千堂瞳/評価E
☆耕介は昔、幼なじみだった千堂真由の妹・瞳となんとなく付き合っているっぽい関係にいた事がある。
その際、とある事からムラムラ来て彼女に襲いかかったのだが、武道の達人である瞳に投げ飛ばされ、全治二週間の大怪我を負わされてしまった。
それからなんとなく距離が出来てしまったのだが、瞳が薫の同級生という事で寮に遊びに来た事から、焼けぼっくいに火がついてしまう。
あの時の純粋な想いを再び伝え合う二人は、やがて…
…さーて、今夜は何食べようかな。
お、ラーメンなんかいいかも。
じゃ、ちょっと行ってきまーす♪
(終)
…だめですか。
「1」に登場し、その際も攻略対象だった、後の護身道部キャプテン。
どういう経緯でこちらに登場してくるのかと期待してみたら、まぁなんというか…すでに「お呼びじゃない」といった感になっていたという可哀想なキャラ。
…可哀想?
そもそも、どうして彼女は再登場する必要があったのだろうか?
さて、まずはシナリオ。
はっきり言って、なくても良かった。否、ない方がなんぼかマシだったと言わざるをえない。
瞳は、このゲームでは第二章になってから登場するくせに、その章のうちにエンディングに達してしまうという最速クリア可能キャラだ。
薫がらみで登場してくるが、物語的にはななかからの分岐でシナリオが派生する。
それはいいのだが、あまりにも瞳の登場が“取って付けたよう”にしか感じられないのだ。
ななかが物語に絡み始めると、彼女が風芽丘に通いたいという目的意識の象徴として、瞳の存在が提示されるのは良い。
だが、どうも物語はここから「あなたは当然、前作で千堂瞳をクリアしていますよね!? 当然でしょ?」とでも言わんがばかりの展開を見せる。
瞳と主人公の関係や過去は説明するのだが、なぜか瞳の説明がおざなりなのだ。
とりあえず「昔はやたらと凶暴だった」「道場破りみたいな事をしていた」という部分はよく伝わるのだが、音信不通だった間の説明がいまいち煮えきらず、歯切れが悪い。
とにかく主人公と知り合いなんだから、それで納得して! とでもいいたいのか、妙に展開が乱暴なのだ。
気のせいか、瞳の顔付きにも険がありちょっと憎々しげな雰囲気になってしまい、前作のような“格闘技をたしなむお嬢様”的な雰囲気は皆無になってしまった。
…なんか、作者の愛を受けられなくなった哀れな少女といったカンジ…
物語は至って短調で、ホントに焼けぼっくい。
これ以上の何者でもないのだが、どうしても納得できないしこりが心に残ってしまうのだ。
最初の言葉に戻るが、
そもそも、どうして彼女は再登場する必要があったのだろうか?
いつしか、私はこれを真剣に考えるようになっていた。
本作は、なんと全員処女でしたという物凄いオチが用意されている。
(Hシーンのない)望は実は違いました! …ってコトはないと思うので間違いない筈だけど、前作では非処女だった瞳が、本作ではまだ処女だという事に注目してみる。
…おっとっと、十六夜ははっきりしていないんだっけ。ま、いいか…(汗)
…まさかとは思うが、誰か前作のファンがゴネたのか?
それで、言い訳代わりにこのシナリオを用意したとでも?
「1」では、瞳は男嫌いなのに非処女という、この手のゲームヒロインにしてはちょっと「?」と思ってしまう設定を抱えていた。
それなりの理由があっての事だろうと思ったら一切説明がなく、妙な違和感を感じてしまった。
それを補完する意味でこのシナリオを後付けしたというなら、なるほどなんとなく納得できてしまう。
…と一瞬考えたが、やはりまだ何か疑問が拭えない。
よくよく考えたら、これって「1」との設定の統合性が全然取れていないんじゃないか?
まず、本作でも語っているように瞳が男嫌いになった理由は、主人公に襲われかけた経験あっての事だ。
当初、私はそれはれっきとしたレイプだと思ったのだが、どうやら未遂に終わっただけらしい。
それで再会後のHシーンで瞳は処女を捧げるのだが、この流れを「1」の視点で見ると、瞳は高校1年生の時にロストバージンした事になる。
だがこの流れだと、瞳は主人公とくっついてしまうために「1」の主人公・真一郎とくっつく事はなくなる。
この段階で、すでに「1」の展開とは別のパラレルなワールドに行ってしまっている事になるが、これはマルチADVでは当然至極の事で問題はない。
しかし、ななか編のエンディングを思い出してみる。
主人公と再会していながら関係を持たなかった瞳は、実は真一郎と付き合っている事を告白する。
本作瞳編のエンディングから、ななか編のエンディングまでには1年以上の開きがある。
という事は、この間に瞳は主人公でも真一郎でもない相手に処女を捧げた展開になっていないと辻褄が合わなくなるのだが、これは一体どうした事なのだろうか?
あるいは、主人公は瞳とのエンディングの後にまた彼女と別れ、その後に真一郎とくっついたというのが「1」の世界だったのだろうか?
「1」が「2」の未来の話という位置付けにある以上、「2」で起きた“「1」と辻褄の合わなくなった展開”は、すべてゲーム上発生するパラレル上のエンドとして片付けるしかないが、それでもある程度の整合性は維持されていなければならない。
「真一郎と瞳が付き合った時点で、彼女は処女じゃない」というのは、すでに「1」で出されてしまった答えだ。
これを回避するためには、耕介と瞳がくっつく事で、「1」の世界とは別のパラレルへ移行しなくてはならない。
しかし逆を言えば、それ以外の行動はすべて「1」に通じるのだ。
結局、それは本作で瞳の過去を語るシナリオを作ったとしても、肝心な説明をしていないという事に繋がる。
瞳が本作に出てこなければ、あるいはヒロインでなければ、全然問題は起きなかったのだが。
なんか処女だの非処女だのって所からこだわって書くと下世話だが、これも設定の一部として捉えると決して無視は出来ない。
私は、こういう設定の不整合性が許せないタイプである。
これのため、本シナリオは著しく評価を下げさせてもらった。
…と書いたのだが、後に「投稿九拾八式」にてお客様を指摘を受け、再プレイしてみた。
最後の選択肢で瞳を拒絶すると、Hはするんだがやっぱり別れる…という展開になっていた。
ああ、なるほどこいつはミステイク…うっかり選び忘れがあったようです。猛反省<(_
_)>
(あるか様、ご指摘ありがとうございました)
で、それなら評価も変わるか…というと、実はそうでもない。
もっともらしい事を言って説得力を持たせようとしているが、どうして瞳を受け入れない事を決めた主人公が、彼女を抱かなくてはならないのか。
今度は、キャラクターの性質的な不一致が出てしまうのだ。
これまで主人公は、相手にとって不利になったり、あるいはその場のノリ的な流れでこういった安易な行動を取らないようにしてきていた。
または、そういう行為に及ぶという事は、その先の事についてもちゃんと考えているという姿勢を提示していたのだ。
このバッドエンドでは、どうもそういったものが感じられない。
どうしてそういう風になってしまうのか、納得出来ないままになってしまう。
このルートでは、その後真一郎と付き合う事になるので確かに整合性は取れたが、そうするために無理矢理作ったエンディングという感じは否めない。
やっぱり、プラスマイナスで評価は変わらなかった…
★なお、あえて間違えた部分を削除せずに掲載しています。よろしくご了承ください。★
瞳のシナリオは、他のシナリオと比べると信じられないくらいにあっさりとした、ボリューム感が全然感じられないものだ。
極端な事をいうと、あるポイントまでななかで進めていて、途中から選択肢を変えるだけで簡単に瞳編に入れてしまう。
どう贔屓目にみてもやっつけ仕事以外の何物でもない。
極端に早い時期に、たった1回きりで終わるHシーン…必要最低限の条件だけ満たして投げ捨てたようにも見える。
いずれにしても、かなりぞんざいな扱いを受けて製作されたエピソードなのは間違いなかろう。
そこまでして、攻略対象を増やしたかったのか。
あるいは、「1」の時の言い訳をしなければならなかったのか…
このシナリオ終了後、私は言い知れぬ不安を感じ、慌てて「3」の資料を取り寄せて再登場キャラクターがまたいないかチェックした…
ああ良かった! さすがに今度は再登場はいないか。
いやぁ焦ったなァ、もう!!
…けど、ナニ、この“神咲那美”って…?