PLAYSTASION2 機動新撰組 萌えよ剣 メーカー:エンターブレイン
流竜馬 様
Mr.BOO
  僕の記憶が確かなら、この作品が発表されたのは随分と昔だったので、SFC版「ああっ女神さまっ」みたいに「タイトルだけの立ち消え作品」と思っていたのですが、驚いたことに2002年に発売されたのです。
 そして、発売されてからの運命はというと…
  あの「ときメモ3」のように、あちこちのゲームショップで新品すら値下げられまくっていたのです(大体3000円前後)。
 「これは一体!? この作品はクソゲーなのか!?」
 そういった思いから(安さも手伝って)この作品を購入し、クリアにまで至りました。
 そして導き出された感想は…
 「確かにフォローしきれない欠点はある。でも決してクソゲーなんかじゃない。むしろ面白いぞ!」でした。


>ストーリー
 時は明治十五年…
 勝海舟の命を受けた主人公「弓月新太郎」(変更不可)は「機動新撰組」に入隊するため京の町へ向かった。
 かって父はこの地の豪商だったそうだが、新太郎が生まれて間もない頃に亡くなり、残された家族は皆東京へ引っ越していたので土地勘は全くない。
 今の京都は夜な夜な徘徊する「物の怪」が様々な事件を引き起こしている。
 実体のない奴らを退治するため、勝海舟は坂本竜馬の妻・おりょうを長官に機動新撰組を組織した。
 隊士は今のところ近藤勇の娘・勇子だけである。
 京都に着くなり物の怪に教われ、危ういところを勇子に救われた新太郎は二人目の隊士になるのだが、自分に何が出来るのか不安な面もちだった。
果たしてそんな彼の運命は如何に!?


>キャラ紹介
弓月新太郎(ゆづき・しんたろう)
 勝海舟の教え子である大学生で、新撰組では「勘定方兼参謀見習い」を務める。
 優柔不断な優男ではあるが、柳生新陰流を習っていたため剣の腕前は他の隊士にも劣らない。
 また「ここ一番という所で男を見せるタイプ」であるため、隊士達の精神的支えにもなっている。

近藤勇子(こんどう・ゆうこ)
 近藤勇の娘で、名刀集めの借金のカタで新撰組に入隊したほどの浪費癖の持ち主(笑)。
 熱血直情径行で、おっちょこちょい&ズボラでもあるが、局長を務めるだけあって職務には真剣である。

土方歳絵(ひじかた・としえ)
 土方歳三の娘で、「クールビューティーな才女」を地で行く冷静沈着な副隊長。
 しかし根はとても優しく、叶鈴香ちゃん(後述)の心を開き、最初の友達になったのは彼女である。

沖田薫(おきた・かおる)
 沖田総司の娘で、八方美人&わがままだけれど憎めない新撰組のムードメーカー。
 しかしそれだけではなく、陰陽術と剣術の両方を使いこなせる多才さも兼ね備えている。

坂本竜之介(さかもと・りゅうのすけ)
 坂本竜馬の息子で、外国への旅を愛する明朗快活な楽天家。
 相棒の猫丸と共に新撰組の隊士として情報収集から戦闘まで色々活躍する。

猫丸(ねこまる)
 上海で竜之介に助けられて以来、彼と行動を共にする猫の妖怪(でもお化けや幽霊が苦手)。
 新撰組一の(寒い)ギャグメーカーで、物語がシリアスになる後半でも皆の心の清涼剤となる。

おりょう
 坂本竜馬の妻で、京都守護のために設立された機動新撰組の長官。
 皆のお母さん的存在でもあり、新撰組の食事はいつも彼女と猫丸が作っている(笑)。

平賀源内(ひらが・げんない)
 4代目の平賀源内で、3代目の遺したデータを基に機動新撰組の装備を作り上げた天才博士である。
 何故か彼の開発した装備は女性にしか扱えないのだが、それは後半までの重要な伏線である。

渡瀬きよみ(わたせ・きよみ)
 源内の助手兼新撰組の看護婦。
 毒舌だが性格は優しく、腕も確かである。

早乙女美姫(さおとめ・みき)
 元は朝廷に仕え、物の怪を使役する力を持つ名家のお嬢様だった。
 が、明治政府によって家を没落させられてからは義賊集団「つばめ組」を率いて政府に反旗を翻している。
 ちなみに近藤勇子とは昔からの腐れ縁のようである。

田中右近(たなか・うこん)
 美姫に仕える剣士。
 「顔は二枚目で実力もあるのにやることは三枚目」という、マシュマー・セロ(ZZガンダムの敵役)」みたいな奴である。

鈴木左近(すずき・さこん)
 美姫に仕える元相撲取りで、つばめ組の料理&ボケ担当(笑)。
  そしてボケるたびに右近に突っ込まれている(爆)。

清家真琴(せいか・まこと)
 自費出版瓦版の新聞記者で、好奇心と行動力のカタマリみたいな女の子。
 有料でこそあるものの、彼女の情報は新撰組にとって大変貴重なものである。

叶鏡一(かのう・きょういち)
 京都府警の警察官で、無口&無愛想な腕利きの剣士。
 悪い人ではないのだが「京都を守るのは警察の仕事」という使命感が災いして、新撰組を快く思っていない。

叶鈴香(かのう・すずか)
 鏡一の妹で、礼儀正しいしっかり者だが、本当はまだ甘えたい年頃の少女(12歳)である。
 ちなみに祖父や兄と違って新撰組にはかなり好意的である。

長崎屋(ながさきや)
 新撰組に多額の金を貸している豪商で、鏡一と鈴香の祖父。
 最初は新撰組を毛嫌いしていたものの、鈴香を助けてもらった一件から態度を改め、心強い協力者となる。

お千代&お光
 叶鏡一の追っかけコンビで、会う毎に新撰組をけなし、罵りまくる「この作品中最もムカつくキャラクター」です。
 どのくらいムカつくかって? そりゃあもう……
 「もし目の前にいて、なおかつ自分がマシンガンを持っていたら即座にハチの巣にしてやりたいくらいに!!」(怒)。

「サンダードーン」
 京都に眠る「あるもの」を狙って西洋から襲来した「魔族」の集団。
 殺戮と破壊を好み、その戦闘力は美姫の操る物の怪とは比較にならない。


>内容評価

(1)システム面
 このゲームでやるべきことは「アドベンチャーパート」でのキャラ交流&情報収集と「RPGパート」での京都のパトロール&物の怪との戦闘。
 そして町に極力被害を出さないようにし、明治政府から支給される「物の怪退治料」を稼ぐ事。
 何故かというと、「新撰組は設立のために300万円の借金を抱えており、全シナリオクリアまでに返済しないといけない」からです。
 返済に成功すればEDで女性隊士達との華やかなパーティーが楽しめます。
 これがこの作品に緊張感を与えており、「最後まで頑張らないと」って気にさせてくれます。

(2)シナリオ面

 大正と明治、帝都・東京と京都の違いがあるとはいえ、所々「サクラ大戦」と似通った点がありました。
 例を挙げるなら…

 ●「なんちゃって明治(「サクラ大戦」は大正)」で特殊兵器で戦う少女達。
 ●形や程度こそ違えど、トラウマ持ちの女性隊員を主人公が立ち直らせ、その話の強敵に勝利。
 ●敵組織を倒して物語が一段落ついたと思った矢先、新たなる敵・魔物との戦いが始まる。
 ●そして最後の敵は魔王。
 ●1世代前にも同じような戦いが存在し、その時の重要人物が勝利と引き替えに死亡。

  などです(「らいむいろ戦奇譚」以上かも)。
 …が僕はそれをマイナスとは思いませんでした。
 こちらの「萌えよ剣」では最初から最後までの起承転結や伏線の絡め方が綺麗にまとまっていたので、最終決戦で「ミカエル&サタン登場」などの唐突極まりない展開を見せた「サクラ大戦よりも個人的評価は高いです
 それに、何よりも秀逸だったのは「早乙女美姫」の運命の流転に尽きるでしょう。
 最初はまさに「ロケット団」や「ドロンジョ様」級のお間抜け悪役だった彼女がまさかああなるとは…(以下あまりにも美味しいネタバレ防止のため封印)。
  他にもBGM、アニメムービー、CGなどもなかなかの出来でした…が、残念なことにこの作品はいい所ばかりでなく欠点も結構持ち合わせていたのです。

(3)欠点

 ●声割れ
  時折声が妙に聞こえる時があり、「収録後チェックしたのか?」とさえ思いました。
 ●戦闘シーンがイマイチ
  はっきり言って「FF(7以降)」や「サクラ大戦」経験者なら100%「しょぼい」と言うでしょう。
 ●主人公・弓月新太郎に声がない
  戦闘時の声(パターン多数)はあるのに、会話やムービーでの声がないのは残念でした。
 ●イベントの不手際
  アドベンチャーパートで起こるイベントの中には「とっくに終わったはずなのに後のシナリオで発動する」ケースのものもあり、プレイ中に「?」と何度も思いました。
 ●ED時のスタッフロールが早い!
  ED曲「夜明け」はいい曲なのに、これじゃ余韻も楽しめないです(汗)。
 ●EDの後のおまけ無し!
  ひどい!  ひどすぎる!!  これまでのCGやムービーをまた見たいのに〜!!!


>最終評価
 上記のように欠点を多数抱えているため万人にお勧めはし辛い作品でしたが、「見られる所はちゃんとあるし、面白かった」作品です。
 これなら原価のままでも十分楽しめたと思います。

PS:
 サブキャラ「清家真琴」のEDは「ギャルゲー最高の笑えるED」だと思います
 持っている方なら是非ともご覧あれ!!

(流竜馬 様)
 かなり前に発表されてましたっけ。
 2000年をまたぐ前だったような気がしますが…
 違ったかなぁ…?
 何にせよ、出しただけ立派です。

 町の損害と借金…
 市街戦を中心とするシミュレーションが目を背けてきた部分に敢えて踏み込む勇気は大したものです(笑)
 治安維持のために作られたはずの組織は火の車で、戦えば損害が出る。
 でも頼らざるを得ない…
 なんだか、町民の「背に腹は変えられない」気持ちが遠まわしに伝わってくる(笑)。

 「サクラ大戦」はもう一つのジャンルか(笑)。
 収支の要素もそうですが、基本にどれほどの付加価値をつけるかで差をつけるパターンになりつつあるのでしょう。
 美姫のエピソードはその好例でしょうね。
 彼女のどじっぷりで変化にインパクトを与えるのはうまい使い方ですよ。

 戦闘はシミュレーションではなくRPGパートとしているくらいですから画面構成的には解らなくもないんですけど、目新しさは感じないし迫力ないし…
 この部分こそ勝負の分かれ目だと思うのですが、オリジナリティを出すのに3年という時間では足りなかったか?
 「サクラ大戦」の大神隊長のように、プレイヤーキャラであってもほぼ遊離して1個のキャラとして確立させているのであれば声が欲しいとも思いますが、完全にプレイヤーとしてイコールの場合、自キャラが本人の声以外で話すとやはりプレイヤーと新太郎は別物」という認識が生まれるかもしれません(画面に向かって独り言もなんだかいやですが(笑))。
 作り手がそれを考慮して声を入れなかったのでしょうと思いたいですが…
 名前が変更できないところにそんな考えとは無縁な気配を感じてなりません(笑)。
 単純に用意しなかっただけとか、イメージを絞りきれなかったとかの理由なら勘弁してもらいたいものですね。

 基本はキャラから入れればOKでしょうが、一番の問題は「なんちゃって娘・息子」のオンパレードに耐えられるかどうかでしょう(笑)。

(Mr.BOO)
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