とらいあんぐるハート


『とら〜いあ〜んぐ〜は〜〜、今ここからはじまぶ〜〜♪』
…どかばきぐしゃっ!

真一郎が出逢った少女。彼女の持つスタンドの名は春原七瀬…!! ああ、ベタベタですこと(ゆいな氏カットサンクス♪)

 …現在「3」まで発売されている、JANISの人気恋愛ゲームシリーズ第一作。当然相当前のものだったり。
 …え、何故いまさらって? 
 ぶふふ、これから始まるのですよ。「とらハ地獄」という奴が…(ToT)

1.メーカー名:JANIS/有限会社アイボリー
2.ジャンル:マルチシナリオタイプ恋愛ADV
3.ストーリー完成度:非常にムラがあるが、平均Dとしておくか…
4.H度:C。ただし、各所に目を見張る描写あり(後述)
5.オススメ度:現段階ではCの下、かな…
6.攻略難易度:C
7.ブランニューハー度:全部乗せ替え玉追加。

(ストーリー)
 161センチという低い身長と、まるで女性のような綺麗な顔立ちがちょっとだけ悩みのタネの主人公・相川真一郎は、幼なじみの鷹城唯子(身長175センチ)と野々村小鳥(身長145センチ)と、日々それなりに楽しい学校生活を送る高校生。
 そんな彼は、これまでの親しい友人関係からさらに一歩踏み込んだ関係というものを意識し始める。
 真一郎は、七人の女性とどのような物語を紡いでいくのだろうか…?


 さて、99年の作品です。
 ちょっと前に人気炸裂した話題作『とらいあんぐるハート3』のネタを、当サイト内『投稿九拾八式・御意見箱』(現在休止中)の中で振った所、大変多くの方に奨められました。
 ううむ、ここまで色々奨めていただいた以上、やらない訳にはいかぬ…
 しかしなんという事か、これまでこのシリーズをプレイした人間はスタッフ内に皆無!
 無理矢理家に急襲して、積みゲーを崩すとあったりするんだよな、コレが!(笑)
 という訳で、管理人自ら本作を購入、プレイに踏み切ったが…

 そういう訳で、すでに古いゲームでご存じの方も多いでしょうから、ネタバレ何でもアリで行きます。
 しかも、今回から始まって私この後「2」「3」もやる事になってる…あうう(T_T)
 この後は、「ブームに乗り遅れて今更1から始めている奴が書いている文章」と割り切って読んでもらえれば幸いです。


 しかし、正直ゲームとしての完成度は著しく低い。
 いくら(プレイから)2年前の作品だとはいえ、当時の基準で比べてもその完成度はかなり下のランクになるのは間違いないだろう。
 描写力に乏しく、いきなり途中でぶっちぎれたり勝手に終わらせられるテキストに、降って湧いたかのような唐突な設定、写真を画像加工ソフトでフィルタかましただけという、製作工程が透けて見える背景、ヘタすぎる声優陣、情緒もへったくれもない場面描写、所々に見える「どっかで見たような展開」…もう、欠点を挙げたらキリがない。
 さらにOP画面では、メインヒロイン二人がプレイヤーに向かって石破ラぁブラブ天驚拳!を放つという念の入れ様!
 もちろん掛け値無しで良い部分もあるにはあるのだが、非常にバランスが悪いのだ。
 スタート当初、私の頭をよぎった素直な疑問はこれだった。

「どうして、こんな駄作が3作も続き、あまつさえ話題が集中するに至ったのか?」

 これは、必ず何かがある。
 ごく限られた一部の人達だけにウケる要素ではないものがいくらか…
 そう思い、再度気を引き締めてチャレンジ。注文されているCG作業も文筆業も停止し、週末をエロゲに費やす私がいた。
 その間、飲んだコーヒー(当然ブラック)約5リットル…はや〜

 以降、プレイ順に各ヒロインのシナリオを批評していきたいと思う。また長くなっちゃうけど、どーかお付き合いを…


1.鷹城唯子  評価:激E
○空手を経由して、護身道という武術に精を出す少女・唯子。
 今まで通り、仲の良い真一郎や小鳥と楽しい毎日を送る。
 しかし彼女の誕生日、真一郎がその意味を知らないで渡したプレゼント・フォーチュンリングのために、これまでの関係に大きな変化が起こる。
 二人の感情は行き違い・すれ違いを繰り返すが…

 おい、いきなりハズレ引いちまったよ!!(怒)
 まさかメインヒロインの片割れのシナリオが、作品中最低の完成度だとは思わんかったわ
 もうヒドイ、はっきり言ってサイテーの出来。
 いきなりこういう言い放ちもホントはマズイのだが、それくらい中身も外見もヘタレなのは悲しい現実だ。
 私にとってはこのシナリオがゲーム全体の第一印象を決定してしまったもので、かなり評価が低い。
 まず、ストーリーに起伏が全然ない。
 意味を知らずに購入したフォーチュンリングを主軸にして、仲の良かった二人の関係を一度リセットし、再認識させてくっつけるなんて素材はとてもいい筈なのに、全然活かされていない。
 また、唯子が懸命に打ち込んでいる護身道にしても、部活の描写ばかりで大会に対しての下準備や気持ちの表現、葛藤のようなものが全く伝わってこないため、キャラクターが勝手に突っ走っている印象しか受けないのだ。
 普通なら、武術と恋愛の両方の問題を大きく抱えた唯子の内面の葛藤を、もっと多く書き込まなくてはならないのだが、本シナリオはそれを豪快にオミットした

 もちろん、根本的な構成問題が足を引っ張っている事も原因ではある。
 このゲーム全体で言える事だが、場面の演出に「溜め」や「引き」がない
 もっとかみ砕いて言えば、ひとつの場面を印象付けるためにわざとじらしたり、逆に無駄な部分はさっさと切り替えたりして、良い部分を引き立てる方法だ。
 もちろんこれはどんな作品にも必要なものであり、決して特殊な方法や秘伝ではない。
 これが完全になくなると、どんなに良い場面でもサラリと流れてしまって、印象に残るものが無くなってしまうのだ。
 唯子シナリオでは、それが特に露骨に出た。
 唯子自身があっけらかんとした性格で、明るいのはいいのだが全然考えが読めないタイプである事も手伝って、なぜこうなるかな? という展開ばかりが目立ってしまう。
 例えば、小鳥にラブレターが届くシーンなんか。
 初めてもらったラブレターの差出人が、実はそういう趣味の女性で…小鳥は当然拒絶して逃走。
 差し出し人の彼女も「多分こうなると思いました。受け入れられないなら諦めます」と一言。
 ここまではいい。
 そんな彼女を見て、唯子は一言…

「そんな簡単に諦めちゃっていいのかな? 私だったら、絶対諦めないけどな」

 点が違うだろーがこのデカ女!! いーからその辺でシュークリームサンデーでも撃ってろ!(意味不明)

 もちろん、主人公に対する自分の意志表示を例えた言葉なのは充分承知だが、こういう奴だから「は? 何言ってんだこの巨大木星オンナ」という印象しか抱かない。
 ま、後にこいつはレズっ娘ラブリンクルクルリンクルでもある事が暴露されるのだが、だからって…ねぇ。
 唯一良かった所は、ヘタな気遣いで小鳥と主人公を二人きりにしようと、無断で欠席したクリスマスパーティくらいか。

 さらにここに「文章ちょっとだけで、画面もなく終わる別エンディング」「たった7行の文字だけしか出ないバッドエンド(他にもあるが)」等も加わって、怒り倍増。
 さらには、エンディングで突然身長が伸びて唯子の身長をあっさり抜いてしまった主人公に、ミュータント疑惑爆発
 高校3年近くから、たった1年程度でいきなり15センチ以上も身長が伸びるかーっ!! 中学生じゃねーんだから!
 とりあえずセンチネル数体派遣するので、とっとと捕まってほしい心境だったりする。
 
 真面目な話、どうもこのシナリオは製作時間が足りなかったようにしか思えない。
 間に合わせで構成したようにしか感じられないのだ。
 この後、なかなか良いシナリオが連発する訳だが、このシナリオだけやけに遊離している印象がある。
 シナリオ終了直後(その後も出続けているにも関わらず)、いきなり印象が消滅したシナリオなんか初めてだ。
 
 それから、Hシーンについてツッコミを一つ。
 「生理が終わったばかりだから、絶対大丈夫」という根拠はナニよ?
 『柏木悠里の徒然ビュー』のPART-04でも読んで、その間違った認識を是非改めていただきたい。いつか命落とすぞ <落とさへん落とさへん!       
 ときにこの唯子の声というか言い回し、やたらとうさぎ(三石琴乃)調なのはなんでだろ…


2.春原七瀬  評価:A
○以前小鳥から言われた事が、ふと真一郎の脳裏をかすめる。
「旧校舎には、幽霊が出るんだって!」
 ちょっとした興味で、数年前から使用されていない旧校舎へと足を向ける真一郎。
 誰の気配もなく、ただ風が通り抜けるだけのこの場所で、ある日突然出会った少女・七瀬…
 今はほとんど着る者もいない、旧タイプの制服に身を包んだ長い髪の知的な少女との、不思議な逢瀬が始まるのだが、それは…

 スタートゼロコンマ数秒で、“実は幽霊”だというオチが解ってしまうシナリオ。
 しかし、特にそれを隠そうとはしていない姿勢も手伝って、プレイヤーは早いうちからこの少女に感情移入できるのではないか、と思う。
 唯子のシナリオで怒り心頭に達し、各スタッフにグチっていた私が、以降最後までスムーズにプレイさせてくれる気力を与えてくれた秀作シナリオだった。

 七瀬の正体に(プレイヤーの思惑に反して♪)、最後の最後まで気付かないままの主人公もなんか微笑ましいが、何よりも注目すべきポイントは、主人公が彼女を大切に思う気持ちをこれでもかと表現しきった事に尽きるだろう。
 これまでのパターンだと、いわゆる「幽霊に魅了されて」というパターンが多かった。
 かの有名な古典怪談「牡丹灯籠」の例を見るまでもなく、幽霊であるが故の思念や魔力めいた力に骨抜きにされた男が、死者との逢い引きを交わすというパターンが一般的だった。
 対して本シナリオでは、七瀬をあくまで“生きている人間”と信じ切っている主人公を描写し、好きになる過程を描こうと努力した形跡が見える(もちろん先の「溜め・引き」の問題点もあり、完全とは言えないが…)。
 これは、とても評価したい。
 否、あるいはすでに肉体の交わりを持ってしまったため、本人達の意向とは無関係に魅了されていたのかもしれない。
 しかし、誰もいない筈の学校に「なんとなく七瀬がいるような気がする…寂しがっている気がする」と考えて侵入してしまう主人公には、常識論をぶつけるよりも先に、無根拠な共感を覚えてしまうのだ。

 最初のHシーンで、突然これまでとはうって変わって緻密な描写になるHシーンにも注目してみたい。
 実は私は、評論対象以外のソフトの場合はHシーンをすべてスキップしており、大体においても早めのクリックや早送りでさっさと終わらせてしまうタイプである(ちゃんと読んでいるけど、ね)。つまり、それだけHシーンには興味がないのだ、ハッキリ言って
 しかし、そのシーンが情緒的だった場合…物語の流れの中で、重要なウェイトを占めている場合は例外。
 なるべくじっくり読んで、キャラクター達の感情の動きを汲み取ろうと考える。
 七瀬シナリオの場合、最初から読ませるものがあった。
 なんかむちゃくちゃな方法で誘惑されたようにも感じるのだが、多分それは気のせいだろう。
 唐突に綺麗になる画面、緻密な書き込みと二人の性格描写…後半、肉体的な繋がりも会う理由の一つとなっていく訳だが、この描写のおかげで、本来もの凄く不自然な筈のこの逢い引きに違和感が感じられなくなり始めるのだ。
 なんだ、やりゃ出来るじゃん!

 その分、別離も辛い。
 プレイヤーの誰しもが予想していたパターンかもしれないが、彼女との結末は「主人公の死」か「七瀬の成仏」しかありえないのだ。
 シナリオでは当然後者となっているが、その際の主人公の諦めの悪さ(冷やかしではない)には、胸を打たれるものがある。
 こうなるのは仕方ない事だってわかっているのに、昇華していく七瀬に追いすがろうとするんだもん…ちょっとホロッと来た。
 これでエンディングが「転生してまた来ちゃいました。てへっ☆」オチでなければ最高だったかもしれないが…まぁいいや。とらハにしては上出来だから(爆)。    

 ただし、問題点もないわけではない。
 終盤直前、主人公と七瀬の逢い引きを小鳥が発見する件だ。
 すでに魅了されている状態となっている主人公を、あえて第三者視点で描写させる手法は(賛否あるものの)まぁ悪くないと思う。
 しかし、だったら小鳥が何を見たのかを、ちゃんと描き切る必要がある。
 このゲーム全体の悪いクセとして、プレイヤーにあえて情報を隠そうとする場合、その部分をぶった切ってしまうというものがある。
 ここでも、小鳥が見た→何か見た(画面&説明ナシ)→慌てた…だけの簡潔すぎる表現で終わらせている
 一応彼女がどういう状況のものを見たのかはその直後にわかるが、この場合彼女がその光景をどういう風に捉えたのかが、重要になると思う。
 こういうポカは、ホントに多すぎ。
 なんか作者だけが納得していて、プレイヤーの感覚で検分していないという感が拭えない。
 また、これも全体的に言える事だが、バッドエンドがあまりに単純すぎる。
 画面がないだけでなく、つたない文章数行で簡単に終わらせられているのだ。
 このエンディングでも、七瀬のその後が全く語られないままで終わっている。
 さくらが行った昇華も、どうしてそういう流れになったかも、全く不明のままだ。
 主人公が事情を知らないままで終わる展開も悪くはないのだが、もう少し考えるべき所はあるだろう…

 ヒロイン・七瀬は、ややお姉的な性質と少女っぽさを同居させたキャラとして、そして謎をうまく含ませ漂わせる存在としては秀逸だったと思っている。
 いいね…死によって、すでに終わってしまっているものを追い求める物語…こういうのに弱いのよね、私。
 ただ、30年前に死んだのに現代風の流行言葉使ったり、結局彼女が地縛霊化した所以(死因含む)がまったく語られなかった事が残念
 過去に関わった人間とのやりとりとか、生前の記憶とかを持ってくれば、もっとすばらしい内容になっただろうね。
 それだと『風雨来記』の樹みたいになる気もするが…(^-^;


3.緋堂さくら  評価:C
○下級生のさくらは、やや冷たい印象を感じさせる小柄な少女。
 時々具合が悪くなり、ある時真一郎の目の前で倒れた事すらあった。
 期末試験の最中、図書館で勉強する彼女と親しく接するうちに、やがて関係を持ち始める二人…しかし、肩に噛み付いて出血させたり、それをなめたりという奇行も目立っていた。
 ある日、真一郎の家に宿泊していったさくらは、寝ぼけたまま真一郎の頸動脈に噛み付き、血を吸い始めた!
 しかもその頭と身体には、大きな耳と尻尾が…!!

 七瀬シナリオで決着を付ける原動力となったさくら…当然、次はこちらと思ってやってみたら、なんとビックリ! 彼女も“物の怪”でした!
 しかも、実は吸血鬼と人狼の血を受け継ぐ雑種…って、デザイン上のコビはともかくとして、まぁ面白い設定といたしましょう。ハハハ…(汗)
 ここでの注目点は、さくらと親密になっていく主人公の心の動きと、さくら自身の変化の表現が異常に細かいところだ。
 相手が物の怪だとしらなかったとはいえ、普通の女の子を相手にしている時以上に丁寧に描かれている。これは素直に好感が持てる。
 図書館での勉強会で、弁当で釣る(笑)展開はとても面白い流れだと素直に感じた。
 さくらの、恋愛に対する考え方や、主人公が彼女の事を真剣に考えるくだり、非常に説得力に溢れていて面白い。
 このまま最後まで通常恋愛劇として流れたとしても、かなりの高ポイントだったのではないかと予想する。

 しかし、この全体から感じる“なんとなく良い”雰囲気は、4回目のHシーンの直後で崩壊する
 言い換えれば、これ以降の展開が評価を下げかねない要因となっているのだ。
 七瀬編でもその片鱗を見せているように、さくらは只の人間ではない。
 その点についてもしっかり描写しなければならないため、いつまでも普通の人間の恋愛劇はやっていられないのは解る。
 しかし、純血の吸血鬼・氷村との対決に至って、物語は突然軌道を外れてしまう。
 氷村によって洗礼を受け、下僕となってしまった唯子達女生徒との対決場面では、意識を奪われている筈の唯子が主人公との会話を成立させてしまったり(その直前に瞳と対峙し、直後に再び困惑・操られる)、支離滅裂な展開が連発し始める。
 なんだよ、また唯子か。しょーがねぇなぁ…
 これまで単なる無差別ナンパ君に過ぎなかった氷村の目的が露見する大事なシーンの筈なのだが、なんだかちゃちな演劇をはたから眺めているような気分にさせられてしまう。
 もっとも、氷村の存在そのものが全くムダという訳ではない。
 さくらと心が通い始めた頃、氷村との関わりを出して“心移り”を臭わせる所なんかはとてもうまい。
 なんか、良い部分と悪い部分が混在しているのだ。よって、評価はここまで下がる。
 
 エンディングが、いずれも完成度が高い所は意外な発見。
 血族の違いから、各々の寿命が異なる二人…遠い未来、通りすぎる老婆に尋ねられる質問に、娘ではなく「妻です」と答えるさくらの姿は本当に美しい。
 どうやらその言葉尻から、主人公はかなりの老齢に達しているらしいが、さくらは成人女性程度の外見だ。
 結局、それくらい長く関係が続いていた事への安堵感と、やがて寿命というものが二人を分かつだろう運命への悲壮感が同時に感じられて、とても感慨深い。
 おいおい、これホントに唯子シナリオと同じ人が書いたの?

 珍しく、バッドエンドにも見るべき所がある。
 氷村を殺し、皆の記憶を消し、改めて転校生としてやって来て、主人公に注目する事なく去るさくら…結ばれるまでの過程が濃密だっただけに、このエンディングにはどこか悲しいものが残る。 
 基本的には適当に扱われているバッド系のエンディングの中では、これだけが異彩を放っている。

 さて、ツッコミ所はというと…実はHシーンに集約されている。
 精液を飲む事が出来る程なのにバージンだったというのは(ま、確かにそういう子も現実にいるけどねー)、霊の“物の怪”的特性の発展となんとか納得も出来るのだが、彼女には定期的に訪れる“発情期”がある。
 しかも会話から、すでに何度もそれによりキレた事があるらしい。…一体どうやって済ませていたのだろうか?
 それから、ここだけの話ではないがHシーンにはやたらと同じ様な表現が連発する。
 その中で、処女膜が裂けていく感覚を主人公が語る部分があるが…ちょっと待て
 処女膜を破る時にそういう感覚があるという事は、膜が完全に癒着してホンモノの膜になってしまっているという事だ
 こんな状態で無理矢理姦通なんかしたら、出血どころか大変な大怪我になってしまう。腕とか脚に穴を開けるのにも等しい行為だ!
 実際処女膜は一枚の幕ではなく狭い穴状の器官で、そのままだと高年齢化の歳に完全にくっついてしまう性質がある。
 誰かのバージンを貰った事のある人で、こんな感覚を味わった事のある男はいないだろう…ちょっとだけ怖かったぞ、まぢで。 


4.御剣一角(いづみ)  評価:B
○蔡雅御剣流の忍術免許を取得しているホンモノの忍者少女・御剣いづみ。
 幼なじみではないものの、真一郎や唯子・小鳥たちと日々仲良く過ごしている、ちょっと男まさりの元気っ娘だ。
 冬休み、新たな忍術検定のために実家・旭川に帰省するいづみだが、皆の励ましに応える事も出来ず、「失格」の報告を真一郎に寄せてくる。
 このまま忍者を続けるか、それとも普通の女の子になるかを考えるいづみ。やがて真一郎と結ばれる彼女の前で、とんでもない事件が発生した…!!

 この際、忍者が普通に一般の学校に通っている事については不問に伏すとして(笑)、シナリオそのものは二転三転を繰り返し、起伏に富んだ非常に楽しい作りになっている。
 これまで女性としてよりも、親友として意識していた相手への気持ちの変化と葛藤、自分の実力不足からくるトラウマに悩まされるいづみの悩み、そして相手の隙に付け入ろうとしている自分の態度を責める主人公の内面描写、前半部の伏線の見事な消化…かなり見所が溢れている。
 落ち込んでいるいづみを慰めたいのに、そんな自分を卑怯ではないかと責め、それでも抱いてしまった後「たとえ抱き逃げ男でもいい…寂しい時だけ来てくれるだけでも」と、安易に“抱いた=恋人”に転化させない思考は見事
 さらに、翌朝自宅の合い鍵を作って手渡す所なんかは、思わず驚嘆の声をあげるくらいに格好良い演出だった!
 結ばれた後、タメ口だったのが突然「真一郎様♪」呼ばわりになってしまう所は笑って済ませたいものだが、最後の戦いを経て、元に戻っていく過程も納得するものがあるから良しとしよう。

 さて、一見問題点が少ないようなこのシナリオにも、当然いくつか目立つポイントが存在している。
 まず根本的な問題点(?)、北海道に忍者の家元という無茶な設定だ。
 これはこのシナリオのみでしか活きない小さなポイントなのかもしれないが、こういう設定の不徹底が各所に散らばりすぎているため、あえて例として挙げておきたい。
 ホントに多いのよ、こーいうの…
 長年蝦夷の地として隔離されてきた東北から北海道地方にかけての地では、忍者を必要とするような大名や、それらの争いによる合戦はあまり(全然ではない)行われていない。
 忍者の発祥は戦国時代であり、この時期に確立したものでなければ、現代でも名をはせるほどの大家元になりうる筈がないし、それくらいの存在が本家ごと遠くに引っ越すなどという事はありえない。
 物語上、いづみが北海道出身である必然性がまったくないため、別に本州内に実家があっても構わない筈。
 ヘタなオリジナル設定が足を引っ張っていると言えよう。
 それにしても、どうしていづみが遠く離れた地で一人高校に通っているのかが、ついに描写されなかったのも残念。
 また、後半結構な規模の戦闘を繰り広げる事になるにも関わらず、その重要位置に立つ存在・いづみの兄の“火影”が、最後までグラフィック一つ存在しないというのはいかがなものか?
 このゲーム、メインの登場人物以外は、イベントCGを除いて徹底的に画面に出てこない。
 まるで意図的にそうしているかの様にも感じられるくらいだ
 また、バッドエンドで登場する弓華の仲間が、メインルートではほとんど登場しなくなるというのも困り者。
 一応出たらしいが、あっさり倒されてる。わざわざ名前まで付けて出ているのに。
 ましてバッドエンドで、弓華までもが主人やいづみ同様なぶりものにされていた理由が最後まで判明しないのは痛いマイナス
 弓華シナリオで、どうやら顔を見られたら処刑される掟というのがあるらしい事がわかるが、だからといってこの場で彼女が仲間に陵辱される言い訳にはならない。
 だって、とっとと殺せばいいだけなんだもん。手の中なんだから。
 こういう微妙な設定の違和感が、良い場面演出を蝕んだ事は否定出来ない。

 また、いわゆる「日常生活では絶対に触れる事のない“裏の世界”」というものが覗くが、これについてはほとんど説得力も緊張感もなかった事が悔やまれる。
 いや、決して『Phantom』みたいに徹底した作品と比較するつもりはないのだが、あまりに希薄過ぎる。
 生まれてからずっと殺し屋として育ってきた相手が、あんな程度の説得に応じて投降・考えを改めるとは到底思えないのだ。
 この辺は後の弓華シナリオでも触れるが、本シナリオ最大の疑問点なのは間違いない。

 エンディングについては、これまた異常におちついた雰囲気になってしまったいづみの姿が美しい。弓華と火影が夫婦になったという結末に多少の無理を感じはするが、ここでそれに突っ込むのはヤボなのかもしれない。
 それにしても、成長後に印象がガラッと変わるヒロインばかりで、面白いね♪ もちろんこれは誉めてるのよ。

 さてこのシナリオ辺りから、他のヒロインシナリオとのリンクが見られるようになる。
 特に後述の莵弓華が、この後“野々村小鳥シナリオ”でも重要な役割を果たすのだが…さて。


5.莵弓華(トゥ・ユンファ) 評価:C
○新学期になって、真一郎のクラスに留学生がやって来た。
 彼女の名前は莵弓華
 片言の日本語で話す、優しそうな表情が特徴の中国人少女だ。
 真一郎からのアプローチから心を開き、小鳥達ともうまくうち解けていく弓華。
 しかし、彼女は時折とても悲しそうな表情を不意に見せる時があった。
 そんなある日、彼女が学校を病欠した。
 見舞いに行った真一郎の前に、突如姿を現す戦闘服の少女と、その後を追う負傷した男性…
 結局弓華に会えなかった真一郎の元に、いづみからの電話がかかる。
「いますぐそこから逃げろ! 殺されるぞ!!」

 いづみシナリオと対になった存在で、おっとりした少女が実はプロの殺し屋だったというお話。本名は泊龍(ぱくりゅう)
 普段の弓華の仕草と、殺し屋として降臨する彼女の態度のギャップは真面目に面白いのだが、攻略ヒロイン…と考えると、ちょっと感情移入が難しいかな? と感じる事がある。
 結論から言えば、シナリオ完成度は結構高い
 後述するエンディングも、ヘタしたらこのゲーム最高のものかもしれない程で、私はかなり評価している。
 しかし、いかんせん初登場が遅過ぎるため、プレイヤーがキャラクターを認識するよりも早くシナリオが進行してしまう問題点がある。
 本作は12月1日からスタート、1月中旬辺りから日数スキップが目立つようになり、2月初旬辺り(当然毎日ではない)で完結するパターンがほとんどだ。
 それぞれのキャラクターは、初登場以前から主人公の知り合いだったり、せいぜい2日目辺りまでにはほぼ出揃う(七瀬例外)。
 対して弓華は、なんと初登場が1月7日である。
 これでは、感情移入している暇なんかない。
 それなのに、このシナリオはヒロインにどれくらい感情移入出来るかで、印象が正反対になりかねない要素も含んでいる。
 例えば、弓華が暗殺者として登場するいづみシナリオを経過した場合と、このシナリオで初めて弓華の正体を知った場合、あるいは後述の小鳥シナリオ経過後の場合とでは、それぞれ印象が大きく異なってくるのは間違いない。
 プレイヤーがどういうルートでここにたどり着くかを、想定して配されたシナリオとは到底思えない。
 ある意味、これが予想外の欠点にも繋がりかねないのだ。
 バッドエンドでなんのためらいもなく主人公を殺せる彼女が、トゥルーやいづみシナリオのグッドルートでは精神的動揺を大きく見せ始める。
 そもそも完全な暗殺者として育成されてきたという弓華が、こんなささいな言葉の応酬程度で気持ちが動く事自体が不自然なのだ。
 だが、もしもそれゆえの物語として構築するならば、それを誰もが容認出来るようになるほど説得力の強い演出が必要になる。
 それが弱かった事が、非常に残念でならない。
 七瀬もかなり短期間で終了するシナリオだったが(12/20でエンディング)、一種隠しキャラ的な存在だった事・登場そのものは比較的早かった事も手伝って、さほどの違和感は感じられなかったのだ。 
 学校の屋上でタトゥーを見られた時の反応や、カラオケでの楽しそうな雰囲気など、彼女の場合はどこまでが演技なのかが、根本的に不明瞭なのだ
 自分の本当の感情を、演技というヴェールを突き破って露出させるための演出…もっと大胆なものでも良かったのではなかろうか?

 さて、どうしようもない問題点。
 これがあるため、どうしてもこれ以上評価を高く出来なかったポイント…「野外プレイ」だ(汗)
 いづみが彼女をかくまった行程と理由についてはまぁ納得出来なくはないが、彼女の戒めを解いて脱走した後のやりとりがいただけない。
 いくら主人公との思い出の場所が学校の屋上だからって、何もそんなところでやらなくったって…あーた…
 しかも、明らかに授業中で人も大勢いるのですが…ねぇ。
 盛り上がっている所非常に申し訳ないが…ちょっとクラクラきた。
 感動したい場面で突然マニアックなプレイに至るのは、今後控えていただきたい。

  グッドエンディングは、予想以上に素晴らしいものだった。
 主人公の元から去り、姿を消した弓華…それを追って数年間各地をさまよった主人公は、ある日小鳥といる所で、彼女そっくりの女性と出会う。
 夫と子供を連れているが、その姿に思わず涙をほとばしらせる主人公…彼女が弓華のその後の姿なのか、彼女が連れている子供は主人公との間に出来た子なのか…?
 その辺をあえて不明瞭にぼかした所は、かなりポイントが高い。
 こういうレベルでの「プレイヤーのご想像にお任せします」というのは、大歓迎だったりする。  
 
 ちょっとだけ補足すると、もう一つだけ気になる問題点があった…もっともこれは、弓華シナリオそのものの欠点ではないが。
 大きく遅れて1/7からスタートする弓華シナリオだが、なんという事か、他のヒロインのシナリオデータを継承する事が一切出来なくなっている!
 私はこれのため、3回も攻略失敗してしまった。
 ある程度のルートに食い込んでしまうと、もはやそのヒロインのシナリオから脱出不可能となるのが本作の特徴だ。
 何が原因で脱線して、とんでもないエンディングを見せられるよりは遥かにマシなのだが、この辺もう少し融通を効かせてもらえると嬉しかったものだ。
 まぁ、年内にHに至ってしまう場合も結構あったから、そこから別ヒロインへシフトせよ! というのも酷ではあるが…


 
6.千堂瞳  評価:D
○唯子の所属する護身道部の主将で、卒業を間近に控えた先輩。
 そのあまりの美しさと凛々しさのため、男女問わぬ人気を集めている彼女だったが、ささいなトラブルから知り合うきっかけが誕生し、真一郎は幾度となく彼女にアプローチをかけていく。
 やがて告白を経て、互いの距離を急速に縮めていく二人。
 …だが瞳に興味を持った氷村の登場により、二人の間にわずかな疑惑が発生する…

 えーと、実は結構予想していた展開で、他のサブヒロインと比較するとシナリオそのものに目を見張る抑揚はない。
 一歩間違えると唯子シナリオ並の完成度にしかならない、徹底した“恋愛劇”となっている
 さくらや七瀬、いづみらと比べるとあまりに大きな違いに驚かされるが、その分こちらでは“ヒロインが主人公に少しずつ想いを寄せていく”行程が丁寧に描かれているため、とても好感が持てる
 一見完璧に思える端正な美女が、実は結構ヤキモチ焼きでわがまま、表情豊かというのは面白い。
 周りの環境に振り回されていないヒロインとしては、ある意味最高の描写だったかもしれない。

 しかし、いかんせんシナリオがつまらない。
 全体の三分のニ以上が、ひたすら主人公からのアプローチに費やされるため、彼女との関わりが意外と希薄なのだ。
 また、陸橋の上での選択次第で、主人公は「恋人」か「弟としか思えない存在」のどちらかに分けられてしまう。
 前者はともかく、ここまでやっていて後者の結論を出されたら、それはもう不満爆発間違い無しだ。

 また、これは唯子シナリオでも感じた事なのだが、試合についての描写が甘過ぎて、彼女達の護身道に対する熱意がそんなに感じられない。
 否、部活動見学の際に描かれている描写については文句はない。
 ただ、最終目的とも言える大会そのものに対してのこだわりが突然欠如してしまうため、「それでいいのか?」という印象を抱いてしまうのだ。
 もちろん、瞳が大会と主人公との関係を秤に掛けているようだったら何も問題はなかったのだが、どうもそうではないらしい。
 いくらV2を飾った人間だからといって、大会をないがしろに考える事はないと思うのだが…。

 ストーリーの全体構成が学校の行事に沿うものである都合上、なんだか唯子シナリオの焼き直しあるいはアレンジにも感じられてしまう(これは唯子を先に攻略した弊害?)。
 実はすでに経験済みだったという、少しひねったパターンがあったのは面白いのだが、本来男嫌いだったはずの彼女がどうしてそういう経験に至ったのか、あるいはそれが原因で男嫌いになったのか…もう少しツッコミが欲しかった気はする。
 …しかし、冷静に考えてみるとこの世界って、普通にレズビアンが市民権を持っている描写もあったから、初体験の相手が男性とは限らない…のかな、う〜ん…
 もしそうなら、以前の恋人みたいのを絡ませても面白かったかも。
 …と、ここまで書いて初めて気がついたのだが、なんとこの千堂瞳は、「とらハ2」でも攻略対象ヒロインとして登場するらしい事を聞いた。
 うむ、まだそれ以上「2」の情報を得ていない私だが(2001年3/25現在)、まさか初体験の相手は「2」の主人公だったとかいうオチ?
 もしそうなら壮大なシナリオが事前に構築されていた事になるが…まぁ、とりあえず今後に期待しよう。

 あ、そこの結末を知っている人、笑っちゃダメ〜っ(>o<)

 
7.野々村小鳥  評価:C
○小学校の頃から一緒だった幼なじみ・小鳥。
 真一郎の趣味である料理のノウハウは、彼女との付き合いから培ったものだ。
 いつも傍にいて、仲良くして…それが当たり前のように感じられていた。
 そんなある日、目の前を歩く唯子と小鳥に、酔っ払い運転の車が迫る!
 とっさに助けに入る真一郎だったが、彼女達を助けた代償として、自分は入院が必要なくらいの大怪我を負ってしまう。
 幾人かの見舞い客がある中、責任を感じて毎日通ってくる小鳥との距離が、少しずつ近付いていく…。
 幼なじみとしての関係から、一歩先に踏み出す不安と好奇心が入り混じり、二人は…

 えーと、“ちびあかり”(自爆!)。
 …っていうか、(真似だとかは思わないけど)ホントにそういった感じのシナリオだったりする。
 幼なじみの関係から先に…という、古くは古代メソポタミア文明の頃から多用されていた手法が、本作でもここで炸裂する。
 このシナリオも、前半部は唯子や瞳と似たパターンで進行していくが、やはり交通事故イベントを絡めて変化をもたらした所を誉めたい。
 事故の原因が自分であると責める小鳥と、それを否定する主人公の図は、二人が急接近する理由としては十分ではないか。
 初Hによって消化されてしまった交通事故イベントと入れ替わりで、今度は弓華を絡めてくるというのも、懸命にシナリオに起伏を作ろうとしている努力が感じられて良い。
 ここでは弓華は自分の正体を最後まで明かさないため、彼女(親友)を巡る小鳥自身の心の動きが見て取れる。 
 実は、慣れた人間以外には極端な人見知りだったという小鳥の一面が、ここで覗く。
 それを踏まえて、新しい友人=弓華を絡めるのは見ていてとてもほのぼのしている。

 全体的には、特殊な要素が絡む事もほとんどなく、無難なストーリーベースを持ちながらも物語に変化を与えようとしている姿勢は良しと思う…が、問題点はやはり山積みだったりする。
 まず、唯子…またこいつか(- -#
 このシナリオでは、前述の唯子の潜在レズ本能が突然開花してしまい、なんとした事がいづみに告白までしてしまう!
 しかも、それを受け入れてしまういづみって…おいおいおいおい、ちょっと勘弁してくれよぉ〜!!
 どうして突然こんな事になっちゃうの、ねぇ? 誰かTeach Me Why?
 
 また小鳥とのHシーンにしても、その直前までの引きが良い分突前ショートカットしたようにHシーンに突入するのは勘弁していただきたい。
 多分、そのスピードはメイビーソフト並のマッハ8くらいだろう。
 このゲーム、通常のシーンでは全然と言って良いくらい情景描写がないのだが、そういう類のシーンになると突然緻密な表現が乱発するという、実にわかり易い本能的な執筆意欲が汲み取れる。
 だから、Hシーンまでの流れが唐突だと、感じる違和感も凄まじいものになる。
 それに小鳥…あらあらまぁまぁ、まにあ様が喜びそうな設定てんこ盛りざますね〜♪
 ロリロリで未発達でちょいとおかしなプレイもOK…うーむ、実にストレートな狙い方は好感が持てます。
 キャラクターそのものの好みは全然別ですけど。
 
 バッドエンドは、なんだか取って付けたかのようないい加減なもので、その存在のムカツキ加減は全シナリオ中最高かもしれない
 Hして、散々のろけまくった翌日に、いきなり別な男に着いていってそのままEND…というのが文章だけで説明される。
 ホントこれだけ!
 もちろん、その男が例の氷村なのは言うまでもないのだが、こういうのは氷村の設定の伏線とは決して言わない。
 単なるめんどくさがりというものだ。
 バッドエンド回避直後の、弓華の強烈な掌底で多少溜飲は下がるが…これじゃあね。
 たった一日しか出てこないし(笑)。
 交通事故の選択を間違えて主人公が死んだり、二人がはねられてしまうバッドエンドも…余韻ゼロ。 
 こういう風に、メインからちょっと外れた部分があまりにお粗末だったため、評価は著しく下がってしまった。

 
……ぐは。
 や、やっと終わった…ひいいいい…



(総評)
 「ゲーム的には難点が多いものの、所々に秘められたポイントが深く心に残る作品」というのが、全シナリオクリア後の私の感想だった。
 なるほど、確かに目を見張る完成度ではないものの、どこか捨て切れないものは残る。
 これなら、続編が登場するのも納得ですな。
 色々な不備や問題はあるものの、なんだかんだ言ってすぐ慣れてしまうというのも強みなのかもしれない。

 ただし先のシナリオ別評価は、あくまで「とらハ」のゲームの中だけでの善し悪しの基準であって、ゲーム全般と比較した上での評価ではない事を、ここで強調しておきたい。

 これから私は「2」「3」と連続してプレイしていく事になるが、これがどういう風に進化していくのか期待したい。
 まずはOPとEDが同じ曲だという事と、同一画面内のキャラクターの頭の大きさが全部違うという所だけは改善していていただきたい所(瞳の取り巻きのCG)。

 本作には、近年のゲームにも出来れば見習ってほしいポイントがある。
 その一例が、主人公・真一郎の性格と態度だ
 はっきり言えば、これまで数限りなくこなしてきた恋愛ゲームの中でも、トップクラスの主人公ではないか?
 
 ほぼすべてのHシーンに、一度は避妊について考える気持ちもさる事ながら、発情期のさくらが避妊具を嫌がるにも関わらずきちんと使おうという姿勢を見せる
 近年ほとんどが中出しで終わっているが、現実にその結果の恐ろしさを知っている者や常識人にとっては、この辺はしっかりと描いて欲しい所だ。
 別に、結果使わなくったって構わない。
 間違いを避けようとするその態度が欲しいのだ。ホント、最近のゲームの主人公各人に爪の垢でも煎じて飲ませたいわい。
 それ以外でも、自分というものを良く理解して、相手の気持ちを考える姿勢にも脱帽。
 「ToHeart」の浩之みたいに、あかりとの初体験未遂後の暴走しかけた思考の描写も良いのだが、最後の最後で相手を思いやる冷静さを引っ張り出せるというのは素晴らしい事かもしれない。
 もちろん現実にそういう思考に切り替える事が可能か否かという問題ではないが。
 いづみシナリオでの真一郎の想いは、場合によってはいづみの人生の中の捨て石に甘んじようという悲壮な覚悟なのだ。
 本気で悩み、傷付き、そして苦しむ者を受けとめ、その立場で考えて結論をしっかり出せる奴なんか、そうざらにはいない。
 それが出来る真一郎は出来過ぎかもしれないが、この作品内では立派なモラリズムの象徴として存在している。
 性格に非の打ち所がない訳ではなく、七瀬の時みたいに感情に任せてうろたえる面も持ち合わせているのがリアルで良い。
 うーん、なかなか良いモノを見せてもらいましたよ、うん。

 …とはいえ、真一郎ってホントにヤンキーだったの? そういう文章あったけど、とてもそうには思えない。
 それに、今時ボンタンに短ランって…着ている奴いるの? よくわからんけど。
 私が高校時代モロにそのファッションだったけど(普及率限りなく100%だった凄い高校)、ブーム的にはかなり末期だったという印象があったよ。もう10年以上前の事だけど…
 ま、いいんですけど、そんな事…みんなー、服装だけで相手を決めてかかっちゃあいけないよっ♪ 

 最後に、システム面について。
 フルインストールだとCDチェック無しでゲームが出来るものの、OPとEDの曲が流れないという事に後から気が付き、一時期は不良品かと真剣に考えた恥ずかしい秘密はおいといて…
 意外な事に、システム面での不具合はあまり感じられなかった。
 セーブポイント数も手頃で、大きなトラブルの原因に通じるものもない。
 特別便利過ぎるものもなかったが、まあ無難な所ではないだろうか。
 クイックセーブは最後まで使わなかったが…

 しかし、このシリーズに常に影のようにつきまとう問題「バグ」には困らされた
 最終的には修正ファイルを使用したものの、同じ場面展開がいつまでもループしてしまい、そこからゲームが進まなくなるというトラップが仕込まれている(笑)。
 私は、これがさくらシナリオの図書館の場面で発生したが、多分そこだけではあるまい。
 プレイするためには、必須という事なのだろう。
 なんか、全作に複数ある修正ファイルに驚かされたんですが…あわわわわ。

 さて、では次は「とらハ2」か。どれどれ、どのくらいの規模のゲームなのか、ちょっと見てみようか…
 ………
 ……
 …
 ひ、ヒロインが全部で12人〜〜〜っっ?!
 
ぷ、プレイ期間が1年〜〜〜〜っっ?!?!
 
ふ、ふ、ふ、ふざけんなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!! 
 
俺に他のコンテンツの更新作業させねーつもりかあっ!! <暴走

 なるほど…完クリした人が少ないって言う意味が良くわかったよ。トホホ…


(後藤夕貴)


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