ラングリッサー
メガドライブから発生したゲームで、一作目は何でもなかったのに、原画にうるし原智志を擁してから回を追う毎にまごうことなきキャラゲーへと変化していった。
PCエンジン版では、ステージ間のストーリー部分にアニメーションを使ったり、エンディングに歌を取り入れたりとアピールを忘れず、後にスーファミにも進出し、サターンやプレステにも移植されたほど。
マルチエンディングも、ここですでに採用されていた。
「風と大地のページェント」では、この“ステージの間にストーリーを挟む”ゲーム構成を取り入れたと考えられる。
グラフィックがメインのゲームだから、当前といえば当然か。
個人的には、ユニットが戦闘不能になったときに行う「くっ、まだ戦える」「だめだ、命を粗末にするな」という類の、後退する時の会話も採用して欲しかった。
これひとつ入るだけで、キャラの性格にぐっと深みが増しただろうに。
実は批評部に書いた「クリアしたレベルで最初から」というくだりは、このゲームに連綿と受け継がれる裏技「ステージセレクト」から取っている。
これは、選んだファイルにセーブされているキャラのレベルで好きなステージから始められるというもので、何度も時間と労力を費やしてストーリーを追いたくないという人や、このレベルでここを戦ったらどうなるのか? という些細な疑問を持つ人達へのもの、つまり二回目以降のプレイヤーに対して提供されたもので、繰り返し遊ばせるための画期的な裏技だった。
この技は、連続してストーリーを見る方法は無いのか? とか、始めてプレイした時には、敵から“逃げる”ことで成立していたシナリオは、もし倒せてしまったのならどうなるのか? とか、ストーリー上死ぬはずのキャラを助けられたらどうなるのか? 等という、些細だが重要な疑問に対し、ちゃんと答えてくれたのだ。
結論から言えば裏技として採用した時点で、どんな状態になってもつじつまが合うように構成されている。
最高レベルなら一つのステージはすぐ終わる(終盤はさすが無理だが)、倒せない適を倒せばその敵は撤退という形をとり、死ぬはずのキャラは戦闘で生き残っても、落ち延びる途中で力尽きる。
重要なのはシナリオの結果ではなく、些細なところに手が届く細かさであり、最強のレベルでステージ1を蹂躙できる自由度である。
ましてストーリーを重視するゲームである。さくさく話を進めるようにして悪いことがあるだろうか。
見習って欲しいのはまさにこの“好きに遊べる”部分なのだ。
「ページェント」も好きなレベルで最初から出来たのなら私の評価はもっと変わっていただろう。
ちなみにPCエンジン版のラングリッサーには、ステージセレクトの他に「超・らんぐ」という遊びシナリオが存在する。
これがまたすごくキレていて、まるで笑いを取るためだけにあるようなもの。
キャラクターは落書き、まじめなセリフは皆無、途中でバグる面まである(ステージセレクトで回避するしかない)。
それなのに難易度は理不尽に高く、最高レベルでもなかなかクリアできない。
それでも笑えてしまうというなんだか楽しい技なので、PCエンジンが遊べる環境があって興味のある人はぜひプレイして欲しい。
スタッフが“遊ぶ”とはどういうものか、プレイヤーがゲームを“しゃぶりつくす”とはどういうことか、が実感できるはずだ。
何度も言うが「ページェント」のスタッフにそこまでやれとは言わないし、製作環境から考えると、とても言えない。
だが、一本のゲームに対するこだわりは持って欲しい。
悪くないんだよ、「ページェント」のシミュレーション部分の出来は…。