PLAYSTATION プリズムコート メーカー:富士通パソコンシステムズ
流竜馬 様
ALXIA 様
Mr,BOO
 僕が今までレビューしてきた作品の中には「サーカディア」(PS・SCE&有限会社アルヴィオン)や「星の丘学園物語 学園祭」(PS・メディアワークス&アトリエ彩)のように「本当に出来が良いのにマイナーで終わった作品」が結構あります。
 そして…今回レビューすることになったこの「女子高バレー部育成ゲーム」である「プリズムコート」もその1つと言えます。


>ストーリー

 大学バレーの名選手で、全日本メンバーでもあった主人公(名前変更可能)は、試合中の怪我が元でバレーを続けられなくなってしまった。
 無念ではあったが3年かけて過去を忘れ、朝霧高校の体育教師として平凡な生活を送っていた彼は、ある日同僚の美人教師・中西智里にデートに誘われてしまう。
 ドキドキした主人公が、誘われた先はバレー都大会の会場であった。
 このデートは彼に朝霧高校バレー部のコーチを依頼するための作戦だったのだ。
 「さぁ先生、行きましょう!」とすっかり彼女のペースに乗せられ、試合を見ることになったが、個々の資質はあるものの技術はつたなく、チームワークもできてない朝霧バレー部の結果は1回戦惨敗であった。
 主人公はそんな彼女たちのコーチ依頼を一度は断ったのだが、彼女たちの熱心な説得と真剣な眼差しに心を動かされ、ついにバレー部のコーチを引き受けることになる。
 果たして彼は彼女たちを全国大会優勝に導くことができるのか!?


>キャラ紹介
主人公
 元全日本バレー選手の経歴を持つ朝霧高校バレー部コーチで、プレイヤーの分身。
 典型的3枚目だが、熱さや優しさを胸に秘め、部員たちを導く好漢。

京極ナツキ(きょうごく・なつき)
 抜群のパワーとジャンプ力を持つ天性のアタッカー(ただしノーコン)で、バレーボールに青春をかける熱血バレー娘(バレー馬鹿ともいえる)。
 まだ未熟ではあるが、「磨けば光るダイヤの原石」ともいえる素質の持ち主。

辻真琴(つじ・まこと)
 175センチというチーム1の長身のため、一番バレー選手っぽく見えるが実は全くの素人。
 しかし体格に恵まれているので攻守共に向上させることができ、鍛え甲斐がある。
 また、ボーイッシュな外見とは裏腹に性格は女の子らしく繊細。

高村香純(たかむら・かすみ)
 真琴と同様バレー初心者ではあるが、冷静な判断力で守備の要となる(ただし攻撃は苦手)。
 しかし、見た目によらず頑固で攻撃的な性格が災いし、チームのみんなと衝突することも多い。

岡嶋あかり(おかじま・あかり)
 ナツキの幼馴染みで、小学生並の小柄な少女だが、驚異のジャンプ力を持つ(ただし鈍足で非力)。
 また、天才的頭脳の持ち主でもあるため、必殺技の開発に役立つこともある。

笹沢早苗(ささざわ・さなえ)
 中学時代からセッター一筋で、病気がちの身でありながら当時の中学でレギュラーの座を得た(本人は辞退しました)ほどの実力者。
 誰とでも仲良くできる性格の良さも手伝って、チームで一番頼れる存在。

宗田理央(そうだ・りお)
 攻守共に優れたオールラウンドプレイヤーで、実力は早苗以上なのだが、極度に無口&マイペースで、協調性にも欠けているのが難点。

中西智里(なかにし・ちさと)
 朝霧高校の美人教師で、バレー部では主人公のアドバイザーを務める「実質的顧問」(笑)。
 性格も器量も良いが、料理だけは苦手らしい。

黒崎縁(くろさき・ゆかり)
 朝霧高校バレー部顧問である、まだ20代の保健医。
 ずぼらで酒飲みだが、元バレー選手だけあって選手の体調を第一に気遣っている。

西村京子(にしむら・きょうこ)
 都大会常連校のエース選手で、ナツキや早苗とは中学時代からの友人。
 真面目な頑張り屋で、その実力も確かである。

斉藤栄江(さいとう・さかえ)
 185センチと、大会一の身長を誇る大阪代表。
 勝負事には厳しいが、見かけによらずとても優しく、早苗とも仲が良い。

司友紀(つかさ・ゆき)
 横浜カソリック系女学院のエースで、どこか影のあるお嬢様だが腕は確か。
 ちなみに理央とは何かの因縁があるらしい。

歌野晶(うたの・あきら)
 九州代表のボーイッシュな女の子で、パワーは大会一である。
 お互い女の子にモテて(本人は嫌)。
 困っている真琴とはいい友達(笑)。

二階堂麗奈(にかいどう・れな)
 神戸の「典型的タカビーお嬢様」で、ワンマンチームで全国上位に食い込める程の実力者。
 しかし結構お間抜けな所もあり、ライバル視している鮎川こずえ(他多数)によくからかわれている。

鮎川こずえ(あゆかわ・こずえ)
 一年の夏にインターハイを制したため「女子高バレー界の女王」と呼ばれる北海道の天才少女。
 性格はナツキと似たもの同士で、未熟ではあるが光る素質を持つ彼女をライバル視している。

金田一(かねだ・はじめ)
 全日本女子バレーチームの監督で、花粉症対策のためにマスクとサングラスをしているせいで、外見は「変質者みたいに胡散臭い」(でも美形)。
 ナツキの素質を見抜き、今すぐにでも全日本にスカウトして鍛えたいと思っているため、主人公を快く思っていない。
 今まで一勝もしたことがない朝霧高校バレー部を僅か2年間で全国に導く偉業を成し遂げようが、優勝しない限り引き下がらない有り様。


>内容評価

 この作品は、言ってしまえば「ときメモ」&「卒業」風味の女子バレー部育成ゲーム。
 主人公は1週間単位で練習メニューを決め、チーム特訓やミーティングや高校生活でチームメイトの絆を深めたり、イベントで必殺技を修得したり、練習試合のスケジュールを組んだりして部員たちを鍛えて「1年の7月〜3年の8月までの約2年間の期間にチームを全国優勝に導く」ことを目標としています。
 ですが、この作品は要所要所に「真似で終わらず、むしろこちらの方がハマれる」要素が秘められていたのです!!

(1)試合結果が後の展開に反映する。
 年に2回行われる都大会→全国大会では、多くの強敵との連戦、そして鮎川こずえのいる「富士見ヶ丘高校」との決戦が待ちうけています。
 この時の結果が後の展開を大いに変化させるため、各キャラクターの織りなすドラマやイベントに幅が出てかなり良かったです。

(例)
 ●無念の敗退→それでも優勝を目指し「追う立場」に。
  全国大会まで行けていれば知り合ったキャラとの交流も。
 ●期間終了まで余裕があるのに全国大会優勝→全国の強豪から「追われる立場」に。

(2)この作品最大の醍醐味・試合のコーチ!!
 試合はオートバトルで、プレイヤーはサイン(アイコン)による指示とタイムによるアドバイスしかできませんが、それがこの作品の最大の持ち味である「コーチになった気分」を存分に味わえる秘訣なのです!!
 試合では今までの育成結果が如実に現れるため、自分達以上の強敵にブチ当たれば大概は完膚なきまでにやられてしまいます。
 …が、その劣勢をプレイヤーの指示で覆すことは可能なのです!
 サインはうまくいけば能力の強化になりますし、タイム中の指示はうまくいけば体力とやる気の回復を行えるだけでなく相手の必殺技を破ることも可能にするのです!!
 こんなにシンプルに「プレイヤーが燃える要素」はそうそうお目にかかれませんよ!!

(3)スポ根好きならご覧あれ! 必殺技の数々を!!
 イベントや練習試合や日曜日の自由行動などでゲットできる「必殺技」を集めることも楽しみの一つです。
 これがあるおかげで特訓の幅は広がりますし、強敵相手の一発逆転も可能になりますよ。
 しかも必殺技を記した本は「民書房」(ええっ!)のものです。

 他にも、サブタイトルの元ネタを見ればアニメ・漫画・特撮のサブタイトルのオンパレードです。
 知らない方々には「何これ?」レベルでしょうけど、知ってる方なら確実に笑いますよ(ウルトラマン系列のものが結構ありました)。

(4)その他
 クリア後のアルバム閲覧(CG鑑賞)モードでは朝霧高校女子バレー部一同の会話が楽しめ、クリアー後の感慨に浸ることができます。
 ヘタなドラマCDよりよっぽど聴き応えがあります。
 ああ…二連覇できて良かったなぁ(しみじみ)。
 まぁ「1週毎に読み込みがある」「キャプテンに選んだ女の子を中心にしたシナリオで進むのに、金田の誘いがあってからナツキをかまう選択を選ぶと、ナツキシナリオに移行する」「イベントが多数(全222種類)あり、コンプリートが大変」などの難点はありますが、どれも「いちゃもん」レベルのものばかりだったので、これ位なら気になりませんでした。


>最終評価
 はっきり言ってこの作品は「萌え(女子高バレー)」と「燃え(スポ根)」を見事に融合させた傑作です。
 「キャラや演出に頼りきって中身がダメダメ」な作品がギャルゲーだけでなく多くのジャンルで見られる今、こういう中身のしっかりした作品に出会えたのは何よりも喜ばしいです。
 マイナー良作ゲーム万歳!!

PS:
 ちなみにこの作品も最初に紹介した作品(「サーカディア」&「星の丘学園物語」)と同様、超豪華声優陣です。
  (長沢美樹・冬馬由美・水沢潤・荒木香恵・丹下桜・久川綾・山崎和佳奈・永島由子・皆口裕子・ 手塚ちはる・篠原恵美・天野由梨・芳野美樹etc…
 現在の作品でこのキャストでやったらかなり凄いですね(爆)。

(流竜馬様)
 少し気になったので、攻略サイトを検索してみたんですが、そこによると、ゲーム中のイベント名は全てアニメや漫画、特撮のサブタイトルをもじったモノだそうです。

(ALXIA 様)

 監督といえば、浮かぶのが名作「ベストプレープロ野球」でしょうか。
 自分で選手を操作することだけが野球じゃない、というコンセプトはいまだに根強い人気を保ち、面白さの証明となってます。
 要はこの考えを基にバレーに用いて、必殺技やパラメータの変化などの要素を組み込んだわけですね。
 自分が苦労して操作することがないという楽さも面白さをフォローしてますし、時間をかけて遊ぼうという気にさせてくれます。
 …もっとも、この「時間をかけて」が今の流れに乗れなかった原因なのでしょうけど…

 大なり小なりイベントがちりばめられているのはいいですね。
 プレイヤーを飽きさせません…って多すぎて飽きてしまいそうです(笑)。
 ある程度プレイしていると必勝パターンはできあがってしまうのでしょうが、その分ゲーム内でプレイヤー独自のお遊びがいれられますし、長期に渡って楽しめると思いますね。
 普通思いつくのは「勝って話が進んでいく」パターンですが、勝ち負けを両方取り入れることで幅を持たせましたね。
 極端に言えば試合の勝敗もゲーム中の選択肢の一つって感じでしょうか。
 ただのギャルゲーにするまいとした工夫の賜物かもしれません。
 しかし、鮎川って名前がまんま「アタックNo.1」
 相方の早川みどりまではさすがにいないようで(笑)。
 そういったキャラ以外は小説家の名前をもじったようですし、遊び心は満載と言えますね。

(Mr,BOO)
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