ラスト2段のどんでん返し


 色々と語りぐさになった、96年度劇場作品「シベリア超特急」(もちろんDVDにもなっている)最大の売り文句である。
 とにかく上映本編内でも「このラストは絶対話さないでください」と念を押すくらいの“とっておき”らしく、この映画の見所だった…らしい。

 第二次世界大戦中のシベリア特急内で発生する殺人事件を、水野氏演じる山下泰文大将が解決するという物語なのだが、本編終了後、突然役者達が(それまで演技していた役から)素面に戻り、監督・水野氏を囲んで打ち上げ的な事を始めてしまう
 …そう、映画がまだ終わっていないのに、その映画の中でそんな事を始めてしまうのだ!

 ところが、その現場で突然ヒロイン役のかたせ梨乃が射殺され、今度は水野氏自身がかたせ殺害犯人を推理する事になる。
 で、戦争中かたせの祖父に自身の祖父を殺されたという出演者の一人が犯人として指摘され、言い訳しながら泣き崩れるのだが、外人役者達は呆れて(…だよ、なぁ…)帰ってしまう。
 
 で、その直後再び「カット」が入り、さっき死んだ筈のかたせ梨乃が突如復活する!
 なんと、この殺人も全部水野氏が仕組んでいた演技で、外人役者達に“戦争の悲惨さ”を伝えるために行った事だという。

 …これが、どうやら「2段のどんでん返し」だったらしい。

 とある映画誌によると、どうやらこのラスト2段部分をカットした上で上映した場所もあったらしいから、所詮はその程度の存在意義しか見出されなかったという事だろうか。

 だが、そういう部分をあえて味わうというのも、日本人の“わびさび”というものだと思うのだが、どーよ?(笑)


水野晴郎の、映画がいっぱい♪