人造人間19号と20号に殺されるはずだった悟飯達
マンガ『ドラゴンボール』で、孫悟空がスーパーサイヤ人になった後の人造人間&セル編では、ベジータとブルマの子供であるトランクスが過去を変えようとタイムマシンでやってきたことによって、大々的に歴史がねじ曲がり、5つのパラレルワールドを生み出してしまった。
取り敢えず、そこに至る経緯を簡単に説明しておこう。
爆発寸前のナメック星で、スーパーサイヤ人になった悟空はフリーザを倒すが、トドメを刺さないままナメック星を脱出してしまう。
生き延びたフリーザは、サイボーグ化してパワーアップし、父コルド大王や部下と共に地球へと復讐に来る。
悟空の乗った宇宙船が到着するまであと約3時間。
フリーザは、悟空が地球に戻る前に地球人を殺しておいて悟空を悔しがらせようと考え、部下に地球人を殺すよう命じた。
と、ここまでの歴史は共通だ。
本来の歴史では
孫悟空は、ヤードラット星で覚えた瞬間移動を使って地球に帰還し、フリーザやコルド大王を殺すが、その約半年後、ウイルス性の心臓病で死亡する。
そして更に1年半後、ドクターゲロの作った少年型の人造人間19号と少女型の人造人間20号が現れた。
冷酷な2人の人造人間との戦いで、ベジータ、ピッコロ、クリリンらは皆死亡し、悟飯1人が生き残る。
仙豆も底を突き、片腕を失った悟飯は、ただ1人抵抗しつつトランクスを鍛え上げるが、やがて悟飯も殺された。
その後、1人で抵抗を続けていたトランクスも、19号20号の2人に破れてしまった。
そして悟空の病気を治し、人造人間と戦って貰おうというブルマの発案で、悟空に心臓病の薬を届けるべく、トランクスはタイムマシンに乗る。
という展開になる。
だが、トランクスがタイムマシンに乗ったことにより、歴史に狂いが生じた。
トランクス自身、元の時代には戻れなくなったのだ。
そのため、歴史は
タイムマシンで待機していたトランクスは、悟空の到着が遅れているものと早合点し、スーパーサイヤ人になってフリーザ一味を殺し、悟空が戻った後、その後の歴史を説明すると共に心臓病の薬を渡して、先手を打てるよう人造人間出現の日時・場所を教えた。
そして、悟空は発病することもなく人造人間出現の日になった。
だが、現れたふとっちょ型の人造人間19号とゲロ自身の自己改造である20号と戦っている最中、悟空は発病して戦線を離脱、駆け付けたベジータ(スーパーサイヤ人)によって19号は倒されたものの、20号は少年型の17号と少女型の18号を起動させてしまう。
20号を殺し、16号をも起動させた17・18号に立ち向かうベジータ達だったが、あまりにも圧倒的な17・18号の戦闘力に、あっさり破れてしまう。
だが、17・18号はトドメを刺そうとはせずに立ち去った。
ベジータとトランクスは17・18号を倒すべく修行し、スーパーサイヤ人2にパワーアップした。
そして、17・18号を倒した後、トランクスは未来に戻り、少年型の17号・少女型の18号を倒してセルに殺された。
トランクスを殺してタイムマシンを奪ったセルは、卵の状態で17・18号が生きている時代に向かった。
と変わる。
ここまでが変わった歴史その1だ。
結果的に、17・18号は、本来の19・20号を遙かに上回る強さを持っていた。
そしてトランクスは、元の世界にいた19・20号程度の強さの17・18号がいる新たな未来(歴史その2)に戻ることになってしまったのだ。
したがって、本来の歴史では、トランクスすらいなくなった世界を少年型の19号と少女型の20号が蹂躙し続けているわけだ。
本文の色を変えているのは、鷹羽による本編で語られていない部分の補完だが、この後、セルは歴史その1の現代へとやってきて目覚めることになる。
それによって変わった結果が、以下の歴史その3だ。
そして、未来から17・18号を吸収して完全体になるべくやってきた怪物セルは、18号を吸収して第2形態に進化し、スーパーサイヤ人2になったベジータ・トランクスも破れる。
17号も吸収して完全体になったセルは、悟空と戦うためにセルゲームを行い、結局スーパーサイヤ人を超えた悟飯に破れて死に、悟空も死んだ。
未来に戻ったトランクスは、17・18号を倒し、セルの第一形態を倒して恐怖の歴史に終止符を打った。
と、このように未来は変わってしまった。
この未来を歴史その4と呼ぼう。
この歴史その4は魔人ブウが登場するというその後のドラゴンボールの世界であり、最終的にこれが歴史の流れとなる。
だが、語られてはいないが、トランクスが未来でセルを倒すことによって、セルが現代に来るという歴史が消えるため、セルが現代に来なかった歴史である歴史その5が発生することになる。
歴史その5は、歴史その1とほぼ同じ流れであり、セルが来るかどうかだけの違いだ。
整理しよう。
未来の姿は
1 少年型の19号と少女型の20号(スーパーサイヤ人よりちょっと強い程度)が蹂躙し、トランクスがタイムマシンで去ったきり戻ってこないため、地獄の世界となった
2 少年型の17号・少女型の18号をトランクスが倒し、トランクス自身はセル第一形態の不意打ちで死んでしまったが、セルはタイムマシンで現代へと消えたため平和になった
3 少年型の17号・少女型の18号をトランクスが倒し、トランクスはセル第一形態の不意打ちをも交わして倒し、未来は平和になった
4 少女型の18号とクリリンが結婚してマロンが生まれ、魔人ブウが出現し、蘇った悟空がブウを倒した(その後に続く歴史)
5 少年型の17号と少女型の18号をベジータが倒し、トランクスは未来に帰り、平和な世界になった
の5パターンが存在する。
このように、ドラゴンボール世界の歴史は、トランクスのためにぐっちゃんぐっちゃんになってしまった。
これもパラレルワールドの一形態であり、これくらい違う世界を作ってしまうと、『アギト』世界の4号は、クウガとは似ても似つかぬものになってしまうのだ。
なお、これは『ドラゴンボール』本編からの情報によっているが、実は番外編読切である『TRUNKS
THE STORY』では、本来の歴史であるはずなのに「17号・18号」と言っている。
これは、作者自身番号が変わったことを忘れたか、或いは読者が忘れたことを考慮してワザと変えたかのどちらかだと思われる。
いずれにせよ、本編で当初トランクスが「歴史が狂ったせいで番号が変わった」と言っているし、セルのセリフが「17号・18号」となっているのでそれによったことをお断りしておく。