最初にいきなり警告ですが「CG100%フルコンプがモットー」であり「凌辱物なんざ反吐が出るっ!!」という方は出来るだけ避けた方がよろしいと思います(理由は後述)。
〜ストーリー
主人公・滝峰幹也は霊力を拳脚に込めて妖怪を退治する格闘術の使い手。
そんな彼は実家の神社の命令で、妖怪の襲撃を受けた親戚・音羽家の手助けに行く事に。
そして行った矢先にいきなりバトル。 追っ払いはしたものの霊力の大部分を奪われて、お得意の格闘術も使えなくなってしまう。 しかしこのままと言うわけにも行かず、音羽家の姉妹・桂花、初花と共に闘うのでした…
と、このような感じで始まるのですが…
ほとんど有って無いような感じすら受けます。
何故なら…
ストーリーが前面に出てくるAVGパートにおいて、選択肢が「最後に誰に告白するか」とHシーン以外で存在せず、ともすれば、舞台となる水杜神社(音羽姉妹の家)のなかで起こる日常のどたばたを端から見てるだけ、とも取れてしまうわけです。
また物語中盤以降、実はいきなり妖怪たちが音羽家を襲撃した裏には、水杜神社のある土地に封じられた「九尾の狐」の存在が有った事が判明。 さらにこの狐は、陰陽師・阿倍泰成、桂姫、初花姫という人物と因縁があり、彼らの転生した姿が幹也達で有る事も判明するのですが…
この部分については幹也達が泰成達の事を夢に見たあたりであっさりと予想がついてしまうので、特にこれと言ったインパクトはありませんでした。 また、この設定が上手くいかされるかと思いきや、幹也はじめ面々は「大切なのは前世の事じゃない、今なんだ」と、あっさりふっきってしまうので、「全部無かった事」になってしまい、九尾だけがひとりで盛り上がってるようにも見えてしまいます。
〜戦闘!
さすがに「聖魔大戦」で世にその名を広めた「Studio e・go!」です。
戦闘パートとなるSLG部分については良くできています。
ただ私なりの見方をすれば、SLGと言うよりSLG風陣取りゲームとしたいところです。
各戦闘パートの勝利条件は「マップ上に点在する霊脈をおさえること」。
これさえクリアできれば、別に敵を殲滅する必要はありません(ただし、九尾と中ボスの土蜘蛛のステージは例外)。
いかに効率よく、かつ一度押さえた霊脈を奪われないようにステージにあるすべての霊脈をおさえるか、そう言った戦術を考えるのが楽しい方には十分楽しめるでしょう。
で、ここで「霊力を奪われた幹也」と言う設定が大きく働いてきます。
幹也はお得意の格闘術が使えない、では何をするか?
水杜神社に奉られている神様であるナツ様に作ってもらったお札を使い、「体力回復」をするか、「妖怪を召喚して闘わせる」の二つです。
要するに幹也自身は闘う事が一切出来ず、上記二つの行動に必要な霊力(MPと思って下さればOK)が切れた瞬間から、「タダの楯」に成り下がります。
さて… 一応ツッコミ…
妖怪を召喚して闘わせる、とあたかも「式神」を駆使するかのような事しますが、「式神を駆使する」のは「陰陽道」、神道じゃございません。
昔、真言唱える巫女さんが居た作品なんてのもあったけど(真言を呪文みたいに唱えるのは密教、神道なら祝詞)、いい加減この辺をなんとかして欲しいところです。
そんな闘えない幹也に対して、自ら武器持ちて闘うのは音羽桂花・初花姉妹。
桂花は剣、初花は弓を使って闘うのですが…
ここからが冒頭に書いた「警告」の中身です。
この2人のうちどちらかが妖怪の攻撃で体力をゼロにされた瞬間に、体力ゼロにされた方に対する妖怪たちの凌辱行為が始まります。
音羽家に居候している妖怪・葉子によれば、妖怪たちはこうして「繁殖活動」をするのだそうです。
この凌辱シーンにCGの半分程度が割かれており、妖怪一種について2シーン、さらに凌辱され穢された体を浄化するという名目で、幹也と凌辱を受けたヒロインのHシーンがさらに複数、と冒頭に書いたような条件が当てはまる方には辛い作りになっています。
また、同じヒロインが4回凌辱を受けるとBADEND、精神が崩壊し性欲の虜になってしまいます。
で、ラスボスの九尾、なのですが…
順当にそこまでのステージをクリアした方なら「何故こんなに弱いよ!!」と言いたくなります。
と同時に「数の暴力」と言う言葉を再確認する事になります。
〜各ヒロインED考
○音羽桂花:
音羽家の長女。
見た目は清楚な王道的巫女さんキャラ。 ところがどっこい、妹・初花に対しては「口より先に鉄拳制裁」な人であり、幹也がらみになるとかなりのやきもち焼きという側面が見え隠れします。
そんな桂花のEDは「幹也が水杜神社に越してくる」という物。
ただし、幹也自身は霊力を取り戻した事で、あっちこち仕事で飛ばされ神社でくつろぐ暇も無し、そんな幹也をまつ桂花。
「ただいま」「おかえりなさい」が普通に言えるのが幸せ、となんだかほのぼのと幸せ噛みしめて終わる静かなEDとなっています。 有る意味静かすぎて印象が薄いなぁ、と言うのが残念でした。
○音羽初花:
音羽家次女。
エゴのゲームに高確率で登場するポニーテール元気爆発娘。
桂花にはこれと言った設定が少ないのに対して、「過去のトラウマで閉所恐怖症」「出来の良い姉に多するコンプレックス」とAVGパートで生きてくる設定を持っていたりします。
また自分の感情に素直で、幹也を好きなくせに何もしない姉に対して「お兄ちゃん(幹也のこと)は私がもらうから」と宣戦布告したりもする(実は前世で初花=初花姫は幹也=泰成に失恋、泰成の恋人はもちろん桂花=桂姫)。
さて、そんな活動派の初花のEDは実に彼女らしいもの。 幹也去りて後、自分は弓より術のが向いてるとナツに術を学び、さらには幹也の両親・親である音羽夫妻、桂花等々、関係各位の許可を取り付け、その書面を持って幹也を追っかけてくる、と実にキャラの性格が生きた物でした。
○音羽葉子:
音羽家に居候する妖怪。
他人の心が読めるので、その力を持って幹也をからかったりもする。 実は九尾の娘である彼女は、紆余曲折を経て桂花達の祖父に引き取られ水杜神社に引き取られるも、普段は押さえ込んでいる九尾譲りの妖気が時に暴走。
その度にナツが力を抑えていたが、九尾が復活した今回はそう簡単にも行かず、危うく神社を破壊しかけるも幹也に救われ惹かれていきます。
戦闘には参加しない代わりに、AVGパートでは幹也の良きアドバイザーになるなど、ポイントをしっかり抑えたヒロインといえます。
さて、そんな葉子のED…
なんと言えばよいのやら…
幹也と結婚した葉子、2人の間にはなんと6人の子が出来、さらに葉子のお腹の中には三つ子が…というものでした。
もっと言ってしまえば、子供のうち2名は幹也LOVEあり、葉子自身が「その勝負受けました」となっていたり… とにかくなんと言ったものか、という所です。
○ナツ:
水杜神社に奉られている神様。
ぱっと見は少女と言うより幼女、人見知りが激しく、幹也と目が合うと神速で逃げます。 実はこの人見知り、ナツが優しすぎる故のものであり、その点を幹也がクリアした瞬間から、激しく甘えてきます。
いきなり首筋なめるわ、朝起きたら隣で寝てるわ、幹也の膝を自分の特等席にしてしまうわと、もう遠慮無しです(でも幹也が困るとちゃんと身を退きます)。
さて、そんなナツのEDですが…
ナツと交わった幹也は、結果的に「ナツと契約した」となったらしく、「ナツが生き続ける限り不死身の肉体と桁外れの霊力」を手にします。 が、そのかわり…
幹也の肉体は中学生程度の体になり、その一方でナツが幼女から中学生程度に成長、幸せに暮らす事になりました、と言う物でした。
悪くはないんですよ…
元から「好きな人に先に死なれるのが辛い、だから人を好きなら無い」と言っていたナツが「自分が生きてる限り不死身」の恋人を持つ事が出来たのですから、この上ないハッピーエンド。
でもね…どうしても「3X3EYES」思い出しちゃうんですよねぇ…この2人の関係見てると…
あと特記事項として、ナツに限り拡張プログラムでEDに後日談がつきます。
ナツと幸せに結ばれた後、幹也は自分の荷物を取りに実家に帰る事に。
その時ナツは…と言う物ですが、これは内緒にしておきます。
〜総括
戦闘パートについてはほぼ文句なしです。
敵の思考パターンが割と単純すぎるところ、途中のステージで急に難易度が上がる所もありますが、まぁ許せる範囲です。
その一方で、ストーリー部分が今ひとつ弱く、もうちょっと「これは!!」と言うイベントが欲しいところでした。
また凌辱シーンが「これでもか!」と出てくるので、その手の作品が嫌いな人には「勝ち続ける事を強要する」と言うところが、少し鼻につきました。
もう少し両方のバランスが取れたら良かった言う意味では、惜しい作品です。 |