意外な話
後藤夕貴
更新日:2003年12月11日
  ふとした事で知ってしまったもののなかで、自分にとって死ぬほど意外だった事がある。

 もちろん、これから書く事はマニアの方々にとっては周知の事実なので、決して特別な知識ではない…らしい。
 つか、なんで今まで自分が知らなかったのか不思議なくらいなんだけど…


 昭和54年から現在まで放映されている長ロングラン番組「ドラえもん」が、実はアニメ化2回目の作品だという事はかなり有名な事だ

 1作目は、昭和48年4月1日から半年間、日本テレビ系で全26話が放送された。
 こう書くと2クール丁度でうまく切れているように見えるが、どうも実際は視聴率不振による打ち切りだったらしい。
 裏番組に「マジンガーZ」「アップダウンクイズ」など、超有力番組があったという事も要因の一つとされているが、それだけではなく、内容があまりにも「視聴者のイメージするもの」とは違ったらしい。

 …なんてエラそうに書いているけど、私は残念ながら旧作ドラえもんの放送を一度も観た機会がない
 なにせ、以前掲示板で「旧ドラは白黒だったらしい」みたいな事を書いて、お客様から手痛い指摘を食らってしまったほどだ(恥)。

 上記のデータも、各所の説明文の冒頭部に記されている「基礎知識」のさらに基礎の一部に過ぎないようだ。
 とにかく、2作目のドラえもんが超メジャーな存在となり、さらには国民のほとんどが(かなり細かい設定まで含めて)知っているほどになった現在において、旧作の存在が明確になるのは何かと都合が悪いのだろう。

 
 …と、前置きはともかくとして、私が驚いた事実。
 この旧アニメ版の事を調べていて、ある事に気付いたのだ。


 
ガチャ子


 こんな名前のレギュラーキャラがいたそうだ。


 なんか大昔プレイした「DE・JA」シリーズのヒロインみたいな名前だが、私はてっきり、これはアニメ版オリジナルのキャラクターだと思っていた。

 あ、そこの人。
 お願いだから笑わないで〜(泣)

 ところが、調べてみたら大間違い!
 なんと、これは間違いなく、原作にも登場していたキャラクターらしい
 しかも、ドラえもんと同じように未来の世界からやってきた“あひる型”ロボットで、ひみつ道具も出せる。
 さらにとんでもない事に、セワシ君が連れてきてのび家に住んでいたようだ。

 …という事は、のび家には未来ロボットが同時に2体もいたというのか?!
(※ドラミは、その都度未来からやってくる存在なのでカウントしない)


 しかし、当然ながらこの事実を知らない人は多い。
 当然だろう。
 彼女の登場エピソードは、小学館てんとう虫コミックス全45.5巻にも、そして未収録が多く含まれているのでも有名な中央公論社FFランド全45巻にすら収録されていない。
 「鉄腕アトム」に登場する赤ちゃんロボット・チータンみたいな存在感かと思われるが、とにかく「知る人ぞ知る」存在である事には変わりないようだ。


 資料によるとガチャ子は、「ドラえもん」連載開始の1969(昭和44)年12月から約半年後の1970(昭和45)年4月発行の、「小学二年生 5月号」に登場したらしい。
 その後様々な経緯を経て、最後の登場は同1970年10月発行「小学一年生 11月号」となる。

 これらの内容や経緯については、私が参考にさせていただいた下記サイトに大変詳しいコラムが掲載されているのでそちらを参照していただきたい。


 資料参考:http://www.na.rim.or.jp/~hballoon/DORA/ 「ドラちゃんのおへや」


 なぜ途中からいなくなってしまったのか、具体的な原因は不明なのだが、こんなマイナーキャラがしっかりアニメに登場していたという事実は見逃せない。

 ううむ、こういう事があるから、調査ってのは面白い(笑)。
 誰もが知っている・知っていて当然と思われる物のなかに、こういった意外性が潜んでいるというのは、大変趣き深いものがある気がする。

 ただ、かつてかなりの期間マンガ古書業に関わっていた自分としては、こういう事を知らなかったというのは大変無念な事だった。
 きちんと勉強しとかんといかんっちゅーこってすね。


 旧アニメ版のキャスティングを見てみると、なかなかこれも興味深い。
 現在のアニメ版のキャストも出演しているのだ。
 ただし、両作とも同じキャラを演じた訳ではない。
 意外な配役変化は、こんな感じだった。 
 
・小原乃梨子氏(現・のび太) → のび太のママ

・肝付兼太氏 (現・スネ夫) → ジャイアン(!)


 うーむ、さすが「バーバパパ」コンビ。芸幅が広い!(笑)

 なお、ドラえもんの声が野沢雅子氏(ドラゴンボールの悟空他)だったという事は、以前「トリビアの泉」で紹介されて有名になったようだが、それは14話以降の話で、13話までは富田耕生氏(「鉄人28号」「ゴッドマーズ」の大塚署長&長官や「名探偵ホームズ」のワトソン、「ピンポンパン」のワンダーワンタンなどで有名)が担当だった。
 つまり、現在の大山のぶ代氏からは想像もできないような、男声だったのだ。
 …否、「漢」声といえばいいだろうか(笑)。

 旧ドラえもんについては、このページなど足元にも及ばないようなディープかつ詳細なデータを掲載しているサイトが無数にある。
 それらを訪問してみる事で、より意外な事実が判明するかもしれない。…なんて思う。
 とにかく、私にとってはそれだけ「ガチャ子」の存在が意外だったんだけどね☆


 ちなみに、旧アニメ版には他にも面白いキャラクターが登場しており、設定集を覗いてみると「ジャイアンの父親」「スネ夫の父親」など、“いなきゃおかしい筈なんだけど、出てきた場面をほとんど知らない”人物がいる。
 ジャイアンの父親などは、外観からそれとわかるデザインであるにもかかわらず、どこか仕草が女性っぽいというのも面白い(しかし格好は普通の八百屋の親父なのだ)。

 さらにジャイアンの妹には、「ジャイ子」ではなく「ボタ子」という、これまたあんまりな名前が付けられているのも見逃せない。
 現在のドラえもんのコミックスは、実は細かな言い回しなどかなりの部分に修正がほどこされている。
 ドラえもんがかつて「〜なのら」というしゃべり方だったというのも一部では有名な事実だが、コミックスの中にはそれはまったくなかった事にされている。

 ひょっとしたら、原作の原版にも「ボタ子」なんて書かれているものがあったのかもしれない…未確認だけど。



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