吸血殲鬼ヴェドゴニア


 自分が吸血鬼になるまであと数日、その間に自分を咬んだ吸血鬼を滅ぼさなければ…。

 
1.メーカー名:Nitro+
2.ジャンル:ADV(リアルタイムバトルあり)
3.ストーリー完成度:B
4.H度:B
5.オススメ度:C
6.攻略難易度:D
7.その他:十字架が出てこない吸血鬼物って初めて見たような…。
 
(ストーリー)
 主人公:伊藤惣太は高校2年生。軽音楽部で白柳弥沙子、鏡子と共に文化祭でのライブの練習に打ち込む毎日を送っている。
 ある日、帰宅途中にロードヴァンパイア:リァノーンに咬まれたことから、大量失血すると吸血鬼化するヴェドゴニアになってしまった。
 このままでは症状が進行し、10日後には完全な吸血鬼になってしまう。
 それを防ぐには、吸血鬼になりきる前にリァノーンを滅ぼすしかない。
 惣太は自分を助けてくれたヴァンパイアハンター:フリッツ、モーラに協力し、リァノーンのいるイノヴェルチと戦う決意をした。
 
 
 鷹羽にしては珍しく、既に柏木女王、きっか氏によってレビューされているゲームに、しかも両名のレビューを見た後で手を出してしまった。
 通常、内容をある程度知ってしまうとやる気をなくすんですけどね。
 まぁ、ここに至る経緯には、きっか氏のメール攻撃やら色々な理由があったのだけど、忙しくて記憶が混乱した隙にやってみることにした次第。
 
 とりあえず、例によって鷹羽がクリアした順番に各シナリオを見ていくことにしよう。
 
 
(リァノーンシナリオ)評価:A
 香織クリア前に弥沙子ルートを辿ったら到達した。
 リァノーンの孤独を知り、仲間であったフリッツやモーラをも含めた人間の汚さに怒りを覚えた惣太が、人間であることを捨ててリァノーンと共に永遠を生きるシナリオで、元は弥沙子シナリオからの付け足しだったらしいが、逆にこれこそが真のエンディングですらないかと思えるような深い物語だ。
 人間として生活していたころのことを全て捨て去り、リァノーンと共に永遠に生きる惣太が、人間だったころの自分を知っている人がいなくなることを悲しむという、ごく当たり前の感情が素直に描かれている。
 2000年という悠久の時を生きてきたリァノーンの悲しみを想い、『まだたった80年』と自嘲する惣太と、『最初の100年が一番辛かった』と慰めるリァノーン。
 実のところ、リァノーンが最初から知っていた人は、彼女がヴァンパイアになった時点で死滅しており、彼女が言っているのは、恐らくその後知り合った人達が死んでいくのを見ていたということなのだろう。
 しかし、『一番辛かった』ということは“そのうちに慣れてしまう”ということを示唆するものでもあり、“永遠に生きる”という苦しみから目をそらす術を身に付けてしまうということなのだろう。
 また、“互いにかけがえのない伴侶”である惣太とリァノーンに対し、惣太への失恋を乗り越えて結婚し、子を産み、老いて死んでいった弥沙子を描くことで、過去を背負いながらも前を向いて生きていく“人間”の姿と対比している。
 “それでも人は生きていかなければならない”のだから。
 そんな鉄則をきちんと守って生きていった弥沙子はリアルだと思う。
 
 また、このシナリオでは、鏡子を撃ったフリッツに対して惣太が明確な殺意を抱いている。
 フリッツをしばき倒したときに溜飲を下げたのは、鷹羽だけではないだろう。
 ただ、その後モーラ達が登場しないため、生き延びたリァノーンに対してフリッツやモーラがどう対応したのか全く描かれていないのが画竜点睛を欠いた。
 80年も経てば、当然フリッツは死んでいるはずだが、モーラは生きているだろう。
 標的であったリァノーンを諦めたのか、その後も追い続けたのか、その辺りを描いてくれたら、最高のシナリオになったのだけど。
 
 
(来栖香織シナリオ)評価:B
 とにかく考えなしの香織の行動が鼻につく。
 ヴァンパイア化した弥沙子に一度ひどい目に遭わされておきながら、一晩でそれを忘れて、しかも吸血鬼相手に夜出掛けていくという香織の無謀さ。
 とんでもないシナリオになりそうなものだが、これがなかなか悪くない。
 これは1つには、ウピエル、弥沙子、モーラといった脇を固めるキャラが美味しかったからだ。
 弥沙子&リァノーンシナリオで弥沙子が聞いているヘヴィメタのヴォーカルがウピエル自身だということ、“救えた人数を数えて励みにする”モーラなど、ほかのシナリオでちょっと触れた内容を上手く生かした演出が冴えている。
 特に弥沙子の描写は、一見とんでもないようだが実は理に適っている。
 内罰的で自意識過剰だった弥沙子が、ヴァンパイアとなってエゴを解放されたために、かつてコンプレックスを抱いた香織に復讐する流れは分かりやすいものだ。
 また、弥沙子の願いは“伊藤惣太を自分のものにする”ことであり、惣太を庇って死んでいくことに違和感がない。
 その一方で、己が下僕を“自分の物”として認識しているウピエルもあながち間違いではなく、ウピエルの認識と実際のギャップがこのシナリオのキモとなっている。
 ウピエルは、決して弥沙子に愛情を抱いてはいなかった。
 彼の怒りは、自分のオモチャを横取りした惣太に向けられただけだ、と思う。
 
 それと、香織とのHシーンで、惣太が実に何気なく香織の血を吸っているのが素晴らしい。
 “吸血衝動と性衝動がリンクしている”というゲーム内での設定が綺麗にはまっている上、それが最終決戦への動機となるなど、演出上も非常に生きている。
 高まりきった官能の中で、血を吸っていたことに気付くなど、いよいよ吸血鬼になりきりつつある惣太の表現としては最上級のものだろう。
 『反応が異常だとは思わなかった』という冷静な描写は興を削ぐが、シナリオ当初の印象よりずっと良かった。
 
 
(モーラシナリオ)評価:D
 クールで冷静、しかも人間離れした運動能力を持つモーラの内面を見せるためのシナリオだが、実のところ、一番困っちゃうシナリオでもある。
 確かにモーラが昼間から平気な顔で歩き回っていることから、惣太がモーラを人間の少女だと考えるのは正しい。
 だが、モーラが日光に弱いことをプレイヤーは知っている。
 この“プレイヤーと惣太の認識の差異”がこのシナリオの評価を下げる原因になっている。
 このゲームは、複数のキャラクターの一人称による進行という、かなりまずい構成を取っているため、プレイヤーにもどかしい想いをさせることが多い。
 その最たるものがこのシナリオだろう。
 最初にこのシナリオに到達したとしても、最初からモーラが日差しにダメージを受けているのを見れば、モーラが普通の人間でないことはすぐに分かる。
 だから、モーラの怪我がたちどころに治ったとしても、プレイヤーは納得できてしまうのだ。
 そんなわけで、サスペンスがサスペンスとして機能していないのが残念だった。
 
 結局のところ、このシナリオでは、“モーラと一緒に10年も血で血を洗う戦いを続けた人間がどうなるのか”ということを、フリッツと惣太とで比較して見せたかったのだ。
 フリッツは、モーラと共にあるためだけに戦い、モーラの父と同種である吸血鬼を憎み、モーラを迫害した人間を憎んでいる。
 “モーラが憎むであろう相手を殺す”ことを目的として戦ってきたフリッツは、10年の間に心が荒みきってしまっていた。
 対して惣太は、10年経って狂暴な目をするようになったが、それでもモーラを暖かく包む心はなくさなかった。
 このシナリオの展開は、この2人の対比のためにあるのだろう。
 
 だが、そんな対比自体が無意味だとも言えるのだ。
 惣太が変質しなかったのは、単にモーラと肉体関係を持っていたからにすぎない。
 モーラとの間に愛情を感じているからこそ、惣太はモーラと暮らすために戦っていられた。
 フリッツは、兄妹であるが故に一歩引いて悶々としてい続けたために歪んでしまったのだ。
 
 鷹羽としては、そんなことより、フリッツが言っていたとおり、惣太が永遠の命を捨てたことの方が大問題だと思う。
 ダンピールが成長しないというのが通説かどうか知らないが、少なくともモーラはかなり長生きすることが分かり切っている。
 そんなモーラと本気で一緒に生きるつもりなら、ロードヴァンパイアとしての永遠の命を手放すのは愚かとしか思えない。
 どんなにモーラと愛し合っても、いずれ惣太は死んでしまう。
 その時、残されたモーラはどうなるのか。
 愛する男が年老いて死んでいくのを見守るほかないモーラの心情を考えるなら、リァノーンを救出して数日待ち、惣太が完全にヴァンパイア化してからリァノーンを滅ぼすべきだろう。
 そうすれば、フリッツごとき小物など歯牙にも掛けずに倒せたものを。
 ヴァンパイアを狩るヴァンパイア…、元々ダンピールであるために、ほかのヴァンパイアハンターと組むことのできないモーラなら、さほど問題もないと思う。
 モーラの目的は、“自分と同じ境遇の人間を作らないため”にヴァンパイアを滅ぼすことであり、その危険のないヴァンパイアなら、放置しても構わないはずだ。
 つまり、惣太が人を襲わない(輸血用の血や動物の血で我慢できる、或いはイノヴェルチの人間などの血だけ吸う)保証がある以上、ヴァンパイアになっても何ら問題はないはずだ。
 これは宗教観が絡めば難しい問題にもなりかねないが、こと『ヴェドゴニア』に関する限り、宗教観の出る幕はほとんどないようにも見える(十字架1つ出やしない)ので、構わないのではないだろうか。
 
 ところで、モーラの処女膜が外傷として治癒してしまうことだが、どうも柏木女王が書いているとおり“永遠の処女”としての意味にしか感じられないのは困ったもんだ。
 鷹羽が聞きかじったところによると、処女を嫌う男が挙げる嫌な理由としては
   濡れにくいし痛がるから面倒
   肉体的な反応が弱いからつまらない
などで、処女好きが挙げる理由は
   涙をにじませて痛がる姿がいい
   これまで守ってきた純潔を自分に許したという精神的充足(征服欲)
   ほかの男の色に染まっていないことによる独占欲の充足
   鈍い肉体反応が初々しい
   ほかの男のテクと比べられない安心感(おいおい、情けないねぇ)
といったところらしい。
 モーラの場合、外見が幼く、中身は実年齢以上に大人で、甘えたい願望があり、毎回処女膜があるが肉体反応は1回毎に成長していく……どうもどちらの欲求もクリアできるような気がする。
 ただ、一応制作者側を弁護しておくと、モーラの処女膜が再生することの意味は“傷が治るんだから、処女膜も再生するはず”という面と、1回ごとの痛々しさを描いているだけで他意はないんじゃないかな〜(希望的観測)。
 でもやっぱり、このことをほかの意味に繋げられなかったのが惜しかった。

 それでも、肉体的に未成熟であることにモーラが強烈なコンプレックスを抱いていることの描写がしっかりしていたのは好感が持てる。
 テーマ自体はいいが、行動選択として納得できないというのが、評価Dの理由だ。
 あ、あと、ナハツェーラーがモーラの実父だったってのは、きっか氏も書いているとおり、陳腐だね。
 モーラが自分の娘だということをどうして知ったのか(生年月日と出生地をフリッツから聞く以外に方法はなかろう)とか、ちょっとした慰み者の顔を20年も覚えているのかって疑問とかね。
 
 
(白柳弥沙子シナリオ)評価(Hなし:A、Hあり:C)
 弥沙子のシナリオには、途中経過でHありとHなしの2パターンあるが、Hなしの方が断然いい。
 というのは、Hなしが“全てを乗り越えた上で、弥沙子との愛を貫くため人間に戻ることを選んだ”のに対し、Hありだと“弥沙子を救うためにリァノーンを滅ぼさなければならない”という香織シナリオ同様のパターンに陥ってしまうからだ。
 ただ、Hありの方でないと決裂後のモーラや鏡子がどうなったかが分からないから、本来はこっちがメインルートなのだろう。
 サブルートであるHなしの方が鷹羽的評価が高いのは皮肉なことだ。
 
 このシナリオは、香織は事件に無関係、鏡子は助かり弥沙子と惣太が恋人になるという惣太の周辺に最も影響の少ないシナリオであり、EDの使い方もほかと違っていることから、トゥルーエンドとして作られていると思われる。
 リァノーンの悲しみや孤独を理解した上で、安息の死を与えるしかなかった惣太からの、彼女に対するレクイエム…それがエンディング曲『MOON TEARS』だ。
   やさしい眼差し 散り行く最期に想う
   STAY IN MY HEART この地の果てまで届かぬ嘆きを抱いて眠れ
   朝陽(ひかり)に映る思い遠く
   暗闇に舞う不死鳥(とり)のように
という歌詞の内容も、それに相応しいものになっていて、実に納得できる展開だ。
 Hなしの方がこれに相応しい気がするのは…気のせいだろうか?
 
 という具合で、柏木女王の言うとおり、確かにノリで読み進めていくタイプの物語ではあるが、鷹羽的には、テーマ自体はなかなかいいモノを持っていると思える。
 
 結局、このゲームの主題は、リァノーンの悲しみと、眠り続けるリァノーンを取り巻く人間達の悪意に対する惣太の怒りであって、ヴァンパイアというネタ自体が、元々それを描くための狂言回しに過ぎないのかもしれない。
 共に戦う仲間であるはずのフリッツは、あくまでモーラと共にあるためだけに戦っているのであって、惣太を戦力としてしか評価していない。
 どのシナリオでも“使えるから武器代わりにしよう”という意図がありありと窺え、惣太を利用しているに過ぎないことがはっきりしている。
 惣太にとって、それはイノヴェルチと大差ないことであり、だからこそ最終的にフリッツと惣太が和解するエンディングは存在しないのだ。
 フリッツは、モーラを思う兄としての自分のために戦っているからだ。
 対してモーラは、自我を保つために戦う理由を必要とし、だからこそ惣太を人間に戻すことに躍起になっている。
 それぞれのキャラクターの行動に違和感がないのは、とても重要なことだから。
 
 ただ、やはり展開がキャラクターに合わせて強引に分岐していくので、統一感を欠き、総合的な構成は減点が大きくなってしまった。
 少なくとも、キャラクターの性格などは、どのシナリオを見ても統一されていて、好感が持てる。
 弥沙子&リァノーンシナリオで、リァノーンの服を届けるために学校を休んでしまう弥沙子の突拍子のなさと後先考えない行動力は、普段の気弱な自分から脱却することを求めている彼女のパトスの暴走であって、これが力を与えられて解放されるとあのヴァンパイア弥沙子が誕生するのだなぁと思える。
 
 
 
(総評)

 そんなわけで、決してストーリーが皆無というわけではないこの『ヴェドゴニア』、主な不満点はシステムと設定にあったりするわけだ。

 このゲーム、吸血鬼ネタを扱ってはいるものの、惣太を咬んだロードヴァンパイア:リァノーンはどちらかというと憎まれ役というより最終到達目標として存在しており、“永遠の命”という利益に群がる人間の浅ましさや利己心が抽象的な“憎むべきもの”として配置されている。
 そのせいもあってか、ここに出てくるヴァンパイアは、どれもちっとも怖くない。
 単なるブッチギレ野郎のウピエル、小心者の陰険じじいナハツェーラー、時代錯誤の騎士道野郎ギーラッハのヴァンパイア3銃士は、いずれもモンスターというより不死身の人間という印象を受ける。
 はっきり言って、“血を吸う”ことと“死ぬと灰になって崩れる”という部分を削ると、本当に吸血鬼らしさがないのだ。

 一般的に知られている吸血鬼の条件としては
   昼間は棺桶の中で眠る
   血を吸われると被害者も吸血鬼になる
   通常の武器による攻撃は受け付けない
   十字架やニンニク、聖水を嫌う
   太陽の光を浴びると灰になる
   心臓に白木の杭を打たれると灰になる
   霧やコウモリに姿を変える

というのが挙げられると思う。

 ここに、若干マイナーな
   鏡に写らない
   触るとバラが枯れる
   冷たい水に弱い

というような要素が加わるわけだが、このゲーム中では、『血を吸われると被害者も吸血鬼になる』と『太陽の光を浴びると灰になる』の2つしか満たされていないのだ。
 特に一番重要な『通常の武器による攻撃は受け付けない』が満たされていないのはまずい。
 これでは、ほとんど再生能力の高い不老不死の人間でしかない。
 金属の杭で心臓を貫かれたりナイフや斧で心臓を切り裂かれて死ぬのはまだ許すとして、銃で心臓を撃たれても死んでしまうのは困りものだ。
 第一、きっか氏も書いているとおり、ミサイルで死んでしまう程度では、不死身の兵士を作ろうとするキメラヴァンプ計画は無意味に思える。
 ましてやバイクに轢き殺されたバイクモドキ・キメラヴァンプなどマヌケ以外の何者でもなかった。
 第一、あいつは何とのキメラよ?
 これらの問題点は、周辺の小道具にこだわりすぎた演出の失敗だろう。
 銃やナイフ類、車両関係にこだわり、それを無理矢理本編に登場させたためにこのようなことになったのだと思う。
 
 『仮面ライダー』を意識したにせよ、大まかなストーリーラインは特撮ヒーローとは全然違うし、OP・EDがあることとバイクを乗っていること以外では、さほど意味があったとは思えない。
 怪人たるキメラヴァンプに至っては、悪い冗談としか思えない。
 あれをもって『仮面ライダー』テイストだと言ったら、ガニコウモル辺りに殺されそうだ。
 ただ、1話完結方式でのストーリーの組立はすんなりなじめたし、12話ラストでの装甲車への反撃開始のバックにかかるOP曲『WHITE NIGHT』は、確かにヒーロー物っぽかった。
 かつて『ゲッターロボ號』の旧OP『21st century boy』が初の出撃合体シーンにかかったとき、初めて鷹羽がOPとして認めたという昔話があるんだけど、それに近いものがあった。
 元々鷹羽は、ロック調の『WHITE NIGHT』が気に入らなかったのだけど、ここで気に入ったのよね。
 
 あと、リアルタイム入力の戦闘システムについては、柏木女王も書いてたけど、重い武器にメリットがなかったのは痛いね。
 鷹羽も旋風の暴帝ばかり使ってたよ。
 あと、戦闘中のテキスト表示の遅さは何とかして欲しかった。
 文章すっ飛ばしができないのは仕方ないとしても、せめてマズルフラッシュなどの効果をキャンセルするくらいの機能は欲しいところだ。
 武器が変更できる意味がほとんどなかったり、テキストは敵キャラ毎に固定の使い回しだったりと、とにかくストレスが溜まる。
 
 もう1つ、どうしても気に入らないことがある。
 主人公も含めたモンスターデザインだ。
 クローム製のマスクも引きちぎれない奴を相手に『とんでもなく強い』と感じるのは無理な相談だ。
 世の中には、人間のくせに太さ3センチの鉄格子をひん曲げる男が主人公張ってるアニメもあるのだ。
 たかが2センチ程度のクローム棒くらい、ちょちょいと曲げてもらわねば困る。
 暴走を押さえる枷になどなりはしないはずなのだ。
 また、毎回大量出血して変身する惣太にレザーのスーツはないだろう。
 完全に使い捨てのシロモノになってしまう。
 これは、すべてボンデージファッションにこだわった悪弊だ。
 その点はキメラヴァンプのデザインにも顕著で、アップに耐えない敵を相手に戦わなければならないのは非常に辛かった。
 特に「キチキチキチ」女には、目の部分を甲羅で覆って何が楽しいのか聞いてみたい。カニ? それともサソリ?
 デスモドゥスに轢き殺された奴はバイクとのキメラなの?
 
 銃器にせよボンデージにせよ、こだわりのあるものを使うなとは言わないが、使うなら場所を考えてくれという見本だね。
 
 正直なところ、鷹羽がヴェドゴニアで一番腹を立ててるのは、デザインセンスなんだよね。
 シナリオはさすがだし、キャラクターはいい線いってるんだけどなぁ。
 
 ところで、十字架(クルス:来栖)とかミサ(弥沙子)とかって、多分引っ掛けたネーミングだと思うんだけど、網野ってやっぱアーメン?


(鷹羽飛鳥)


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