土用の丑には紅さして
鷹羽飛鳥
更新日:2004年1月15日
 今回は、十二支に限った話を少々。

 日めくりカレンダーを見れば分かりますが、干支は年単位だけでなく日単位にも当てはめられています。
 「土用の丑の日」が近づくと鰻の話題が出てくるのは有名ですね。
 「土用」というのは本来、立春・立夏・立秋・立冬の前各18日間のことを指すのですが、一般に立秋前の土用に来る丑の日のことを「土用の丑の日」と呼んでいるわけです。
 18日間ということは、年によっては「土用の丑の日」が2回来るんですね。

 ちなみに、これは昔、鰻料理店が「土用の丑には鰻を食べて精を付けましょう」と宣伝したのが始まりで、この日を指定する科学的な根拠は全くありません。
 また,イベントがあるのは夏だけではなく,あまり知られていませんが,冬の土用の丑には,女性が口紅を付けるという風習もあります。

 
 また、日だけでなく時間の単位としても昔は十二支を使っていました。
 よく草木も眠る丑三つ時なんて言いますが、これは午前2時〜2時半のことです。

 そこで「あれ? 丑なのに2時なの?」と感じた方、あなたは鋭い!

 24時間を12に分けているのですから、当然十二支1つ当たり2時間あり、十二支の1番目である子の刻が午前零時から始まれば、2番目である丑の刻は午前3時〜5時ということになるはずですね。

 実は、子は午後11時〜午前1時までの2時間であるため、丑の刻は午前1時〜3時なのです。

 ちなみに、「三つ」というのは、丑の刻を4等分した3番目ということで、2時からの30分間を指します。
 また、丑の刻のちょうど中間点である午前2時ころは、正丑の刻(しょう・うしのこく)と呼びます。
 これが十二支の7番目である午(うま)になると、正午の刻、つまり「正午」です。
 つまり、「午前」とは正午の刻より前、「午後」は正午の刻より後という意味なんですね。
 これはご存じの方多いでしょう。

 
 もし、これに従って文字盤を作ると、12個印が付くから形は普通の時計に見えますが、実際は24時間で時針が1回転する時計になり、この場合、子は普通の時計の「12」、午は「6」に相当する位置になります。
 せっかくだから、そういう文字盤をちょっと想像してみてください。
 子を北に向けると、そのまま方位を示します。
 「子午線」というのは、子と午の間、つまり北と南を結ぶ線という意味です。

 また、最近ではあまり聞きませんが、「艮(うしとら)の方角」という言葉があります。
 マンガ『うしおととら』のタイトルはこれにちなんでいるわけですが、この「艮の方角」は別名「鬼門」とも言って、古来から鬼がやってくる縁起の悪い方角とされており,この方角には玄関を作らないことになっています。
 で、具体的にどっちを向いているかというと、先程の文字盤の丑(1)と寅(2)の中間、つまり北東です。

 また、鬼門の反対方向である坤(ひつじさる:未と申の中間、南西)は「裏鬼門」といって、やはり縁起が悪いことになっています。
 方角としては,このほかに巽(たつみ:辰巳、南東)、乾(いぬい:戌亥、北西)も当然あるわけですが、これらは人の名字によく見られますね。
 艮と坤が名字に使われないのは、語呂が悪いからではなく,縁起が悪いからでしょう。
 この乾,巽、艮、坤は、「当たるも八卦,当たらぬも八卦」で有名な八卦のうちの4つでもあり、乾は天(陽)、坤は地(陰)をそれぞれ示しています。

 ちなみに、『仮面ライダー555』の主人公:乾巧が犬科(狼)のオルフェノクに変化するのも、名字に引っかけてのものと思われます。

 『555』のボスキャラが羊か猿のオルフェノクだったりしたら、鷹羽、手を叩いて喜んじゃう所だったんですが…。


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