夢のつばさ (プレイステーション)   

 空にあこがれる、少年の夢はかなうのか?
 
エルトリアちゃん、資料画像の大きさ約1.3センチっつーのは、今回で勘弁ね(^ ^; しかし、そーか…この娘がメインヒロインなのだね、ウムウム。…あ、色を間違えてら…メンゴ(元締)

1.メーカー名:KID
2.ジャンル:ADV
3.ストーリー完成度:C
4.H度:ギリギリE、かな
5.オススメ度:C
6.攻略難易度:D
7.その他:かなり、ネタバレしてます。やろうとしている人は読まない方がいいです。
 
 
(ストーリー)
 主人公の深山直人は、晴空高校に通う2年生。
 母は幼い頃に他界し、男手一つで育ててくれた父も、5年前に事故で他界してしまった。
 パイロットであった父は、セスナ機で飛び立ったきり二度と帰ってくることは無かったのである。
 あれから5年…一度は父を奪った空を恨んだが、今は父の意思を、想いを感じるために空を目指している。
 今年…まだ本物ではないにしろ、ウルトラライトプレーン(ULP)の飛行資格なら取れる年齢。
 それを取るため、バイトもした、勉強もした。
 しかし父のULPを整備中、我慢できなくなってしまい、無許可のまま飛んでしまった。
 離陸直後、何かにぶつかったような感覚を覚える。
 不安定になりながらも機体は無事に着陸できた。しかし、何にぶつかったのかは分からない。
 そんな恐怖と安堵を感じるなか、直人は「それ」を見つけるのであった。
 草原に倒れる、一人の少女の姿を…
 
 
 やって参りました“KID”の作品です。
 ときに、皆さんにとって“KID”は、どのようなランクに位置するのでしょうか?
 恐らくイメージとしては、パソコン18禁ゲームをイイ感じに色付けしてコンシューマに移植してくれるメーカーか、何か企画物のゲームを出すメーカーといった所でしょうかね?
 私としては、“陰のKID・陽のNECインターチャネル”といった所なんですがネ…

 さて、この作品は近頃怒涛のように出しているタイトルの一本です。
 その中において、私の中にある“KID”のイメージを「変えてくれるのでは?」と思わせた一本です。
 キャラクターデザインに、同人業界で有名な絵描きさんを使ったり、声優もまだあまり有名ではない方を持って来たりと、なかなか努力をした後が見られます。

 まっ、結論から言いますと、成功と失敗は半分半分…
 好意的に見て、「成功してるかな?」といった感じです。
 ゲーム的にはまだまだだと思うのですが、それでも「センスのいい風が吹いてきたかな?」と思えるところは有りました。…と、思ってると、今度出てくるのは『ゴーゴー・アイ・ランド』だもんな〜〜。
 全くもって面白いメーカーさんです。
 では、このゲームのいい点なり問題点を書いていきますか…。
 
 えーとまず、ゲームの舞台を簡単に説明しますと…
 期間は7月初めから一ヵ月半強で、場所は恐らく北海道。
 そこに住む飛行機マニアの少年・深山直人は、すでに両親が他界してしまっています。
 叔父さんが経営する牧場の中に父親と住んでいた家があり、そこに今も一人で住んでいます。
 身の回りの世話は、叔母さんや娘である「勇希」がみてくれて、本人は感謝しつつも飛行機のことに一生懸命になっています。
 そんな中、ストーリー紹介でも触れた少女「瑞雲(みずも)しずく」と出会い、あまつさえ一緒に住むことになってしまいます。
 あとは学校生活や、しずくのことが見つからないようにするドタバタや、8月20日の父親の命日にULPで空を飛ぼうとしている直人の頑張りを題材にしています。

 まぁ何と言いますか…この路線で行けば、まだまだましな物が出来たと思うのに、メインヒロインのしずくがどうにもこうにも足引っ張りまくりなんですよね。
 とーりあえず、マズイのがパッケージイラスト。
 最初のプロローグの段階で、しずくが普通の人間でないことは想像がつくんですが、イラストでは…こちらを向いて微笑んでいるしずくが白い衣をまとっている姿で、周りには羽根がいっぱい舞っています……。
 天使、もしくはそれに類する物であることがあっさり読めます。というか、ネタばらします、ずばり天使でした。
 思い切りがいいのか何なのか、7年前から死にかけてるといった設定が加わらなかっただけましとしますか。
 ついでにしずく関係でもう一つ、声優が一番下手。
 群を抜いて下手。
 他のキャラたちは合格点を出してあげても良いんですが、メインヒロインがアレでは…。
 ちょっと高めの、波がほとんど無い声で怒ったり悲しんだりします。
 神々しさを出したいんでしょうが、なんか違うんですよ。こいつの存在と役回りが全体にもどかしさと言いますか……もう、あ゛ぁぁ〜〜〜(殺)。
 
 しずく以外のところでは、やはりあれです。
 攻略対象4人のうち、最初のプレイではそのうち二人しか落とせません。
 それも、かなりどうでもいい立場のサブキャラ二人です。
 なめてます、どうせなら他の3人をクリアした後に、初めてしずくを攻略できるようにした方が遥かにマシです。
 まあ、さり気にキャラの名前が旧日本軍軍用機から来ているのはチャレンジ精神が有って好感が持てますね。
 その辺を、みっちんさんに言わせると
うっわぁー、センスねーなー。それだけで、もうやる気無いね
という事になるらしいです。
 その気持ちもわからないではないんですが、そこまで拒絶反応を示さなくてもいいような気が…。というか、さり気にあるヒロインの設定が「大のミリタリー系、特に日本海軍物が大好き」という気合が入っている女の子がいるんですよ。
 ということはこのゲームって、実はみっちんにやってもらうのが一番合ってるような気がするのですが…いかがでしょうか、後藤さん(みっちん包囲網)? 

 あと、ひじょーーに個人的なことで申し訳ないのですが、私も最初は気付かなくて、やっているうちに認識していったのですが…
 主人公の名前が“直人”で、しかも何かのマニア、女の子の名前に元ネタ有り、ゲーム期間が7月から夏休みにかけて、話がタルイ、そしてイラストはすごく綺麗…などと考えていたら、とっても『フィルムノワール』がダブってきましたよ。
 どうやら、この設定のゲーム・通称“主人公直人ゲーム”(と命名)とは、相性が悪いらしいですね。
 さてと、ではヒロインの頑張りでも見ていきましょうか。

<瑞雲しずく>
 上のほうでも書きましたが、本作品のメインヒロインであり、その正体は天使の女の子。
 天使だからか何なのか、どうにも一般常識がない女の子です。
 いきなり草原で気絶しているのを助けたら、そのまま家に居座るという、良くも悪くも期待を裏切らない存在です。
 主人公も何を思ってか、しずくの可愛さに押し切られて、理由もろくすっぽ聞かないまま家に泊めます。
 もうこの程度の御都合主義は目を瞑るとしましょう。
 ええぇ、家の中ではTシャツ一枚で過ごそうが、いっしょにシャワーを浴びようとしようが、手を翳して直人の怪我を治そうが、街中で急に消えようが、しまいにゃ死んだお馬さんを生き返らせようが、天使なんでOKでしょう
 さて、このしずくは初めから必要以上に直人の関わってくるのですが、他のキャラの専用ルートに入っても妙に存在感があります。
 後述する「勇希」の場合は、しずくの存在が上手く生かされているんですけど、他のキャラのときに出てこられると(しかもラスト間際なので、とっても意味有り気に)話のこしを折ってくれること請け合いです。
 ゲーム中盤くらいでは、直人はしずくの存在なんか気にも止めずに、その日一日を謳歌しているのが結構あるのにな。
 ま、いっか。下手なバットエンドいくと、しずくの存在がみんなから忘れられるし…。
 で、しずくが直人の前に現れた役割というのが有りまして…何でも「8月20日にULPで空を飛ぶと、墜落して死んでしまう」らしく、「それを防ぐ為に来た」そうです。
 しかも「5年前は、直人のお父さんを助けるのが私の役目」だったそうです。
 …それが失敗してしまったために、直人の事は必死で止めてくれるのですが、期末テストで自然と答えが分かったり、直人が通っている講習所で事故を起こしてULPの講習を中止させたり、馬を生き返らせる不思議な力を持っているのに、何故一生懸命に説得をする?
 しかも父親のときも説得し続けたらしい。
 確かに、馬を生き返らせた後など力を大量に消費するらしく、体調は悪かった。たぶん天使とバレると消えてしまうのでしょう。
 直人を愛してしまい、別れるのが辛かったのだろうが…作品を見ているかぎり、その感情が芽生える前から、さらには馬を生き返す前から説得していたように思えます。
 基本的に何か間違ってます。
 ハッピーエンドを見るかぎり、最初は父親の件の罪滅ぼしのために来たようなので、やっぱり間違ってます。
 こんな事言っていると、物語として成立しなくなってしまうと分かっているのですが、こいつの存在理由がいまいちハッキリ見えてこないもので、つい…。
 何と言いますか、設定上“メインヒロインに成らざるをえなかった”キャラといった所でしょうか。
 なにぶん「初めは不自然さ、終わりは理不尽さ」が付きまとうキャラでした。
 もう一歩踏み込んで設定していたなら、もっと化けていたキャラだと思われるので、非常に残念です。
 このゲームをやっていたのが時期的に『AIR』と重なってしまったので、こいつの感想は、“ポンチキな翼人”で決定してしまった。

<深山勇希>
 本作品の真のメインヒロイン(断定)。
 いとこで幼なじみ、直人の面倒をしっかり見てくれて、いつもは喧嘩ばかりだが、実は自分の気持ちを素直に表せないでいる。とまあ、使い古された設定だらけなんですけど、なにせ他のキャラがパァ〜だし、狙ったように本当にいいキャラなのでメインヒロインです(拒否権なし)。
 話の展開の方も、特に特筆する事も有りませんね。
 転校してきたしずくと仲良くなる勇希、そんなしずくの存在を通して、いつも側にいる勇希の存在を再認識する直人。
 しかし、しずくは直人と一緒に住むことになってしまう。
 その事を隠し続ける直人だったが、(ラスト間際に)ついにバレてしまって…です。
 あとは、“お弁当”“花火大会”“試験勉強”などの各イベントで色付けして終わりです
 しかし、改めて思うと幼なじみって、何故ほとんどポイントが高いキャラで占められているのだろうか。
 従姉妹っていうのも、大して変な人はいないよな。
 さらに、主人公のことを「ちゃん」付けで呼んだり、まだ小さい頃に「結婚の約束をした」とかで武装すると、更に手をおえなくなって来るんだよな。
 この設定は掃いて捨てるほどいると思うのに、やっぱりそのゲームの女の子の中では、だいたい上位の方に位置している(全員幼なじみとか、全国に幼なじみとかは抜かしてね)。やっぱり秘めたる想いって強いですね。
 そんな訳で、お強い勇希様なのですが…私、うっかり最初にクリアしてしまいました(涙)。
 前述した通り、最初にクリアできるのはしずくと勇希。
 しずくは明らかに最初にクリアすると不味そうだったので、初めに勇希をクリアしたら、後の3人辛い辛い。なんか変な人たちばっかなんだもん。
 こうなることは予測できていたんですが、思った以上にダメージを受けてしまいました。


<白菊桜花>
 
 何が何でも敵。
 試しに、このキャラを攻略中にみっちんさんの家に持っていって見せたんですけど、満場一致で敵と認識されました
 よりによって…前述の勇希と学校で楽しく話している直人のところに桜花が現れ、それを見た桜花が勇希に嫉妬します。
 その帰り道に桜花と一緒に商店街へ行くと、勇希に対して「先制攻撃だ!」といって「トラトラトラだよぉ〜」(真珠湾への攻撃合図)と発言する…場面だったため、更に御怒りになってましたね。
 そういう訳で、この娘が遥か上の方で書いた「大のミリタリー系、特に日本海軍物が大好き」な女の子で、直人の親友・白菊疾風の妹、晴空高校1年です。
 しかし、兄弟そろって恐ろしい名前だよな。
 兄が「しらぎくはやて」妹が「おうか」…いま芸名みたいな名前が多いから良しとしましょう
 キャラ的には、勇希と180度違うといって間違いないです。
 出会いは、疾風と一緒にゲームセンターに行くと敵のレーダーに引っかかり発見され、占いの機械の結果と直人のイメージがピッタリらしく「運命の人、発見だよぉ!」という名の爆弾を打ち込まれます。
 ここで可愛さを感じるか殺意が芽生えるかで、恋愛ゲームをプレーするか、精神修行の旅かのどちらかの道が開きます
 なお、おなじ路線で「某“りゅん”お嬢」がいるんですが、どっちが神経に障るかは、その人次第です。
 私としてはもう……。

 さてストーリーの方ですが、傍目には可愛い妹みたいな存在から対等な恋人への昇格を描いていると思います。
 が、その真実は、捕虜になった直人に「お弁当を作ってあげる」や「一緒に下校する」、「交換日記をつける」などが夢なの、と語る洗脳です。
 幸いにして、旧日本軍の飛行機の事で意見があったため、隙を見て逃げ出します。
 しかし、その脱出の手段に選んだ飛行機がなかなか手に入らず(意:ULPの講習所に通いながら)、味方だと思っていた疾風にも裏切られ(意:疾風「妹のことも真剣に考えてくれよ」)、最後には捕まり、洗脳し直されます(意:直人「俺の運命の相手は桜花ちゃんだよ」)。
 だいたいこんな物です。
 更に、小道具として“自作の海軍帽、しかもお揃い”を製作し、誰にも教えていない秘密基地(監禁場所)などが登場します。
 それと、どうやら参謀に(友人に)橘花ちゃんなる人がいまして、数々の作戦はこの娘の発案らしいです。
 ときに、桜花のシナリオを進めるにあたって、兄の疾風がとってもいいキャラで描かれています。
 兄として、親友としてとてもいい立場にいます。
 桜花のわがままで直人が困れば桜花を叱り、直人の方にも釘をさしておく。
 この疾風の行動は、桜花の行動よりとても素晴らしいです…というか、桜花より疾風の方がいい、真面目に。
 何で疾風とのエンディングがないんだろか(爆)
 
 …いったい、私は何を書いているんだろうか? 


<秋水志菜乃>
 夏休みに入って、直人がULPの講習所に通うようになると出てくる女性。
 講習所の近くにある喫茶店「since1960」でアルバイトをしているお姉さんです。
 勇希の次にまともなキャラでしょう。
 はじめは講習所で見かけるのですが、そのとき意味ありげの微笑を残して去って行きます。
 第一印象「昔の恋人似? その人死んでる?」でした。
 その後は、どうにもこうにも冷たいキャラに大変身。
 どんなに直人がアプローチをかけようが、軽くあしらわれる。少し親しくなっても、どうにもまだぎこちない。
 ここいら辺での感想は「トラウマ? これは絶対何かあったな」です。
 さらに、進めていくと…昔、家が火事になって、結構な借金がある。しかも、その火事で弟が志菜乃を庇って死んでしまったそうです。
 恋人と弟の違いがありましたけれども、やはり影を背負ったお姉さんでした。
 その弟との思い出の場所に、見渡す限りのラベンダー畑(自宅の物)というのがあるんですが、その借金を返すためにそれを売るという展開になります。

 まずここで憶えて欲しいのが3つ
1:志菜乃の家は、その土地でかなり有名である。
2:志菜乃自身は火事の原因は、自分のせいだと思っている。
3:志菜乃の父親は、借金のせいで逃げ出してしまった。

 ここからは少々俗な意見になってしまうのですが、「1」や広いラベンダー畑を持っていることから、結構お金持ちな事が想像できます。
 焼けてしまった家のそばに、新しい家も建てています。

 なので、火事の借金が原因で父親が逃げ出すという事実そのものが怪しくなってきます。
 実際に畑を売ろうとしているのは母親の再婚相手であって、血縁の意見は大して触れられていません。
 あくまでも志菜乃から見た意見しか出てこないのですが、それにしても彼女が気に病むほどでは無いような気がします。
 簡単に言うと、父親が借金作ってしまったが、返せなくなって逃げ出したのではと。
 確かに、火事を起こした直接的な原因は、風邪で寝込んでいた志菜乃が消し忘れたストーブなのですが、それだけじゃ〜あんなに借金が出来るとは思えないんですよね。
 よって、その原因がハッキリしないので、直人を巻き込みながら落ちていく様も滑稽に映るんですよ。
 このキャラもしずくと一緒で、今ひとつ設定が足りないですね。
 ちゃんとしたバックボーンさえあれば、納得いく物があったと思うのに残念です。
 それと、このキャラは他の3人と独立しているようなシナリオなんですよ。よって、同時攻略が可能になってくるんですけど、終盤に向けてやたらめったらドロドロしてくるんです。
 登場キャラが少ないので、各シナリオをもう少し練って欲しかったですね。


(総評)
 あらゆる意味で、しずくに振り回されるゲーム。
 あらゆる意味で引っ掻き回されるゲームです。
 ネタにバリバリ引っかかる存在なので、もっと物語全体を引っ張っていって欲しかったのですが、いかんせんその力が無かったのは、とてもイタイです。
 それと設定ミス、および設定不足が目立つゲームですね。
 もう少ししっかりした物があれば、かなり面白くなる要素を含んでいるので惜しいですね。
 その辺がKIDらしさと言えなくも無いんですが、そんな物ばかりでは悲しいんで…
 音楽、声優(しずくは含まず)、プロローグなどは比較的見れるレベルのものですので、是非ともこの流れは、次回作につなげていって欲しいです。
 この辺が冒頭で触れた「成功してるかな?」や「センスのいい風が吹いてきたかな?」と思える所以です。
 えぇ、キャラには殺意を覚えるのも居りますが、総合的に見ればなかなかの完成度はあるでしょう。
 今後に向けて頑張って欲しいです。

 ところで、『ゴーゴー・アイ・ランド』はいったい誰がやることになるんでしょうかね?

PS
私が、桜花攻略時に
「疾風はいったい桜花にどんな調教をしたんだろうか?」と呟いたら、妹に
「お前もどんな調教したんだよ」と突っ込まれた…………(死)
 

(エルトリア)


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