第4回 ■ タカラ トランスフォーマー・バイナルテック「グリムロック」&「トラックス」

2005年1月30日 更新

 今回は「玩具ありMINI」のハウンド以来止まったままだったトランスフォーマー・バイナルテック「グリムロック&トラックス」こちらで行ってみたいかと。

■TRANSFORMERS バイナルテック「グリムロック」 定価\4,980

  • グリムロック本体
  • スタナー・レーザー
  • エネルゴ・ソード
  • 取扱説明書
  • キャラクターカード

 これを書いている2005年1月現在最新のシリーズ。
 ただし、発売は2004年12月10日。
 シリーズ初、複数の手持ち武器が付属。

●概要

 バイナルテックシリーズは、トランスフォーマーという映像作品の中に登場したものではなく、玩具独自展開のもののため、ストーリー展開的な解説は無意味と判断し、ここでは説明は行わない。
 というか、説明書に記述されているバックストーリーの引用か複写にしかならないから、という理由もあるけど。
 なので、以降もバイナルテック関係の商品解説の場合はすっとばしをかけるので、ご理解のほどを。

 …と切り捨てるのも寂しいので、ちょっとだけ。

 バイナルテックとは、要はトランスフォーマーのサイバトロン戦士達のコアを、“地球の企業が開発したボディ”に封入する事で誕生するという、新設定を持っている。
 つまり、サイバトロンと地球人の完全協力が成り立ち、その結果として生まれたものだ。
 なので、それぞれのボディは実在の車両メーカーが開発したものという設定になっている。
 バイナルテックの玩具自体も、実際に各車両メーカーの協力を受けてデザイン・造形されているものなので、こういう設定は大変面白い。
 「デッドエンド」「スィンドル」などのように、本来サイバトロン用に開発されていたボディを乗っ取った事で誕生した“デストロン側のバイナルテック”というものも存在するが、基本的なバックボーンはだいたいそんなものだ。

 さて。
 バイナルテックは、そういう設定である以上、完全新登場のキャラクターは今のところいない。
 すべて過去のシリーズで活躍したおなじみの戦士ばかりなのだが、身体が新設計されたものである以上、当然かつての姿とは違うものになっている。
 それどころか、ビークルモードのモチーフになっている車両自体が変わってしまっているものも多く、元々はフェアレディZだったスモークスクリーンがスバル・インプレッサになったり、ランボルギーニカウンタック・LP5400Sがモチーフだった「ランボル」も、ダイムラー・クライスラーのダッヂヴァイパーになったりしている。
 それでも、元のデザインの意匠が多少組み込まれていたりして、旧作ファンがニヤリとするような工夫も盛り込まれている。

 …のだが。
 ここに至って、強烈な例外が登場した。
 それが、「元はティラノサウルス型ロボットの変形」だったグリムロックだ。
 以前は恐竜、今回はフォード・ムスタング!
 ショベルカーがこたつになってしまったようなインパクトだ。

 グリムロックと言えば、「オレ、グリムロック。とても強い」というあのセリフだが、今回のバイナルテック化にあたり、彼がどうして車両型ロボットになってしまったのか…という理由説明は、なかなか面白いものがある。
 これはマニュアルに表記されているので、機会があれば是非ご一読いただきたい。
 …買わないと無理か。  

 え?
 「ムスタング」じゃなくて「マスタング」だろうって?
 日本では、かつてはMUSTANGの事をずーっと「ムスタング」って呼んでたの。
 和製英語を元発音に合わせて、途中から中途半端に変更するってのが個人的に嫌いなので、以降も「ムスタング」と統一呼称させていただく所存です。

 マニュアルもマスタング表記だけど、これは筆者のこだわりなんでご勘弁。

●セールスポイント

 グリムロックの面白いところは、その変形パターンとプロポーションだろうか。
 この商品単体で見た場合はピンとこないかもしれないが、他と比べると一目瞭然のマッシブボディが格好良い。
 これは、ロボットモードの事だけではなく、ビークルモードも含めての話。
 モチーフとなっている車は、「マッシブカー」と呼称される「フォード・ムスタングGT 2005年型」
 その外観は肉厚で重厚。
 スポーティなフォルムでありながら重さを感じさせる、「中身が詰まっている」ようなイメージを与える名車だ。
 これだけでも、他のバイナルテックとは明確に異なる印象だ。
 ちなみにこのムスタング、年式からおわかりの通り、なんとこのグリムロックとほぼ同時リリースされた車両らしい。
 これはバイナルテックシリーズとしても初の事らしく、マニュアルにも明記されている。
 こりゃすごい、素直に感嘆しておこう。

 このムスタングGT、旧ムスタングの意匠をイメージさせるフェイスとボディライン、バランスを持っており、新車で有るにも関わらずどこか懐かしい。
 個人的には、70年代テイスト漂うスタイルにもうメロメロだったりする。
 もし、元車がもっと別なものだったとしたら…購入はさらに遅れていたんだろうなあ。
 今回は、このムスタングのフェイスに完全魅了されて購入したようなものだし。

 その他、このやったらと低い車高が色っぽくてたまらない。
 ええもう、筆者はその昔「スプリング2段カット」などのような“特殊用語”で萌え萌えしていた人間なもので、こういうのに弱いのよ。
 シャコタンシルビアで踏切を渡る恐怖が、よぉ〜く解る…と書けば、笑ってくださる閲覧者様はおられるかしらん?
 いや、ムスタングはノーマルでこんな車高だから、本当は比較しちゃいけないんだけど。

 今回は、前輪のステアリング連動システムが前腕の内部に収納されている。
 これは大変シンプルで、両腕を合わせて合体させると内蔵された分割シャフトがそれぞれ押し合いして、タイヤの角度を変えるようになっている。
 かなり大きく角度が変わるので、フェチ者としては大変嬉しいところ。
 この状態では、ボンネット、ドア、トランクの開閉が可能。
 トランクは、変形行程の都合もあって、かなり大きく開くようになっている。
 スモークスクリーンとは、大違い。
 いつもの通り、エンジンパーツは二門式の専用銃スタナー・レーザーに変形。
 さらに、今回はバイナルテック初の剣武器・エネルゴソードが付属。
 これは、シャーシ裏に貼り付ける形で収納。
 昔のG2のような収納方法だ。
 これはクリアパーツで作られており、周囲に赤いグラデーション塗装を施されている。

 グリムロックのロボットモードは、「元が恐竜からの変形」だった事を考慮したせいなのか、これまでのシリーズとは違った太めのスタイルを用いている。
 車体のリア部分を丸ごと使用しているため、やたらとぶっといあんよになっているのが最大の特徴か。
 さらには、横幅の広いムスタングの側面部からさらに肩が生えている形状になっているため、上半身の幅がハンパではない。
 もちろん単純に肩幅を比べただけなら、この後に紹介するトラックスの方が大きいのだが、胴体部分の差が二倍くらいあるため、グリムロックの方が逞しく見える。
 さらに言えば、腹部から腰部にかけてのリーチが短い(ように見える)ため、筋肉的な寸詰まりに見えるのかも。

 グリムロックの顔は、シリーズ初の「ゴーグル目とマスクの共存」タイプ。
 だけど、よく見るとゴーグルの奥にはちゃんと目のモールドが施されており、大変シャープで格好良くなっている。
 (これの執筆時点で、筆者はマイスターを持っていないのだが、アレも同じ感じだったかな?)
 頭部の収納・変形ギミックは、かなり面白い。
 収納位置的には、ボンネットの基部下になり、スモークスクリーンやハウンド、マイスター等とだいたい同じ。
 しかし、その変形行程がまったく違う
 まずボンネットを持ち上げ、中央の別パーツ部分をたたみ、穴が開いたような状態にする。
 次に、ボンネット下部の表面に出ない首の基部をひっぱり、伸ばしてボンネット表面側に持ち上げる。
 そして、ボンネット中央に作ったスリットに首の根本を通して、位置を調整するという、大変凝ったプロセスだ。
 残念ながら、その行程の都合上スムーズに変形できないのが難点。
 最初に折りたたむボンネット中央のパーツが、つっかい棒になってしまう事もしばしばある。

 グリムロックのビークルモードは、後部座席が脚部パーツ収納の都合でオミットされており、代わりに赤い運転席・助手席シートが設定されている。
 またその周辺部分もよく作り込まれており、さらにステアリングも回転するという懲りよう。
 これが、ロボットモード変形時には適度に分散・変形してしまうため、ほとんど目立たなくなってしまうのがすごい。
 バイナルテックをよく知らない人が、このグリムロックのロボットモードだけを見た場合、ビークル時の室内を想像するのは難しいかもしれない。
 ただし、一番目立つシートは…すごい位置に移動している。
 これについては、後述しよう。

▼ 変形プロセス図解

▲ エンジンを外して、トランク、ドア、トップルーフ、シャーシなどを展開

▲ シャーシ後部を左右に開き、太股部分を露出させる。
この後、後部全体を180度後部に回転

その後、腰とシャーシプレート部分だけをを180度回転させる

▲ 左:下半身が完成した状態。
  右:フロント部分の内部から、腕部ユニットを丸ごと取り外す

▲ 腕部を左右に展開

▲ さらに展開。ドアパーツを肩側に折りたたむ

▲ 左:腕部全体がほぼ完成した状態。
右:腕部ユニットの上にフロント部分を戻しかぶせた状態

▲ 頭部変形(露出)行程。ボンネットの可動状態に注目

▲ 顔のアップ

●問題点

 はっきり言って、グリムロックの問題点は指摘するときりがないほど多い。

 色々と細かなものもあるのだが、代表的なものを挙げると

  • 腕周辺の変形が異常に難しく、複雑
  • 変形行程で、パーツ干渉がやたらと発生しやすい(ゆとりが少ない)
  • パーツのはまりが悪い部分が多数ある

 こんな感じだろうか。

 グリムロックの変形は、これまで出たどのバイナルテックとも異なるもので、一度フロント部分の中身を全部外に出し、腕と肩・フレームを組み直して再び戻すという行程だ。
 だがこの腕部フレームの収納状態が複雑怪奇で、初めてこの商品を手にした時点では、絶対に想像などしきれない。
 パッと見はスモークスクリーンとよく似ているような変形だが、実際はまったく違う。
 とにかく、この腕周辺の変形は大変ストレスを感じさせるもので、「もう少し簡略化できたんじゃないか?」と思わされてしまうほどだ。
 逆に言えば、それだけ緻密な設計が行われたという事なのだろうが、ユーザーが困惑してしまうほど難しいというのは、やはりどうかと感じてしまう。

 このグリムロック、実は「マニュアルが間違っている」という致命的な問題がある。
 ただでさえ複雑な変形行程だというのに、マニュアルが不正確だと益々ややこしい。
 これは、かなり致命的な問題だろう。

 と言っても、実際の「あからさまな間違い」は、ほとんど誤植だけだ。
 行程順番11と12の図にて、ボンネットを指してバンパーと表記している部分だけで、それ以外は一応間違えてはいない。

※バイナルテック・グリムロックの取扱説明書より引用

 一部で問題視されている、行程順番10の「※反対側も同様に行います」という説明は両腕全体を同時に引き出せという意味なので、わかりにくい表記ではあるものの間違いとは言えない。

※バイナルテック・グリムロックの取扱説明書より引用

 図面のアングルが真横からのものなので、腕を片方ずつ引き出すものと勘違いされないよう説明を加えたが、それが裏目に出てしまったというパターンだろう。

 だが、これよりも遙かに大きな問題がある。
 それは、行程順番13から16
 一番の要となる「腕の変形行程の説明」なのだが、実はコレ、変形箇所をブロック単位で区切って説明されているため、腕周辺のパーツが他箇所に干渉する前提を欠いている。
 一例が、変形行程14。

※バイナルテック・グリムロックの取扱説明書より引用

 これだけ見るとなんて事のない図式のように思えるが、実はこの時点でドアパーツはかなりきわどい配置で、本体フロントフェンダー周辺にぶつかるかどうか、ギリギリの状態になっているのだ。
 この図のように変形させようとすると、ドアがポロポロはずれたり、フェンダー下部のとがった部分がドア表面の塗装膜を傷つけてしまう危険が出てくる。
 実際の変形では、パーツの弾力性に頼ってドアパーツをフェンダーの外側に逃がすのが一番だが、面倒ならいっその事、ここでドアを外してしまうのもいい。
 無理に変形行程を再現して傷つけてしまうよりはよっぽどいいのだが、ここで、マニュアルと実際の玩具取り扱い上の差違が大きく出てくる。
 もちろん、ドアを外す事なく、またパーツ干渉をさせないように変形させる事も可能ではある。
 だが、それは相当いじり慣れていないと不可能だし、確実性はあまり高くない。

 行程順番15は、図では軽快に動かしているが、実際こんなにスムーズにはいかない。

※バイナルテック・グリムロックの取扱説明書より引用

 またここは、本来なら「肩の付け根」にあたるヒンジの形状をどう保つかの説明を必要とされる部分なのだが、それについて何のフォローもないので、大問題になる。
 グリムロックの肩の付け根は二重ヒンジ式になっており、これの形状をどう整えるかが変形の可否を分けるほど大事な部分なのだ。
 これを把握していないと、極端な話、何時間いじっていてもビークルモードに戻す事が出来なくなる。
 それだけ大事な部分な筈なのにも関わらず説明を欠いているものだから、初変形時は、腕全体の状況把握が異常に難しく感じられてしまう。
 もちろん図面上では、このヒンジ部分の形状について何も間違えてはいない。
 だが、それですべて良いという事にはならないのだ。
 行程順番10の右側の図、ドアとタイヤに挟まれた部分に注目していただきたい。

※バイナルテック・グリムロックの取扱説明書より引用

 ロボットからビークルに戻す際、腕の部分がこの図面と完全一致しないと、絶対に元に戻せない。
 しかし、ヒンジ形状の説明が欠かれた状態では、この形に戻す事そのものが困難になってしまうのだ。
 ビークルに戻す際、この二重ヒンジを思わぬ方向…具体的には“腹部側に折り曲げる”ようにしないとならない。
 当然、それと連動させてドアの位置や肩の回転方向なども調整しなくてはならないのだが、これも「二重ヒンジをどう回せばどう落ち着くか」という説明がない状態で行うのは至難の業。
 大概において、複雑な変形行程というものは、一度完成させてしまうと部分的に忘れてしまうものだからだ。

 バイナルテックのマニュアルは、以前から大変分かりづらいものだったが、今回はその集大成だったと言い切っていいだろう。
 以前のような、黒地に白線画で印刷されたものだったとしたら、益々混乱してしまったかもしれない。

 パーツのはまりが悪いというのも、取り上げなければならない。
 グリムロックは、ずいぶんとゆとりのないパーツ編成で成り立っているようで、一度変形させると、きっちり完璧に戻す事が突然困難になってしまう。

 たとえば、ボンネットが完全に閉じない事とか。
 ビークル形態に戻した時、フロントウインドウのパーツ(正確には、ボンネットの下に潜り込むワイパー部分)が干渉して、ボンネット基部を持ち上げてしまう。
 その結果、ボンネットがわずかに浮き上がり、フロントフェンダーへのカーブが途切れてしまう。
 個体差なのかもしれないが、筆者所有のものはすべてのパーツ干渉を入念にチェックした上で、改善不能と判断せざるを得ない状態だ。
 また、グリムロックの首周辺変形時、フロントウインドウ部分を折り曲げるとボンネットがきちんと閉じるので、やはりこれが原因だとしか言えない。
 かといって、フロントウインドウの配置をゆがませるような要素も他に見受けられない。
 これは大変な違和感を感じさせてしまう部分なので、なんとかしたいのだが…どうしようもない。

 ボディ全体にも、ゆがみが発生しやすい。
 ビークルモードにした際、ドア周辺に無駄な隙間が生じたり、サイドラインが綺麗にまとまらなかったりしやすい。
 各所のパーツのずれが、全体に影響を及ぼしているのかもしれないが、一番の難点は、ビークル本体下部の要となっているシャーシ(エネルゴソードを固定しているプレート)だろう。
 これが、浮くんだよねえ。
 回転機構のある腰パーツにつながっているものだから、これが微妙に曲がっていると、ずれて浮いてしまうのだ。
 うーん、でもこの調整、ミリ単位でやらなきゃならんよ。

 その他、細かいところを見てみよう。

  • エネルゴソードが短い
  • フロントバンパー下から拳が覗いているのは、なんとかならなかったものか
  • すね部分から覗いている「意味のないバネパーツ」は何だというのか?
  • 拳の保持力が極端に弱い
  • 座席シートが足の裏になってしまうというのは、大変ばっちぃと思います。

 それ以外にも「股関節が弱すぎる」という意見もあるそうだが、筆者のものは強すぎるくらいガッチリしているので、生憎そういった問題に直面していない。
 これだけは、かなりありがたい気がする。 

 上記の問題のいくつかは「形状の都合でどうしようもない」というものだったりするので、すべてを叩くのはどうかと思われる。
 特にエネルゴソードは、シャーシ裏にホールドするという都合上、腕を収納するブロックや脚になる部分に食い込むほど伸ばす訳にはいかなかったのだろう。
 それでも、前腕部ギリギリにまで伸ばされているのだから、可能な範囲で精一杯頑張ったのだろうという気がする。
 肩パーツ部分にまで刀身が食い込んでいるのだから、本当に、これ以上の長さにするのは無理がある
 かといって、ソードの収納をあきらめて完全別パーツ化されてしまうと、それはさらなる興醒めを招くだろう。

 フロントバンパーの真下に位置する拳パーツは、その形状から他の位置に逃がす事が出来ないのは理解出来る。
 最初から、その位置に拳が来ないように設計すれば良かったのに、という指摘も出来なくはないが、それを呑み込んだとしても、ちょっと納得できない部分がある。
 それは、ビークルモード時に拳が正しく並列にならず、ややよじれた感じで固まってしまう事だ。

 グリムロックの拳は、ビークル時は甲にあたる部分を下側に向けて収納されている。
 お手すきの人は、ちょっと両拳を握って、甲を下にした状態で小指側をくっつけてみていただきたい。
 そんな状態で、指を前側に向けてフロントバンパーの真下に入っている訳だ。
 ところが、この状態だとそれぞれの親指がバンパー裏側のパーツに接触してしまい、どうしても拳が傾いてしまう。
 結果的に、両拳が綺麗に揃わず、斜めになった状態になってしまう。
 これは、ちょっと気になる。
 で、よく見たら、なんとパンバー裏側に設置されたメッキパーツ…グリムロックの首の軸を支えている部品のネジ穴が接触の原因だった。
 このパーツはフロントグリルと一体化しており、完全に内側に潜っているにもかかわらずメッキされているという変わったものなのだが、ちょっと固定ポイントの配置をミスったようだ(もっとも、他に最適な部分があったかどうか疑問ではあるが)。
 小指側を内側に傾け、「八の字」型に整えて収納しても、結局同じ事になってしまう。
 これは、あまり言いたくない表現だが「設計ミス」という事になってしまうのだろうか。
 なお、親指を内側に向けて収納する事は根本的に不可能なので、現状、有効な対処法が見あたらない。

 拳の保持力の弱さは、スタナー・レーザーを持たせるとよく分かる。
 というか、正確にはこれは拳の問題ではなく、武器の方がまずいのかも。
 バイナルテックシリーズの武器の一部は、グリップ部分に凸ジョイントがあり、これを手のひらの凹ジョイントに差す事で安定を図るようになっていて、グリムロックの武器もそのパターンなのだが、なぜかスタナー・レーザーだけはちょっと傾けただけでジョイントが外れ、手の中で遊んでしまう。
 エネルゴソードはがっちりはまるので、そんな事はまず起こらないのだが。
 で、この凸ジョイントをエネルゴソードのものと比較してみたら、どうもスタナー・レーザーのものは、パッと見で2/3くらいの長さしかないようだ。

 すねパーツにある謎のスプリングは、変形時にもロボットモード時にも、何の役にも立たない不思議なものだ。

 恐らく、脚部サスペンションのモールドを表現しているつもりなのだろう。
 …こんなに細いスプリングを組み込まれても、迫力不足で面白くもなんともないが。
 でも、こういう無意味な処理は、個人的には大好きなのでちょっとだけ悦んでおきたい。
 足の裏は…みんなが考えただろうね。
 雨の日にロボットモード時になって、それから元に戻ったりしたら、人が乗れないよ絶対。
 ぬかるみ道とかだったら、もう得も言われぬ惨状が室内に…。
 いや、別に玩具的には面白いから、決して欠点というわけじゃないんだけど。

●総合評価

 もし、この商品を一言で「良いか悪いか」表現しろ、と言われたら、筆者は大変困ってしまうだろう。
 それは、プロポーションの良さや明確なオリジナリティの主張という魅力的なポイントに対して、上記までで挙げてきた問題点が多すぎるからだ。
 個人的には、問題点の方が比率的に多いように思える。
 で、これが、ユーザーの思い入れなどによって解消しきれるものなのかどうか、大変微妙なのだ。

 以前、スモークスクリーン(初期)を指して「玩具としては失格の出来」と表現したが、これは「変形後のプロポーションに致命的な影響が出る」構造だったためだ。
 対してこのグリムロックは、プロセスが難解すぎるものの、変形後の外観に影響が出る事はまずない。
 変形過程で投げ出される事はあるかもしれないが。
 うまく表現できないが、「玩具としてギリギリの許容点?」かもしれないという印象だ。
 はっきり失格! と言い切れる部分がない代わりに、すっきりしない部分が多いから。
 ちなみに、筆者は初変形→ビークル戻しの際、腕部分でてこずって約2時間を費やした。
 スモークスクリーンの時の倍の時間だが、それでもアレの場合は、ビークルモードに戻す事そのものは迷わなかったものなあ。
 う〜ん、だんだん自分の評価に自信が持てなくなってきた…。

 いずれにしても、ユーザーに大変なストレスを与える存在である事は確かなので、購入予定の人は、数多くの問題点を乗り越える覚悟を決めた上で手を付けた方がいいかもしれない。

 限りなくお奨めしかねる秀作…とでも表現すればいいだろうか?

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 で、次はこれ「トラックス」。

■TRANSFORMERS バイナルテック「トラックス」 定価\4,980


  • トラックス本体
  • ブラック・ビームガン
  • 取扱説明書
  • キャラクターカード

●概要

 バイナルテックシリーズで、元と同じ車種で復活した初のキャラクター(ハウンドは車種が違うからね)。
 それがトラックス。
 ただし、同じ車種…といってもまったく同一ではなく、シボレー・コルベットZ06(2001年型)になっている。
 たった一年間しか生産されなかった幻のプレミアマシンで、2速で100キロに達する385PSのモンスターマシン。
 これが、以前のトラックスの特徴を捉えた、実に見事なトランスフォームを行う。

 ただし、そのボディカラーは…なぜかイエローになってしまった。
 さらに、特徴的だったボンネットのファイヤーパターンも消滅。
 それが大変残念で、同じ事を考えた人の慟哭は凄まじかった。
 当然、フライトモードへの変形も不可能。
 ただ、これはしょうがないよね、と。
 これだけ精密なモデルでロボットになって、さらにフライトモードになるのだとしたら…どんな複雑怪奇な商品になったことか!

●セールスポイント

 トラックスは、ビークルモードよりもロボットモードに、見所が集中している。
 とりあえず、ビークルモードから順番に見ていこう。

 シボレー・コルベット。
 ボンネットとドアが展開するが、今回はトランクの開閉はオミット。
 そのすぐ下に腕が収納されているのだから、当然なんだけど。
 その他、リトラクタブルヘッドライトの開閉ギミックもない。
 これも、パーツ構成の関係で困難なのかも。
 ヘタな事をすると、ボンネットとライトカバーの間におかしな隙間が出来てしまう可能性もあるから、これはこれでいいのかな、と個人的には納得しているけど。
 この辺の再現は、今後の課題になるのかな。
 ステアリングは可動式。
 その他、なぜかドアミラーが上下に可動する。
 これは、ロボットモード時に邪魔にならないための配慮ではないかと推察できる。
 内側に畳んでしまえば、ロボットモード時のラインが崩れる事もない。

 元がスマートな車種であるため、「膨張色」であるイエロー塗装でもスリムな印象を崩していないのは、さすが。
 ギミックの関係上、リアウインドウから腕部パーツが覗いていたり、ステップ付近が底抜けになってしまっていてちょっと違和感があるが、飾っておく分にはほとんど気にならない。
 室内表現は相変わらずなかなか…といいたいが、シート上部から天井部分にかけて、リアウインドウ部分を支える支柱パーツが露出してしまっている。
 人によっては、これをロールバーに見立てて納得する事もできるかもしれないが、人によっては違和感があるかもしれない。

 ドアを開けると、サイドステップ部分にロケットエンジン(ロボットモード時に肩から伸びているパーツ)が覗いているのが、ちょっとお茶目。
 しかしよく考えると、普段こんな位置にあるパーツがロボットモード時には肩に行くというのは、ちょっとすごいかも。
 こんな風に、トラックスの場合は「あのパーツがこんな所に!」と思わされる部分が多い。

 変形過程は、かなりスタンダード。
 フロントノーズが脚部になり、リア部全体が肩と腕部を構成し、それ以外の部分が胴体全体を司る。
 ただし、トラックスの場合はロボットモード時の正面に車両のパーツがほとんど見られなくなるため、なんとなく「コルベット型の装甲をまとっているロボット」という印象になってしまう。
 それだけビークルモードとの一体感に欠ける訳だが、同時に、外観が想像以上に大きく変化する事をも意味する。
 変形前と変形後の姿にギャップがあるほど嬉しいという人には、悦ばれるかもしれない。

▼ 変形プロセス図解(簡略版)

 次に、ロボットモード。
 ずいぶん派手なスタイルになっており、他のバイナルテックと比べても異質な外観になっている。
 ボディに対して異様に大きい肩と、かなり特殊な構造の上腕、二基のロケットエンジン、脚の横に垂れ下がるドアパーツ(装甲)。
 そして最大の特徴は、胸部のサイバトロンマーク。
 胸部は車のウインドウ型になっており、天井部分にマークがプリントされているのだが、このウインドウはビークルモード時のものではない。

 よく見ると、ビークルモード時のものにしては形状が変だし、そもそもサイズが合っていない。
 この謎のパーツは、ビークルモード時には、わざわざリアシャーシ部分に畳んで収納されているダミーなのだ。
 つまり、トラックスはこのダミーウインドウを含め、全部で二つのフロントウインドウを持っている事になる。
 なぜ、わざわざこんなものを収納しているのかというと、それは旧トラックスの意匠を再現しているためだ。
 以前のトラックスは、胸の位置にウインドウが来ていたから。
 なんともはや、ずいぶんとこだわったものだと、素直に感心しておきたい。

 かなり大型の前腕部には、固定武装のプラズマショットガンが装備されている。
 これは、よくあるバー引出式でスライドするもので、重装備というイメージを強めるものだ。
 こういう固定武装は、グリムロックまでのシリーズの中では唯一である。
 
 一見、真横回転しか出来なさそうな頭部は、ちゃんとボールジョイントを使用されているので、上を向く事も可能。
 ただしこの場合、あまり大きな可動はしない。

●問題点

 実はこのトラックス、問題点の方がセールスポイントよりも多い。
 あらゆるところに難点が点在しているのだ。
 一つずつ見ていこう。

 まず、ロボットモード。
 四肢のバランスが悪く、胴体の大きさとのギャップがすごく、また可動範囲もおかしな方向に限定されているため、ポージング制約が異常に多くなってしまっている。
 さらに、腰も無可動。
 加えて、足首が横方向にしか回転しないため、接地性が最悪。
 トラックスは、その全体構成から重心が分散しており、大変微妙なバランスを要求されるのだが、それに対する処置が皆無というのは、いかがなものか。
 足首が斜めに向くようなポーズを取る場合、かかと部分を折り曲げて体重を逃がす事が必須になるが、足の甲全体が「く」の字型に曲がってしまうため、大変かっこわるい。
 さらにさらに、脚部全体の裏面に回っているコルベットのフロントノーズ部分が、膝の伸縮の際に干渉してしまうという欠点がある。
 このため、せっかくの二重膝関節が何にも効果を発揮できない。
 そんなこんなで、八の字立ちがまともに決まらず、場合によっては起立状態の維持すら難しいという、大変困った作りになってしまっている。
 これは、外観からは決して判別し切れない、重大なウィークポイントだ。

 前腕部は、もっとひどい。
 肩装甲の前面部を基部に、前後にスイングするだけの構造の上、前腕部に比べて異様に短いため、腕のポーズに極端な制約をかけてしまう。
 また、前腕部をつなぐボールジョイントの基部も、上腕部の裏側に設定されているため、前腕部を回転させる事が出来ない。
 つまり、プラズマショットガンを上に向けて、銃口を正面に向けようとした場合、前腕パーツが上腕パーツ側面にぶつかってしまい、回転してくれないのだ。
 そのため、結果的にポーズが取れなくなってしまう。
 これは、ボールジョイントの位置を調整すれば簡単に解決できた筈の問題なので、大変遺憾。
 腕に銃を装備したロボットが、それを活かした射撃ポージング取れないって、どーいう事よ?!(怒)

 白い成形色、赤い塗装の施されたフェイス…凄まじいセンスの頭部は、もっとも目立つ問題点か。
 これは、胸部パーツ同様旧デザインの意匠を継続利用したために発生した難点だ。
 他のボディカラーとのバランスも悪く、何より成形色そのままのためエッジやモールドがすごく甘く見えてしまい、ここだけチープトイのような印象を与えてしまう。
 これは、製品発売前の段階から唱えられていた問題点だったのだが、結局何の修正もされずに発売されてしまった。
 個人的には、旧トランスフォーマーのデザインなど継承する必要性を見いだしていないので、こういう処理はとても疑問に思えてならない。
 せめて複数のホワイトカラーをパーツ別にペイントして立体感を強めたり、顔の色を変えるなりしてほしいものだ。
 つーか、赤い顔なんて素直にかっこわるいとしか思えないしね。

 成形色というと、ロケットエンジンパーツも酷い出来だ。
 頭部同様モールドが甘く見えてしまう上、なんと肉抜き穴が内側…もっとも目に付きやすい方向に対して施されているため、ものすご〜〜〜〜く安っぽい
 せめて、肉抜き穴が上部(サイドステップ部分に埋没するような位置)に向いてくれていれば良かったのに。
 こんな状態のため、とてもこれが亜音速加速を可能たらしめる動力パーツには思えない。
 あ、ちなみに、このパーツの事を「ミサイル」と書いている所も多いけど、それは間違い。
 ロケットエンジンの先端部からミサイルが出る設定になっているので、決してこれ自体がミサイルという訳ではないの。
 詳しくはマニュアルを参照の事。
 
 とにかく、トラックスのロボットモードは、安っぽさを感じさせてしまうという難点に包まれている。
 変形の都合で、そこら中スカスカになっている事、ボディカラーがイエローというのも、チープさを引き立てている原因だろう。
 ギミック自体は大変凝った作りになっているだけに、とても残念だ。

 ビークルモードにも、問題が山積み。

 最初に目立つのは、装甲の分断が目立ちすぎる上、微妙なずれを発生させやすいためにボディラインを崩してしまう事。
 ボンネットやトランクを縦に分断するラインは、変形の都合上仕方ないとしても、リアフェンダー付近の装甲のズレはいかんともしがたい。
 変形後に微調整して整える事が可能ではあるものの、こういう目立つ部分に亀裂が走るのは、どうかと思う。
 そういえば、フロント部分のナンバープレートがボディカラーと同一で塗り分けされていないのはどうしてかな?

 次に頭を抱えてしまうのは、ドアだろう。
 先に挙げた「ドアを開けるとロケットエンジン」というのは容認するとしよう。
 だが、ドアがまともに開けないというのはどうか。
 いや、開く事そのものは普通に行える。
 トラックス・ビークルモードは、ドアの基部のボールジョイントが災いして、従来の自動車のような真横方向への開閉が困難なのだ。
 いざ開こうとすると、斜めに動いてしまう。
 ビークルモード時にドアの可動に支障を来す事は、どうも設計段階でわかっていた事らしい。
 その証拠に、よく見ると、ドアの内側下部に安定用の凸ジョイントが設置されている。

 すっげえ、間抜け

 ドアパーツは、ロボット時には余剰装甲でしかない。
 だからこれが邪魔にならないよう、基部をボールジョイントにしてどんな方向にも逃がせるようにしたのだろう。
 だが、それが肝心のビークルモードに影響を及ぼしてしまっていては、本末転倒以外の何物でもない。
 これも、もう少しよく考えていただきたかった所だ。

 コンパネの表面部分(フロントウインドウのすぐ下に来る、一番目立つ部分)に、変形のための関節が設定されているため、ビークルモードだと、ここに謎の隙間が発生してしまうのもいただけない。
 ついでに言えば、こつがつかめないと、エンジンパーツを取り外すのにも苦労を強いられるのも困る。
 ボンネット開けるのすら、手間取るくらいだものね。
 一度こつを掴めば簡単なんだけど、もう少しわかりやすくして欲しかった感がある。
 エンジンの角を押して外したり、フロントウインドウを少し倒してボンネットを開くとか、慣れないうちは応用を利かせると吉。

 最後に、やはりボディカラーを挙げねばなるまい。
 このイエローカラーは、トラックスらしくないという事を考慮しないとしても、大変問題がある。
 白の成形色云々の部分でも書いたように、明度と彩度が高いカラーリングは、モールドを甘く見せてしまうという欠点があり、トラックスは、それが如実に表れているのだ。
 否、塗料皮膜が厚すぎる部分もあるので、決して色だけの問題ではないが。
 とにかく、この色のせいでかなりもっさりした印象を与えてしまうのは苦しい。
 せっかく全体のボディラインが理想的にまとまっているというのに、細部がこれではいただけない。
 つーか、精密再現が売りの筈だったんじゃなかったっけ? バイナルテックって。

 で、どーしてイエローなんて配色にされたかを考えてみる。
 恐らくだが、これは他のシリーズと並べた場合色が被らないようにするためだったのではないか。
 「青」のスモークスクリーン、「朱色」のランボル、「濃緑」のハウンド、「銀色」のストリーク、「白」のマイスター、「黒」のデッドエンド…こうしてみると、配色の区別化が考慮されていたらしき痕跡は確かに見て取れる。

 だが、バイナルテックシリーズはリデコ商品もあるため種類が多く、必然的に同系色や似た色なども使って行かなくてはならなくなる。
 現に、「銀色」ではグリムロックが存在し、「朱色」も、「赤」バージョンのマイスターが出た事でやや被った。
 正確には、それぞれ微妙に色が違っているので、完全な同色ではないのだが。
 「黄」にしても、ハウンドのリデコである「スィンドル」が登場してしまった。
 こうなる事は最初から見えていた事なのだから、無理に色の重複を懸念する必要はなかっただろう。
 最初から、本来のブルー基調のボディカラーにすれば良かったのだ。
 青の方が、モールドのシャープさを引き立てる事ができるし、第一もっさり感がない。
 加えて、変形時の装甲干渉による塗装ハゲが、イエローより目立たないという利点がある。
 イエロー・トラックスは、長くいじっていると各部で塗装ハゲが目立ってしまう。
 これじゃあ、イエローを採用した事のメリットが全然ないではないか?

 「でも、ブルー彩色のトラックスは出ていないんだから、これで納得するしかないんじゃないの?」…とお考えの方もおられるだろう。

 ところが、出てしまったのだ。
 ブル−バージョンのトラックスが
 イエロー版発売の約三ヶ月後、あの深いブルーカラーのトラックスが。
 しかも、ご丁寧にボンネットのファイヤーパターンを再現するステッカーまで添付して
 それ以外の変更はなし。

 こんなんなら、最初からブルーバージョンで出せばよかっただけの話だろうよ、と。

●総合評価

 あくまで個人的な感想を言わせてもらえれば、「現状一番ひどいバイナルテック」。
 筆者には、問題点ばかりが目立ってしまい、どうしても思い入れが見出せない。
 購入前は、複雑そうなパーツ可変やロボットモードのスタイルに見惚れたものだが、今となってはほとんど魅力を感じない。
 実は、この商品は以前にも一度、コラムを書いて「気分屋な記聞」に掲載するつもりだった。
 だが、あまりにも問題指摘の内容に偏りすぎてしまったため、途中で辞めてしまったという経緯がある。
 購入してから数ヶ月、ようやく気持ちも落ち着き、良い部分も見出せるようになったので、再び書き直したのが、この原稿である。
 いやもう、元車がコルベットじゃなかったら、とっくに処分しちまってたかも。

 個人的な感想はともかく、世間的にも、このトラックスは多く叩かれたようだ。
 実は、上記までで筆者がまとめてきたものよりも、遙かにきつく厳しい指摘が、一時期ネット上に溢れていた。
 満を持して登場したような感のある商品だったのに、可哀想ではある。
 でも、これでは…仕方ないかな、とも思うわけで。

 実は、筆者は現在、ブルーバージョンを買うべきか真剣に悩んでいる。
 元々のトラックスに思い入れが皆無な上、基本的に玩具にステッカーは貼らない主義なので、いくらそちらの方が「らしく」出来ていても、ふんぎりがつかないのだ。

 …なんでステッカー貼るの嫌なのかって?
 ステッカーが経年劣化してみっともなくなるのと、付着したのりの材質劣化による影響の可能性を懸念しているから。
 以前、中古玩具業界にもちょっと首を突っ込んだ事があったんだけど、それを機会に、シール・ステッカー貼りが本当に嫌になっちゃったと。
 劣化したセロテープやシールによって状態が劣悪化した玩具を、嫌になるほど見てきたから。

 だから実は、筆者はタンポ印刷大推奨派だったりする。
 もっとも、トラックスのファイヤーパターンを全部タンポ印刷せぇなんて無茶は言わないけど。

 閑話休題。
 トラックスは、もしこれから買うというのなら、ブルーを選択する方が賢明。
 この色が気に入っているという人や、よほどお得な値段で購入できる場合を除いて、イエローは激烈にお奨めしかねる。
 ただし、玩具的な楽しさや、変形のスムーズさについてはかなり良い感じなので、いじり倒すという前提で求めるなら、それはそれでいいのかもしれない。
 唯一、脚部伸縮の際にストレスが生じやすいけど。

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■総括

 バイナルテックシリーズは、グリムロックで10番目の商品となった。
 気が付いたら、もう結構な数が出ている。
 筆者は、なるべくリデコ版の商品は買わないようにしているが(デッドエンドのみ例外。アレは惚れたので♪)、それだけでもすでに五台目。
 未購入のマイスターを加えると、実質的に六種類になった訳だ。
 個人的には、旧トランスフォーマーキャラクターの再現よりも、変形機構付き精密カーモデルの展開を優先していただきたいという気持ちがあるので、リデコによるキャラ増加を続ける傾向には、大きな疑問を感じてしまう。
 スモークスクリーンなどは、ナンバーの違いを含めて4種類もあるわけで。
 一台につき五千円以上もするのだから、似たようなのを増やすよりも、新規造形を増やす方に神経を使っていただきたい…とメーカーに懇願する私は、あまりTFが好きではない(ハッキリ言えば嫌い)からそんな風に思ってしまうのだろうか。
 旧来のTFファンの方は、バイナルテックの現状にどこまで満足されているのか…
 ちょっとだけ、そんな事に興味を抱いてしまった今日この頃。
 さんざん文句を言ったグリムロックも、立派なオリジナルなんだよなと結局満足し、トラックスにしても、100%嫌いにはなれず、時々いじくってしまったりする訳で。
 書いてる事と現実が、全然リンクしてないな、自分。

 聞くところによると、次はまたトラックスのリデコ版が出るとか、不安な情報が…
 それに、また今年も「スモークスクリーン」の新版が出るのだろうか。
 いや、WRCの事詳しくないから、その辺どーなるのか、全然知らないんだけど。

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