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更新日:2004年11月4日 | |||
ある晴れた日、職場の上司Mさん(40代女性)と一緒にお昼を食べに出ました。 その帰り、道端の看板を見たMさんは、ふと「ポエムだねぇ」とつぶやきました。 Mさんは、続けて「こう書くと青空駐車場もなんだかいい場所みたいに見えるねぇ」と鷹羽に同意を求めてきました。 何が書いてあるのかと思ってMさんが指さす看板を見ると、そこには空ありますの文字が。 なるほど。 Mさんのイメージとしては、草原に横になって流れる雲を眺めている雰囲気なわけですね。 「青空駐車場」というのは、屋根や壁がなく、駐車場所を示す白線が引いてあって、それぞれ車止め(タイヤ止め)が設置されているだけのだだっ広い空間です。 ですから、寝ころべば、考えようによっては草原に寝ているのと似たような感じにもなりますし、詩的と言えば確かに詩的かもしれません。 でも、ちょっと待ってください。 「空あります」ってあきありますと読むのでは? これって、単に月極駐車場の募集公告看板じゃないですか。 全然ちっともまったく詩的でもなんでもありません。 「ネタかな?」とも思ったのですが、Mさんの目は真剣そのもの、夢見る少女のそれであり、本気で“草原に寝ころんで…”という世界に浸っている様子。 どうやらMさんは、「あき」は「空き」と送りがなをふるという思い込みがあって、「空」をそのまま「そら」と読んでしまったようです。 3秒ほど、“指摘するべきか”悩んだ鷹羽ですが、せっかく素直に感心しているMさんの気分に冷や水を掛けるのも忍びなかったので、曖昧に「そうですねぇ」と相槌を打つことにしました。 決してMさんにランチをご馳走になったからではありません。 ええ、そうですとも。 美味しかった♪ 980円のランチセット♪ こういった“簡単な字だけど複数の読み方を持っている”ために読み間違えるというのは、結構あることのようです。 中学時代、国語の授業中に教科書を読まされたクラスメートが、「床(とこ)にお入り」を思いっきり「ゆかにおはいり」と読んでしまったことがあります。 これは、ヘッセか誰かの小説のラストシーンで、友達に非難されて傷ついた少年を父親が慰めるシーンでした。 「床(とこ)」というのは布団のことで、「床(とこ)にお入り」は要するに「もう寝なさい」という意味です。 息子を慰めた父親が、「もういいからゆっくり休みなさい」という趣旨で言った言葉なのに、「床(ゆか)にお入り」では、まるで“廊下に埋まって反省しなさい”とでも言っているようで、ラストシーンが滅茶苦茶です。 こういうのは、簡単な字の方がより起こりやすいようで、昔、「ガマ口」を思いっきり「がまろ」と読まれたこともあります。 今朝も、プロのアナウンサーが「ひとけのない駐車場」を「にんきのない駐車場」と読んでました。 「公園」だからひとけがないと分かりますが、これが「アミューズメントパーク」だったりしたら、ひとけがないのかにんきがないのか分かりませんね。 この手の読み間違いで一番笑ったネタは、もう数年前になりますが、一人暮らしを始めたばかりの職場の男の子が言った 「昨日は豚のコカンセツが安かったので、買って帰って○○作っちゃいました」 でしょうか。 ちなみに字は「小間切」です。 一般的には「細切れ」と書くようですが、スーパーなどで売っているパックの肉には、「小間切れ」「小間切」といったシールが貼ってあることが多く、彼が買ったパックにも後者のシールが貼ってあったわけです。 周囲の人は話が見えなかったようですが、鷹羽にはすぐに分かりました。 なぜって、以前、鷹羽の知り合いに「小間切れ」を「こかんぎれ」って読んだ人がいたからです。 あのときは、そんな読み間違いする奴ぁほかにいないと思ってたんですけどねぇ…。 → NEXT COLUM |
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