古物倉庫 第10回 ■ スーパー戦隊アートコレクション誌上限定販売
百獣戦隊ガオレンジャー パワーアニマルシリーズSP「ガオエイプ」

2008年6月8日 更新

 このページは、現在絶版の商品またはドエラい昔に発売されたアイテムをご紹介します。

 久々の古物倉庫10回目は、以前旧版「人生に玩具あり」で取り扱った、パワーアニマルシリーズ。
 その中で、当時入手し損ねていたガオエイプを、今頃になって手に入れたので、ご紹介。
 実に約6年ぶりのレビューだって!
 よし、これでようやくパワーアニマル全種レビュー完了。

 ――が、ガオパンダ……

 百獣戦隊ガオレンジャー・パワーアニマルシリーズSP「ガオエイプ」
 
 2001年度放送「百獣戦隊ガオレンジャー」では、スーパー戦隊25周年記念※にちなんでか24種類(実質25種)の巨大獣“パワーアニマル”が複雑な合体パターンをこなし、一年間の放送でなんと全25パターンものバリエーション合体を披露した。
 これは、主に五体のパワーアニマルがロボット(劇中では精霊王と呼称)を構成し、そこに更にプラス1されることでパワーアップしたり、また腕や下半身を換装する事でより強力な存在になるという、変幻自在なものだった。
 この独自のシステム「百獣合体&百獣武装」は、96年度作品「激走戦隊カーレンジャー」に登場したVRVロボ&RVロボの換装“浪花合体”を起源に、更なるプレイバリュー昇華を果たしたもので、ヘタをしたら全スーパー戦隊シリーズの中でもトップクラスのプレイバリューを誇っている。

 この換装合体システムは、その後「忍風戦隊ハリケンジャー」「爆竜戦隊アバレンジャー」「轟轟戦隊ボウケンジャー」「獣拳戦隊ゲキレンジャー」「炎神戦隊ゴーオンジャー」へと長期に渡り継承されていくが、百獣合体ほどのバリエーションやプレイバリュー発揮には至っていない。
 ……というより、そのままの形で継承されるには到らなかった。

※ガオレンジャーがシリーズ25年目というのは本当はミスカウントで、25作品目というのが正しい。
本当の25周年作品は前2000年度の「未来戦隊タイムレンジャー」だった。
同2001年度放送「仮面ライダーアギト」が、仮面ライダー生誕30周年記念作品だったので、これに関連付ける宣伝文句を唱う必要性あったためと考えられる。
加えて、スーパー戦隊シリーズは、77年度作品「ジャッカー電撃隊」と79年度「バトルフィーバーJ」の間が一年以上空いており、年数と作品数がイコールにならないので、○○記念というカウントが要る場合はこじつけが必要になると思われ、ガオレンジャーの際は意図的にカウントをずらした可能性もある。

尚、これより5作品後の2006年度作品「轟轟戦隊ボウケンジャー」は、シリーズ30周年ではなく“30作品記念”という苦しい、しかし正しい触れ込みになっていた。
本当の30週年は、前年の「魔法戦隊マジレンジャー」。
これは、同年放送の「仮面ライダーカブト(仮面ライダーシリーズ35周年記念作品)」と合わせるためのものだった。

 ガオエイプは本編未登場のパワーアニマルで、2002年8月発行のムック「スーパー戦隊アートコレクション(税込3,129円/メディアワークス刊)」にて誌上限定販売されたもの。
 商品のパワーアニマルシリーズとしては、これが最後になる。
 同誌上に掲載されている、「パワーアニマル百体リスト(設定上のみの、実質未登場PAの名前だけまとめたもの)」では、No.54に記述されている。
 通販価格は、送料手数料込みで3,200円、申し込み締め切りは10月10日必着(わざわざ語尾に!マークまで書いて強調している)。
 誌上記載の発送予定は11月下旬だったが、遅延の可能性も示唆されている(実際どうだったかは不明)。
 仕様は既販売だった「ガオゴリラ」「ガオコング」の色替えで、基本構造はまったく同じ。
 ただし、合体時の頭部形状が異なるため、正確にはガオゴリラではなく“ガオコングのブラック版”。

 ガオエイプは、別売の「百獣合体ガオキング・ブラックバージョン」「同・トイザらス限定ガオナイト」と組み合わせる事で「ガオナイト・ブラックバージョン」を構成する事ができるという売りがあった。

 変型前は、色以外ゴリラやコングとまったく同じ。
 前二種が少し派手目だったが、こちらはシックに落ち着いた雰囲気がある。

 ブラックバージョンと云われているけど、実際はほとんどガンメタリック。
 ガオゴリラやコングの緑・赤の部分が、一部例外を除きガンメタカラーに入れ替わっている。
 「DXガオキング・ブラックバージョン」のカラーリングを期待している人は、実物を手に取ると違和感を覚えるかも。

 背面部。
 大きな金属パーツは、ガオイーグル接続及び下半身用PAとのドッキングジョイント。
 さすがにこれは収納できないので、(ゴリラやコングと同様)むき出しのまま。
 ただし、基部で折れ曲がるためなるべくシルエットを崩さないように工夫されてはいる。

 ほらー。
 こうすると、転倒防止になるんだよー。
 元々前屈姿勢だから、無理に使わなくてもいいんだけど。

 ドラミングポーズを取らせる場合、金属パーツは支柱になって大変便利。

 単独のパワーアニマルとしては、屈指の可動幅を誇っている。
 腕のロール軸もしっかりあり。
 ゴリラなので肘関節が人間と逆方向を向いているけど、そういうものだと割り切れば無問題。
 なんと、少しだけとはいえ指まで動く!
 とは言っても、四本指部分まとめてだけど。
 反面、脚部の関節自由度はあまりなし。
 股関節が前後方向のみ可動可、膝は完全固定。
 足首部分は、前方向に傾斜&横方向に若干回転可能。
 脚部は合体時に背面のランチャーになるため、あまり形を崩さないようにしたのかな?

 ガオエイプには、マッスルアンカーがなぜか付属していない。
 また、ガオの宝珠(別売りの獣皇剣に接続できる、PA召喚用のアイテムパーツ)用のフィギュアもない。
 ちょっと残念? …だけど、この仕様は誌上でもきっちり記述されていたものなので、文句は言っちゃいけない。

 ちょっと脱線するけど、ガオゴリラとガオコングのマッスルアンカーの「現状」について。
 これは、発売後約6年目の現状。
 ガオゴリラ付属のものは、アンカー部分が金色の塗装のため、収納時にチェーン部分が接触していると、経年劣化でこんな悲惨なことになってしまう。
 一方、ガオコングの方は成型色のみ無塗装なので、このような事態にはならない。
 仮にガオエイプにもアンカーが付属していたら、多分成型色になっていたと思うけど……

 もし、ガオゴリラを長期間保存している人がいたら、この機会に是非確認を。

 ガオエイプは、どういう理屈で呼び出されるのか、わかりません!
 それでも、精霊王になる事ができるのです!

 先述の通り、ガオエイプはガオナイト・ブラックバージョンのコアパーツになるが、完成させるためには別売りの百獣合体シリーズを複数種用意しなくてはならない。
 具体的には、
百獣合体DXガオキング・ブラックバージョン」から…
 ガオイーグル/ガオタイガー/ガオシャーク/ガオバイソン の四体

トイザらス限定 百獣合体DXガオナイト」から
 ガオエレファント・ブラックバージョン の一体

 以上の五体が必要。
 そのための追加金額は、当時価格で6,500円+8,000円=14,500円となる。
 総合計…税を入れると、なんと21,000円オーバー!

 このうち、2008年現在最も入手難度が高いのがガオエレファント・ブラックバージョン。
 これは、当時DXガオナイトが正規販売中だったにも関わらず、ヤフオクでの単独出品相場が4,000円(注:定価は8400円税込)平均だったほどで、ガオコング自体にもプレミアが付いていた事を考慮すると、とんでもない需要があったことになる。
 当時は店舗に山積みだったとはいえ、結果的に綺麗サッパリなくなってしまった「DXガオナイト」にしか同梱されていないアイテムを必要とする点から、ガオエイプがいかにコアな層に向けた商品なのかがわかる(そりゃそうだ)。
 筆者がここ数ヶ月見ていた範囲だと、これの単独出品はまったくなかったように記憶している。
 DXガオナイト自体の出品はまだちょこちょこ見られるが、数も減少した上価格が5ケタ後半前後の提示だったりと、かなり高額の様子。
 もっとも、その価格で常時落札されているようには、とても見えないのだが(実際の相場は定価前後の模様)。

 ちなみに、ノーマルのガオエレファント自体、シリーズ中もっとも早く生産が止まった商品のため、実はちょっとだけ入手困難なことがある。

 変型行程も、当然ゴリラやコングとまったく同じ。
 脚部を腰ごと前方に跳ね上げ、両腕を胴体に固定。

 背中のごっつい合金ジョイントを下げ、穴部分にガオイーグル・ブラックバージョンの頭を突っ込み、金属パーツで抱え込むように接続。

 ガオバイソン・ブラックバージョンを変型させて、下半身に。
 いつ見ても、パワーアニマルの下半身担当は素晴らしい変型プロセスを見せてくれると思う(除・DXガオライオン)。

 ガオシャークとガオタイガー・ブラックバージョンも、それぞれ腕に変型・合体。
 伝統に従い、フィンブレード(シャークの尾)は余剰に。
 当時も思ったけど、これがどこかに収納出来たら良かったのになあと思う。
 ガオバイソンが変型した脚部は、中が空洞に近いので収納できると嬉しかったんだけど。

 胸部を展開して、ロボ頭部をどんでん返し。
 その後、アイ○ラッガーを引き上げる。

 分割して剣と楯になったガオエレファント・ブラックバージョンを、それぞれ腕に接続。
 象の口の中から虎の顔が覗けるのだー。

 完成! ガオナイト・ブラックバージョン

 ガオエイプが出たおかげで、ようやくもどかしさから解放されるわけだが、実際に黒一色の現物を見てみると……

 おおお……!
 予想以上に渋いぞ!

 「DXガオキング・ブラックバージョン」と「DXガオナイト」でも、ある程度これに近いものは作れたが、胴体の赤色だけは如何ともし難かったからね。

 あらためて頭部アップ。
 頭部自体は、ガオマッスル&ノーマルガオナイト同様黒成型色で、フェイスガード部がガンメタ素地に銀のライン取りとなっている。
 ノーマルが赤と金という膨張色だったせいか、よりシャープさと精悍さが感じられるようになった。
 まさに、黒騎士!

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 ノーマルガオナイトとの比較。
 印象完全別物。

 驚かされるのは、ガオエイプ単独だとあまりブラックという印象がなかったのに、合体するとしっかりブラックバージョンになってくれるという点。
 元々、ガオゴリラもコングも合体後はボディのメインカラーが目立たなくなるように工夫されているが、ガオエイプは背面の一部(ガオナイトの胸部縁)等、本来ならメインボディカラーになる筈の部分まで黒に変更されていて、前二種以上にメインカラーが隠されるようになっている。
 これはこれで素晴らしいアイデアだと思うが、同時に、ゴリラ系PAの大元デザイン・構造が秀逸だった事をあらためて思い知らされる。

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 腕と下半身が同一なので、参考としてノーマルガオキング(ソード&シールド)と同・ブラックバージョンの比較も。
 アルティメットダイボウケンの時も思ったことだけど、色の統一が図られると、そのメカのデザインラインが純粋に楽しめるから、改めて良さが実感できるというもの。

 背面。
 腰辺りにあるのは、ガオキングの頭部になるガオイーグルの尻尾。
 他ロボ時のメインパーツが、別形態時に他部位を形成しているという合体ポジションは、マニアックな悦びを味わわせてくれると思う筆者。

 必殺技「森羅万象ビッグバン・バースト」!
 あのメッタ斬りが懐かしいなあ、全然再現できねーけどさ。
 思えば、劇場版のかっこよさに惚れてガオナイトを買ったのが、冥府魔道の入り口だったっけ(遠い目)。

 最後に、ウッホホゴリラーズ三体勢ぞろい。

 で、ガオケンタウロス・ブラックバージョンが欲しくていまだにガオファルコンとDXガオライオンのブラックバージョンを待ち続けているのは、筆者だけだろうか?!
 ……多分、三万年待っても無理だな、ウン。

 パッケージは、戦隊玩具定番のブラック仕様。
 ただしロゴはオリジナルで、各部表記もガオエイプの仕様に準拠。
 レイアウト以外はオリジナルになっている。
 しかし、実は被写体はガオコング(或いはガオゴリラ)。
 胸の中央部分の色が違うからすぐわかる。

 ……のはいいんだけど、付属マニュアルがガオコングの物そのまんまってのはどうよと。
 付属してない宝珠フィギュアや、マッスルアンカーまで記述されてるよ!
 ガオコングってしっかり書かれてるし!

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【買ってみて一言】

 単なるリペ系商品なのに、イメージを大きく変える事に成功している逸品。
 特に、単体時と合体時でカラーリングイメージが大きく変化するという点は見逃せない。
 購入前は、単なるリペ商品ということで購入を躊躇した人もいたと思われる(筆者もその一人だった)し、事実それ以外の何者でもないのだが、やはりガオナイト・ブラックバージョンの迫力と色彩統一感、そしてどことなく感じられる高級感は、「リペ=つまらないバリエーション」というイメージを払拭するのに充分だろう。
 とにかく、ガオナイトが大好きという人は、機会があれば入手してみるのも悪くないと思う。
 同時に、リペ商品が苦手or嫌いという人には、徹底的にオススメできない。
 いくらムック発売記念商品的なものだとは言っても、本当に色が違うだけな上、付属品もなくなって更に本体価格が1.5倍化している(た)訳だし。

 ガオナイトの完全ブラック化は待ち望んでいた人も(当時は)多かっただろうから、それが叶った際の喜びはひとしおだったのではないかと想像できる。
 既に数年前の話なのでそれも今更な話題だが、今回ようやく入手して、筆者はそんな感動を覚えることができた。
 今からでも揃えたい人は、まだ商品が中古市場に出回っているうちに動いた方がいいかもしれない。
 数年後の流通事情がどうなるかは、まったく予測が付かないし。

 PASPガオエイプは、百獣合体シリーズの人気熱が冷め始めた時期に告知が行われた上、購入のためにわざわざ3,000円以上の別出費を求められたせいか、積極的に購入しようとした人はどれだけいたのだろうか? という印象がある。
 実質的に、本体価格の3倍以上の支出を求められた上、付属品も少ないのだから、当然だろう。
 そのためか、当時は「今更リペでこんなの出されても」といった意見も散見された。
 勿論、すごく欲しがっていた人も居たわけだが、あれから数年が経過して改めて見てみると、今ではすっかり「投資対象」にされてしまった感が拭えない。
 実際、WEB上でガオエイプの商品情報を検索しようと思っても、引っかかる情報のほとんどが転売またはオークションの出品情報ばかり。
 直接本誌を調べて、ようやく正規の販売価格が判明した次第。
 6年前という中途半端に古い情報だから、こうなる事は必然かもしれないけど、ちょっと複雑な心境に陥った。

 「PA3ガオゴリラ」「PASPガオコング」の当時定価は2,000円。
 対して、ガオエイプ購入にかかる最低必要額は6,329円ブラス郵便振替手数料。
 ムック本自体の内容充実度をあえて度外視すると、これは「DXガオキング」が余裕で買えてしまう金額に相当する。
 今となってはすっかり定番となった感のある誌上販売だが、当時は現在ほど(ムック販促目的として)行われる機会がなかったせいか、情報を知りつつ手を出さなかった、出せなかった人も多かった様子で、そのせいか当然のようにプレミアが付いている。

 2008年6月現在から過去一年辺りのオークション落札記録を遡れるだけ遡ってみたが、相場はだいたい7,000円〜10,000円辺りのようだ。
 この枠からはみ出しているものもあったが、感覚的には定価(上記総合計金額)に若干プラスという程度が妥当な価格帯に思える。
 ただし、パワーアニマルをはじめとする戦隊玩具系は、開封品だと美品に巡り会える機会が意外に少ないので、未開封品との巡り合わせがないという人は気をつけた方がいいだろう。
 特に、ガオゴリラ系は背中のメッキ部分に指紋が残りやすく、しかも時間が経てば拭いても取れなくなることがある。
 また、関節もヘタりやすいものが多いので、コンディションを気にする人は尚更だ。
 以下で少し触れるが、パワーアニマル系は以前に比べて入手が容易になってきたようなので、興味があるなら動けるうちに動く事をオススメしたい。

 追伸。
 このレビュー用の撮影のため、ガオキング・ブラックバージョン(未開封品)を開けたんだけど…

 写真のように、メッキ部分に妙な模様が……
 これは、以前レビュー時に使用したものとは違う個体(ぶっちゃけ、諸事情で最近買い直したもの)だけど、かなりビックリ。
 最初は、このガオキングだけ保管状態が悪かったんじゃないかな、と思ったんだけど、写真右側に見えるガオエレファント・ブラックバージョンの脚部分にも同様の模様が生じているので、同様の処理をされている商品全般に見られる現象なのではないかなと懸念。
 このガオエレファントも、つい先日まで未開封品。
 先に触れたマッスルアンカーの塗装皮膜も、今回のこのレビューページ作成のおかげで発見できたというもの。

 その他、本体表面(プラ部分)にうっすらと湿り気があり、一部にはっきりと「濡れ」が確認された。
 発売してから6年以上……経年劣化の兆し?
 劣化しそうな素材はそんなに使われていないのでは、と思われた百獣合体でもこれだから、少し古めの未開封品玩具をお持ちの方は、どうかご注意を。
 場合によっては、開封して状態確認した方がいいのかもね。
 未開封のままにし続けて、箱の中で劣化しまくっていたら悲しいもんね。

 ちなみに、筆者の手元のノーマルガオキングのメッキ部分には、特におかしな点は見当たらなかった事を補足しておく。

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