干支ってなぁに?
鷹羽飛鳥
更新日:2003年12月18日
 アトム生誕年を記念して、4月から『ASTRO-BOY鉄腕アトム』が放送されてますね。

 舞台が東京でなくメトロシティになっていたり、シブガキが白人ぽかったりケンイチの肌が日本人と言って通るギリギリの黒さだったりと無国籍な雰囲気を醸し出しているのは、海外で放送することを前提に作られているからでしょう。
 そのほかにも、どうやらアトムにはトビオの人格や記憶がコピーされている様子が見られるなど、様々な設定がリニューアルされています。
 原子力で動いていると明言していない、或いはそもそも原子力で動いていないかもしれないのも、多分核を巡る論争に巻き込まれないようにという配慮なのでしょう。
 個人的には、中村警部補が登場しなかったり、プルートゥがミサイルを射ちまくるようになったりしたことや、OPが「空をこえて〜」でなくなってしまったのが残念でした。

 OPについては、同じような感想を持った人が多かったようで、10月放送分からEDとして使用されるようになりましたが、やはりきちんとOPとして使ってほしいです。
 ともあれ、歌が変わったせいか、3クール目に入ってから、ようやく作中で10万馬力という数字が登場したようです。


 ともかく、今回のアニメ版では恐らくオミットされてしまったであろう設定の1つに“天馬博士の年齢”があります。

 一応マンガの方では、天馬博士は、名前が午太郎、丙午(ひのえ・うま)の生まれ、群馬大学出身、といった具合に「うま」で固められたプロフィールを持っています。
 一応説明しておくと、干支(えと)は十干十二支(じっかんじゅうにし)とも言って、甲乙丙丁…といった十干子丑寅卯…といったお馴染みの十二支の組み合わせからなり、要するに、今年は未年ですが、より細かく言うと癸未(みずのと・ひつじ)となります。

 最近は「干支」と言っても十二支までしか指さないことが多いようですが、歴史上の事件などは十干を含めて言い表されるものが結構あります。
 明治維新の際の一連の戦乱は、戊辰(つちのえ・たつ)の年に起きたから戊辰戦争(ぼしんせんそう)とも呼ばれますね。
 壬申(じんしん)の乱も、壬申(みずのえ・さる)の年に起きました。
 また、阪神優勝で沸き立った甲子園球場も、甲子(きのえ・ね)の年に建てられたことから名付けられたそうです。
 ちなみに、丙午に生まれた女性は夫を短命にするという迷信があるため、その時期は子作りを控える人が多く、丙午の年は出生数が激減します。


 さて、この干支の組み合わせは甲子から始まって、乙丑、丙寅…と続きますが、十干と十二支には2つ差がありますから、組み合わせは2つずつずれていくことになり、13年目は丙子(ひのえ・ね)となります。
 これが、10と12の最小公倍数である60年で一回りし、61年目にはまた甲子となりますが、それを“暦が一回転”、つまり還暦と呼ぶわけですね。

 天馬博士の話に戻すと、ここ50年くらいの間には、丙午は1966年しかありません。
 つまり、天馬博士は昭和41年生まれで現在37歳ということになります。

 科学省長官になるには少々若すぎる気もしますが、今回のアニメ版でその辺がオミットされていそうなのは、年齢云々ではなく、今時「丙午」と言っても子供には分からないことと、そもそもその設定自体が一種のシャレでしかないから、ということなのでしょう。


 ところで、この干支の話、知っていると、トクサツ・アニメ・漫画などを見る際に結構役に立ったりします。

 その辺はまた次回で。




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