第15回 ■ バンダイ DX魔神合体「ウルカイザー」

2005年8月14日 更新

魔法戦隊マジレンジャー『DX魔神合体 ウルカイザー」 定価:5,985円(税込)

  • ウルザード本体
  • ジャガンシールド
  • ウルサーベル
  • 取扱説明書
  • バリキオン本体
  • バリキオン頭部
  • バリキオン首部分
  • バリキオン尻尾部分

 「魔神合体DXマジキング」から、だいたい一ヶ月ほど遅れて発売。
 とはいえ、本来ならばようやくメインロボット玩具が発売される時期なので、決して遅いわけではなかった。
 「爆竜戦隊アバレンジャー」のキラーオー・バクレンオーに続く、悪役ロボット!
 それがいきなり二体目として登場というから、こりゃあとんでもない。
 当然、敵とはいえマジキングとのプレイバリューも有り。
 それどころか、組み合わせによっては、三体目の幻のロボットも誕生する。

●映像内のキャラクター

 ウルカイザーの核となる存在「ウルザード」は、魔法使いでありながらも敵・インフェルシア側に付いている幹部。
 正確には「魔導騎士」という肩書きを持っている。
 外観は、マジレンジャーのデザインに鎧モチーフを加え、さらに狼のデザインを部分的に付加したようなスタイルで、素顔は2005年8月現在まだ登場していない。
 冥獣帝ン・マの身体の一部「目」を、ジャガンシールドという装備として預けられており、これによって強力な力を得ている。
 また、このジャガンシールドに収納可能なウルサーベルという剣が主力武器。
(その後、ウルサーベルはマジレッドに破壊されたが、代わりにブランケンが持っていた剣「ン・マの牙」ヘルファングを手に入れた)
 呪文「ウーザ・ウル・ウガロ」で自ら巨大化する事も可能だが、マジレンジャー達のようにマジマジン形態を取るわけではなく、その姿のまま大きくなる。

 マジレンジャー五人の誰よりも強いパワーと魔力を持ち、2話では、彼らの母親であるマジマザーをも殺してしまった。
 魔法の属性は「闇」で、勇気の力で魔法力を高めるマジレンジャー達とは違い、邪悪なパワーをその身に取り入れる事で強力になっていく。
 封印状態にあるインフェルシア側において、数少ない「自力で地上に出る事ができる」存在だった(現在は皆出まくり状態)。
 そのため、ウルザードが地上に出て、呪文「ウー・ザザレ」で冥獣を召喚し、地上で暴れさせるというのが基本パターン。
 さらに、呪文「ドーザ・ウザーラ」で、死んでしまった冥獣(怪人)を復活・巨大化させる事も可能。
 その他にも、底知れぬ実力を数多く見せ付ける場面が多くあり、良い意味で「始末に負えない敵キャラ」になっている。
 どういうわけか、マジレッドにだけ通じるテレパシーのようなものを発揮でき、それで時々マジレンジャーを直接呼出し、決闘を行う。
 特に、マジレッドの爆発力に注目しており、彼がより強い力を身につけて自分に立ち向かってくる事を望んでいる。
 だが、その望みのためにわざと命を助けたり、戦いを中断する事もある。
 これらの謎の行動は、インフェルシア側からも疑問視されているようだ。

 本来冥獣を召喚する魔法陣から、巨大な魔導馬・バリキオンを呼び出す事が出来る。
 このバリキオンは、ウルザードの呪文によって彼と合体する事が可能で、「ウーザ・ドーザ・ザンガ」という呪文で「ウルケンタウロス」に、「ウーザ・ドーザ・ウル・ザンガ」で「ウルカイザー」になる。
 その際は、ボディのほとんどすべてをまかなう。
 一度、凱力大将ブランケンの命令を受けたバンキュリアから呪いの矢を射ち込まれた上、マジレッドと共に異空間に飛ばされてしまうが、その際、矢を取り除いてくれたマジレッドを本当の戦士と認め、代償として一時的に力を貸す。
 その際は、マジフェニックスとの合体を果たし、幻のロボット「ファイヤーカイザー」になった。
 このファイヤーカイザーは、本来なら一度きりの合体だったようだが、18話のブランケン戦にも再登場を果たした。

●セールスポイント

 DXウルカイザーは、劇中通り「ライドモード」「ウルケンタウロス」「ウルカイザー」の三つの形態に変化可能で、それぞれの形態に合わせた武器「バリランサー」の組み替えも忠実に行える。
 ウルザードもバリキオンも、単体のバランスは大変良く、見た目的には大きな問題はない。
 ただし、バリキオンはそのギミック設定上、関節はほぼ100%無可動。

 せいぜい、尻尾からブラ下がっている謎のパーツと、鬣を動かせるくらいだ。
 ただし、変型物の割には大変がっちりした造りなので、ウルザードを乗せたり、ケンタウロス形態に移行させても、まったく揺らがない。
 ちなみにライドモード時の固定の理屈は、マジフェニックスをマジドラゴンに乗せる時のアレと同じだ。

 

 また、ウルカイザー合体時には、本編映像では今ひとつ判り辛かった驚愕ギミックも充分に堪能できる。
 関節が動かず、ほぼ棒立ち状態しかできないわけだが、それを補って余りあるギミックが楽しい。
 どちらかというと、ディスプレイモデル的な楽しみ方が可能だと思われる。

 ウルザードは、基本構造は「DXマジキング」のマジフェニックスと同様で、関節可動範囲もほとんど変わらない。

 ただし、肩アーマーがマジフェニックスよりコンパクトなため、よりスムーズなポージングが可能になっている。

 残念ながら、肘部分は「少し前に曲げた状態」で固まっているため、あまり大きな表情付けは出来ない。
 付属武器のジャガンシールドは、残念ながら目の開閉ギミックがオミットされており、常に開きっ放し状態だ。
 だがその代わりに、裏側にウルサーベルを収納する事ができる。
 展開ギミックよりも、むしろこっちの方が嬉しいかも。
 合体時に剣をなくす事もなくなるし。

 なお、ジャガンシールド裏面下部には、斜め下を向いている謎の突起があるが、これはウルカイザー合体時にウルザードの拳が握るべき部分。
 これを掴ませる事でシールドをさらにしっかり固定させるわけだが、例の微妙に曲がった状態の肘は、このパーツの角度に合わせて調整されたものだという事に気付かされる。
 おお、こういう緻密な計算の痕跡が見えると、なんかすごい!

 ウルザードの頭部は、やっぱり固定式。
 構造も素材もマジフェニックスと同様のため、以前紹介した「首可動改造」を行う事で、左右に回転させられるようになる。
 ただし、ウルザードの頭部はやや下向き(顎を引いている状態)のせいか、可動改造後、首の向きを整えるために多少の工夫が必要になってくる。
 当コーナーで紹介した「スペーサーを挟み込んで云々」というやり方だけではダメなのだ。
 ビス穴側にも極小のスペーサーを加え、軸が完全に浮いて固定されていなければならないが、あくまでスタイルにこだわりあまり動かす気がない人なら、無改造のままにしておくのが一番良い。
 また、ウルザードは首可動改造をすると、頭部を折りたたむ際にフードが閉じにくくなるという問題点も発生させてしまう(頭部収納スペースがかなりタイトなため、多少でも位置がズレるとパーツ干渉が起こる)。
 どうしても改造したいなら、以上の問題点を理解した上で、自己責任で行っていただきたい。
 当然、失敗しても当サイトおよび筆者は責任は取らないので、そのつもりで。

●魔神合体!!

 では、合体プロセスを見てみよう。

 「ウルケンタウロスモード」の時は、ウルザード自体を特に変型させる必要はない。
 せいぜい、ウルサーベルをシールドに収納する程度だ。

 バリキオン側は、まず頭部と首を取り外し、首ナシ馬状態にする。
 次に、前足の前面部を開く。
 すると、前足の腿にあたる部分に空洞があるので、ここにウルザードを立たせるように配置する。

 ウルザードの腰と太股の後ろに三つの凸ジョイントがあるので、これをはめるのを忘れずに。

 ウルザードを固定したら、後は腿のフードを閉じ、右手にバリキオンの首と頭を組み替えたバリランサーを持たせて完成。
 バリランサーは、手に持たせる際には専用のグリップを引き出す必要がある。

 次に、メイン合体のウルカイザー。

 ウルザードの頭部を胴体内部に収納し、両腕を肩ごと前に移動。
 胸の中央のジョイントと両手でシールドを固定し、脚は伸ばしたままにしておく。
 この「箱から脚が伸びているような状態」で、待機させておく。

 バリキオンは、まず前足脛の裏側にあるパーツを180度回転させ、ひづめの下側に移動させる。
 つまり、下駄を履かせたような状態にするわけだ。

 さらに、鐙(あぶみ)にあたるパーツのロックを外して下に移動させ、前足の裏側に固定させる。
 これが、ウルカイザーのすね部分になる。
 シークレットブーツ状態になった前足を180度回転させ、腿の裏側にあったパーツが前面を向くようにする。
 これで脛から足首にかけての部位が完成。

 次に、バリキオンの胴体後部を掴み、後ろに引っ張る。
 すると胴体は後方にスライドし、ロックが外れる。
 後ろ足の脛を腿部分に折りたたみ、両脚を根元から外側に開く。
 これが、ウルカイザーの肩と腕になる。

 後ろ足を開いた後に出現する板状のパーツを下げると、ウルカイザーの腰アーマー後部(ヒップガード)になる。
 板パーツを下ろした胴体を180度回転させ、バリキオンの後ろ足側が上方向を向くようにする。

 この状態でバリキオン胴体を上に起こし、先ほど引き伸ばしておいた胴体を上から押し縮め、ウルカイザーの腿部分のハッチを展開すると、合体準備完了。

 ここに、ウルケンタウロスの要領で、先ほどのウルザード待機状態を合体させる。

 腿のハッチを閉じた後、ウルザードの首の裏側(首の軸を固定しているネジの辺り)に、バリキオンの頭を接続。

 バリキオンの顎の下部分をひっくり返すと、ウルカイザーの顔が出現。

 後は、バリキオンの首と尻尾を合体させたバリランサーを持たせて、合体完了!!

 なお、残念ながらウルカイザーの首を回転させる事は(改造も含めて)不可能。

 ウルザード自体はマジフェニックスと同じ構造とサイズなので、このように、マジキングのコアとしても合体可能。
 胸にジャガンシールドを携えた、めちゃくちゃアヤシイマジキングを作り出せる。

●友情合体!!

 ウルザードとマジキングの合体が可能なら、その逆も当然可能。
 ただし、マジフェニックスが合体した場合、それはまったく新しいロボットになる。
 イレギュラー合体「ファイヤーカイザー」の登場!

 ウルカイザーに合体するための準備を整えたバリキオンに、ウルザードと同じ形状に変型させたマジフェニックスを合体させる。
 ただし、マジフェニックスの腕の隙間(本来はマジフェアリーが挟まる部分)には、バリキオンの尻尾の根元パーツを挟み込んでおく必要がある。

 腿のハッチを閉じたら、マジフェニックスの胸の中央から伸びている「尾」を折りたたみ、首の位置に接続する。
 すると、そこにまったく新しいロボの顔が生まれる。

 バリキオンの頭と首を合体させたバリランサー(ウルケンタウロス時に持たせるものと同じ)を手に持たせ、ファイヤーカイザー完成!!

 実は、筆者はこっちが欲しくてウルカイザーを買っていたり。

 よりリアリティを追求する人は、ファイヤーカイザーの鬣やバリランサーの刃部分にジッポオイルなどを塗り、おもむろに点火!
 そぉれ、炎のファイヤー!!

●問題点

 DXウルカイザー最大の問題点は、「関節がほとんど動かない」というものに尽きるのだが、これは元のデザインやギミック設定の都合もあるので、そこばかり責めるのは酷だろう。
 ウルカイザー形態時に可動するのは、せいぜい肩の付け根程度だ。
 脚が膝部分から回転するので、なんちゃって八の字立ちができるのが、せめてもの救いだが。
 でも、この程度の可動率って、昔の戦隊ロボ玩具ではよくあるものだったんだよね。
 「超獣戦隊ライブマン」のDXライブロボの腕可動は、むしろ驚愕レベルの可動率で例外中の例外だし。
 個人的には、せめて肘くらいは軽く曲がるようにして欲しかったところだが。
 もっとも、ヘタに可動率を増やすと玩具的耐久性が落ちてしまいそうな気もするので、これは仕方なしと諦めるしかないかとも思う。
 まして、この構造で脚が動いたりなんかしたら、それはもはや脅威で、超合金魂並の「無理を通す」設計でもなければ、まず期待などできっこない。
 以上の事から、以降あえて可動率の低さについては、触れない方向で行きたい。

 それより、本商品にはもっと深刻な問題がある。
 それは「パーツの固定精度」。
 ウルカイザー合体時、ウルザードまたはマジフェニックスを胸部に収納すると、下半身は後部ジョイントによってガッシリ固定されるのだが、なぜか不思議な事に上半身はまったく固定されないのだ

 写真を見ていただきたいが、ウルカイザーを正面斜め上から見ると、ウルザードの腕があった位置を支えるロック機構のようなものが、まったく存在していないのがよくわかる。
 ウルカイザー肩の付け根部分には、確かに凸ジョイントが存在しているのだが、これはバリキオン時に後ろ足と胴体を固定するためのもので、ウルザード固定の役には立たない(長さが足りず、微妙に届かない)。

 さらに、ウルザードの背中側もまったく固定されない。
 判りやすく言うなら、ウルザードは下半身だけをロックされた状態で、ウルカイザー胴体内の空間で上半身を漂わせているだけ。

 マジキングの時は、マジフェニックスの下半身後部ジョイントがマジタウロスの胴体内側にカッチリはまる上、左右に折り曲げた両脚がスペーサーになって隙間を埋め、さらにマジキングの頭部で上からロックをかけるため、コアロボはしっかり安定する。
 しかし、ウルカイザーはそういった構造にはなっていないため、どうしても上半身が安定しないのだ。

 コアロボの固定ができないというだけなら、まだいい。
 これが原因で、ウルカイザーの腕と背中が勝手に上方向にずれてしまうという現象まで起こってしまう。

 しかも、これはかなり頻繁に発生する。
 バリキオンは、馬の下半身部分が後方に伸び、さらに持ち上がる構造なのだが、この「(馬の)胴体が伸びる」という部分が問題に繋がっている。
 この伸縮を制御するストッパーが、どこにもないのだ。
 先の通り、コアロボが内側からロックをかけられない構造のため、ものすごく落ち着きがない。
 正確に言えば、この伸縮をロックする機構は一応存在している。
 それは胴体伸縮部分の内部に設定されているようで、軽く動かす分には、ウルカイザー上半身の伸縮は一応カッチリ止まってはくれる。
 だが、そのロック保持力がほとんどないため、再び軽く力がかかると、またまた胴体が伸びてしまう。
 上下にカクンカクン伸び縮みし放題のウルカイザーは、大変格好悪い。

 このロックの甘さは、ウルカイザーを手に取って持ち上げた瞬間に伸び切ってしまうほどで、ほとんど役目を果たしていない。
 さすがに、伸縮部分の隙間に子供が指を挟むなどといった問題はないと思われるが、凄まじく扱いづらいのは間違いない。

 どうしてこのままで済ませてしまったのか、理解に苦しむ部分である。
 多少伸びても、ロックが甘くても問題なしと判断されたか…
 確かに安全性については問題なしと見られるかもしれないが、「品物を無駄に扱いづらくしている」構造なだけに、是非とも対処していただきたかったものだ。
 それともこれも、第二期生産分以降からコッソリ修正されたりするのだろうか?

 で、このウルカイザー上半身周辺の構造を、もう一度良く確認してみた。
 ひょっとしたら、コアロボの方にも何か問題があるのではないか、と。
 結論としては、コアロボの問題ではなく、ほぼすべてバリキオン側の問題と断定してよさそうだ。

 マジフェニックスもウルザードも、背中側に二つの突起があり、マジキングとの合体時にはこれがマジタウロス胴体内部のミゾにはまり、安定が計られるようになっている。

 とはいえ、この突起自体はジョイントではなくただの凸形状パーツに過ぎないので、これだけで完全なロックはされない。
 あくまで、収納位置を確保しズラさないためのガイド的役割しかないわけだ。
 もちろん、バリキオン側にもこのパーツを受け止める凹部分がある。
 しかし、凸パーツよりも口径がかなり大きく作られている上、問題の「伸縮する部分」に付いているため、ガイドとしての役割を全く果たしていない。
 上半身のズレを食い止める事など、まったく不可能だ。
 だが見方を変えれば、コアロボの凸パーツがもう少し長ければ、ロック機構が働いたんではないかな、という気もしなくもない。
 本当なら、コアロボ下半身にある凸ジョイントくらいしっかりしたジョイント機構がほしいところなのだが、せめてこれくらいは対応して欲しいものだ。
 この安定感のなさが災いし、筆者は、どうしても本商品の完成度を評価する事ができない。

 さりげないところで色々と不親切な設計なのも、いただけない。

 バリランサーの各パーツのジョイントが、かなり甘い。
 バリランサーを構成するバリキオンの「首」「頭」「尾」パーツは、なぜか今ひとつはめ込みがしっかりしておらず、部分的に外れやすくなっている。
 これは恐らく、破損防止対策構造が裏目に出ている結果だと推測される。
 バリランサー構成の中心になる「バリキオンの首と鬣」パーツは、槍の柄(軸?)先端部分に凸ジョイントがあり、形状によって、そこにバリキオンの頭や尻尾が接続される事になる。
 だが、頭部も尻尾も、凸ジョイントを受け止める部分が特殊で、「垂直に真っ二つにされた円柱」のような形状をしているのだ。
 これは、凸ジョイントを差し込んだ際に横方向からの力がかかると、割れている部分から凸ジョイントを逃がし、パーツ破損を防止するための構造。
 これがあるために、よほどの無茶をしない限りバリランサーのジョイント周辺は壊れないわけだが、逆に言うと、ちょっとした力でも外れてしまう事に繋がる。
 まして、接続した先にあるものは、周囲に引っかかりやすい造形の「頭(バリキオンの耳が邪魔)」や「尻尾(長い尾が前方にもせり出しているので、余計に干渉しやすい)」なのだ。
 これでは、外れやすくなって当然だ。
 凹ジョイントの方にもクセが付くだろうし、この部分の保持力を高めるのは、至難の業かもしれない。
 単に軸を太らせればいい、という問題でもないような気がするし…。 

 また、柄の口径も微妙に足りないのか、ウルカイザーorファイヤーカイザーの手に持たせようとしても、今ひとつ安定感に乏しい。
 飾っていると、いつの間にか手の中から落ちてしまっていたりする事もしばしば。
 せっかく、こんなに大きくてド派手な良い武器なんだから、もっとしっかりいじれるものにして欲しいところだ。

 バリキオン・尻尾パーツの安定感のなさも、結構無視できない問題だ。
 ファイヤーカイザーの頭部底面部に相当する位置にあるジョイントは、全パーツの中でも一二を争うほど保持力のないもので、もうイヤになるくらいしょっちゅう外れてしまう。
 ファイヤーカイザーの頭部になる際は、別な部分でがっちり固定されるからこのままでも良いのだが、バリキオン時はこのジョイントだけで本体と接続されるため、保持力が弱くては困るのだ。

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●総合評価

 とにかく、扱いづらい玩具という印象が拭えない。
 外れやすくて安定感のない部品やボディには、相当へこまされてしまった。
 先にも述べた通り、これはしょっちゅう手にとっていじり倒すというよりは、気に入った形にして飾っておくのがベストなのではないだろうか。
 そういう意味では、変型による大幅なシルエット変化は、大変魅力的に映る。
 ただし、マジキングと比較してしまうと、どうしてもそれぞれの難点が際立ってしまうので、やっぱりあまり嬉しくない。
 ウルカイザーの魅力的な部分はマジキングにあまり見当たらず、逆にマジキングの魅力はウルカイザーにない。
 それなのに、それぞれに互換性があるというのも面白い。

 とにかく、本商品「DXウルカイザー」は、DXマジキングに並ぶプレイバリューを期待して購入してはいけない。
 複数の形態があるという共通項があるだけで、両者はまったくの別物なのだ。
 DXマジキングに惚れて、その勢いだけで手を出してしまうと、大変がっくりさせられることだろう。

 だが、本編内での活躍、あるいはその独特のスタイルに魅了されて買う分には、なかなかに良い物だと思う。
 無論、問題点のいくつかは飲み下さなければならないが。

 結果として、「DXマジキング」はいじる楽しみを味わうために、「DXウルカイザー」はスタイルを楽しむために購入するべきアイテムなのではないかと筆者は考える。

 なお、「魔神合体DXウルカイザー」の売り上げと評判は、他に比べるとあまりよろしくないそうな。
 やっぱり、なんだかんだ言っても敵ロボは人気なくなっちゃうものなのかな。
 マニア人気とは反比例するような結果で。

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