欲しいものあれこれ Part2 憧れのビデオシーバー
鷹羽飛鳥
更新日:2004年12月26日
 今時、大抵の人が持っている携帯電話。
 2つ折りタイプが出た当初は、ヒンジの部分が壊れるとか、そこから断線するとか色々言われていたようですが、壊れるほど使う前に新機種に買い換える人が多いのか、鷹羽は普通に使っていて壊れたという話は聞いたことがありません。
 その当時、鷹羽はケータイを持っていませんでしたし、買う予定もありませんでしたが、2つ折りということで、『特警ウインスペクター』のWSP手帳(警察手帳兼通信機)を連想しました。
 あれも、通常は折り畳まれていて、開くとウインスペクターのマークが見えて警察手帳として使え、同時に、その状態で通信も可能というものだったからです。
 『デカレンジャー』のSPライセンスは、WSP手帳の系列のオモチャということになります。
 あの当時、もしいつかケータイを買ったら、画面にウインスペクターのマークが表示されるようにして遊ぼうと思ったものでした。
 いまだにやっていませんけど。


 携帯電話がどうしてこんなに普及したのかという点については、ここでは追及するつもりはありませんが、電話機同士の直接通話ではなく、基地局を経由して通話するというシステムは、目から鱗が落ちるような斬新なアイデアだったのではないかと思います。
 アンテナをあちこちに置くことで、そこまで電波が届けばよくなり、電話機自体が強力な電波を発する必要がなくなったからです。
 衛星電話などを思い浮かべればいいのでしょうが、ある程度長距離で通話を成立させるためには、通信機自体がそこまで届く電波を発することが必要です。
 それだと出力が大きくなりますし、アンテナもある程度大型化します。
 ところが、逆転の発想というか、電波の中継局をある程度の密度で置き、そこを中継させるというシステムを構築したことで、大した出力を必要としないようになりました。
 家庭用電話の子機から発展したPHSなんかは、特にこれが顕著ですね。
 以前、元締がどこかで書いていたと思いますが、こうして、SF作品ですら予想していなかった個人間の通信手段が一般化してしまったのです。
 
 ところで、電話の形に限らず、このような携帯型の通信機は子供の憧れの一品となることが多いようで、ヒーロー番組では通信機はほぼ必須アイテムですし、『宇宙刑事シャイダー』のスーパーシャイダーホーンのような実際に通話可能な商品もいくつか発売されています。
 また、ごく普通の子供向けトランシーバーなんかもそれなりに売れたりしているようです。
 ちなみに、スーパーシャイダーホーンは、シャイダー:沢村大が使うインカム型の通信機と、パートナー:アニーが使うブレスレット型の通信機の組み合わせで、約100m離れての通話が可能でした。
 まだケータイが普及していないころ、イベント会場で、これを使って仲間と通信している人もいたようです。
 もう大分前の話になりますが、ドコモのCMで、スーパージェッターの「流星号応答せよ」とか、モロボシダンの「ダンより本部へ」など、SF作品の主人公が小型通信機を使っているシーンを集めたものがありました。
 ケータイの急速な発達と小型化、普及を印象づけようという趣旨だったのだと思いますが、皆さんご存じのとおり、今では、ドコモのFOMA同士でならテレビ電話として通話することさえ可能です。
 テレビ電話…つまり、お互いに相手の姿を見ながら通話するというSFチックな夢のアイテムです。
 鷹羽が使っているのはauのWINですが、契約時に販売店で確認した限りでは、auでは当分テレビ電話機能を持たせる予定はないとのことでした。
 残念。
 まぁ、NTTの家庭用電話などにも、カメラとモニターの付いたテレビ電話スタイルのものがあるようですが、モバイルでそれが可能というのはやはり惹かれるものがあります。
 たとえ画像がコマ送りっぽいとしても、です。
 
 こうなってくると、憧れのビデオシーバーの登場も近いのではないかと予感させられます。
 あ、ビデオシーバーというのは、上記のモロボシダンが使っているウルトラ警備隊の隊員用小型通信機です。
 銀色の小さな箱形通信機にベルトがついていて、腕時計のようにはめる形式で、通信機部分の蓋を開けると裏が画面になっていて、本体にマイクとスピーカーがついているという、正に“未来”を感じさせるアイテムでした。
 何しろ、「ダンより本部へ」と言えば本部に、「ダンよりアンヌへ」と言えばアンヌ隊員に通信が繋がるのです。
 その後の作品などでも、『電撃戦隊チェンジマン』のチェンジブレスのような画面付きの通信機がいくつか登場していますが、まだ月にアポロが着陸する前の時代に、携帯型テレビ電話を画面に登場させた『ウルトラセブン』スタッフの感覚は素晴らしかったと思います。
 ビデオシーバーの傾きに応じて、通信相手の姿も歪んで見えるように合成されているという芸の細かさも現実味を高め、憧れ度を増大させてくれました。
 
 さすがに、ビデオシーバーほど小さくて高性能なテレビ電話機能は、現在の技術でも実現できないかもしれませんが、少なくとも携帯電話サイズで多少ぎこちない画像を送るくらいのテレビ電話は登場してしまいました。
 会話が周囲に丸聞こえで、秘密の会話はとてもできそうにありませんし、マイクが周囲の雑音などを拾ってしまうなどの問題もあるので、電話としての実用性には若干問題のあるシステムかなとも思いますけどね。
 
 
 とはいえ、腕時計型が全く無意味かというと、そうでもないようです。
 1998年2月に開催された長野冬季オリンピックでは、スタッフ間の通信機として、ブレスレット型PHSが用意されました。
 腕にはめることで行動しやすくするというアイデアだったのだと思います。
 重さはたったの45グラム、大きさは小さめの変身ブレス程度(『電磁戦隊メガレンジャー』のデジタイザーの半分くらい)で、腕を顔に近づけて会話するという、それこそ変身ブレスで通信するような状態で通話するのです。
 ダイヤルボタンは付いておらず、スピーカーに向かって「イチ、イチ、ゼロ」と言えば110番に繋がるという音声入力方式でした。
 その後、展示会で本物をいじる機会がありましたが、音声の感知精度に難があり、10桁もある普通の電話番号を音声入力するのは相当なストレスでした。
 このとき、鷹羽は“小型化に拘らないでデジタイザーサイズにしてボタンを付ければ、ストレスなく使えるんじゃないかな”と思ったのですが、最近になって、ボタンがないのは小型化するためではないらしいことに気が付きました。
 よく考えてみれば、冬の長野、それも屋外で、小さなボタンを押すのは無理かもしれません。
 手袋をしていては正確に押せないでしょうし、いちいち手袋を外していては意味がなく、かといって、ずっと素手ではかじかんでしまうでしょう。
 どうやら音声認識方式を採用したのは、寒い屋外で使えるようにするためだったと考える方が自然なようです。
 なお、今回の原稿を書くに当たって調べたところ、このPHSは、20件まで電話番号を登録でき、登録した相手の名前を言えば繋がるシステムだったそうです。
 正に「ダンよりアンヌへ」状態ですね。
 少なくとも会場では十分実用性があったと思われます。
 さらに、骨伝導を利用したイヤホン&マイクが接続可能で、うるさい会場内でも会話しやすいようにされていたのだそうです。
 
 
 さて、話を腕時計型テレビ電話に戻しましょう。
 FOMAのテレビ電話機能は、画面と耳や口が離れている分、他人に会話を聞かれる危険性が普通より高くなります。
 それでもそういった機能をウリにする以上、それなりの需要はあるのでしょう。
 よそに聞かれて困る話でなければ、或いは他人のいないところで、または見せびらかしながら会話するのなら問題はありません。
 画面も、現在のケータイをもうちょっと小型化して画面を横長にすれば、腕時計型は十分実現可能ではないでしょうか。

 実は、鷹羽は常々ケータイの持ち運びに苦痛を感じています。
 バッグに入れて持ち運ぶと鳴っても分かりにくいし、さりとて元々あまりポケットのついていない服を好んで着ている鷹羽には、ポケットに入れるというのもちょっと辛いですし、胸ポケットに入れると、しゃがむたびに落ちてきます。
 腰のベルトに留めるタイプのキャリングケースもありますが、服装によってはベルトがありません。
 そんなとき鷹羽は、“ケータイが腕にはまれば…”と思わずにはいられないのです。
 実際にはめると、きっと結構重くてかさばって邪魔だし、あちこちにぶつけて傷だらけにしてしまうとは思うんですけど、でも、やっぱり憧れのビデオシーバー…。
 煩悩は消えることがありません。


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