人の振り見て…
Mr.Boo
更新日:2003年12月14日
 お店という所では商品やお金の受け渡しが発生する。
 そんな当たり前の光景の中、不意に私の目に不思議なものが映る。


 あの人どうやって「物」を、そして「お金」を受け取った…?


 場所は本屋。
 店員は、そのお客が買った数冊の本を袋に入れ、両手で持って差し出した。

 そのお客はなんと、店員の胸倉に向かって手を突き出し、店員側の袋の縁を鷲掴みにして受け取ったではないか!
 いや、受け取ったというより「掴み取った」という表現が正しいだろうか。

 しかも、それを行ったのはいい年こいたサラリーマン風のおっさんなのである。
 本を落とすから良くないよと考えるより前に…おっさん、そんな受け取り方でいいのか…?

 店員が、形式とはいえ両手で丁寧に差し出しているのだから、それを受け取るとすれば、やはり自分に向かって差し出された方の縁を持つのが自然な行動だと思うのだ。
 手を突き出すしぐさは相手に対して威嚇をするようなものだし、上からものを掴むのは粗野で乱暴、あるいは幼稚な行為と受け取られてしまいかねない。
 そう思われないための行動をとるならば、一歩引くところまでいかなくとも、やはり自らの手前で受け取る方がいいだろう。

 仮にも社会という中で活動するサラリーマンが行うにしては不適切な行為だったので、BOOは思わず目を疑ってしまった。
 態度ひとつで決め付けるわけにはいかないが、もしかしたら結構上の方で威張っていたり、あるいはフリーで他人とのやり取りを気にしないかも、なんて想像を思わずしてしまう。
 …そんなことありませんよね? 多分。


 …とか勝手な事を考えていたら、しばらく後に、今度は女の人が同じ動作で本を掴んでいった!

 どんな人かと思えば、ちょっとした大学生さん風。
 やはり決め付けるわけにはいかないが、見知らぬ人相手に悪いとは思いつつ、丁寧とは言い難い仕草がその動作とあいまって、不意にいかにもという言葉を連想してしまった。
 …損していませんか? お嬢さん。

 ほかにも注意深く観察していると(暇だな、俺)、小学生くらいの子供、ブレザーを着た高校生やおばちゃんまで、結構満遍なく掴んでる…

 う〜ん確かに正しい仕草なんて人から教えてもらうものではないけど(自分もそんなのがあるのか知らないし)、学校の卒業証書授与などで「ものをもらう時はこんな感じ」という感覚を覚えないのかな?
 …売り物と証書じゃ比較にならないか。

 とにかく、恐らく本人には自覚が無いであろうその行為。
 もしかしたらBOOも彼らと同じように、他人から見ておかしいと思われている部分があるのではないだろうか?
 さすがにものを掴むことは無いが、それに限らず通常の動作全般において、である。
 自覚が無いだけに、自分自身ではさっぱり判らないのがもどかしい。
 ただ「まっとうだ!」と言い切る自信が無いのもまた事実。
 判る限り十分気をつけておきたいと、改めて考えてしまった。

 「人の振り見て我振り直せ」という言葉を実感する体験(いや観察)だった。


余談:
 別の日、更なるすごいのを見た。

 私服を着ていたから中年以前の人としか判断できなかったが、彼はおつりに出された小銭を、ちょうど手で「くちばし」を作るような感じで、なんと「つまんで」いた。
 相手の手のひらに置くつもりで小銭を持つ、店員の手も似たような形になっていたので、お互いくちばし同士でキス…

 お兄さん、一体誰からそんなお金の受け取り方を習ったんだ〜?


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