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更新日:2004年9月19日 | ||
3年前のある夜、鷹羽が仕事を終えて帰り支度をしていたときのことです。 鷹羽が帰ると、部屋に残るのがMちゃん(当時20代・女性)1人になってしまうので、鷹羽は「鼠に引かれないように気を付けてね♪」とねぎらいの言葉を掛けて帰ろうとしました。 すると、「はい?」と到底返事とは思えない疑問の声がMちゃんから上がりました。 聞き取れなかったのかとも思いましたが、Mちゃんは続けて「鼠に引かれるってなんですか?」と悪意のかけらもない顔で問い返してきたのです。 どうやら、聞き取れなかったのではなく、単に鷹羽の言葉の意味が理解できなかったようです。 「鼠に引かれる」というのは、鼠にさらわれるという意味の、1人で留守番する人に対する挨拶で、鷹羽の家族・親戚などの間ではよく聞かれる言葉です。 とはいえ、広辞苑を引いても出てこないということは、新発田方面独特の方言なのかもしれません。 とはいえ、Mちゃんは新発田からそう遠くない土地の出身ですから、方言だとしても分かるはず。 …いや、もしかしたら、年寄りしか使わない言葉なのかも。 鷹羽とMちゃんは、年は大して離れていませんが、鷹羽は祖父母と同居していたので、年の割には古い言葉を使うことがあります。 そーかそーか、若いMちゃんが知らないような古い言葉なんだ♪ そう思った鷹羽は、翌日、同室にいる同じ方面出身のWさん(当時50代・男性)に聞いてみました。 えええっ!? 知らない〜〜〜〜〜!? なんということでしょう。 50代のWさんさえ知らなかったのです。 でも、ちょっと待って。 鷹羽の両親も50代(当時)なんだから、そりゃあないでしょう。 もしかしてとってもローカルな言葉なの? 心配になった鷹羽は、相方に聞いてみましたが、予想どおり「そんな言葉知らない」ととても冷たい言葉が返ってきました。 しかも、相方の両親に聞いてみても知らないと言うのです。 あきらめの悪い鷹羽は、その後も何度か仕事関係の新発田近辺出身の人達に聞いてみたのですが、誰1人として知りませんでした。 同じ新発田育ちの元締さえ知りません。 ところが。 つい先日、思わぬところで聞いてしまったのです。 『ウルトラセブン』19話『プロジェクト・ブルー』に登場する博士の奥さんが出掛けた後、伝言テープを再生すると「鼠に引かれないようにね♪」との言葉が! 方言なんかではなかったのです。 もちろん、その数分後、ウキウキしながら相方にビデオを見せる鷹羽の姿がありました。 不思議なことに、こういうことは続くもので、なんとその翌日、職場の廊下を歩いていると、「鼠に引かれねぇように気ぃつけなよ」と言っている声が聞こえました。 ふと部屋を覗いてみると、8年前に上司だったKさん(50代・男性)がその部屋の人に向かって言っていました。 こんなところに知っている人がいたじゃなんて! この3年間の不安は何だったんでしょう。 心強くなった鷹羽は、早速ネットで調べてみると、あるある、どっかの慣用句辞典に 鼠に引かれる まるで鼠が引っ張ってどこかへ持っていってしまったように、忽然と姿を消したもののこと なんてのが載ってる。 ほかのHPにも、「神隠しにあう、の意。らしい」なんて書いてあって、ご丁寧に用例として (留守番を頼む人に)ねずみにひかれないようにね なんてのも書いてあります。 なあんだ。 思いっきり標準語じゃないですか。 ちょっとマイナーなだけで。 …そういえば、以前、夕焼けが綺麗な日に、「明日晴れるかなぁ?」と言われ、「『秋の夕焼け鎌を研げ』って言いますから、きっといい天気ですよ」って言ったら、周囲の人間に思いっきり引かれましたっけ。 あれってそんなにマイナーな言葉だったのかなぁ…。 → NEXT COLUM |
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