憧れの5年3組 鷹羽飛鳥
更新日:2004年2月29日
 鷹羽は幼いころ、小学5年生になったら3組になりたいと思っていました。
 同じように思っていた人は、全国に相当数いたと思います。
 そう、現在CS東映チャンネルで放送中の『5年3組魔法組』の影響です。


 知らない人のために説明しますと、『5年3組魔法組』というのは1976年に放送していた作品です。
 5年生の5人組の少年少女が、ひょんなことから魔女ベルバラに貰ったMJバッグに入っている魔法アイテムで騒動を巻き起こすという、不思議コメディ系の番組だと思ってください。

 MJバッグには、巨大化して空飛ぶ乗り物になるマジッカー、物を大きくしたり小さくしたりできるペンタゴン、唱えた物を引っ張り寄せることのできるバンノーダー、動物の言葉を翻訳できるボイスボール、変身道具のメタモライト、通信機MJシーバー、どんな願いでも叶えてくれる代わりにしっぺ返しに襲われるマンガンキーの7つのアイテムが入っていて、いずれも「アバクラタラリン クラクラマカシン」の呪文で作動します。
 ちなみに、マジッカーは、三角のパーツ2枚を合わせて呪文を唱えると変形・巨大化する乗り物で、遊園地のコーヒーカップからプロペラ付きの柱が3本生えたような形をしています。

 で、このベルバラを演じていたのが、東映トクサツでおなじみの曽我町子さんで、愛嬌があって意地悪な魔女を楽しそうに演じています。
 ちなみに、鷹羽が曽我町子という役者さんを認識した最初の番組でもあり、鷹羽にとって曽我さんというと、『電子戦隊デンジマン』のヘドリアン女王よりもこちらが出てきます。
 ちなみに、曽我さんは、ベルバラより先に『愛の戦士レインボーマン』に魔女ゴッドイグアナ役で出演されているのですが、残念ながら印象に残っていません。

 まぁ、あくまでコメディタッチの作品ですが、意外にというか東映らしいというか、結構考えさせられる部分などもありまして、鷹羽は、この番組が大好きでした。
 今回は、その辺の思い出を少々披露しましょう。
 なお、今東映チャンネルでやっている放送は、後述する理由で見ていないので、本放送の時に見た記憶だけで話をするので、ちょっと間違っているかもしれませんが、その点はご容赦のほどを。


 誰だったか魔法組の1人の少年が記憶喪失になって、誤ってマジッカーに乗ったまま飛び上がってしまうという展開がありましたが、そのとき彼は、助けに来たベルバラに「おばさん助けて」と言ってしまいます。
 「おばさん」と呼ばれたことに腹を立てたベルバラは、「世界の果てまで飛んでけ〜!」とマジッカーを発進させてしまうのですが、その後、「世界の果て…? ということは、地球は丸いから……ここだ!」と言った直後にマジッカーが戻ってきてベルバラをはね飛ばしてしまうのです。
 マジッカーの速度で、1分足らずの間に地球を1周できるわけはないのですが、演出のテンポが良く、コミカルで、素直に楽しいです。

 また、物は何だったか忘れましたが、自分の笛か何かをバンノーダーで取り寄せようとした誰かが、「自分の」という言葉を入れなかったために、あちこちから笛が飛んできてしまうという失敗をし、みんなでそれを元あった場所にこっそり返しに行くというドタバタがありました。
 このときは、散々騒いだ後で、実はバンノーダーのレバーを逆に回せば元の位置に返せるという新事実が判明するというオチが付いていました。


 そうかと思うと、結構身に染みる部分もあったりします。
 やはり誰か(眼鏡掛けてたかな?)が自宅(団地の4階くらい)のベランダから身近な人の交通事故を目撃し、マンガンキーで時間を戻して助ける話がありました。
 このときのトラックの運転手が、轢いちゃった後、泣きながら謝っているんですけど、時間を戻して轢かずにすんだときは、「馬鹿野郎!」って怒鳴ってそのままトラックで走り去っていくんですよ。
 この態度の差に驚いた鷹羽は、「ああ、人を轢くってのはそういうことなんだ」と妙に納得してしまいました。
 鷹羽自身が運転免許を取ったのはこれを見てから10年以上も後の話ですが、自動車学校で、事故を起こすと〜というビデオを見たときにも思い浮かべたくらい印象的でした。

 とまぁ非常に好きだった番組なんですが、実は最終回の印象は全くありませんし、先程書いたとおり、今現在東映チャンネルでの放送も見ていません。
 それは、こんなことがあったからです。


 メンバーの1人がマンガンキーで“お金のいらない世界”を作り出したことがあります。
 もちろん、彼は“何でも無料”な世界を望んだのですが、生み出された世界は“物を買うと代金分のお金を貰って帰らなければならない”世界でした。
 同じような話が『ドラえもん』にもありますが、『魔法組』では、マンガンキー使用のしっぺ返しによるペナルティとして、そういう世界になったのでした。

 この話は、彼がタンスから崩れ落ちてくる札束に埋もれて終わりますが、問題はその後です。

 次の回の冒頭で、彼がマンガンキーを使って元の世界に戻したことが語られ、その分のしっぺ返しがないことをほかのメンバー達が不思議がります。
 そして、ほかのメンバー達が次々と不幸な目に遭う中、彼1人だけが何事もなく過ごしているのを見て不思議に思ったたベルバラがしっぺ返しセンターに行って事情を聞くと、係員のミスでしっぺ返しするのを忘れていたのでした。
 
  ちょっと待て。
  しっぺ返しって、わざわざ係員がやってたの!?

 
 これはいただけません。
 なにしろ、この一件で、マンガンキーによるしっぺ返しは、アイテムの効能による“何でも願いが叶う代償”ではなく、単なる“アイテム使用料”レベルに堕してしまいました。
 つまりマンガンキーは、使うと自動的に痛い目に遭う諸刃の剣なのではなく、しっぺ返しセンターさえ何もしなければ、いくらでも使いまくれるアイテムだってことです。
 というより、センターの人(魔女?)と仲良くなるとか、ベルバラを上手くのせて何かしてもらえるようになれば、しっぺ返しなんて怖くないってことじゃないですか!
 もちろん、魔法組の連中はそんなことを知ったわけではなかったはずですが、少なくとも見ている鷹羽にとっては、これは動かしようのない事実なわけで…。

 この事件は、MJバッグの存在意義を“結局ベルバラを上手く利用できればいらないシロモノ”でしかないと、鷹羽に認識させてくれたのでした。
 これ以来、鷹羽の『魔法組』熱は微妙に冷めてしまい、そのせいか、その後も見続けていたはずなのに、最終回がどうなったかちっとも覚えていないのです。
 CSで見られるというのになぜか見ようという意欲がいまいち湧かないのは、多分それが理由なのでしょう。
 自分の記憶がどこまで確かだったか、確かめたいという思いもあるんですけどね。


 これまで書いた4つの思い出は、全て鷹羽の記憶だけで書いたものですが、東映チャンネルでの放送をチェックしている元締に確認したところ、「世界の果て」のネタが3話くらい、「交通事故」が5話で既に放送済みだけど、ほかのネタはこの原稿がアップする2/29現在、まだ放送されていないそうです。
 元締の話によると、「交通事故」では、轢かれたのはトラックにではなく乗用車だったり、“団地から見ていた”のではなく“本人が轢かれた”とか、結構記憶違いがありましたが…まぁ、こっちも27年前の記憶だけで書いてますからねぇ、それくらいはご愛敬ということで。

 読者の皆さんも、実際に放送されたのを見て、この記憶と違う展開になっていたとしても「展開が違うじゃないか!」とかのクレームはご遠慮ください。


 ちなみに、鷹羽は結局5年3組にはなれなかったのですが、この番組から15年後、またしても5年3組が主役の作品が始まり、ちょっと悔しい思いをしました。

 それが『絶対無敵ライジンオー』の地球防衛組です。

 もしかしたら、スタッフの中に『魔法組』のファンでもいたんでしょうか。
 それとも、5年3組っていうのは、何か不思議な力を持っていることになってるんでしょうか。

 結局、『ライジンオー』は新潟ではリアルタイムでは放送しておらず、別な意味でも悔しい思いをしました。

 …1年後に放送してくれましたけどね。


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