がわかり、ここからも、スタッフのこだわりの一面が覗いている事に気付かされる。 古川キン肉マンはたしかに残念ではあったが、ここは我慢すべきだろうし、不満を唱えるのも酷ではないだろうか。 先のカナディアンマンとスペシャルマンだって、ちゃんと経験者をセレクトしているんだから。 なお、「キン肉マン」でラーメンマン等多数の超人を役じていた蟹江栄司氏は、すでに鬼籍に入られているので、今回の一部変更はやむをえない事を付け加えておく。 (総評) 色々諸問題があり、作りこみが甘い部分も目立ったりはするものの、本作KGSはキャラクターゲームの中では大変にポイントの高い作品であるのは間違いない。 本作の他にも、キン肉マンのゲームがゲームボーイアドバンス、ゲームキューブのプラットフォームで出ているが、それらとは性格が異なるようで、単純な比較は無意味である。 人によって、鼻につく部分はあるかもしれないが、筆者はそれを押しても強くオススメしておきたい。 絶対買うべし! とは安易に言い切れないが、少なくとも「必見」なのは確かだ。 そして、その結果プレイ衝動が沸くかもしれない。 いくらここで良し悪しを語っても、実際に画面を見たり、プレイしてみた時の印象は理解できない。 KGSは、そういう部分が特に強い作品なのだ。 筆者個人としては、このソフトは完全に殿堂入り。 大切に持ち続け、気が向いたらまたふらりとやってみたい。 わざわざ新しいメモリーカードを用意して、また最初からプレイしなおしてみてもいい。 それくらいの魅力が詰まっているソフトなのだ。 製作側が、ユーザーに並ぶかあるいはそれを乗り越えるほどの熱い魂を叩きつけてくれる…そんなタイトルが出るようになった現在…本当に良い時代になったと思う。 中には、クリエイターのオタク・マニア化が嘆かれている向きもあるし、それらには同意できるものも多いが、中にはこういう「こだわり」を持っている秀作も誕生しているのだ。 ある意味では「時代」をがっしりつかんでいる本作…キン肉マンファンなら、偏見を抜きにして、是非一度手にとっていただきたい。 …でも多分、これ続編出るだろうなあ。 「王位争奪編」辺りの情報、かなり制約されているっぽい感じがするもの(笑)。 → NEXT COLUM |
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