胸キュン! はぁとふるCafe
頭の中に直接ガムシロップを注ぎ込まれた気分…
1.メーカー名:ユニゾンシフト
2.ジャンル:ADV
3.ストーリー完成度:C
4.H度:B
5.オススメ度:C´ 妹と甘い物が好きなら:B´
6.攻略難易度:C´
7.その他:こういうゲームは『シスプリ』の影響を受けているのかな?
(ストーリー)
主人公・香坂信也はとある喫茶店でマスターをしている。
前のマスターが旅に出てしまい、住み込みで働いていた信也がそのまま後を任されたのである。
任されたといっても客はあまり訪れず、前マスターからの仕送りと今までの蓄えで生活をしていた。
そんなただ流れて行くだけの生活の中、父親から連絡が入った。
用件は「アメリカに転勤するが、娘達は学校を卒業してからこっちへこさせる。その間、お前のところで面倒を見てくれ」という内容…。
そもそも住み込みのアルバイトをしだしたきっかけは、父親が再婚し新しい家族との生活になじめなかった為…
そんな妹達と上手くやって行けるか不安だったが、主人公の悩みもどこ吹く風。
彼女達は、会った瞬間からお兄ちゃんにべったり甘えてくるのであった。
そんな再開から暫く経って…
季節は卒業までほんの数ヶ月に迫ったクリスマス。
そこから物語は始まる。
私的にハズレくじだった『にゃんてシャトン』と、ほぼ同時期に出たゲームだったと思います。
共に舞台が“レストラン風の場所”という事で競っている物を感じ、「どちらか手に入れるべかな」と悩んだ挙げ句に『にゃんてシャトン』を選んでしまったと…。
その悔しさもありましたし、『にゃんてシャトン』攻略中に梨瀬氏とこんな事を話しました。
梨瀬「ねえエルちゃん『にゃんて』と『胸キュン』を比べるとさ、『にゃんて』の方が面白そうじゃない?」
エル「イヤ、そんな事ないですよ。『にゃんて』は何と言いますか…ぐはっ(吐血)
まだ狙ってる設定の分だけ『胸キュン』の方か面白いゲームだと思いますよ、多分ですが…」
梨瀬「…そんなものかね」
そう、こんな会話の真意を確かめる目的もあり『胸キュン』を手に入れてみたんです。
別に律義にやる必要もなかったのですが、せめてこっちくらいは当たりであって欲しいと一縷の望みを託してみました。
では梨瀬さん、ご報告も兼ねてここいらで発表させていただきます。
素直な感想といたしては、思った通りこっちの方が面白かったです。
…だけど脳みそ溶かされます。
ゲームを起動して、オープニングムービーから気合が入っていること…
「技術力が…」じゃなくて、良くあんなベタベタな歌詞を考えた事がすごいです。
パジャマで耳掻きまったり気分♪
月夜のベッド 抱き枕〜♪
あ・ら・び・き恋のネルドリップで〜♪
なりゆきまかせの逢い引き〜♪
…大吐血。
のっけから飛ばしています。直球勝負です。
そして、オープニングが終了。
メインメニュー画面が出てくるので、“はじめから”を選ぶ。
…何なんでしょうか、初めから“おにいちゃんラブラブビーム”という拡散メガ粒子砲を発射しまくるヒロイン達は?
ゲーム起動後数分間とパッケージだけで、このゲームのやりたい事の九割は見えてきます。
そもそも、妹達に甘えられるのを表現するために取り入れたシステムの名前が、“やきいもシステム”…
やきもち・いもうとシステムで、通称やきいも…ナイスなネーミングが光るシステムです。
中身は要するに「あちらを立てればこちらが立たず」という事です。
たかだかそれだけの事をここまで大きく書くのですから、きっとこのゲームの目指すところは何か違うのでしょう。
そういった意味ではインパクトを与えていることに成功しているのですが、果たして物語が付いてきているかと言われると…NO。
ハッキリ言って、勢いだけの内容になっています。
書けることは少ないのですが、ヒロイン別に突っ込んでみますと…。
(ちより)
双子のうちの姉の方、役割敵には内向的な性格を担当しています。
言い換えれば優しさを以て、義兄を籠絡していきます。
詳しく書くにはあまりにも沢山ありすぎるので書きませんが(一ヶ月ほとんどのろけだもん)、甘えるちよりの要求を満たしていくことにより進んでいきます。
チカを邪険に扱い続ければ、やがて付き合うようになります。
そのことがちよりの友達にばれてギクシャクしてしまうのですが、最後には当然上手くいきます。
前半部から打って変わって、ありきたりの展開へ変化していきます。
(チカ)
双子のうちの妹の方、役割的には活発的な性格を担当しています。
言い換えれば、はつらつさで義兄を籠絡していきます。
ちよりの時とは逆に、チカの要求だけを満たして行けばこっちのお話になります。
当然チカと付き合うことになり、今度は友達ではなく信也のことが好きな女の子にバレます。
しかし、結局二人の愛を確かめ合ってハッピーエンド。
この双子のシナリオに言えることなのですが、前半部分で明らかにエネルギーを使いすぎています。
そのためオチがありがちな展開になってしまい、面白みが無くなってしまいます。
こういうのが姉・妹と二人分あり、両方ともハッピーエンドの時は「父親が籍を外しているから結婚もOKよ」というどうしようもないオチまで付いてきます。
最後に無理矢理結婚させるための力押しに思えてなりません。
(亜矢)
信也がマスターになってからもお店へ通いつづけている、唯一の常連客です。
話の中では上記の二人より年上らしいのですが、キャラデザ的には年下に見えるところにこのゲームの言わんとしているところが現れているような気がします。
しかしまあ…何でしょ、どうしたってオマケのキャラであることには変わりありません。
前述のチカの時に絡んでくる女の子ですので、お話はチカの派生で進んでいきます。
で、内容的にもオマケ的なモノになっています。
結局はチカの引き立て役でしかないのね…って内容です。
このゲームのコンセプトから考えると、余計なキャラは出さないで双子の妹のみに絞った方が良かったように思えました。
さてさて、このゲームにはストーリーと関係ない所で楽しい事があります。
甘いのはお話だけかと思いきや…いやー、結構なバグがあることある事。
エラーメッセージが出て良く止まること。
いや、メッセージが出てゲームが終わってしまう事は良くありますが、バグの一つは「そのボタンを押した瞬間にスカッ」と落ちてくれます。
私もプログラムをやってますが…ここまでサクサクゲームが落ちてくれると、逆に爽快感すら漂ってきます。
デバックが足りないレベルではなくて、デバック作業そのものを重要視していなかったのではないか…そんな風にも感じました。
(総評)
やり終えた時の私なりの感想は、“激甘党人間の手作り苺ジャム”です。
意味合いとしては、一般的な味覚(感覚)を持つ人には絶対進められないってな感じです。
食べたら最後、間違いなく凄まじい胸焼けに襲われる事請け合いです!
中盤から後半にかけてのシリアスな展開も、ハッピーエンドでは元の調子に戻っているので、物語を盛り上げる為というよりは甘い展開を目立たせていただけのように思われます。
強度の妹属性か、あま〜い設定に耐性があるか、あるいはその両方を満たしている方にだけオススメできます。
なおかつ、バグに対する広い心が持てるようなら…やるにあたってはアップデートは必要事項でしょうね。
私自身へんてこなゲームに手を出すのは好きですが、セーブデータが壊れるバグにぶち当たった時はかなり凹みました。
作品自体を見てみると非常にストレートな、それ故にプレイする人を選びすぎている感がある作品です。
また、義妹との甘い生活を表現するのが第一の目的だと思うのに無理矢理問題を起こして、その障害を乗り越えるみたいな展開を付け加えてしまったため、何とも歯切れの悪いものになってしまっています。
下手にいじるより、妹たちとの生活を書き続けていた方がよっぽどマシなゲームになっていたのではないかと…
結論としては、前半はゲームコンセプトともあいまって楽しめたのですが、後半はネタ切れが目立ったと思います。
(激甘党人間・エルトリア)