Ricotte〜アルペンブルの歌姫〜 メーカー:Rune
オジンガーZ 様
 「今宵も召しませアリステイル」ですっかり、マイ・フェイバリットメーカーとなったRuneの新作。
 当然外せるわけが御座いません。


(システム)
 オーソドックスな選択肢タイプのADV。
 ただこの作品、選択肢が実に多いのですがセーブ箇所が36個と少なめ。
 私の場合とても足りませんでした。


(絵)
 ロリロリ全開。
 原画は「ロリキャラ描かせりゃこの人あり!」の野々原幹様
 立ち絵が実に豊富。
 コロコロと変わるリコッテの表情は見ていて飽きません。
 あと、背景は今回も「草薙」が担当、流石です。
 前半の舞台になる、寂れた田舎町のクワルクと、後半の華やかな都アルペンブルの対照的な描き分けが見事です。


(音楽)
 Runeのゲームには、今回もおなじみの「feel」。
 主人公がピアニストという設定上、ピアノ主体のBGMが多め。
 レベル高し。
 物語の題材が「歌」という事もあり、ボーカル曲は挿入歌を含めて4曲。


(音声)
 本編中でリコッテが実際に歌うシーンでは声優さんでなく、佐藤裕美さんが声を当てていますが、無理矢理ロリ声を作っている感が強し。
 各所でもこれを叩く人が多いようです。
 私は許容範囲でしたが…。
 そして「今宵も召しませアリステイル」に続き、またしても「お〇ん〇ん」「ち〇こ」などの卑語が丸聞こえ
 ピー音の意味が……(汗)。


(シナリオ)
 本作品にはヒロインごとの個別ルートというものは無く、完全に主人公とリコッテ2人の純愛モノになっています。
 このゲームのユニークな所は、冒頭で主人公と亡父との会話での選択肢で「Allegro」ルート「Largo」ルートという2つのシナリオに分岐します。
 そしてこの2つのシナリオで主人公の性格がそれぞれ全く異なったものになります。

● 「Allegro」ルート
 冒頭の亡父との会話で、積極的な返答をする事で入るシナリオ。
 主人公は田舎町クワルクのパブで、ウエイター兼ピアニストをしている青年。
 ピアニストとしての実力も自信も持っていて、お金を貯めて音楽の街アルペンブルへ出ようという目標があります。
 ひょんな事で、家出少女のリコッテと知り合い、一緒に住むことになり、更にはパブで一緒に働くことになります。
 このルートでの主人公は明るく能動的な好青年(かなりスケベ)。
 リコッテとのペアで、ピアノの実力を発揮してのし上がっていくサクセスストーリー。
 後半の、次々に起こるイベントの豊富さや、登場キャラの多さなどからも、こちらがメインシナリオかと。

● 「Largo」ルート
 冒頭の亡父との会話で、自信無さげな返答をする事で入るシナリオ。
 主人公は田舎町クワルクのパブで雑用兼ピアニストをしている青年。
 ピアニストとしての実力も田舎レベル。
 夢も目標もなく、日々をだらだらと過ごしています。
 このルートでの主人公は根暗で気弱なへタレ。
 リコッテとの出会いで序々に成長を遂げていきます。
 純愛要素の強いシナリオ。
 へタレ男が意地を見せるクライマックスにおいては、「Allegro」ルートよりむしろカッコよくなるぐらい。
 心温まるEDという点ではこちらの方が良かった。


(キャラクター)
 メインのリコッテ以外にもサブキャラ達がまた非常に立ってます。

〇リコッテ
 メインヒロイン。
 甘えん坊で大人ぶってて、強烈なヤキモチ妬きと、ロリ&萌えのツボを見事に押さえてます。
 本作品の評価は、この娘を気に入るか否かといっても過言ではないでしょう。

〇マダム
 主人公の働くパブ「シャンベルタン」の女主人。
 普段は無口ですが、大事な時にはとても頼りになる方。
 大人の女ってやつです。

〇フィオーレ
 「シャンベルタン」で働く三人娘の一人。
 未亡人。
 他の二人が問題だらけのため、まとめ役になっている(※エロ有)。

〇フェタ
 「シャンベルタン」で働く三人娘の一人。
 暴れ役。
 身近に年下のダメ男がいると放っておけない性質で、何かと世話を焼きたがる。
 普段は主人公をいじめて遊んでいる方(※エロ有)。

〇クーロミエ
 上二名に同じく三人娘の一人。
 天然ボケ役。
 少しズレてるマイペースの享楽主義者。
 話の腰を折る事が多いですが、何気に核心を突いてきたりする(※エロ有)。

〇クレス
 リコッテのマネージャー。
 リコッテの所属しているロックフォール社の人間。
 社の中で、最もリコッテの事を親身になって気をかけてくれるお姉さん的存在。
 リコッテからも信頼されている(※エロ有)。

〇フォンティナ
 ロックフォール社の歌姫の一人。
 名家のお嬢様。
 表面上はリコッテの良き友人、良きライバル関係とされてますが………
 「Allegro」ルートでのみ登場(※エロ有)。

〇トゥーシー
 アルペンブルの広場で、卵を売って生計を立てている盲目の少女。
 しかし、そんな暗さを感じさせないほど明るく元気。
 猫のラミが見えない目の代わりをしてくれている。
 「Largo」ルートでは一瞬だけの登場。
 主人公達と直接関わるのは「Allegro」ルート

〇グラーナ
 フォンティナのマネージャー兼パシリ?
 クーロミエ以上にズレてるキャラ。
 フォンティナの頭痛の種?
 「Allegro」ルートでのみ登場(※エロ有)。

 その他、野郎キャラもいい味を出していて、それぞれ重要な役割を果たしています。


(エロ)
 着衣Hがメイン
 というより、全裸Hが無かったような…。
 それと汁描写が濃ゆい。
 本番よりもフェラの方がやたらと多く、それによる顔射も豪快
 他にもロリキャラならでは? の、リコッテのお赤飯イベントなんてのもあって、その時の生々しい出血まで描写されてます
 Rune名物? フェチプレイが無いのが少し寂し…(オイ)。


(総評)
 非常にハイレベルな完成度の作品。
 一昔前のヨーロッパの純愛映画のイメージ
 シナリオ自体は特に捻ってる訳でもなく、ベタな王道ですが、前半の日常シーンでのキャラ立てが抜群で、それによって後半の急展開でのサブキャラ達にもそれぞれ見せ場タップリ。
 実際、ベタな純愛モノをキッチリと作れているエロゲーが果たしてどれほどあるか、振りかえってもそう多くは…。
 小手先だけ無理矢理捻ったようなモノは多いですが。
 プレイ時間が長め(フルコンプに15時間以上かかるかと)なため、ダレかける時にサブキャラなどとのエロイベントを挿入するところも実に上手い。
 その辺ちゃんと計算してるのでしょう。
 キャラ絵で、ロリ萌えだけのゲームのイメージを持たれてしまうのが、この作品の不幸なところ。
 偏見を持たずにやってみれば、実に総合的に完成度が高いのが分かると思います。


(PS)
 しかし主人公、ライバルとの大切なピアノ対決間近に、リコッテのア〇ルいじってつき指した挙句、弾けなくなるとは如何なものか? ……アホ過ぎ。
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