>ストーリー
首都圏のベッドタウンとして近年再開発が進む郊外都市「月夜野町」で、一人暮らしをしている高校生「田中隆史」(主人公・名前変更可能)は初夏の夕方、丘の上公園で「あやめ」という幽霊の少女と出会ってしまいました。
その時は姿を消してしまった「あやめ」はその夜、「朝霧南」という少女と共に隆史の前に現れます。
隆史のことを恋人(実は隆史の曾祖父)だと思い慕う「あやめ」を無下にも出来ず、彼女と同居することになった彼の運命は如何に!?
>キャラ紹介
○田中隆史(たなか・たかし)
この物語の主人公。
現在は月夜野学園高等部3年生。
典型的3枚目キャラではあるが、その割には女の子と仲良くなりやすい。
ちなみに、彼の曾祖父(同姓同名)があやめさんの生前の恋人である。
○朝霧あやめ(あさぎり・あやめ)
隆史を恋人だった曾祖父と勘違いして、家まで押しかけてきた幽霊のお嬢様。
現代では確実に死滅している「大和撫子」な美少女で、ちょっぴり天然ぼけ気味(笑)。
とにかく健気で、家事にいそしむ姿にはかなりの破壊力がある(爆)。
○朝霧南(あさぎり・みなみ)
月夜野学園高等部1年生。
あやめさんの兄の曾孫にあたる。
真面目で気が強く、隆史とよく衝突するものの、本心は憎からず思っている。
ちなみに眼鏡を外せば、あやめさんにそっくりである。
○坂上葉月(さかがみ・はづき)
月夜野学園高等部3年生。
隆史のクラスメイトであり、入学以来の親友。
明るく気さくで、人に頼られる姉御肌なため、男女ともに人気は高い。
○坂上美雪(さかがみ・みゆき)
葉月の双子の妹。
化学室にこもって怪しい実験を繰り返す変わり者。
常に無口&無表情で研究対象以外には無関心だったが、あやめさんとの出会いが彼女に変化を与える。
○鳴海理央(なるみ・りお)
月夜野学園中等部3年生。
現在演劇部で演技の勉強中。
隆史とは幼なじみで兄妹のような関係である。
○クリスティーナ・ゴラム
理央の憧れの世界的ミュージカルスター。
若干13歳にして天才的な才能の持ち主。
性格も良く、とある事件がきっかけとなって知り合った隆史達とすぐに意気投合した。
○笹川早苗(ささがわ・さなえ)
隆史のバイト先の花屋「苗」の女店主。
娘のあさみと一緒に暮らしている。
仕事も家事もしっかりこなす反面、可愛いものに目が無く、大のぬいぐるみ好きである。
○笹川あさみ(ささがわ・あさみ)
早苗と共に「苗」で暮らしている小学5年生。
かなりヤンチャで活発で強気。
隆史のことが好きなため、そのヤキモチも凄まじい(笑)。
○天乃玉子(あまの・たまこ)
1度でもバッドエンドの状態をシステムデータにセーブした後、再プレイ時に登場する隠しキャラ。
とにかくハジケたキャラです(汗)。
○御所颯姫(ごせ・さつき)
最近転校してきた正体不明の女生徒。
霊能力を持ち、陰陽術を使いこなす。
自分が霊を祓うことに対して並々ならぬ自信と誇りを持っているがために、一方的に悪霊と決め付けたあやめさんを隆史達の言い分も聞かずにつけ狙っている。
○大嶋つむぎ(おおしま・つむぎ)
南の親友。
明るく頑張り屋な映画部員(主に脚本担当)。
あやめさんの件で隆史と南が接近していることを知り、大変興味を持っている。
登場人物の中では唯一「あやめさんが見えない」
○竹田明彦(たけだ・あきひこ)
隆史の男友達その1。
美形ではあるが極度の軟派でお調子者。
情報通でもあり遊び上手なので、同性の友人も少なからずいる。
○佐藤祐仁(さとう・ゆうじん)
隆史の男友達その2。
「熱血体育会系」のいい見本。
葉月を慕ってはいるものの、一向に気付かれてはいないようだ、哀れ…
>内容評価
個人的にツボを突かれた萌えキャラ「朝霧あやめ」さんを中心に据えた、前半のドタバタ展開と後半の泣ける展開(最後までドタバタだった天乃玉子シナリオは除く)は最後まで楽しめる展開でしたし、EDはED曲「まぼろし月夜」の相乗効果もあってかなり気に入っちゃいました。
しかし残念ながら、PSでも歌を聞くモード追加はされてませんでした、無念!!
手放しで誉められないことも幾つかありました。
まず、DC版同様「主人公の名前が変更しなくても声入りで呼ばれないため、台詞が虫食い状態になりやすい」ことはそのままみたいですし(これを考えると、虫食いを起こさないメディアワークス作品は良く出来てるなぁと痛感します)、「選択肢や移動パートでセーブできない」ことはキツかったです。
「快適にゲームを進められること」も重要な要素なので、これは何とかして欲しかったです。
あと、個人的にネックだったのは「主人公(隆史)の友達」であるキャラの一人「竹田明彦」君ですね。
正直言って彼は今までプレイした作品の中でも「最低の友人キャラ」でした。
大概の友人キャラは「こいつが友達で良かった」とか「時には主人公を食いかねない」と思わせる見せ場や台詞を与えられるものですが、彼にはそういった見せ場や台詞が一切無い上に、終始「迷惑で自己中で軽薄極まりないキャラ」のままだったのです。
特にクリスシナリオでは「少しは見直した僕が馬鹿だった」とさえ思いました。
こういうタイプの人間が最も嫌いな僕にとっては、彼の存在は「怒りゲージをどこまでも増大させるだけの存在」です。
確かにあの行動力には目を見張るものがありました。
でも「引き立て役」ならもっと「引き立て役なりの魅せ方」があるだろうに…と思うだけに、余計に彼が嫌いになってますね(汗)。
■PS版追加シナリオ評価
●御所颯姫シナリオ
「あやめシナリオ」終盤以外ではとにかく「悪役」のポジションにされ、特に美雪シナリオでは「リヴィッシュ」(美雪命のストーカー予備軍)に唆されていいように使われるという間抜けな役回りだった彼女をヒロインに据えたシナリオ。
「彼女の過去」や「あやめ、南シナリオ」では、彼女の術のせいで危うくあやめさんが消されそうになった『夏祭りの一件』の真相」が明らかになります。
実はあの時、あやめさんを影で狙っていた悪霊と交戦しており、何だかんだ言いながらも結局助けてくれていたのです。
そして、悪霊との戦いに色々関わるうちに彼女とも和解し、数年後には彼女のパートナーとして頑張っているEDはそれなりに見られるものではありました。
が、正直言えば「このシナリオがあっても彼女は嫌い」です。
何故なら、彼女は「(まだ仲良くなってない頃に)悪霊を倒すために隆史とあやめさんを一度は囮にした」からです。
物語が「結果オーライ」で済んだとはいえ、これは許されるものじゃありません。
現にあやめさんは隆史を助けるために霊力を大量に消費してしまったのですから。
例えるなら「悪を滅ぼすため」とかいって、ヒーローが極悪非道の攻撃をするようなものですよ(怒)。
また、彼女が心を開いてからの展開が短かったこともネックでした。
「To Heart」の委員長や「ファーストKiss☆物語」の織倉香奈のように「最初の印象が悪い女の子は仲良くなってからの萌える展開で楽しめてナンボ」だと思っているだけに、このシナリオでもそれを堪能できるだけの長さは欲しかったですよ。
以前レビューした「おかえりっ!」の「藤崎晶シナリオ」ほどではないにしろ、「後半の好印象(プラス)で前半の悪印象(マイナス)を帳消しにできなかった」彼女のシナリオははっきり言って「失敗作」でしたね…。
彼女があそこまで「霊との戦いに躍起になる理由」をもっと早く隆史に吐露していれば良かったのに…と思ってます。
●大嶋つむぎシナリオ
何と「あやめさんが見えない」設定を持った唯一の女の子で、あやめさんが見えない理由や、彼女が大事にしているお守りの話などが主軸となる物語で、ボリュームはそれほどでもなかったものの、結構楽しめました。
「彼女にお守りを託した謎の友達」のことが最後まで明らかにならなかったのは残念でしたが、その話はあやめさんが成仏してからの二人(&南)を繋ぐ思い出話になるというラストが良かったので、これはこれで良いかなと思います。
中盤以降はとある事件が元であやめさんが見られるようになったとはいえ、それまでの間「声はすれども姿は見えず」状態のあやめさんに慌てる彼女の姿は見てて楽しかったです(笑)。
>最終評価
欠点は多々ありましたが、お気に入りの「ファーストKiss☆物語」同様「長所が短所に勝った」と思える良作でした。
それに、「あやめさん」という魅力的なキャラクターがいたことが何よりも大きかったですね…(惚れ惚れ…)。
本当に買って良かったですよ…(まだ惚けてます(核爆))。
(流竜馬 様)
新キャラ追加ではなくて既存のキャラにシナリオを追加していたんですね…
特にあやめさんが見えないつむぎさんは作る側にもひねりが要りそうですし、実は新キャラ作るより苦労してたりして。
御所颯姫はもともと隆史とあやめさんの絆を深めるために用意されたキャラですから、立場上方向転換が難しくて当然。
見てくれからして浮いてるし(笑)。
いっそ、徹底的な悪役としての悲劇性でも出した方が面白かったかもしれません。
大嶋つむぎは一番日常的なシナリオになりました。
とはいえ、「出てきてくれよ」で人に姿を見せられる幽霊を相手に、それが見えないというのですから実に一般人らしい(笑)。
(Mr.Boo) |