玩具ありMINI4 ガシャポン・ユージン
「ナムコリアルフィギュアコレクション寿真編」
後藤夕貴
更新日:2003年11月16日
 今回は、2003年10月21日に発売された、ユージンのガシャポン「ナムコリアルフィギュアコレクション寿真編(以下ナムコ2.5と表記)」についてです。
 こちらも、ちょっと話題になったので軽くご紹介を。

 
 この「ナムコリアルフィギュアコレクション」というシリーズは、ゲームメーカー・Namcoの作品に登場した女性キャラクターのみを立体化したミニフィギュアで、その性質から「ナムコギャルズコレクション」とも呼称されています(以降も「ナムコギャルズ」と表記)。
 アーケードゲーム黎明気からの老舗であるNamco作品は、80年代前半から中期にかけて爆発的な人気を獲得し、その影響で、多くの人気キャラクターを輩出しました。
 「パックマン」「ドルアーガの搭」などは言うに及ばず、「ゼビウス」の自機・ソルバルウのようなメカまでキャラクター扱いで人気を博している時代でした。
 そんな古くから人気のあるキャラクターを、現在のスタイルで、しかも女性キャラのみ立体化するというのですから、そりゃあ注目度は高いでしょう。
 このユージンのシリーズは、そういう懐古的なイメージに加えさらに色々な要素を加えて作り出されています。
 
 2000年末発売のPART-1以降、毎年年末に新シリーズが誕生し、それよりちょっと遅れて再版、2003年11月現在、リペイントはPART-1.5と今回ご紹介するナムコ2.5のみとなっています。


 なぜ今回のシリーズを「ナムコ2.5」などと略すかというと、ちょっとした理由があるからだったりします。
 今回のシリーズは2001年11月27日頃に発売されたPART-2のリペイント版なので、正式名称にはないものの実質的にはPART-2.5になる訳です。
 ところがこのシリーズ、今までのリペイント版とは大きく違う事があります。

 それは、あるキャラクターをラインナップから外し、代わりに完全新造型のキャラ「寿真(コトブキマコト)」を加えた事。

 その理由は後に述べますが、この寿真を加えたことにより、さらに注目度の高まったナムコ2.5は、発売前からかなりの注目を集めておりました。
 ですが、その注目の理由は…

 という訳で、まずはラインナップを説明してから、このシリーズについての背景をたどって行きましょう。


アイヴィー
ワルキューレ
ヴィオレット。足が切れているけどご容赦!
カイ。こちらは「赤」バージョン(ほとんどわからんだろーけど)
寿真。実際の対比は、このページの写真の比ではない☆

・アイヴィー(SOULCALIBUR より)
 人気ポリゴン格闘(剣術?)対戦ゲーム「ソウルキャリバー」のボンテージ姉ちゃん。
 知っている人はニヤリとしてしまう、「ガリアンソード」を武器とする。
 このシリーズでは普通の剣の形態だが、前回(PART-2時)は刃が伸びて鞭のようになっているバージョンだった。
 相変わらず、手に武器を持たせにくい。

 前回ではその露出と造型から突出した人気を誇り、かなりの需要があったものだが、それも昔の話。
 2.5では完全に真に食われてしまい、ただの余り物と化してしまった感がある(それでもやっぱりNo.2人気は維持しているようだが)。

 前回は両腕のパーツがランナーでまとめられていたため、組むためにはこれらを切り離す必要があった。
 当然その部分の塗装が剥げてしまうので大変不評だったが、今回からはそれはなくなった。
 アソート率は、一袋50個のうち8個
 カプセルの下半分は黄色。(前回は紫)


・ワルキューレ
 (ワルキューレの伝説外伝・ローザの冒険 より)

 ファミコンから誕生し、スーファミ・PCエンジン・アーケードへと進出した女剣士。
 PART-1では立ちポーズの可愛らしい造型だったが、今回は岩に腰掛けたスタイル。
 前回は岩に剣を立てかけていたが、今回は盾に変わっている。
 顔の塗りは前回よりまとまっているが、それがかえって顔部分の彫りの浅さを強調する結果となってしまい、なんとなくアフリカン系の顔立ちになってしまった(笑)。
 元々需要はなく、これといった売りポイントもないため、相変わらずダブり要員。
 アソート率は、50個中8個
 カプセルの下半分は紫色。(前回は緑)
 

・ヴィオレット
 (ワルキューレの伝説外伝・ローザの冒険 より)

 「ローザの冒険」に登場のヒロイン。つか、登場人物の一人。
 ワルキューレと良く似た武装をしているが、色違いになっているのが面白い。
 髪の毛の塗装は、前回同様特筆モノ。
 肌の成形色がかなり変わって、色黒になった。

 下半身パーツがかなり奇妙な分割をされており、スカートの前半分が別パーツで、残りの部分がすべて一体成形になっている。
 つまり、下半身が独立せず、スカートの後ろ半分とくっついているのだ。
 前回はこれのためにパーツの噛み合いがすごく悪く、すぐに自然分解してしまっていた。
 ところが今回は、これを強引に「接着」する事で解決させている。
 スカートの中身を知りたくて、無理矢理分割させた人は、泣くに泣けない状況だったようだ。

 前回こちらにもあったランナーパーツは、アイヴィー同様解決されている(以前は両肩が繋がっていた)。
 アソート率は、50個中8個
 カプセルの下半分はオレンジ色。(前回は青)

 この「ローザの冒険」って何の事だかわからないという人も多いと思うので、簡単に説明。
 実はこれ、96年4月26日に発売されたWINDOWS95用のデジタルコミック
 簡単な選択肢による場面転換はあるものの、ゲームではなかったのだ。


・カイ
 (ドルアーガの搭/RETURN OF ISHTER/カイの冒険 より)


 今回最大のダブりアイテム。

 2種類のアソートが混在しており、手に持っているクリスタルロッドの先端部が「赤い物」「緑の物」がある。
 正確には、服の留め具の色も変わっているし、顔の塗りや部分的な成形色も若干変わっている(前のほうがいい感じだが…)。
 アソート率は、「赤」が50個中8個。カプセルの下半分は緑色。
 「緑」が50個中5個のみで、カプセルの下半分はピンク(前回は黄色)で、一応このシリーズのシークレット扱いになっているようだ。

 前回ロッドの色は「青」だったが、この三色には一応の意味がある。
 「ドルアーガの搭」などで、クリアするために必須のアイテム「クリスタルロッド」が三色存在しているため、これに合わせた配色なのだ。
 ただ、いくら2色あるとはいえ50個中計13個を占めるアソートは大変不評で、その造型レベルの高さに反して人気と需要は低い。
 
 外観ではわからないがカイの下半身パーツは、ガシャポン全体の中でも屈指の“きわどい”造型になっている。
 特に、今回のものは塗りの面積の関係からか益々きわどくなっているようにも感じられる。
 これがあるため、前回はさりげにアイヴィーに次ぐ人気があったようだ。
 どれくらいきわどいのか…は、是非直接手にいれて確認していただきたい。


・寿真(MACH BREAKERS より)
 ナムコの超人オリンピック(笑)「マッハブレイカーズ」の超絶ヒロイン。
 走ってくる新幹線を止めたり、落下してくるロケット(ミサイルだっけ?)をキャッチしたりと、某ゆでたまご作品の超人もビビる競技をこなす日本人選手。
 見ての通りものすごい体型だが、ゲーム本編でもだいたいこんな感じ。
 ちなみに、本当のデザインは完全なTバック状態だったのだが、この商品ではそこまで再現されていない。
 造型は、「ヴァンパイアセイヴァーシリーズ」などでおなじみのオーバーダードによるもので、その造型に特徴が出まくっている。
 塗りはかなり粗いが、まあ細かい所を責めたらきりがないだろう。

 寿真は、このシリーズで初めてラインナップに加わったもので、前回PART-2には入っていない
 前回アソートされていた「風のクロノア2」のキャラクター“ロロ&ポプカ”が、あまりに人気がなかったため排除され、代わりに入れられたのだ。
 これまでのガシャポンフィギュアの常識を覆すような大きさが最大の特徴で、なんと全長13センチもある。
 普通の手のサイズの人が、人差し指と親指を一杯に広げて、そこから少しだけ人差し指を曲げた間くらいのサイズである。
 これが、今までのものと同じ大きさのガシャポンカプセルに入っているのは脅威に思えるが、実際はパーツ自体かなり細かったり薄かったりするので、体積的には意外に問題ないようだ。
 それでも、かなり満杯なのは間違いないが…。
ロロ&ポプカ。こちらは前回アソートのものです。未開封なのでバラバラ(笑)。
 当然、他のラインナップとはまったく違うサイズになっており、ミニブックの写真とほぼ同じ比率…つまり、並べると頭4つ分くらい背が高いという結果になる。
 ただし、このサイズは今後のユージンガシャポンフィギュアの標準サイズになるという事で、すでに2003年12月末発売予定の「ナムコギャルズPART-4」や、2004年1月発売の「ギルティギアX 水着コレクション」は、すべてこの大きさが基準になるようだ。
 ある意味、実験的な意味合いが強かったのかもしれない。

 今回最大の注目株である真は、アソート数は平均的であるにも関わらず、需要は大変に多く、ネットオークション上でも簡単に定価以上の値段が付く(出品による検証済み)。
 当初は、もっともアソート数が少なくなるのではないか、などと噂されていたが、実際はそんな事はない。
 
 アソート率は50個中8個で、カプセルの色は赤色。
 “ロロ&ポプカ”も同様だった。


・わや姫(超絶倫人ベラボーマン より)
 マイナーでありながら、一部でコアなファン層を持つ「ベラボーマン」の敵キャラ。
 ちょっと色々なものが混じった和風忍者といった外観だが、実はさりげに色々と改修されており、大変興味深い。
 下半身のスカート状の装甲は今回の新造型(前回はただのミニスカート)で、さらに太腿部分には網目状の模様が追加された。

 なかなかの造型の筈なのだが、このわや姫、元々のデザインの都合もあって表情があまり良くない。
 眉毛がなく、代わりに昔の公家のような丸い模様があり、さらに目がきついためだ。
 また緑を主体としたカラーリングもあって地味な印象があり、前回はあまり人気が高くなかったという話を耳にする(実際どうだったのかはイマイチ不明瞭だけど)。
 そのためなのか、今回はアソートが激減!

 なんと50個中たったの4個しか入っていない!

 これのため、50個中からセットがたった4つしか作れない事になり、残る22個を丸々ダブりに貶めてしまった。
 せめて6個入っていれば…
 カプセルの色は青色。(前回はオレンジ色)


●評判

 前回の「ナムコギャルズPART-2」は、発売当時そこそこの人気を誇っていました。
 絶大な人気を誇ったPART-1には及ばなかったものの、メインのアイヴィーやカイは大変な好評で、部分的な不満はあったとはいえ、平均的な人気を得ていたように記憶しています。

 しかし、さすがに2年の間はデカすぎて…。
 この当時のフィギュアの造型のコンセプトは、どちらかというと「キャラクターを忠実に再現しつつ、ちょっとだけエロティシズムを加える」という程度のもので、スカート抜きの下半身や胸の大きさなども、ちょっとしたエッセンス的な要素でしかないという感じでした。

 ところが、2002年末に発売された「ナムコギャルズPART-3」などは、そういったコンセプトから完全に外れるものとなっており、キャラクターの再現よりもエロティシズム前提といわんがばかりの造型になってしまいました。
 イシターの極端な巨乳や、タキの下半身局部の造型などは、初めて見た時は信じられないものがありました。
 またフィギュア自体も大型化の傾向を見せ、ナムコギャルズPART-3は、PART-2よりも一回り以上(?)ボリュームアップ。
 ナムコ以外のシリーズも似たような傾向を見せ始め、かつてのバンダイHGシリーズの全長を軽く越えるほどにまでなってしまいました(同時に、HGの方もやや大型化の傾向を見せましたが)。

 さて、そういった大きな変化を経由した現在において、2年前のフィギュアの評判はどうだったか…
 新機軸ともいうべき真を別にすれば、あとの5種類の評価はかなり下落しました。

 そりゃ、まあね。
 よくわかりますとも。

 昔は、ゲーム登場のキャラクター像に比較的忠実なイメージで作り上げていたのに、現在では、そこに加えられたアレンジの妙に重点が置かれて評価されるようになったのですから。
 その結果なのか、かつて絶賛されたたアイヴィーでさえも「顔が変」「小さ過ぎる」「パーツの合いが悪い」などと散々な言われ方をされてしまう事に。
 カイなんかは、単純に「出過ぎだ!」という事でうとましがられていたようですが。

 ユーザーの思い入れ以外に強い牽引力を持てないワルキューレやヴィオレットなどは言うに及ばずで、もっともアソート率が少ない筈のわや姫すらも、まるでどっかのビクトルやビシャモンのように、不要品扱いされる始末でした。
 ましてや、これのせいでセット数も少なくなってしまう上、緑カイを除いたすべての物が4つずつダブり材料になってしまうわけですから、当然の反応でしょう。
 元々「出し遅れの証文」的存在に成り下がっていたPART-2な訳ですから、真以外の需要はほとんどありません。
 それらが欲しい人などは、とっくに前回のPART-2を入手していたでしょうから。

 そんなこんなでこのシリーズ、すべては「寿真に始まり、寿真に終わる」展開になってしまいました。
 
 前評判も、真についてのものしかほとんど耳にしません。
 当然といえば当然なのですが、あまりにも他の5種類の「余り物」的扱いは、壮絶なものがありました。
 2年の月日は、あまりにデカかったようです。


 過去の歴史を振り返ってみると、PART-1のリペイント版が出たのは発売の約4ヶ月後で、他のシリーズでも、ヴァンパイアシリーズはPART-1からほとんど間を空けずに1.5が発売し、以前ご紹介したPART-3の5ヶ月後に、3.5が出ています。
 他にも「ギルティギアX」「SNKギャルズ」などもリペイントがありましたが、だいたい同様のパターンでした。
 このシリーズのように、年単位で間を空けるなんて、異例な事です。
 
 こういった事から、「ユージンは、PART-2のリペイントを発売するつもりはまったくなかったのではないか」という見解もありました。
 好評な部分もあったとはいえ、全体的にはあまり売れなかったのかもしれません。
 どういう結果をユージンが見ていたのかはわかりませんが、PART-2リペ発売に乗り気ではなかっただろうという意見は、大変説得力があります。
 もし、真などの新作を混入するアイデアが出なかったなら、本当にナムコ2.5は発売されないままだったのかもしれませんね…。


 ちなみに、寿真の混入率低下の可能性は、発売前にはかなりの信憑性を以て広がっており、確実な数をゲットするため、袋買い(50個をまとめて購入)に走った人も多かったようです。
 もちろん、ある程度以上のリスクは見越して。

 しかし実際はそんな問題もなく、逆にまったく予想外の展開になったため、大仰天。

 交換やオークションでは、真とわや姫以外のバラの出品が増加して、中古買い取り店舗にもかなりの数が出回ったそうです。
 もちろん、シークレットの緑カイも、特別な価値はまったくつきません。
 まともにセットが組めないという事は、業者さんも困らせる事につながり、やむなく「わや姫欠セット」などを販売する所も出る始末。
 なかなかに市場を混乱させてくれました。



 かくいう私達スタッフも、合計3袋も購入し、処分に困っておりました。

 Boo氏、やっぱり、一人で2袋は買い過ぎだと思うよ。
 


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