第14回 ■ バンダイ カプセル合体「超電磁ロボ コンバトラーV」
2005年7月25日 更新
2005年7月21日、バンダイのガシャポンシリーズで、ちょっと変わったアイテムが発売されました。
それが「カプセル合体 超電磁ロボ・コンバトラーV」。
今まではスーパー戦隊系ロボを出していたシリーズですが、今回はスーパーロボット系!
当然、その名の如く合体はするわ武器は付属するわ、とてもガシャポンとは思えないアイテムです。
カプセル合体の各パトルマシン。
説明は要らないと思うけど、中段左からバトルタンク・バトルマリン・バトルクラッシャー。
最下段がバトルジェットで、最上段がバトルクラフト。
この商品は、一回300円のガシャポンベンダー機で購入可能。
五体集めると、コンバトラーVに合体できます。
その造型は、数年前に発売された「超合金魂版・コンバトラーV」がベースになっています。
あちらをお持ちの方は、構造把握が容易かもしれません。
最も小型のメカ・バトルジェット。
コンバトラーVの頭部を構成。
これ単体で300円というと、かなり割高に思えます。
その代わり、コンバトラーVの武器をたっぷり詰めています。
それでバランスを取っているわけですね!
バトルジェット底面。
残念ながら、魂版では再現されていた「顔面カバー」はオミット。
まあでも、それはしょうがないかな、という気もします。
顔つきはアニメ版とも魂版とも似てませんが、これはこれでなかなか精悍な造り。
バトルクラッシャー。
コンバトラーVの胸部と腕部全体を構成。
肘の構造は魂版のものを忠実に再現しています。
ただし、肩のスライド機構と主翼の収納はオミット。
そして、魂版最大の特徴だった「本体の厚みの変化」も、当然のようにオミット。
なんとなく、構造的にはこのサイズでも再現可能に思えますが、ひょっとしたらパーツ精度や耐久性の問題とかがあったのかも?!
ど ちらにしろ、これは残念だけど我慢するしかありません。
バトルジェットとクラッシャーの背面。
拳は収納式ではなく、後付け(しかもバトルジェットの方に入ってる!)。
ちなみに、バトルクラッシャーの取り外しパーツは、魂と共通。
合体時には、ランディングギアとブースターを取り外します。
あと、ついでに主翼も外す必要があります。
胴体全体を構成するバトルタンク。
ついでにコンバトラーVの動力部もまかなってます。
なかなか良く魂版を再現していますが、よく見るとキャタピラアームがない!
はい、キャタピラユニットは左右それぞれ取り外し式。
合体時は背中側に付け替えます。
このサイズでも、シャベルアームの伸縮を再現しようとしているのは見事。
さすがに、ただ前後に伸縮するだけで、アームに関節はありません。
合体時には取り外し……しなくていいというのも、魂版からの継承ですね。
背面部。
バトルマリンのコクピット部を収納するブロックが見えています。
この辺り、魂版によく似た造りですが、実は微妙に改善されていたりして…
アンテナは前方に倒す事が出来ます。
脚部を構成するバトルマリン。
「水中を“走る"事も可能」という、驚異の飛行メカ(第一話参照)。
魂版同様、本体の幅を広げられます。
ただし、残念ながらタンクキャリー用のアームはなし。
各翼は、取り外しなしで全部収納できるというのはさすが!
ただし、ひざ部分の構造が魂版と大きく変わっています(後述)。
ランディングギアの収納ギミックは、当然オミットでした。
足首を構成するバトルクラフト。
地底戦車のくせに、飛ぶわ走るわ何でもありという、実は最も汎用性が高いのではないかと思われるマシン。
基本的構造は、魂版に準拠していますが、さすがに車輪回転とサスペンションはオミットされてます。
分離させると、中央に別添ジョイントが挟まれていました。
ドリルは、シャーシ側のスライドスイッチを押す事で露出。
魂版みたいにスカスカせず、しっかり固定されていい感じ。
バトルクラフトとバトルマリンを、背面から。
こうして見ると、本当にこれが300円玩具かと思わされてしまいます。
「コンバインOK!!」
というわけで、合体体勢。
本当なら、劇中と同じアングルで撮影したいんだけど、加工と合成が面倒&無駄に写真の枚数が増えるので、これ一枚でご勘弁。
バトルクラッシャー周辺に散らばっているのが、合体時に取り外す必要のある余剰パーツ。
それ以外は、一切外しません。
これって、魂版を知っていればごく普通のことだけど、ガシャポン玩具でやってると考えると、とんでもなくすごい事ですよね。
コンバトラーVに合体。
なかなかのプロポーションです!
質感もあるし、各パーツの固定もしっかりしていて、いじりがいがあります。
(ちょっと股関節部分かモロいけどね)
ホント、ガシャポンとは思えない出来!
並んでいるのは、このシリーズに混入されている「ブラッククリアバージョン」。
魂で言うところのブラックバージョン…かと思ったらさにあらず。
やっぱり、ただのコスト削減用アイテムでした。
ただし、これがあるとコンVの内部構造がよくわかったり、遊ぶ時に仮想敵としたり、意外に活用性があったりして?!
でも、やっぱりハズレアイテムなのは変わらないんですよね。
バトルジェットに付属している「平手」と「超電磁ヨーヨー」。
ヨーヨーは、平手の親指部分に挟んで保持します。
言うまでもない事ですが、腰部分のパーツは外しておきましょう。
「握り拳」と「ツインランサー」。
これも、バトルジェット付属です。
ツインランサーのグリップを引き抜き、別添の長い棒に差し直すと、ツインランサー合体形態に。
さらにさらに、アトミックバーナーまで付いています。
もちろんこれも、バトルジェットに同梱。
キャタピラ延長パーツを組み込む事で、グランダッシャー形態も再現可能。
延長パーツも以下同文。
うーん、もう至れり尽くせりですなあ。
なんとなく、絡ませてみたりして…
ブラッククリアバージョンに付属している武器は、多少配色が異なっています。
ツインランサーには金色の塗装がなく、ヨーヨーは完全なクリア一色。
ツインランサーのグリップも、胴体部分と同様のブラッククリアパーツ。
たまたま傍にあった、
「角○書店が、予約開始から半年以上もかけて作ったくせに、不備ありまくりで改造しないと全然いじれないほど関節カタカタ人形14歳ソニックグレイブ付娘ロボ」と比較。
角(中略)娘が、だいたい11センチ強のサイズ。
対してコンバトラーVは、約15センチ弱くらいの大きさになります。
左側がノーマル、右側がブラッククリアバージョンの各機体。
本来イエローの部分が、ブラック版では渋いゴールドでまとめられています。
しかし…バトルマリンの主翼とコクピットブロックが丸々透明ってのは、あまりにも…
付属のカタログ表面。
クリックすると拡大します。
カタログ裏面の、取扱説明書。
こちらも、クリックで拡大。
【買ってみて一言】
ガシャポンで超合金やポピニカを復刻しようという斬新な企画だったものの、途中から伸び悩み、結局ものすごく中途半端な状態で完結してしまった「カプセル超合金」と「カプセルポピニカ」。
その正統後継者……かどうかはわかりませんが、だいたい同じようなコンセプトを持ち込んだ本商品は、恐らくこれまで多くの人達が待ち望んでいた「ガシャポン玩具で納得のできる合体ギミックを持つコンバトラー」に成りえたと思います。
コンバトラーVのカプセル合体玩具というと、すぐに思い出されるのが亜鉛合金むき出しの「合金カプセル」ですね。
昭和51年から52年にかけて発売され、57年に一度再販されたものですが、これは合体と言ってもただ縦に積み重ねるだけのもので、プロポーションも決して良くは…いや、はっきり言って最悪でした。
あれから23年経過して、ようやくこのようなハイグレードのガシャポン玩具が出てくれたわけです。
さて、超合金魂の原型をそのまま縮小したかのような(実際にどうかはわからないけど)本商品のコンバトラーV。
魂版との違いを、さらりと触れてみましょう。
- 首が横にしか回らない
- 顔を隠すガードパーツがオミットされている
- 手首が収納式ではない
- バトルクラッシャーのボディの厚みが変えられない
- 同・合体時に主翼を取り外さないとならない
- バトルタンクのキャタピラブロックが、差し替え式になっている
- 同・ショベルのアームに関節がなく、ただ伸び縮みするだけ
- 股関節部分のはみだし(バトルマリンの機首)が大幅に修正されている
- 膝が曲がらない
- 膝部分に回転ロール軸があり、八の字立ちができる
- バトルマリンがバトルタンクをキャリーできない(アームが付属しない)
- 足首部分が可動しない
- バトルクラフトのサスペンション機構がない
- バトルクラフト左右の合体に、別のジョイントパーツを必要とする
- 超電磁スピン用のパーツがない
- ドスブレッシャー(バトルジェットの主翼に付く武器)がない
言うまでもありませんが、ディスプレイ台も当然付属しません。
こうしてみると、かなり大きな違いがあるように思えますが、よく見ると改善点も含まれていますし、またいずれの変更点も、プレイバリューを大きく損なうものではない事に気づきます。
というより、よくこの程度の変更に留められたものだと感心してしまいます。
材質もほとんどがプラ製で、PVCなどの癒着が怖いパーツは最小限の使用に押さえられています。
ですから、「カプセルポピニカ」のボルテスVのような、癒着の恐怖に怯える心配もなく、ガシガシ遊べるわけです。
これは、本当に嬉しい!
超合金魂版を買えなかった人、あるいはそこまで手を出すほどではないとお考えの人には、とてもお勧めできるアイテムだと思います。
――が。
それは、あくまでこの商品をストレートに全種購入できたら、の話。
問題なのは、これがあくまでガシャポンであり、しかも300円だということ。
5回まわして一気に揃う事などまずありえないわけで、ましてやこのシリーズには、色替というよりはローコスト版の「ブラッククリアバージョン」というものも混じっているのです。
しかも、バンダイお得意の同数アソート。
ノーマル版と同数混入しているため、益々揃える事は困難になります。
本商品は、300円×5個=1500円のアイテムだと考えれば、なかなか魅力的ですが、仮にその倍…あるいは三倍もの金額を投入してやっと揃ったとした場合、それに見合うだけの価値があるかというと、正直微妙です。
はっきり言ってしまえば、ベンダー機を回して揃えるよりは、開き直ってセット販売を購入した方が賢明でしょう。
筆者も、ブラッククリアバージョン含めた全10種類を予約通販で購入しましたが、ここからさらに回そうなどという気には、到底なれません。
もし、もう1セット予備が欲しいなら、またまたセット買いを探すでしょう。
このシリーズ最大の問題点は、そのような「揃うまでのリスクか大きすぎる」点にあります。
でも、このシリーズは結構人気があるようで、セット売りもガンガン売れているそうです。
欲しいと思った人は、早めに行動した方がいいかもしれませんね。
また、これを皮切りに、また別なスーパーロボット合体モノのガシャポンシリーズを発売し、出来れば定番アイテムとして続けて欲しいなーとも思うわけです。
一応のスターティングアイテムとしては、なかなかの成功だったのではないかと思います。