第38回 ■ バンダイ 超合金魂 奇想奇抜〜永井豪の40年〜開催記念限定品「エネルガーZ」
2008年1月1日 更新
「人生に玩具あり2式」2008年一発目は、昨年12/26から1/8まで、池袋サンシャインシティ文化会館で開催される原画展「奇想奇抜〜永井豪の40年〜」会場で限定販売された、超合金魂エネルガーZ。
昨年末は色々と話題になったアイテムなので、取り上げてみましょう。
●奇想奇抜〜永井豪の40年〜 開催記念限定品 超合金魂 エネルガーZ
会場販売価格\5,000(税込)
- エネルガーZ本体
- パイルダー号
- ロケットパンチユニット×2
- ロケットパンチ×2
- 関節可動ユニット(通常腕)×2
- 拳(握り)×2
- 拳(開き手)×2
- 高熱板×2
- スロープ
- ディスプレイスタンド
- ディスプレイスタンド用シール
- 取扱説明書
2007年12月26日より開催された「奇想奇抜〜永井豪の40年〜」会場にて販売された限定記念商品。
12月末現在、後日若干数のWEB上通販が行われるという噂があるが、詳細は不明。
本体価格は5000円だが、購入のためには入場料別途1000円が必要。
一回の入場で2個まで同時購入可能。
同時販売品として、海洋堂の「リボルテックシリーズ・ブラックマジンカイザー」がある(こちらは価格1995円税込)。
●エネルガーZとは?
エネルガーZとは、「マジンガーZ」企画時に案の一つとして挙げられたもので、マジンガーシリーズ及び“人間が搭乗して操縦する巨大ロボ”の実質的始祖にあたるかもしれない存在。
同時期には「アイアンZ」という案も挙げられていた。
そのため、あくまで設定上の存在に過ぎず、特に個別の作品が存在しているわけではない。
主人公・風進が操縦するバイク「パイルダー号」を頭部にドッキングさせる事で起動するという、後の「パイルダー・オン」システムの原型が見て取れる。
しかし、これよりも僅かに製作先行していた「仮面ライダー」の主人公・本郷猛もバイクを駆る設定だと判明したため、設定変更を余儀なくされて「マジンガーZ」が生み出される流れとなった。
後に、この合体システムは同作に登場するロボット・ダイアナンAに流用され、スカーレットモビルの合体システムとして定着する。
上記のような理由のため、エネルガーZにはマジンガーZ等のような武器・武装・追加装備等の設定は存在せず、本商品も必然的にオプションパーツが少なくなっている。
●セールスポイント
本商品は、以前発売された「OVA版マジンガーZ」(OVA作品「マジンカイザー」に登場したバージョンのマジンガーZ)のリデコ品で、そのため各所に見覚えのある部位が多い。
また、基本的な可動幅・ギミックはほぼ同等で、そちらを持っている人にとってはあまりプレイバリューが高いとは言えないだろう。
魂OVAマジンガーZとの相違点は…
- 頭部全体
- 高熱板の形状及び別形状版の有無
- 背面部のスロープの有無
- パイルダー号の形状
- パイルダー号の予備または別形態の有無
- アイアンカッターの有無
胸部と腹部の境に可動部があり、背を反らしてブレストファイヤーのポージングが可能。
また腰が横方向にある程度回転する(これらはOVAマジンガーZに準拠)。
エネルガーZの前面と背面。
ブレストファイヤー? の高熱板の形状が独特でいい感じ。
いやが上にも目立つ背面のスロープが印象的。
後述するが、これは合体シークエンス成立のためになくてはならないもので、同時にエネルガーZ最大特徴の一つでもある。
ロケットパンチユニットが付属しているため、「顔に向けて発射しないでください」遊びも可能。
言うまでもなくシステムはGX-01マジンガーZ以来伝統のアレ。
上腕部のマグネットを利用して、通常腕ユニットと交換。
磁力は結構強く、片方の前腕部だけ掴んだ状態で吊し上げても本体は落下しない。
機械獣サイガO3に、ロケットパンチが炸裂したぞ!
色が違う気がするけど、それはマシン環境のせいだ多分!!
頭部アップ。
デザイン画をかなりシャープにまとめた、なかなかの造型。
パイルダー号は、こうして見ると本当に「ただのバイク」。
操縦システムが気になるところではあるけど、それよりパイロットの安全性について激しい不安を覚えずにはいられない。
背面のスロープは、パイルダー号が駆け上がるために必要とされるパーツ。
戦闘時はこんな感じで垂れ下がっている様子。
このように、若干ポップアップが可能。
ちなみにスロープ全体ははめこみ式で、取り外しも可能。
デザイン上すごく浮いているものだから、気に入らない人は外しちゃってもいいのかも。
パイルダー号を取り外した頭部アップ。
中心部の凸ジョイントが、パイルダー号カウルの下部にはまって固定される仕組み。
縦に走っている溝は、タイヤスペース。
…なんかこのアングル、かっこいいなあ。
ちなみに、エネルガーZは首の可動幅がかなり狭い。
これはOVAマジンガーZから継承されている欠点なんだけど、横方向の回転は45度にも至らない!
上下可動幅もそんなに大きくない上、頭と首が一体式なので、どうしても表情付けが甘くなる。
このページの最初と2枚目の画像が、目一杯首を横に回した状態なので、再度ご参照を。
パイルダー号。
マフラーなびかせ君と僕な風進付き。
風進とパイルダー本体は別パーツ構成だが、接着されているため分離は不可。
正確には、風進とハンドルまで一体式。
長さ約1.9センチ。
高さ約1.5センチ。
拳パーツとの比較。
ちっこいわー。
合体シークエンスを再現……って、元々ないものだから捏造が正しい?
それにしても、随分無理があるシステムだなあと再認識。
スロープの謎のデコボコは、どう見てもパイルダー号の進行を妨げるほどの大きさだし。
背中からは、どうやって頭部まで駆け上るのでしょう?
なんか、こうしてみるとホバーパイルダーってすごく利に叶ってるんだなと思ってしまう。
ディスプレイ台。
勿論これもOVA版マジンガーZそのまま。
シールは貼ってないが、きちんと「SOUL OF CHOGOKIN ENERGER
Z」と印刷されている。
パイルダー号を階段付き台座に乗せるという、なんとも酷いシチュエーション。
ディスプレイ中心部にある謎の穴は、OVA版マジンガーZの高熱板を収納する部分なので、本商品ではまったく使用しない。
長期間飾るという人は、ここにホコリが溜まらないようにご注意。
外箱。
寸法は縦19×横20.2センチ×奥行5センチ。
当たり前と言えば当たり前だけど、最近の魂シリーズと比べるともんのすごくコンパクト。
でも、さすがというか雰囲気はやっぱり良いね!
で、取扱説明書。
書くことがないのはわかるんだけど、たった一枚の紙だけってのはさすがにどうかと…。
薄くてもいいから、エネルガーZの解説を含めたいつもの形式のが欲しかったよ!
それとも、これはそれすらも難しいほど書くべきことがないという事なんでしょうか(笑)。
【買ってみて一言】
はっきり言って、これは記述通り「記念品」だと思う。
昨今のフル可動・複雑なギミックを同時に盛り込んだ大人向け玩具シリーズと比較すると、どうしても見劣りしてしまうわけで。
可動部に関しても、それなりに動くとはいえ、決してハッタリバリバリのナイスポージングは期待できないし(原作マジンガー風のポージングなどは自然に取れるけど)。
だから、最近の基準で玩具としてのハイグレードを求めるのは、少し違う気がする。
ここは、「本来ならば絶対にありえないような物が製品化された」という部分を買うべきではないだろうか。
思えば設定だけ、しかもごく限られた数の絵でしか存在せず、「仮面ライダー」に対する「スカルマン」や、ピープロ作品の「豹マン」に相当するような、プロット的位置づけの漫画すら存在しないものが、よりによって超合金魂化してしまうなんて、どれだけ発狂した企画なんだろうか(褒め言葉)。
だって、普通だったら既存商品の色変えとかそんな程度でしょう。
実際、リボルテック・マジンカイザーはそうだったんだし。
と言うわけで、本商品の存在意義は「こんなもの、よく作った!」という一言に集約されると思う。
ガジガシいじってナンボとか、他のロボット玩具と並べてどうとか、飾り映えするかどうかとか、ポージングがうまく決まるかどうかなど、小さい問題なのだ多分きっと(笑)。
リデコ品、しかもギミックのほとんどは既存商品のそれに頼っているとはいえ、新造型部分はかなり丁寧に作り込まれており、特に頭部の造型は大変秀逸。
あの原画を本当に上手くブラッシュアップさせている。
やや目が大きめかなとも思えるが、それこそエネルガーZの特徴を踏まえている感じ。
他のダイナミック系超合金魂と並べていても遜色のない、本当に良い製品だと筆者は思う。
さて、限定品ということで同然ながらプレミアがどうとかいう話も気になってくるが。
12月末現在、オークション相場は平均8000円未満辺りで、会場まで行けない人にとっては、交通費を計算すればそんなに懐が痛まないレベルで買えそうなレベル。
別な言い方をすれば、今くらいが一番買い時なのかもしれない。
本商品は、実売数がどれくらいの規模なのかがまっとく不明瞭で、イベント開催前後からその実数を巡る諸説が入り乱れており、結果的に多数の転売屋活動を生み出す要因となった。
話によると、何度も出入りを繰り返して50個単位で仕入れたという業者もいるそうで(しかも開催からほんの2日間程度で!)、「そこまでするほどかねぇ」と思わされてしまう。
ただ、それは今現在購入が可能であること、同時に(噂とはいえ)WEB通販も予定されているらしいという状況があるからこその考え方で、販売後数ヶ月経ったらどう化けるかまでは、まったく見込みが付かない。
実際、販売当時はあっという間に叩き売り対象になっていた「魂マジンガーZブラックバージョン」等も、数年後にはプレミア価格でやりとりされるようになったし。
とりあえず、本商品を欲しいと思っている人は、実売価格5000円である事、そこにどこまで「手数料」をプラス出来るかをしっかり見極めて、価格比較をするべきかと思う。
物は確かに良い物だし、記念品的価値は高いけど、果たして定価に数千円プラスするだけのものなのか?
ここを惑わされないようにしていれば、そんなに大きな損はしないんじゃないかな、と考えてみたり。
2008.01.11追記
その後の情報によりますと、会場販売分のエネルガーZは年内で完売してしまったそうです。
また通販分もほぼ瞬殺に近い状況だったらしく、まさに年末年始を瞬時に駆け抜けて完結してしまった様子です。
…えっ、マガジンZ?
1月23日?
単行本?
――アイアンZ?!