騙された商品

 大型玩具には結構騙されたという物、或いはそう感じさせる要素の強い商品が多い。
 「スーパー戦隊シリーズ」の空母系やロボット系、収納基地系は例外…といいたいが、実はそうともいいきれないものも含まれていた。
 もちろん全体的には高水準ではあったのだが。

 たとえば、プラ板の寄せ集めにしか思えないという事で、空母系を全面パスする人も存在している。
 「DXシャトルベース」みたいな秀逸な物があるというのに、である。
 単純に質感に拘る人がいたり、ディテールがある程度の水準に達していないと納得しない人は、間違いなく大勢いるという証明だろう。

 筆者が出会った商品で「やられた」と思った物の代表は、『特警ウインスペクター』に登場した“DXファイヤースコード”。

 筆者はこのマシンが大好きで、発売日にわざわざバスに乗って遠出し、その上で3件も店を回ってようやくゲットしたのに、その出来の悪さに愕然とさせられた。
 これは“白いパトカーの装甲がひっくり返ったり被せられたりして、赤い車(設定上は消防車)に変形する”というギミックが最大の売りで、さらに別売りの「着化指令シリーズ」という“装着変身のご先祖”を搭乗させられるというものだった。
 当時の玩具系は、合金または鉄系材質の使用率がだんだん現象する傾向にあり、この商品もほぼ0%と言って良いくらいに使用されていない(せいぜい車輪のシャフトくらい)。
 そのためか、両手でも掴みきれないほどのサイズの割に異様に軽く、さらに売りの筈のギミックもはまりが悪くてピンとこない。

 さらには着化指令・ファイヤを乗せるという大義名分のために、車の屋根部分を丸ごと上に跳ね上げるという噴飯モノの構造となっており、さらには車内スペースの三分の二以上を占める搭乗位置に、人形を“置く”という行為で納得しなくてはならなかった。
 もちろんこれらは、ギミックやサイズの関係上ドアを開けられない都合だというのは解っていた。
 とはいえ、それを納得していてもあまりにあんまりだったのだ。
 また中に乗せた人形も固定出来ないため、ちょっと動かすと中は大変な事になっていた。

 当時筆者は、スタンダートサイズポピニカで、これの完全変形版の発売をひたすら待ち続けていた(無変形スタンダートは当然あったけど)。
 もちろん、そのサイズでも変形は可能だった筈である。元々このギミック自体が過去に発売された『ポピニカ・タイガーハリケーン』(タイガーマスクU世)等の転用だったからだ。
 しかし、これはついに叶う事はなかった。

 さらにこの後発売された、バイクル専用マシン「DXウインチェイサー」も不満たらたらの品物で、ついに購入意欲が湧かなかった。
 これも着化指令シリーズのバイクルを搭乗させられたのだが、その関節可動率の関係からか完全なライディングフォームに出来ず、かなり無茶な姿勢にせざるを得なかった事も大きい。
 どうやらプラデラ系列の玩具に、こういうのに陥りやすい傾向があるように思える。

 他のシリーズ…合金使用物にも、こういうのは当然ある。
 ユタカから発売され、ちょっと前に突然再販された「スーパー合体・ゲッターロボ號」
 筆者から言わせれば、これほどヒドイ完成度の商品もそうはない。

 当時にしては非常に珍しく亜鉛合金使いまくりの豪華な出来で、ロボット形態時は30センチ近くにまでなるという巨大さ。
 重さもかなりのもので、充実感は高かったものの、合体ギミック自体に致命的な欠陥があり、完全固定できないパーツが何カ所も存在していた。
 特に「ゲッター凱」は、胴体接合部のローターがゲッター2本体に固定出来ないために常に宙ぶらりんにせざるを得ず、またゲッター3のジェットエンジン部(ゲッター號の足・ゲッター凱の腕)を繋ぐ翼の固定も甘く、すぐに解けてしまうため飛行形態が決まらない。
 その他細かい問題を挙げるとホントキリがない。

 これよりも前に発売された「磁鋼合体・ゲッターロボ號」が、合金未使用かつロボット時全長15センチ程度なのにも関わらず、これらすべての問題点を軽くクリアしている上に珠玉の完成度を誇っていた事を考えると、口惜しくてたまらない。
 定価約1万3千円でこの程度では、あまりに報われない。
 筆者は本放送終了時の玩具価格大暴落の影響で3000円程度で購入出来たが、それでも高いと思わされるほど。
 もちろん、その後の復刻版には目もくれなかった。

 当時は、今ほど玩具系雑誌やそれらの情報伝達も発達していなかったため、実物を手に取るまでおおまかな良点も問題点も掴みにくかったのだ。

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