アリスソフト&CARNELIANという夢のタッグを実現した本作品。
CARNELIAN様描くパケ絵もナイスで、期待は非常に大きかったのですが……
(ストーリー)
主人公・尾狭霧朱華(おさぎりしゅか)は、最愛の姉を13年前に「ツヅキ」と呼ばれる謎の現象が原因で亡くしている。
バーテンをやりつつ、自堕落な日常を過ごしていたある日、彼の元に「夢鬼(ゆめがみ)」であるという少女が現れる。
そして時を同じくして、彼は不思議な夢を見るようになる。
果たして異変の原因は?
……といったお話し。
(システム)
移動場所選択&選択肢決定型のADV。
深刻なバグは無かったですが、操作性が駄目駄目。
セーブできるのが一日の終わりと、昼の行動選択時だけに始まり、テキストウインドウを消すのにキーボードのZキーを押すしかないなど、マウス操作の人の事をを全然考慮してないというのが潔い?
(絵)
さすがはCARNELIAN女史。
今回も素敵な萌え萌えキャラを描いてくれてます。
すっきりとしたシャープで繊細な絵柄です。
また、服装がとても丁寧です。
(キャラクター)
……しかし何というか、普通のありふれた名前のキャラがいないのか? この作品。
〇尾狭霧朱華(おさぎり しゅか)
主人公。
超美形で女性の扱いも上手く、バーテンの仕事も器用にこなし、タバコを嗜みつつ、アコーディオンを演奏する姿はとても絵になる…と「格好良い要素」が盛りだくさん。
……駄目です。
全然感情移入できませんでした。
巷のへタレ主人公とは別の意味で、何かコイツ気に入らない。
私だけでなく、少なくとも男性プレイヤーが共感できるタイプでないのは確か。
こういう女性ウケしそうなキャラはボーイズゲーでやって下さい。
〇柳条ましろ(りゅうじょう ましろ)
メインヒロイン。
無口でずっと家に引き篭もり状態。
……駄目です。
こちらも全然感情移入できませんでした。
しかしまあ、何をどうでも良い、しょーもない事で引き篭もってからに…
皆、甘やかしすぎ。
ビンタの一つでもお見舞いして、無理矢理表に引っ張り出せば良いとしか思えませんでした。
主人公の男がヘタレなのは多いですが、メインヒロインがヘタレというのも如何なものか?
とりあえずメイン二人がこの有様なので、個人的に「……」な感想しか出てきません。
〇那須雪花(なす せつか)
ましろの家に住み込みで働く家政婦。
優しくてよく気が利く。
〇小田巻日陽子(おだまき ひよこ)
通称・ぴょこ。
主人公のセックスフレンド。
〇英田莉々子(あいだ りりこ)
ましろの友達。
下らん理由で引き篭もって学校にも来ない甘チャン(ましろ)を気にかけて、頻繁に家までやって来てくれる優しい娘。
〇吹留夜深(ひいどめ やみ)
主人公の暮らす街一帯を仕切っているリーダー。
気が強く荒っぽいが
結構気の利く一面あり。
〇瑠紫琉(るしる)
夢の世界から来た『夢鬼』を名乗る少女。
なぜか関西弁。
CARNELIAN女史の力もあってキャラ絵は魅力的だったのに、ましろ以外の女性陣の扱いが、あまりにぞんざいなため、ほとんど見せ場(イベント)が用意されずに終わってます。
サブキャラ同士の会話などほとんど無し。
これではキャラが立つわけがありません。
(音楽)
ボーカル曲は無し。
BGMは、単体で聴くと高レベルなのですが、どうもシーンと合っていない部分が多々。
シリアスなシーンで、コミカルな雰囲気の曲流すのはヤメレ。
(シナリオ)
薄い。
ひたすら淡白。
“起きる→移動→仕事”のサイクルで回り、薄っぺらな会話が繰り返される毎日は、とにかく退屈の一言。
このゲームに費やされる時間の大部分はこの雑談。
毎日の行動が、完全に作業になっています。
で終盤、唐突に濡烏(ぬれがらす)のエピソードがあって、意味も分からないままにラスボス? に辿り着き……
何だ、この独りよがりなシナリオは?
圧倒的に説明不足。
ツヅキや夢鬼など、特異な設定が殆ど説明なく平然と出てくるのには辟易しました。
ワケが分からん…(汗)。
メインシナリオを終えると、バッドエンドへの分岐が増えるっていうのは珍しいと思いましたが、どれも取って付けたようなのばかり。
順番が逆なような気が…
何故にわざわざトゥルーEDの後に、バッドEDを見せられないといかんのだ?
これならメインの方をもっと力を入れてほしかった。
(エロ)
CARNELIAN女史の力もあって、Hシーンの絵はエロいです。
…が個人的に好きなキャラ(莉々子&雪花)のエロシーンが無いというのは如何なものか?
もったいない…。
(総評)
……ダメだこりゃ(by い〇りや長助)。
「CARNELIAN=作品に恵まれない」という悪しきジンクスを甦らせてしまった駄作。
どうしたアリス?
一にも二にもキャラが個人的に全く駄目。
主要キャラに全く共感できない時点で既に大減点。
エロゲ、ギャルゲーにおいて、男の主人公がヒロインが霞むほど格好良く決めたって別に嬉しくもなんともないんですよ、男にとっては…。
繰り返しますが、この手の野郎キャラはボーイズゲーでやって下さい。
このジャンルは、まずヒロインの方の魅力を引き立てるのが第一。
加えて、システム駄目、ボーカル曲無し、ボイス無し…
本作品DVD-ROMでのリリースですが、正直これならCD-ROM1枚でも収まる気が…。
ライターの独りよがりの自己満足としか思えないシナリオ…etc
これで定価7500円など、断じて納得出来ない!
嗚呼…キャラ絵以外は散々な評価になってしまいました。
期待が大きかった分尚更ガッカリさせられたので、今回は心を鬼にして「地雷」とさせて頂きます。
残念です。
一流のメーカーと原画サンが組むから、必ずしも傑作になるとは限らないという事でしょう。
(PS)
「夢鬼」と書いて「ユメガミ」と読ませてますが……
んなもん私は認めません。
許せるのは「強敵」と書いて「とも」と読む時のみ(爆)。 |