螺旋回廊
2000年1月発売のソフトで、私の今年初H・ゲーとなったこの作品。
良くも悪くも、うまく出来てると思います。
さてあなたは、大事なあの子を守れるでしょうか?
1.メーカー名:ruf
2.ジャンル:ADV(マルチサイトタイプ)
3.ストーリー完成度:B
4.H度:C
5.オススメ度:E(割り切ってゲームが出来る方、精神的苦痛に耐えられる方、もしくは外道な方はA)
6.攻略難易度:B
7.その他:(音楽について)
(ストーリー)
主人公・佐伯祐司は、30歳という若さで大学助教授を務める優秀な青年。
研究室で論文をまとめる毎日を過ごしていた。
ある日、教え子であり少々心揺らぐ女性・水代葵や檜山葉子、さらに葵の弟・紫苑らの勧めで、インターネットをすることになった。
そこで偶然“EDEN”というサイトに入ってしまう。
そこは、人を人と見ない「外道」な者達の集まったHPだった。
時折好奇心でのぞく佐伯だったが、葵とキスを重ねた日を皮切りに、ついには自分自身のことも掲示されることに…
いや、参りました。これがまず第一感想です。
とにかく、人を追い込むことの書き込み方がすばらしいまでに緻密(というより巧妙)で、プレイヤーたる佐伯先生はあっという間にどん底にたたき込まれます。
好き嫌いに関わらず、良く出来てると思います。
またヒロイン達の転落ぶりも然りで、ことメインヒロイン(?)たる葵の処遇を見ていると、もう嘔吐感が襲ってきます。
ホント、プレイヤーに嫌悪させるのを目的にしているのなら(そうであって欲しい)、一つの完成体だと思います。
だからなんですが、これはハッピー&ラブラブ路線が好きな人は絶対出来ない、やっても1stプレイで、即、破棄決定でしょう。
かくいう私はというと、確かに俗に言う鬼畜モノも手を出す方ですが、この作品はさすがに堪えましたね。
ましてや、何度もプレイを重ねないと選択肢が増えないタイプのADVなので(「痕」や「雫」みたいな感じ)、「今度こそハッピーエンドを」と、とにかく救いたいまた救われたい一心でプレイしました。
また、マルチサイトADVでもあるのでヒロインサイトからの視点もみることができ、「なるほど、あのときこんなことを」と感心させられたりもします。
さらにプレイを続けていくと、今回の事件の根元たる話になり、そしてもし事件が起こらなかったらどうなっていたか、そこまで描かれています。
なるほど一つ一つの選択で変わる展開、さらに事件すら起こらない世界。
なんだか「YU-NO」をやってるかのようですね。
選択肢自体はさほど多くないので、難易度もそんなに高くないですし。
ただし問題点も少なからず在りまして、特に誤字が目立ちます。
基本シナリオをプレイ中はさほど気に留めなかったのですが、ほかのシナリオを始めたら「何だこりゃ!?」の連発でした。
せっかくよく練られた作りなのに、あれでは水が差されてしまいます。
デバッグ時で気付くレベルだと思うのですが。
後些細なことなんですが、せっかくどこでもセーブ&ロードがあるのに、メニューに“タイトルに戻る”が無いのが残念でした。
あれが付いていれば、操作性はほぼオーケーだったのですが。
(総評)
どうまとめるか少々迷いますけど、素材的に好き嫌いがハッキリしそうですが調理法が良いので(マルチサイト&増分岐シナリオADV、シナリオの書き込み方等)、そこで目を瞑ることが出来るかどうかで、評価が分かれると思います。
私は、精神的嘔吐感を何とか拭いながら終えることが出来ましたが、正直かなりきつかったです。
故にハッピーエンドで、各ヒロインといい仲になった展開を見て、先述の曲を聴いたとたん安堵の溜め息を漏らしたものでした。
年初めからハードなものをプレイしましたが、さて今年はどうなりますやら。
(鷹風虎徹)