仮面ライダークウガ研究室(第7回)
 
 今回は、遂に出揃ったクウガの
“金 色 の 力” の謎
について考えてみよう。
 
 桜子の研究によれば、クウガの“金色の力”は碑文の文字には書かれていない。
 そのため雄介達の結論は、キノコ種怪人の毒胞子で雄介が仮死状態になった際の電気ショックの影響で、アマダムが基質変化を起こし、電流を発生できるようになったということで落ち着いた。
 しかし、なぜ電気ショックでそんなに変化したのか。
 その答は碑文の中にあった。
 『戦士の瞼の下、大いなる瞳になりし時、何人たりともその眠りを妨げるなかれ』というのは、戦士が仮死状態になっている時、下手なことをするとアマダムに悪影響を及ぼす恐れがあるということではないだろうか。
 この仮死状態は、アマダムが、装着者の脳を経由して身体をコントロールしている状態と言える。
 この時アマダムは身体のコントロールにかなりの力を割いているはずだから、そんな時に下手な刺激を与えると、無防備なアマダムに影響を及ぼす恐れが多分にある。
 そして事実、電流を流されたアマダムは、自ら電流“ビリビリ”を発生するようになってしまった。
 それに気付いた雄介は、これを利用してもっと強くなれないかと考え、アマダムがその願望を実現して“金色の力”は生まれたのだ。
 
 そこで1つ疑問が湧く。
金色の力”が発動した時のベルトの表面にも、リント文字が並んでいるのだ。

 これは、上の段は『○○の戦士、○○の力を身に付け、恐るべき邪悪を打ち倒す』というような意味になる。
 『恐るべき』の部分は、OPにも出ている『凄まじき』の文字よりも中央から迸る線が1本少ないから、『凄まじい』より一段下がった程度の『強い』という意味だろう。

 『ひとたび(一度)』と『再び(二度)』も、線の本数の差で表されている。

 下の段は“雷”を中心に、それぞれ左右に読むのだろうから、向かって右は『雷を望めば汝と共にあらん』、向かって左は『雷により邪悪を無に帰す』という意味合いになると思われる。
 
 しかし、これらの文字は碑文には存在していない。
 では、誰がこんな文を作ったのか?
 当然、アマダムしかない。
 と言っても、勿論アマダムに知性があるというのではない。
 鷹羽は、これらの文はアマダムが戦士クウガを作り上げる上での、プログラムのようなものだと思う。
 つまり第4回で説明したように、“どのような戦士を生み出すか”を表すための呪文(言霊)なのだ。
 そう思って上の文を読むと、『より強くなった敵を倒すために“○○の力”を身に付ける』という意味に取れる。

 「何の力」と書いてあるのかまだ読めないのだが、この文字は『』という文字の『』を表す部分が何かに変わっているものだ。
 元々『』は、『』が大地の上に載っている状態を表す文字なので、大地の上に“何か”が載っているものを表しているだろうと想像できる。

後は、上に載っている文字が何か判れば…。

 『』でも『』でもないんだよな〜。どっちかって言うと『』に近い形だし…。
 
 それはともかく、結局のところこれらの文字は、アマダムが雄介の潜在意識を具現化するに当たって、有効な形式を選んだと考えれば納得できる。
 そう思って、武器の方に増えた文字を読んでみよう。
 
 まず、赤と金のクウガのアンクレットには『炎の技と雷の力、合わせて邪悪を滅ぼさん』と書かれているようだ。
 『炎の技』とは、勿論キックのことだろうから、キックを雷の力で強化し、邪悪を滅ぼすというわけだ。
 つまりそれまであった技や力に、雷の力、つまり“ビリビリ”を加えることで“金色の力”を生み出したのだ。
 同様に、他の3形態の武器に付いたパーツには『雷の力、合わせて邪悪を滅ぼさん』の部分だけが書いてある。
 水や風、地割れの技と合体するから、『○○の技と』の部分が書かれていないわけだ。
 或いは、元から武器に書いてあった言葉、例えば『天馬の弓』に続けて『雷の力を合わせて邪悪を滅ぼす』のかもしれない。
 
 ここまでは、パワーアップが良い方向に動いている。
 しかし、元々の機能を変更した影響は必ずある。
 その1つが“エネルギーの大量消費”だ。
 EPISODE30「運命」を見れば判るが、クウガは“金色の力”が発動してから、わずか35秒でエネルギーを使い果たしている。
 緑のクウガ以上に消耗が激しいということだ。はっきり言って、実戦向きではない。
 また、装着者である雄介の身体に掛かる負担も、シャレにならないレベルに来ているようだ。
 ただ、OPにまで思わせぶりに登場した『聖なる泉涸れ果てし時、凄まじき戦士雷のように現れ、太陽は闇に葬られん』というのは、この“金色の力”のことを指すわけではなさそうだ。
 リント文字において、『太陽』は『希望』と同じような文字だ。
 ということは、意味合いもかなり近いものであると考えられる。
 闇に葬られる太陽とは一体何なのか、いずれ、このコーナーで扱ってみたいと思う。
 
 さて、クウガのパワーアップとほぼ時を同じくして、グロンギの爆発も大きくなってきた。
 ガメゴ(カメ種怪人)に至っては、半径3kmもの大爆発を起こしている。
 これは“金色の力”と関係があるのだろうか?
 鷹羽は、これは怪人の持つエネルギー量(単純にパワーと言ってもいい)が巨大であるため、肉体の崩壊と共に解放されたエネルギーが爆発を大規模化させているのではないかと思っている。
 でないと、紫と金の剣で貫かれたガリマ(カマキリ種怪人)の爆発が大したことなかったのが、説明できないのだ。  

そもそもクウガの攻撃でグロンギ怪人が爆発する際には、ほぼ例外なく紋章が浮いた後、そこからのスパークがベルトに達し、ベルトが破損してから爆発している。
 中にはギャリド(ヤドカリ種怪人)のように、直接クウガの攻撃を受けていないにもかかわらず、爆発した者までいた。
 
これは怪人を倒す力の本質が、クウガの攻撃で描かれた紋章から発せられるエネルギーであることを示している。
 公式設定で「封印エネルギー」と呼ばれている紋章のエネルギーは、未だ本編では語られていない。
 この『仮面ライダークウガのお部屋』では、基本的に画面上から読み取れる情報のみをもって内容を解釈することを旨としているので、この「封印エネルギー」なる言葉を表面きって使う気はない。


 何より、鷹羽の中に“爆発させておいて封印か!?”という思いがあるので、素直にそれを信じられないと言った方がいいだろうか。
 いずれにせよ、クウガの攻撃で怪人に浮かぶその紋章がリント文字であることは、アンクレットなどに書かれていることからはっきりした。
 対称形(線対称、点対称)の文字は名詞だから、これは名詞に違いない。
 そして、人型を枠で覆ったような形をしているから、人を拘束するような意味合いなんだろう。
 また、人型を2つに裂いているようにも見え、その半分と枠とは点対称の関係なので、それ自体が1つの文字でもあるという可能性もある。
 鷹羽は上記の理由から敢えて“滅ぼさん”と訳しているのだが、あの文字は恐らく『封印』或いは『粉砕』という意味だろう。
 クウガは、この消滅を示唆する文字の力をグロンギ怪人のベルトに叩き付けることによって倒すのだ。
 逆に言えば、この文字のエネルギーをベルトに触れさせない限りグロンギは倒せないということで、事実ブウロ(フクロウ種怪人)は、墜落することを覚悟の上で、被弾した羽を自らむしり取っていた。
 また彼我の力差が大きいと、文字を完全に定着させることが出来ないようで、ザイン(サイ種怪人)やガリマ、ガメゴには、一度は文字を描きかけておきながら、彼らの気合いで消されてしまった。
 クウガは、それぞれ2回目の対戦では、更に強力な攻撃によってより強く文字を叩き付けることで倒している。
 このことは“相手が強ければ強いほど、強力に文字を叩き付けなければならない”ということを表している。
 紫と金の剣ですら、力任せに引き抜いてしまうようなガメゴの強さを考えると、爆発の規模が大きかったことにも納得できるのだが。
 しっかし、あれだけゴツい剣よりもキックの方が強いってのは一体…。
 
 それにしても、ジャラジ(ヤマアラシ種怪人)やザザル(サソリ種怪人)はともかく、ガメゴより強そうなガドル(カブトムシ種怪人)の爆発の規模は、一体どれほどになるのやら。
 
 以前にも書いたとおり、リント文字の解読に当たっては鷹羽の予想の域を出るものではないので、確実に正解をはじき出せるというわけではない。
 けれど、第2回でやった3形態の武器に書いてある文については、その後の公式発表と比べてもかなりの線で当たっていたから、今回も当たらずとも遠からずだと思っている。
 
 
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