PLAYSTATION2 ゆめりあ メーカー:ナムコ
流竜馬 様
Mr.BOO
 発表当初は「黒田洋介シナリオ」「PS2での3Dポリゴンキャラによるギャルゲー」ということでかなりの話題を呼び、いざ発売されてみれば多くのゲームショップで完売を連発させた(目撃者は語る(爆))この作品についてレビューしてみます。


>ストーリー

 16歳の誕生日を迎えた主人公・三栗智和(変更不可)は不思議な夢を見ていました。
 夢の世界で一人の少女が奇妙な敵と戦っているのです。
 そして敵との戦いに傷つき、倒れた少女の手をとると、突然彼女の体が光を放ち始め、まるで智和から力を得たかのようにパワーアップし、敵を撃退したのでした。
 智和が目を覚ますと、何と夢の中の少女が部屋にいました。
 驚いた智和は少女に話しかけてみますが、返事は「もね」の一言のみ。
 何とか夢の世界に彼女を戻そうとしているその時、部屋のドアを開ける音が…
 さあ、これからどうするどうなる!?


>キャラ紹介(ネタバレ有り)

三栗智和(みくり・ともかず)
 この物語の主人公で、幼い頃に両親を亡くし、遠縁の千条家で育てられた。
 ガサツで勉強嫌いの怠け者ではあるが、根は優しく他人思いで、精神的にもタフである。
 しかし、連戦をする羽目になった話では結構疲労してました。
 また、当初は自覚が無いものの「運命変革」の力を持っているため、世界の運命を賭けた戦いに否応無しに巻き込まれる受難の主人公である。

モネ CV:有島 モユ
 智和が夢世界(モエラ)で出会った謎の少女で、性格は天真爛漫。
 「もね」としか喋れないが、その分、身振りと共に精一杯の感情表現を行っている。
 彼女の正体は彼女のシナリオでしか判明しません。

吾妻みづき(あがつま・みづき) CV:浅野 真澄
 智和とは小学校以来の知り合いで、どこからどう見ても彼の事が好きなのだが、控え目な性格と彼の鈍感さが災いしており、未だに想いは届いていない(泣)。

千条七瀬(せんじょう・ななせ) CV:井上喜久子
 智和の居候先である千条家の長女で、美人で家事万能な上にスタイル抜群な大学院生。
 また、極度の天然ボケボケ性格であるため、彼女のペースに巻き込まれるとタダでは済まない(笑)。

千条九葉(せんじょう・くよう) CV:中山さら
 七瀬の妹で、両親と共に外国暮らしをしているが、母校の国際親善行事がきっかけとなって帰国してきた。
 5歳から8歳までは智和とも一緒に暮らしていたためか、彼に対してはついつい生意気な態度をとってしまう。

ねねこ CV:仲西環
 智和が町で出会う謎の美少女で、謎を問いかけては、謎解きをするのが大好き。
 ふとした勘違い(一方的な思い込みともいう)で智和を「ダーリン」と慕っている。

ネイト CV:鈴木麻里子
 フェイドゥムに滅ぼされた未来から「逆輪廻」によって現代に来た意識体。
 普段はねねこの精神にとりついており、必要があれば彼女の体を借りて智和達に接触する。
 まさに地獄のような未来を救うため、智和サイドから見れば非情・非道とも言える行動をとっているが、それが全てを背負った汚れ役も辞さない彼女の覚悟の表れでもある。

シルク CV:???(秘密)
 夢世界(モエラ)で智和を助けてくれる謎の美女。
 冷静沈着で真面目な性格のため、ふざけた言動をとれば厳しいツッコミが待ってます(笑)。

メグミ CV:新千恵子
 みづきの親友で、おしゃべりで噂好きの女の子。
 智和とみづきの仲をよく茶化すが、本心から二人にうまくいって欲しいと思っている。

先生 CV:稲田徹
 智和の通う高校の担任で、(智和の台詞によれば)真面目で実直だそうだが、女の子にはすっげえ甘く、(普段の不真面目さも原因だが)智和には陰険に接している。
 また、七瀬さんに気があるらしく、お嫁さんにしたいと思っているらしい。

フェイドゥム
 夢世界(モエラ)に存在する敵で、言うなれば悪意や悪夢です。


>内容紹介

 基本は「アドベンチャーパート」と「バトルパート」の2つをこなす事で女の子達との好感度を上げ、全11話の物語を堪能することです。
 しかし、説明書によれば第8話までの好感度により、第9話以降の個別シナリオに進むとありますが、何人かは「フラグ立て」も必要です。
 前半はドタバタ&萌えで、後半はシリアス&泣きという「ギャルゲーの王道シナリオ」だけでなく、活き活きと動くポリゴンキャラ・詰まらないゲームバランス・演出・BGM・オプション・おまけ要素etc…
 どれをとってもそつ無くまとまった出来には「流石」の一言あるのみでした。
 ただ「敵キャラ(フェイドゥム)の種類が少ない」ことや、「後半の敵がカタ過ぎるため持久戦になりがち」な点はもう少し何とかして欲しかったです。
 また、戦闘力は好感度によって変化するため、頻繁に接していたキャラが強くなります。
 …が、そのシステムのために「特定のメンバーで戦わねばならない」時にはかなりの苦戦を強いられます。
 これも何とかして欲しかったですね。


>シナリオ紹介(ネタバレ有りのため、未プレイの方は要注意!)

モネシナリオ

 「この物語の最大重要人物のシナリオ」であるため、極力最後に回して欲しいシナリオですね。
 モネの正体とその凄絶な宿命、後述の七瀬シナリオで完全に明らかになる千条家の秘密、モネと結ばれるまでの長く困難な道のりとそれに負けない智和の強さ、そして感動のED…
 最初から最後までとにかく「大満足」の内容でしたよ!


みづきシナリオ

 「見ているプレイヤーが恥ずかしくなるほどストレートな純愛シナリオ」で、モネシナリオに劣らぬ「智和の強さ」がこのシナリオの醍醐味ですね。
 お互いの思いが通じて結ばれた途端に、ネイトの入れ知恵やフェイドゥムによって何度も仲を引き裂かれても決して挫けずへこたれず、みづきへの愛を貫いてハッピーエンドを掴み取った彼はまさに「漢(おとこ)」でしたよ!!


七瀬シナリオ

 総CG数がモネに次ぐ2位なのは伊達じゃ無く、かなりのボリュームを誇る「ゆめりあ世界の裏事情がわかるシナリオ」です。
 最初はただの「超天然お姉さん」だった七瀬さんが言わば「智和の監視役」だった事を皮切りに智和の出生の秘密や母親の死の真実、母親同様死んだと思われていた父親の正体などが明らかになる展開は「衝撃」の一言に尽きましたが、そんな状況でも心が壊れることなく七瀬さんを愛し、使命と智和への愛の板挟みに苦悩していた彼女を受け止めた彼は立派でしたね。

 それにしても…「眼鏡をかけた美人のお姉さん」に「”最優先事項”の台詞」に「智和の高校に教師としてやって来るED」…狙ってるなぁ……(核爆)。


九葉シナリオ

 こちらは「他のシナリオでは『余計な事ばかりしやがってこの野郎!(怒)』なキャラであるネイトが大活躍するシナリオ」です。
 このシナリオ終盤で自らの判断ミスが災いし、九葉を死なせてしまった智和は全シナリオで唯一心底ヘコみ、見ている側が痛々しくなるほど壊れてしまうのですが、そんな彼を救ったのが「逆輪廻(意識のみタイムスリップ)」の力を持つネイトでした。
 そして…彼女の最後の力で九葉の未来を変え、最終的に世界を救ったEDを見た時は初めて彼女に感謝できるようになってましたね。


ねねこ(&ネイト)シナリオ

 「謎の少女・ねねこと彼女にとりついているネイトの掘り下げが行われるシナリオ」で、このシナリオを先にやったかやってないかでネイトへの印象が変わることは確実ですね。
 九葉シナリオのラスト以外では「人類の未来を救うというお題目のためにロクな事をやってないひでえ奴」としか思えない彼女の口から語られる諸事情はまさに凄絶で、そんな未来を救うために智和の能力に賭けた彼女の覚悟のほどを示すのに十分過ぎましたよ。
 だからこそ、ラストでねねことネイトの両方に好かれてしまうEDにはかなり救われましたね。
 (このシナリオとモネシナリオ以外ではネイトは死亡してしまうのです)


>最終評価

 かっては「購入者にひかれる(好かれない)」要素の一つであった「ポリゴンキャラ」を用いてここまでの人気の高さと内容の良さを誇る作品を作れたことはまさに快挙の一言に尽きますね。
 未だにポリゴンゲームに難色を示している方々にも是非とも勧めたい逸品ですよ。
 漫画版の方も好評みたいですし、これからも楽しみです。


(PS)
 冷静に考えてみたら、七瀬さんとみづき以外は年下で、しかもモネとねねこ(&ネイト)はどう見ても小学生…う〜〜〜む、いいのか!? (爆)。

  限定版が出ていないことに関して、限定版は確かに魅力的ですが、そのために値段がつり上がり、懐の寂しい状態ではまず買えないものが多いですからね。
 そういう意味では「ゆめりあ」の売り方は大正解だったといえます。

(流竜馬 様)
 起きて普通の生活、寝て(寝ないで?)ひたすら戦闘…の繰り返し。
 主人公はこんな生活を繰り返した状態で、体力回復や精神面の休息ってとれているのだろうか…?

 寝ることで二つの世界を行き来する作品には必ずツっ込まれる所ですよね。
 コミックでは「デザート・コーラル」や「タカマガハラ」などがありますが、どちらも主人公は元気一杯で、有無を言わさない雰囲気さえあるのに、これに関してはちゃんと? 疲れている所がいいです。
 もっとも、あまりにスーパーマンだと、こういう話は面白味が半減するでしょうけど。
 
 値段は手頃、CM、漫画、スタッフ、いろいろな面から注目を集めてますね。
 それに、限定版を出していない事もすごいです。
 いえ、逆に出していないからこそ買いやすかったのかもしれません。

 ただ、「バトルパート」はプレイした感想の善し悪しに対して微妙な位置づけとなるかもしれません。
 好感度での戦闘力変化があるのに、固定キャラ戦闘があるのは意外です。
 場合によっては順調にいっていた流れをせき止めることにもなるでしょうから、なんだか一長一短の相殺をしてしまったようにも見えます。
 CMを見ても戦闘があるとは判りません(ナレーションでおや? とは思いますが)から、やり始めの違和感は否めないでしょう。
 BOOも漫画を読んでなかったら、戦闘があるなんて思いもしませんでした。

 あとは「それゆけ ねねこたん」を前もって教えてあげるのが良いかも知れません(爆)。
 プレイヤーを電波投げで悩殺りゅん♪

 他にも、某アニメと思われる「最優先事項」といい、この年齢はナイショ☆ のキャラといい、上下左右から取り入れんとするナムコの制作姿勢には頭が下がります(笑)。

(Mr.BOO)
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