せんぱい
 
学園生活残りわずかの先輩達に、どんな思い出を残してあげられるか?
 
1.メーカー名:BRAND MOON
2.ジャンル:ADV
3.ストーリー完成度:C
4.H度:B
5.お薦め度:D
6.攻略難易度:C´
7.その他:さぁ「同級生」「下級生」に続く3作目、「上級生」の登場…なわけないか
 
(ストーリー)
 主人公・徹の通う色葉学園は、今年から共学に変わったばかりの元・女子高である。
 そこで徹は、ごく普通の学園生活を送っていた。
 幼なじみの先輩・大原美菜子との擬似的な恋愛関係以外は…
 卒業式まで一ヶ月となったバレンタインの日。
 先輩達からチョコをもらった事から、あと一ヶ月の間に思い出に残る学園生活を過ごしてもらおうと考える。
 だが、そこに同級生や後輩の、徹に対する思いも絡んできて…
 
 
 いきなりで悪いんですが、私、このゲーム最初はまったくやる気なかったんですよね。
 雑誌とかでグラフィックなんか見てても、特に引かれるものも無かったんで…
 それが何故やることにしたかというと、知っている方もいらっしゃると思いますが私としてはただ一点、さっきの雑誌を読んでいたときに見た
音楽は、あの“I've”が作る

だったからです。

 
 確かこのような内容で書いてあったと思いますが、『Kanon』で“I've”の存在を知り、その音楽で感動した身としては「やっといて損は無いかな?」と思ったわけです。
 で、結果的には「サウンドは良し」です、ハイ。
 やっぱりシナリオとサウンドの融合って、すばらしい効果を生むんですね。
 再認識してしまいました
 では、問題のストーリーへと行きましょう…
 
(大原美菜子)
 近所のお姉さん兼、幼なじみの3年生。
 立場上メインヒロインと思われます。
 徹とは、始まった時点から体の関係を持っています。
 イメージとしては「気の強いお姉さんが、内気な弟をからかう」といったところでしょう。
 全体のストーリーの流れは、このキャラとの愛を確かなものにしていくか、他の娘に走るかが基本的なものになってます。
 さて、このゲーム全てのシナリオに言えるんですが、期間は1ヶ月あるように書いておきながら実際は飛び飛びで、実質的に1週間分くらいしかありません。
 なので、シナリオ全体の内容が薄いです。
 その中で私が特に薄いと感じたのが、このシナリオです。
 大まかな内容は「徹は今の関係に違和感を感じていたが、美菜子が遠くへ行ってしまうことになり、お互いを必要としていることに気付く」といったところ。
 そして、学校で性欲が湧いたといってH
 就職先のファミレスで、他に誰もいないからといってH
 どうでもいいような問題を出して、心配になったからH
 その問題が解決したといってH…
 なんか、安っぽいシナリオに「とりあえず行っとけ!」といった姿勢。
 まるで、やる気が感じられませんでしたね。
 その問題っていうのも、今の住んでる所から電車で2時間離れたところに配属されるといったもの…。
 徹よ、頼むからそのくらいで自暴自棄にならないで欲しい
 実際そのくらいの人は結構いるんだしさ。
 海外とかだったら話はわかるのだけど、例えば“ミャンマー”とかだったらね。
 
 メインにしては、あまりにもお粗末なキャラです。
 展開が早いから助かりましたが、本当に1ヶ月こんな調子で進んでいったら、完全攻略する気はあっさりなくなってしまうことでしょう。
 何にも考えないで、ただただ流れていってしまったシナリオでした。
 
(穂村さつき)
 美菜子の友人で、同じく3年生。
 のんびりとしたお嬢様型の人です。
 私の感想としては、
ゲームの趣旨に合っていたシナリオだな」です。
理由は、美菜子との関係を知りつつも告白され、デートをして(思い出を作って)のハッピーエンドだからです。
 しかし、この娘を攻略するときは徹君、1日目はすごく頑張ります
 お昼休みに、前述の美菜子との屋上でのH
 放課後に、さつきに告白され実験室(兼、料理同好会部室)でのH
 夜はファミレスで、美菜子とまたH
 しかも全部中出しで…見た感じアブノーマルです、こいつ。
 たしか純愛学園ストーリーと書いてあったくせに、結構鬼畜ものか?
 ふう、まあいっか。
 この山さえ(一日目なのに)越えてしまえば、後は選択肢を選ぶだけの普通の恋愛ゲームでした。が、最後に一つだけ…
 デートの時、ホテルのレストランでフランス料理を食った挙げ句、ワインで酔ってそのままホテルに泊まるという王道な事をやってくれるのですが、バイトもしていないような高校生に、どこからそんな金が出てくるのだろう?
 貧乏学生のひがみでしかないけど、徹も発想があんまり金持ちじゃないし…皿洗いで日に5000円くらい稼がないと無理だよ。
 
(茅ヶ崎百合亜)
 美菜子の友人で、電波が飛び交っている3年生です。
 と、最初の方で美菜子にもそんな事を言われているのですが、特にそんな事なかったです…ちょっと冷静な、天然ボケといった印象でしたね。
 さて、さつきに並んでコンセプトに合ったシナリオです。
 さっき書いた山場みたいな馬鹿さはないのですが、まぁ手堅く好感が持てるシナリオでしたね。
 徹は彼女から水泳を教えてもらうのだけど、学校のプールが使えなくなってしまい、デートがてらアミューズメント施設のプールへ行く。
 そして二人は再び学校へ行き、夜のプールで結ばれる…といったのが簡単な流れです。
 で、プールなんで当然スクール水着です。
 ストーリーの流れの上では自然なんですが、徹君はやっぱり特殊な環境が好みみたいですね。
 
 どうでもいいが、私の中での最大の火付け女・北斗○拳のあの人(ファンの人、ごめんなさい)と名前が同じなので波乱だらけかと思いきや、全然そんな事無かったので少々がっくりきてしまいました。<おい(編集)
 他のシナリオと変わらず、選択肢を追っていくだけでした。
 「Youはshock!」とか歌って、期待してたのに…。
 
(所沢睦美)
 徹に一目惚れした2年生です。
 チョコレートと手紙を下駄箱に仕掛けておく、となかなか少女趣味の強い娘です。
 そんな訳で、指定された裏門に行ってみると…うわぁぁ、間延びした口調だー。
 出て参りました、おとぼけキャラです。
 まあそれだけなら可愛い感じで進むんですが…何、漫画を描いている?
 デートは、同人即売会?
 はー、そこでコスプレもするんですか?
 色モノ担当キャラでしょうか、性格的にはそんなことは無いのと思うのですが。
 プレイしているこちらから見れば、徹の慌て様は、なかなか面白かったですけど。
 さて、コスプレです。
 今までの人たちがそうであるように、当然ここでもそのパターンです
 徹く…(ほぼ同じ内容なうえ長くなるので自主的削除)。
 
 話はそれるけど、出会いのきっかけは体育祭の借り物競争。
 しかもお題が「靴下を履き違えている男子」。
 こんな奴はいないよな、ゲーム中でもいなかったし。
 私はこういう馬鹿な事を思いつく人大好きなので、この体育祭実行委員(未登場)に拍手を贈りたいです。
 愛のキューピットだしね。
 
(錦城玲菜)
 このゲーム中、唯一にして絶対(?)の同級生です。
 さすがタイトルが「せんぱい」なだけはありますね。
 ゴロゴロいたんじゃ元も子もない。
 さてこの玲菜さん、徹と親友に“きのこの里”と“たけのこの山”(ろこつ過ぎるパクリだよな)をくれます。
 そのときに「本当に好きな人がいる」みたいな発言をします。
 本人は気付かないけど、ずばり徹の事です。
 その後、徹と玲菜が二人で教室の掃除をするイベントで、玲菜がバケツの水をひっくり返し頭からかぶった挙句、体操服に着替えるのを覗くと、理性が吹っ飛んでその場でHしてしまいます。
 全部教室での出来事…こんな展開ばっかだから、徹君暴走ゲームになってしまうんですよね。
 もっとまじめ(?)に恋愛して欲しい。
 
 そんなこともさておき、このシナリオでのみ徹は合気道の達人になってます。
 チンピラ二人を軽く撃退する腕前なのに、他のシナリオでは出て来やしない。
 個人的な意見としては、その場その場で付け足したような設定はすごく嫌なんですよね。
 他にも、前触れなくバイクを買っていたりするシナリオもありました。
 「そんなところまで暴走しないでくれよ」が感想です。
 ただでさえ面白みのないシナリオに、風穴を開けるようなことを何故するのだろう。
 このゲームの問題点の原型を見せ付けられたシナリオでした。
 
(八姫七海)
 来年度、徹の後輩になる塵濡(ちりぬ)学園3年生です。
 ということで、現実の世界に当てはめてふと考えると…おそらく徹は高校1年生。
 百合亜の進学先が大学といっていたので、間違えないでしょう。
 ということは、この娘おそらく中学生なんだろうな
 本当に純愛モノなのか、わからなくなってきた。
 若干疑問も残りますが、徹が先輩を追っかけるだけじゃなく、「せんぱい」と呼んでくれるキャラが出てきたことは結構いい発想です。
 ここの点はプラスしてもいいと思います。
 だけど、出会いが親友の真一曰く「遅刻しそうな女の子とぶつかる運命の出会い」なんですけど、その後の流れは全然運命的ではなかったですね。
 七海の友人と真一をくっつけようとしてるうちに仲良くなり、Wデートのときライオンに襲われてるのを助けたら、良いムードになってホテル直行。
 しかも七海主導で…遊び人なのは間違いないのでしょうね。
 処女らしい表現も、特にありませんでしたから。
 徹も徹で、口ではいろいろ言っていたけど、次の場面でいきなりニヤケ顔で七海をはべらせてます。
 何がしたかったんだろう? このシナリオ。
 中学生売春に、警鐘を鳴らしたかった訳でもあるまいし。
 わざわざ中学生なんかじゃなくて、徹を2年生に、相手を1年生にして、もっとさわやかに作って欲しかったです。
 別になくてもいいシナリオ・パート1
 
(九重雅)
 そしてパート2
 この娘が七海の同級生で、親友・柳瀬真一に惚れた中学3年生(断定)。
 やたら引っ込み思案な性格で、登場時は真一のストーカーをやっています。
 そんな彼女の恋を実らせようと一生懸命になる徹と七海なんですが、それでもストーカー行為を止めないので、遊園地でのWデートを企画します。
 ここまでの過程では、徹と七海は良い雰囲気で出て来ます。
 だけどこの先が問題で、Wデートのとき、トイレに行ったまま帰ってこない七海を探すか探さないかで、いきなりストーリーが変化してしまうのです。
 探すと、前述のようにライオンに襲われている七海を助け、探さないと「ふられた」と言って雅が再登場し、慰めるために茂みの中へと入っていきます。
 書いただけではよく分からないと思うのですが、ゲームをプレイしていると、ここまでの流れを無視して「とりあえず雅へ行こうか」といった感覚がかなりあります。
 ある程度、徹と雅が直接絡むイベントがあればまだいいのですが、真一か七海が必ず間に入っているので、さらに始末が悪くなります。
 しかも、その場でやってしまうなんて…後半の山場へと行くほど、納得がいかないシナリオでした。
 
(美菜子&さつき&百合亜)
 えーっと、何で3人いっしょに書くかというと…それぞれ適当に付き合っている状態である場所にいくと、いきなりさつきと百合亜が絡んでいます。
 それを見ていた徹と美菜子が刺激されて、Hをし始めます
 さらにこれが、4Pへと発展していきます…
 
 おまけシナリオ(?)の目的で作ったであろう、とんでもないもの「その1」。
 このゲーム全体で、最も切り捨てるべき部分
 この存在が、すでに波状をきたしている本作にトドメを刺している。
 このようなシチュエーションを求める人もいるでしょうが、純愛ものと銘うっていたのだから、その路線が好きな人にはいらないと思うのだけど。
 どのような理由でつけたのか、まったく理解出来ません。
 
(七海&雅)
 とんでもないもの「その2」です。
 倫理的には、こちらの方がさらにまずいと思われます。
 流れは雅が振られるとこまで同じで、そのあとに七海が「かわいそうな雅。徹先輩と一緒に慰めてあげる」と言って、こんな展開になっていきます。
 ゲームの評価がかなり下がりました。
 本当に不必要だわ、これ。
 シナリオライターの人に言いたいですね。
 「こんなもの付け加える暇があるなら、全体の文章のレベルを上げろ!」と。
 
 
(総評)
 お世辞にも、面白かったとは言えません。
 とりあえず一番まずいのは、シナリオの力不足です。
 内容が薄くて全然読み応えがない上に、主人公の行動に不自然さ、違和感を感じてしまうんです。
 それに宣伝では「純愛」と書いてあるくせに、あまりそうとは思えないストーリー。
 純愛モノは、ストーリーに力がないとどうしようもないと思うんですが、そこから独自の脱線を行ったのにも関わらず、大した感慨も抱けません。
 確かに純愛ストーリーはすでに世に溢れていて、全く新しいものは作りにくいと思うのですが、この作品は、アレンジにも失敗した例ではないでしょうか。
 思い切りが足りませんでしたね。
 システムのほうもまずさがありましたね。
 その際たるもので、DirectXを使用する・しないなんていう選択肢があります。
 私の所ではそうでもなかったのですが、マシンスペックが少々物足りない友人の所では、DirectXを使用しなかったら「物凄く重くなった」そうです。
 他の選択肢を追っていくタイプのゲームで、こんなことあったっけな。
 もとからDirectXを使用しているのなら話は別なんだけど、そんなゲーム見たことないや。
 あと基本的な事なんですが、ファイル直接指定のセーブ&ロードというのは、非常に分かりづらかったです。
 
 サウンドは…ここはやはりI'veですね。
 とりあえず合格点は出せるでしょう。
 なかなか良さげな曲がそろっておりました。
 まっ、このゲームの目玉である事は間違いないでしょう
 
 グラフィックは、可はなく不可が少々ですね。
 とくに主人公…徹のいかにも何か企んでそうな顔が気になりましたね。
 ここは他のゲームを見習って、髪の毛で隠しておいて欲しかったです。
 あと、塗りがべた過ぎたので、もっと強弱をつけて欲しかったです。
 
 結論、音だけが目立った作品でした。
 I've使ったのがすごくもったいないです。
 でも、使わなかったら日の目を見る事なく忘れ去られたであろうし…。
 ほんとにタイトル通りに先輩しかださないで、もっとマニアックに作ったほうが評価は上がったでしょうね。
 「次回作までに大きな課題あり」といったところでしょうか。
 
(エルトリア)

 
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