第172回 ■ BANDAINAMCO S.H.フィギュアーツ(真骨彫製法)
「 仮面ライダーガタック ハイパーフォーム」
2025年12月7日 更新

最近は落ち着いて来た感がありますが、2025年半ば辺りプレミアムバンダイの一部の商品に於いて予約が非常に困難になるという事態が起きていました。
特にガンプラや真骨彫製法が該当し、予約開始から終了まで一分かからないという、まさしく“瞬殺”でした。
瞬殺現象というと、今から二十年くらい前、各ネットショップ上で美少女フィギュア界隈で頻発していた件を思い出しますが、今でもあるんだなぁ……と変な関心をしたものです。
しかし、このプレバン瞬殺状況はその後も数か月単位で続き、同年9月30日「真骨彫 仮面ライダー旧2号」の予約開始日で落ち着きを取り戻すまで約4か月もかかりました。
これは非常に問題視され現在もまだ燻っている感もあるのですが、真骨彫に於いてそのきっかけとなったのが、今回扱う「ハイパーガタック」でした。
というわけで、今回はそういった事案の話について残しておきたいと思った為、こちらをレビューしていきたいと思います。
尚、筆者は「真骨彫 仮面ライダーカブト ハイパーフォーム」と「真骨彫 仮面ライダーガタック」を持っていない為、これ単独のレビューとなりますがご容赦ください。
■S.H.フィギュアーツ(真骨彫製法)
仮面ライダーガタック ハイパーフォーム

プレミアムバンダイ(魂ウェブ商店)による受注生産商品。
メーカー:BANDAI NAMCO.
配送日:2025年11月26日(出荷日:11月25日)
抽選受付期間:2025年6月5日〜6月16日
価格:11,000円 (税込)

仮面ライダーガタック・ハイパーフォーム。
「仮面ライダーカブト」本編及び劇場版には未登場。
「てれびくん」2006年11月号の応募者全員サービスのDVD、ハイパーバトルビデオ『仮面ライダーカブト 超バトルDVD
誕生!ガタックハイパーフォーム!!』内にのみ登場する限定フォーム。
カブトゼクターが呼んで来た「未来のハイパーゼクター」の力で変身(カブト用のものは別途存在する)。
ハイパーカブトと共闘し、劇中で披露したのは「ハイパーキック」のみで、ガタックダブルカリバーを使った戦闘は行っていない。
ハイパーキックの際、背面からスラスター噴射のようなものを出して浮かび上がる。
作中での登場時間は、1分にも満たない50秒。
ゲームではプレイステーション2「仮面ライダーカブト」、「ガンバライジング」、スマホアプリ「シティウォーズ」、トレーディングカードゲーム「バトルスピリッツ」に登場。

さて、ガタックハイパーフォーム(通称・ハイパーガタック。以下この表記で統一)です。
かつてほんの一瞬の登場にも関わらず商品化をして来た旧フィギュアーツ群ですら出さなかったものが発売ということで、「まさかの」という意味で大きな注目を集めました。
先の通り2025年6月5日の予約解禁直後に完売、その後ちょくちょく在庫復活があったものの(筆者もそのパターンで拾えました)、実質的にはその日のうちに準備数にほぼ達した模様でした。
予約期間は6月16日とはなっていますが、これはプレバンが予約完了と定めたもので、実際にはとっくに終わっていたという状況でした。

この時期の真骨彫のプレバン限定品は、しばらくの間を空けて第二次受注、第三受注を行っていましたが、このハイパーガタックだけは一次のみで完全終了。
二次受注を受け付けるかもしれない? という雰囲気を匂わせつつ、とうとう最後まで行いませんでした。
ちなみに購入限度数は一人6個までで、そのせいで準備数があっという間に無くなったんだろうという批判がSNS上で呟かれていました。
これは真骨彫ウルトラマンティガ・スカイタイプでも同様で、こちらも同じように瞬殺してしまったこともあり最大の原因だと思われていましたが、同年9月16日から受注開始した「真骨彫
仮面ライダーカイザ」の第一次受注が一人2個までだったにも関わらず瞬殺した事から、実はあまり関係なかった事が判明しました。

現在では、中国などのアジア方面の転売屋と思われる受注が殺到した影響ではないかと考えられていますが、明確な理由は今のところ判明していません。
しかし「真骨彫 仮面ライダー旧2号」以降販売エリアの設定が見直されたようで、その影響なのか現在では比較的楽に予約が出来るようになりました。
そしてこれは、第一次で瞬殺したカイザやスカイタイプの第二次以降でも同様でした。
また第一次受注がすぐなくなっても、第二次が比較的すぐに行われるようにもなりました。
(ただし、販売エリアの変更が行われていないガンプラ関係は未だに厳しい状況だとか……)

さて、そろそろ商品に触れて行きたいと思います。
基本的に、カブト系の素体に新規造形パーツを追加したもので、その為初期真骨彫の特徴が色濃く残っています。
元のスーツがガタックに装甲を追加したものなので、かなり鳩胸になっているデザインです。
その為、上半身がごつく下半身が貧弱に思えますが、元のスーツも結構そんな雰囲気なので、そう言う意味では再現度は結構高い気がします。

ハイパーガタック、フロントビュ―。
全高は頭頂部まで約14.5センチ、ツノ最頂部まで約15.5センチ。
重量約55グラム(ガタックカリバー装着時)。


サイドビュー。
胸板の厚みの凄さが良くわかるアングル。
良く見ると、通常のガタック胸部の上から追加アーマーを被せている構造まで、しっかり再現されています。

バックビュー。

頭部アップ。
ガタックのマスクに新規のホーンを被せた構造が見て取れる造形が素晴らしいです。
特に頬の周辺の装甲の重なり具合と隙間の奥行が味わい深いですね。
巨大なホーンを縁取る金色の塗装がまたイカす。

両肩の可動は、目測で水平より更に15度くらい上げられます。
肘も90度よりちょっとだけ深く曲げられます。

肩は前に大きくスイング出来ますが、胸板のせいであんまり動かせてないように思えてしまうのが残念。

ハイパーガタックは、正直物凄くポロリが多いです。
個体差もあるかもしれませんが、特に肘アーマーと肩が外れがちです。
特に固めの肩関節を動かそうとした際に、うっかり外してしまうなんて事故が起きがち。
しかも、再度嵌め込むにはコツが必要で、慣れないとかなり厄介です。
上腕のこの部分に「C」型のジョイントがあり、ここに肩アーマー裏にあるジョイントを差し込むのですが、やや斜め下から差し込むようなイメージで挿入すると成功しやすいです。

下半身の可動は、これまでのカブトやガタックと同じです。
片膝立ちは少々苦手な感じですが、一応なんとか行けそうです。

左腰のハイパーゼクターは、ハイパークロックアップ起動時のスイッチ(ツノ)が可動します。
またベルトからの取り外しも可能です。

ハイパークロックアップ再現用に、胸の赤いパーツが差し替え出来ます。
顎の下の平たい部分を指で押さえて手前にスライドさせれば、簡単に取り外せます。

左が通常モードのパーツ、右がハイパークロックアップ用のパーツです。

ハイパーキック!
結構角度で補う感。

ガタックゼクターは取り外し可能で、ツノが通常の位置にある物も同梱されています。
恐らく、ハイパーキック直前の「1...2...3!」再現用だと思うのですが、これを他の1/12フィギュアに持たせる事が出来ます。
一応ベルトも外して装着させることも可能ではありますが、壊したくないので、そこまではやりませんw

交換手首の掌部分は、右が金色・左が銀色になっています。
ガタックカリバーの刃の色も、これに準拠しています。

ガタックカリバー。
左が右用、右が左用です(互い違いですみません)。
中央の凸と穴は、肩アーマーに接続させるためと、ライダーカッティング再現用のジョイントです。

ガタックカリバーの持ち手は二種類あります(左右計四個)。
画像の右手は垂直持ち、左手は角度がついている持ち方です。
ポージングによって使い分けるといい感じです。

ガタックカリバーは少々グリップが細い気がしますが、ポロリすることはありません。
肩への接続はかなり固めなので、取り付ける時も外す時も注意が必要です。
肩アーマーが外れたり、もう一方のカリバーを折っちゃったりしかねないので。

両肩に接続したガタックカリバーを直接握らせるのは、肘の可動範囲の都合で不可能です。
無理に再現しようとするとグリップを折りかねないので、無理せず諦めた方が良さそうです。

本編では未使用ですが、ライダーカッティングも再現可能です。
まあこの辺は、ガタックからそのままスライドしている為なのでしょうけど。
カリバーの凹凸ジョイントを合わせることで、開閉も可能になります。



軽いものであれば、フィギュアを挟んで頭上に持ち上げて自立することも可能です。

ボーナスパーツとして、ハイパーカブトと握手した状態の手首パーツが付属します。
ただ残念ながら、ハイパーカブトを筆者が持っていないので使えないのですが……

同じ日に配送された「真骨彫 仮面ライダーストロンガー(二次配送分)」に装着する事が可能なので、同じカブト同士! という強引な関連付けで組み合わせることが可能です!







――わかってんだよ、言いたいことは!
だが今は黙っててくれ!w

というわけで、特に意味のなく真骨彫ストロンガーと比較。
このストロンガー、真骨彫なのにコストダウンなのかクラッシャー部分が成形色まんまで塗装がオミットされているので、物凄く安っぽく見えてしまうのが非常に残念です。
せっかく造形はいいのに……

以上、真骨彫ハイパーガタックでした!
【総括】
キャラクター的な意味で非常にレア度が高い商品だと思います。
完成度も高く、装甲の重ね合わせまで再現する丁寧さは大したもので、リデコ品としてはとても面白いものになっています。
基本ギミックはガタックのそれがそのまま継承されているので、通常ガタックを持っている人なら色々察することが出来ると思われます。
また塗装がとても綺麗で、重厚なアーマー感もしっかり表現されていて、(勢いだったとはいえ)買って良かったと思える商品でした。
ああ、通常ガタックも欲しいなあ……

しかしこの商品、残念ながら転売疑惑と切り離して語ることが難しいです。
先で触れた通り、一次受注しかなかった為予約に失敗した方も相当多かった模様で、その上でメルカリ等で大量の転売を見かけるという結構酷い状況になってしまいました。
同時に、プレバンに対する愚痴やクレームがSNS上で多数上げられ、相当なヘイトを溜める結果となってしまったようです。
まあ、その結果の対策がスカイタイプやカイザ以降の対応なんでしょうけど。
これについて、プレバンに対して「いい加減受注販売にしてくれ」という意見も散見(とは言えないレベルだけど)されましたが――プレバンは今までずっと受注生産販売してますからね?
個人的には、実質的に全員当選になる第三次受注(抽選)まで行かなくても、二次受注くらいはやっても良かったんじゃないかなって思えてならないんですけどね。
サイガですら第二次までやったのに、ねえ。
2025年12月初旬現在、メルカリでの出品金額は送料込みで15,000円前後が平均のようです。
これって殆ど利益が出ておらず、出品者からすると「ギリギリ損はしないレベル」にしかなっていません。
しかも、これより一週間くらい前の11月末の時点と比べると、微妙ではありますが相場が下がっているようです(この時点では15,000〜18,000円未満くらい)。
ちょっと計算すると、ハイパーガタックの価格は11,000円+送料660円なので、単品購入した場合は11,660円。
仮に6個買った場合は、一個当たり11,110円となります。
メルカリは出品手数料として10%が徴収されるので、仮に14,800円で購入された場合は13,320円。
ここから購入者への送料が差し引かれるので、らくらくメルカリ便利用の場合は更にマイナス750円。
そうすると残金は12,570円となり、差額は910円(6個購入時でも1,460円)にしかなりません。
なんかこうして見ると、現状は在庫処分程度にしかなっていないという印象で、転売としてはかなり空しい状況にしかなっていない気がします。
何年か経てば状況は変化するかもしれませんが、逆の見方をするなら、どうしても欲しければ今が一番のチャンスなのかもしれません。
