ドリームキャスト すい〜とし〜ずん メーカー:TAKUYO
流竜馬 様
 この作品は今でもDCで健在の「パソゲー移植作」で、ゲーム雑誌で見たキャラデザが気に入って衝動買いしちゃいました(爆)。


>ストーリー

 幼馴染みの将棋部部長「嘉禄眞二」に騙されて将棋部に入ってしまった主人公「朝宮佳紀」(名前変更不可)は、夏休みに入っても彼の意地悪に付き合わされて憂鬱な気分であった。
 が、そんな気分は公園で犬の散歩をしていた美少女「神宮司歩未」との出会いで一気に解消されてしまった。
 彼に好意を抱き、部活動の見学にまで来るようになった彼女と、彼女のことが気がかりで同伴してきた「浅理佑奈」も加わることで一気に賑やかになった将棋部は、合宿や試合を重ねることでより実力を高め、8月末の大会に向けて頑張るようになる。
 果たしてこの夏休みの間に佳紀は歩未との仲を深めることができるのだろうか?


>キャラ紹介

・朝宮佳紀(あさみや・よしき)
 この物語の主人公。
 典型的3枚目キャラクター。
 部長に騙されて将棋部に入ってしまったものの、実はかなりの素質を秘めている。
 当初は素人の祐にすら勝てなかった腕前が、プロ級の歩未に勝てるようになるほど上達していく。
 ちなみにチビである事を相当気にしているらしいが、CGではとてもそうは見えない(爆)。

・神宮司歩未(じんぐうじ・あゆみ)
 物語冒頭で運命の出会い(笑)を果たしたメインヒロイン。
 「〜っす」が口癖の天然系キャラだが、実は今すぐにでもプロで通用するほど将棋が強い。
 本編中ではとにかく様々なトラブルに巻き込まれるものの、決して挫けず諦めず、常に前向きに生きる気丈な面も持っている。

・浅理佑奈(あさり・ゆうな)
 「歩未の保護者」を自称する彼女の親友。
 彼女に近付く男には容赦しない蓮っ葉少女(笑)。
 歩未を将棋の道に誘った張本人で、彼女自身の実力も確かなのだが、何故か大会などに出るのを嫌がっている。

・嘉禄祐(かろく・たすく)
 佳紀の幼馴染み兼クラスメイト。
 将棋部と陸上部のかけもちを行っている。
 物語当初から佳紀のことが好きなのだが、彼が次々と女の子と知り合ってしまうため、最近は気が気でないようだ(笑)。

・楠木こずえ(くすのき・こずえ)
 将棋部の副部長。
 外見は小柄な少女だが、常に的を得た厳しい口調と性格のために部員(部長含む)は誰も頭が上がらない最強の存在(笑)。
 しかも「軍人の霊が憑いている」らしく、軍人将棋にかけては無敗の経歴も持っているそうである(爆)。
 しかし、意外と天然な面もあり、将棋のうんちく語り中に思わぬギャグをかますこともある(まさか「魔界○士サ・ガ」ネタでくるとは…っ!!)。

・笹本マヨ(ささもと・まよ)

 将棋部の顧問。
 ナイスバディの保健教諭。
 言動が常に大雑把であるものの、部活動自体にはちゃんと? 取り組んでおり、将棋の腕前もプロを目指した経験があるだけにかなり強い。

・ソーニャ・ソビンスカヤ
 物語終盤に登場するロシアからの留学生で、佳紀の母・由霞子の計らいで朝宮家に居候するようになる。
 どうも佳紀に一目惚れしたようで、持ち前のナイスバディで迫ることも…(汗)

・川上マングース(かわかみ・まんぐーす)
 何とも変な名前だが、地元の名士で将棋9段、しかも生涯無敗の男。
 見た目こそ若いものの浅理佑奈の祖父(!)であり、笹本マヨ先生の師匠でもある。

・嘉禄眞二(かろく・しんじ)
 将棋部の部長で、祐の兄。
 どうもシスコンの気があり、自分にかまってくれない嫉妬から佳紀に色々と意地悪をするものの、根は良い人であるため、彼の恋のキューピッドになる事もしばしばである。

・朝宮由霞子(あさみや・ゆかこ)
 佳紀の母親で、今やお約束の「あなた年いくつですか」な美人ママさん(笑)。
 常にマイペースで、先の読めない行動には佳紀もしばしば困惑させられている(爆)。


>内容評価

 この作品は夏休み(7月20日〜8月31日まで)期間中に将棋部での活動を中心に盛り上がる「夏のラブストーリー」を描いたアドベンチャーで、最終的に意中のヒロインと結ばれるのが目的です。

 選択肢はわかりやすく、引っかけも特にないので攻略自体は極めて簡単です。
 ただ、物語中には何度も「将棋バトル」(3択)があるため、それには頭を使いますが、これが物語の「部活動」をそっちのけにさせない良い要素となっているので結構気に入っております。
 以前レビューした「ファーストKiss☆物語U」では「恋愛」に傾きすぎて、主軸のはずの「主人公の自立」が多くのシナリオで忘れ去られてましたからね…

 ちなみに各ヒロインのシナリオ評価は以下のようになってます。


○神宮司歩未シナリオ

 メインヒロインのシナリオだけあって、EDまでのイベントは山あり谷ありです。
 起こるトラブルは、彼女の右腕骨折を皮切りに「シャレにならない」レベルのものばかりでしたが、そんな幾多の困難を彼女の前向きさと(最初こそヘタレだったものの)佳紀の頑張りで乗り越えていく展開は良かったです。


○浅理佑奈 シナリオ

 彼女は裏ヒロインともいうべき存在で、シナリオ展開こそ歩未シナリオからの派生であるものの、その内容は結構良い出来でした。
 彼女が歩未を守ることに執心する理由や、将棋の大会に出たがらない理由、そして全てが終わってからの彼女の涙…
 どれもがツボを突かれました。

 惜しむらくは、彼女との恋がやっと始まったばかりで「現在進行中」で終わったので、もうちょい先が知りたかった事です(笑)。


○嘉禄祐 シナリオ

 ある日突然、「(恋の)ライバルぞろぞろ」状態(笑)に陥ったために、負けまいと頑張る彼女と鈍感主人公の織り成す「幼馴染み系ヒロインの王道シナリオ」です。
 そのため、内容的には突飛な点こそないものの安定しているので、最後まで安心して見られます。

 ただ、最終的には祐(と佳紀)のために大会参加がパアになってしまったというのに、恨み言一つなく恋のキューピッド役を果たした将棋部の皆様には感謝あるのみ(涙)。


○楠木こずえ シナリオ

 最初こそギャグ系であったものの、中盤辺りで「全シナリオ中最大のポカ」(想いが一人歩きし過ぎて押し倒し、結果は失敗)をやらかしてしまった佳紀が自分の行為に思いっきり後悔しつつも、そこで逃げ出さず何としてでも謝ろうと努め、彼女と仲直りして結ばれるまでの展開を描いています。
 そして、物語終盤でこずえ嬢が実は「極度に敏感な体質」のために中盤での佳紀の告白を受けたくても受け入れられなかった事が判明します。
 しかも「自分の想い人である佳紀にベタベタくっつくソーニャへの嫉妬から、その事をなかなか言い出せなかった」というオチのおかげで物語はハッピーエンドを迎えられたわけですが、いくら想いが募っていたとはいえ、一足飛びの行為はダメっすよ〜、佳紀君!!


○笹本マヨ シナリオ

 一見お気楽極楽なものの、実は内面でかなり過去を引きずっていた先生のために、佳紀だけじゃなく部員一同が頑張るシナリオ。
 総CG数こそ少なかったものの、各キャラのやりとりが良かったので、シナリオ的には結構気に入ってます。

 ただ、EDは学校へ向かう佳紀&祐のCGで締められるため、一歩間違えば「これ、祐エンドじゃないのか?」と思っちゃうのが難点ですね(汗)。


○ソーニャ・ソビンスカヤ シナリオ

 …これだけは「何だこれは?」と言わざるを得ないシナリオでした。
 彼女のシナリオは物語終盤(8月22日以降から)の派生シナリオであり、この頃には既に他の女の子のシナリオに突入してしまっているので、どうしても「他の女の子のトラブル放ったらかし」状態になってしまうのです(汗)。
 しかも内容が「ソーニャとデートし、仲良くなった後に起こったちょっとしたトラブルもあっさり解決しました」程度のものだったので、余計にダメージがでかかったですね…。

 彼女自身のキャラクター(流暢に日本語を話すけど、色々と勘違いが多いトラブルメーカー)が良かっただけに、このシナリオは本当に「蛇足」だと思いました。
 うう…これじゃ脇役に徹してくれた方がまだ良かったです(涙)。


>最終評価

 シナリオ面は短いものの、ソーニャシナリオを除いてそれなりの出来であり、キャラの立ち具合・CG・声優陣・BGMなどは結構出来が良かったです。
 特にキャラ立ちに関しては見事の一言で、一癖も二癖もあるキャラ群が一人も埋もれることなく、飽きないドタバタ劇を展開してくれたことは大いに評価できました。
 シナリオ中、10日ほどしか登場しないソーニャにまで存在感を与えたのは流石です。

 シナリオ重視の「泣きゲー」や「鬱ゲー」も確かにいいですけど、こうした手軽に楽しめる作品も結構いいものだなぁ…と再認識できましたね。
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