G3-X・ピンク 第1話『小沢澄子・G3ユニット襲撃!』

 ―早朝―

 疾走する一台の車。
 厳しい表情でハンドルを握る小沢澄子

(榎田さんと一条さんが来れないとなると、今度のプロジェクトは暫く延期になりそうね…)

 今日は、澄子が推し進めていた極秘プロジェクトのメンバーが集結する日だったのだが…

(それよりも、榎田さん…心配でしょうね…無事でいてくれれば、いいけど…)

 榎田ひかりを千葉県の科学警察研究所まで迎えに行った一条警部補から『事件』の事を知らされたのは、数分前だった。
 榎田と一条が来れない以上…

(当分、G3ユニットも現有勢力で戦うしかない…)

 さまざまな考えを巡らせている、その時!
 澄子の車に前方から地面を伝って、稲妻のように走ってくる電流火花!!
 咄嗟にハンドルを切り、急ブレーキをかける澄子!
(……!)
 車窓から、前方を見据える澄子。
 …こちらに向けて停まっている赤いバイク。
 バイクには、白いマフラーをなびかせた異形の者が乗っている。

(…4号にどこか…似ている?…何者?)

 赤いバイクを追跡しようとする澄子。
「!」
 後輪が電流火花の直撃をくらっていて、発進できない…
 そんな澄子を嘲笑うかのように、エンジンを吹かし、ユーターンをして走り去る赤いバイク。
(何故、私を?!)
 澄子の表情には、明らかに戸惑いの色が色濃くにじんでいた。


●G3演習ルーム

 仮面を外した状態でG3-Xを装着し、待機している氷川誠警部補。
 改良したGM-01の射撃訓練を行うとの通達を聞いたのは昨日…小沢警部に直接、伝えられた。
 極秘に行われるとの事で、今回はG3ユニットの小沢・氷川・尾室の3人に加えて、名前は明かされなかったが他に数名参加するという事だったのだが…
(GM-01の射撃訓練を極秘に行う必要性があるのだろうか?)
 疑問を持ちながらも、小沢警部らの到着を待つ氷川。
「遅いですね。小沢さん達。」
 傍らの尾室隆弘巡査が、氷川に語りかける。
 演習ルームの時計で、時間を確認する氷川。
(予定の時間を5分過ぎている…時間に正確な小沢さんが遅れるなんて…)
 …有り得ない筈…との思いが、頭をよぎったその瞬間!
 演習ルームのドアが開いた。
「小沢さん!遅いじゃないですか!」
 ドアに駆け寄る尾室。
 氷川も尾室に続いて行こうとした瞬間!
ぐっ!…
 うめき声と共に倒れこむ、尾室。
 黒の皮ジャンを着た男が入ってくる。
氷川「!」
 皮ジャンの男に続いて、次々に入ってくる男達。
「何をするんですか?! それに、ここはG3ユニットの関係者以外は立ち入り禁止です!」

 見なれない私服姿の、6人の男達に向かって叫ぶ氷川。


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