PLAYSTATION ハッピィサルベージ メーカー:メディアワークス&スタジオコミックス
流竜馬 様
 キャラ萌えゲーの雄・メディアワークス作品にも「星の丘学園物語 学園祭」のように出来が良くてもマイナーで終わった作品はあり、今回の作品はその中の一つです。
 メディアワークス作品は出てからも力を入れる作品とそうでない作品の差が両極端ですから…
 だからこそ意外とあっさり消えた読参「セラフィムコール」がアニメ化された時は本当に驚きましたよ。


>ストーリー

 南洋の島・パーキットの大学に通う大学生「七海ワタル」(変更不可)はサルベージを生業としていた父と叔父が行方不明になったとの報告を受け、急いで父と叔父の会社がある「ハルクイン島」へと向かった。
 ハルクイン島には同じく、この凶報を聞いた従姉妹のマリナが日本からやって来ていたが、再会を懐かしむ間もなく、2人は領主の執事から事情説明を受けるのだった。
 今回の遭難で、ワタルの父親達は大使館に100万ドルの借金をしたまま行方不明となっており、このままではワタル達が支払うしかないのだが、一介の学生である彼らにそんな大金が支払えるはずもない。
 困り果てる2人に、大使館側が出した提案は「父親のサルベージを引き継いで借金を返す」ということだったが、不安にかられたワタルはすぐには承諾できずに悩んでしまう。
 しかし、「サルベージをしていれば父の手がかりが見つかるかも」という思いから奮起したワタルはサルベージ業を引き継ぎ、借金返済&父達の捜索を目指すことにした。
 果たして彼らの運命は如何に!?


>キャラ紹介

七海ワタル(ななみ・わたる)
 物語の主人公で、パーキット大学に通っている19歳の青年。
 サルベージ業をしていた父親が資金のために多額の借金を残したまま行方不明になったことをきっかけに、従姉妹のマリナと共にハルクイン島でサルベージを行うことになった。
 性格は心優しく誠実で、常に前向きな好青年ではあるが、女心に凄まじく鈍感なのが欠点である(汗)。
 ちなみに大学の方はロシディ先生の計らいで休学扱いとなっている。


七海マリナ(ななみ・まりな)
 ワタルの幼なじみにして従姉妹。
 日本のミッション系女子校に通っていたが、ワタルの父と共に働いていた自分の父親も行方不明になったことがきっかけとなって、学校へ戻るまでの3ヶ月の間、彼に協力することになる。
 ちなみに幼少時にワタルと結婚の約束をしており、そのため今でもワタルのことを想っている健気でいい子だが、肝心の彼がそのことを”きれいさっぱり忘れている”ため、やきもきしている。


ルーリー
 大使館に住む純真無垢な10歳の少女で、ワタルを「おにいちゃん」と慕っている。
 ワガママで独占欲が強く、ワタルが他の女の子と仲良くしているとすぐスネてしまうが、それも愛嬌である(笑)。
 ちなみにその素性はこの地方一帯を統治している王国のお姫様である。


ロシディ・スギヤマ
 パーキット大学の海洋考古学部助教授で、ワタルの恩師。
 まだ26歳の若さで海洋考古学の権威的存在でもあるナイスバディな美女だが、ワタルの父も追っていた海底遺跡の探索で恋人を失った悲しい過去を持つ。


ラナイ
 古くから南洋の島々に散らばって住んでいた謎の民「マハロ族」の末裔で、現在の酋長の孫娘(16歳)である。
 最初は誤解からワタルを嫌っていたものの、誤解が解けてからはマブダチのように接してくれる天真爛漫な少女である。
 ちなみに「人の話を聞かないで物事を進めるタイプ」な祖父のせいでワタルが将来の旦那様となっている(笑)。


エリッサ
 メカが大好きな15歳の天才少女で、少々体の弱いハンデにも負けずにサルベージに役立つ道具を次々に開発してくれる。
 最初は内向的で気が弱かったものの、ワタルを始めとする仲間達との交流や自分を「エリッサママ」と慕うアルマを育て見守っていくことによって本当に強い子へと成長していく。


ミランダ
 16世紀末、南洋を席巻した大海賊「キャプテンモンド」の13代目子孫である19歳の女性。
 10歳の頃にサルベージ仲間の裏切りで父を殺され、それ以来は残された弟・マーシュと2人きりで「悪い海賊の子孫」という迫害を受けながらも気丈に生きてきた過去を持つ。
 そのため他人を突っぱねるような態度をとりがちだが、根は優しくいつでも他人思いである。
 ちなみにワタルの活躍で歴史の真実(当時の公文書)が判明し、モンドと一族の汚名が晴らせてからは本来の明るさを取り戻し、皆に心を開くようになった。


マーシュ
 ミランダの弟で、おとなしくて優しい12歳の少年。
 心臓が悪くずっと入院しており、彼の高額な治療代を稼ぐためにミランダはサルベージを行っていた。
 だが、七海ワタルの活躍で歴史の真実が解明され、先祖・モンドの汚名が晴らされただけでなく彼とミランダが見つけたモンドの遺産によって行われた手術のおかげで元気になってからは姉やワタル達の手助けをするようになる。


パナシェ
 ハルクイン島の聖教会病院でシスターと看護婦を兼任する17歳の少女。
 今時珍しく清純可憐な女の子で、男の子の前に出るとすぐにあがってしまい、頬を染めてしまう(笑)。
 元はサブキャラだったそうですが、ゲーム開始前のエピソードを扱った小説1.巻で登場した際、ファンに好評だったために「攻略対象メインキャラ」に昇格したそうです(核爆)


アルマ
 中世の天才発明家・ジーン博士が病死した愛娘を模して作った精巧な自動人形。
 とある場所でワタル&エリッサに機能停止しているところを発見され、エリッサの手で再び目覚めることができた。
 完全ではないにしろ、人間と殆ど変わらぬ感情を持っており、しかもかなりの怪力である(笑)。


シーラ
 この地方一帯を統治する王国の女王様(&ハルクイン島の領主)で、ルーリーの祖母。
 ワタルの父&マリナの父に資金として100万ドルを貸してくれた方で、序盤でワタル達の人柄と功績を見て借金を帳消しにしようとしてくれたほど心の広いお方だが、誠実なワタル達は「ちゃんと働いて返す」ことにした。


ワタルの父
 主人公・七海ワタルの父親で、この物語の諸悪の根源(笑)。
 実の息子に「100万ドル」という多額の借金を残し大学生活をパアにしただけではなく、海底遺跡探索に失敗してマリナの父ともども漂着し、島で出会った現地の女性と再婚していた「何ともまぁ…」なトンデモ親父である。
 しかもそこが「全然出られない」わけではなく、それなりの文明があった島なのに、船を作って帰るなり連絡の一つも入れたりもしなかった時点で「ロクデナシ」に確定してしまった。
 基本的に心の広いワタル&マリナは彼らの所行は受け入れていたが、もしこれが僕なら…
 確実に怒りゲージが振り切れて「パンチの一発では済まない」事態になってただろうなぁ…


マリナの父
 マリナの父親で、言いたい事はワタルの父と以下同文である(笑)。


>内容紹介

 作中でやるべきことは「ハルクイン島などでのアドベンチャーパート」と「海や海底遺跡でのサルベージパート」の両方をこなして物語を進め、お金やアイテムを集めることで装備を充実させて行動可能範囲を広め、最終的に父達が追い求めた「海底ピラミッド」の謎を解明することです。
 100万ドルの借金に関してはEDで無事解決されます。
 そして、ラストまでにアドベンチャーパートでの選択やサルベージパートでパートナーに選び続けたことで好感度が最も高い女の子とのEDが迎えられます。
 ただし、パナシェとアルマには特定のフラグが必要です。
 ただ、サルベージに必要なアイテム「酸素ボンベ」(消費式)が無い状態だと「素潜り」することになり、この状態で溺れる(酸素ゲージゼロ)と、大失敗をやらかしたことになり事業続行できず、問答無用でゲームオーバーになるので要注意です。

 ゲーム自体は「ゼルダの伝説」のような「アイテムを駆使した謎解き」と「D+VINE[LUV]」のような「アイテム収拾」が楽しめ、結構中毒性があります。
 
外れのない声優陣が織りなすキャラ同士のやりとりも結構楽しめました。
 僕も64版「ゼルダ」やDC版「D+VINE[LUV]」以降はご無沙汰でした(汗)。

 …が、良いことずくめではなく、欠点も結構見つかりました。

1.攻略対象の女の子&マーシュ以外声無し
 「水夏・DC版」や「ミス・ムーンライト」の時と同じく、脇役陣は声無しでした。
 しかも、主人公・ワタルは一応声有りなのですが、「喋るのはOPだけ」な事にはトホホでしたよ。

2.会話テンポがやや遅い。
 「オートスキップ」はおろか「高速スキップ」も存在しないため、会話シーンを飛ばすためには○ボタン連打あるのみです。
 さすがにこれは疲れましたね(汗)。

3.序盤が辛い。
 サルベージを重ね、経験値がたまるとレベルアップし、酸素ボンベの残量ゲージも増えて作業が楽になるのですが、最初の頃はゲージが少なく、短時間での撤退を余儀なくされるので、それに耐えることが試練でしたね(笑)。

4.意外とひどい主人公・七海ワタル。
 彼は確かに「優しく誠実な好青年」ですが、幼なじみ&いとこのマリナにしたことだけは正直言って許せません。
 「幼い頃の結婚の約束を忘れている」ことはラブコメのお約束(主人公は過去を忘れがち)なのですが、彼にはそこに「母の形見の宝石をその時の誓いとして渡している」という要素まで加わっており、終盤のイベントまでその事すら「きれいさっぱり忘れている」有様なのです…
 おまけにマリナ以外と結ばれた場合、彼女は本当に潔く身を引いてしまうので、余計に彼に対する怒りが涌いてきました。
 「鈍感はギャルゲー主人公のお約束」とはいえ、これはやりすぎでしたね…。

 マリナ絡みのイベントは好感度が影響するものが多く、いくつかは見ない(パラレル化)ケースもあるのですが、「結婚の約束&形見の宝石」イベントは共通ルートでありますし、マリナはときメモ2の光ちゃんと同じく「よほど酷いことをしない限り嫌われないヒロイン」なので、普通にプレイした方々はほぼ確実にマリナの全イベントを見ることになります(汗)。
 だからこそ、マリナED以外ではマリナの想いに鈍感なワタルに腹が立ちましたね。


>最終評価

 欠点は結構ありますが、サルベージの面白さがそれを上回ったおかげで十分に楽しめました
 それに、内要ギッシリの「お宝ディスク」(「ハッピィサルベージ(ドラマ版)」&「シスプリ」&「悠久組曲」紹介映像と悠久ミニゲーム収録)もついて定価5800円だったのですから、コストパフォーマンスにかけては文句無しでしたよ!
 特に悠久組曲コーナーの充実ぶりは凄いです。
 爆笑キャラトーク&ブロック崩しにはハマりましたなぁ…

  「上記の欠点なんぞ平気」な方ならお勧めできますね。
 はっきり言って、この物語の主人公・七海ワタル(19)がゲーム本編で成し遂げたことは…

歴史の真相(当時の公文書)を発見し、歴史の修正に成功。
彼のおかげで汚名の晴らされた大海賊の遺産発見。
古代文明の遺跡および中世の天才発明家の発明品(アルマなど)の発見。
現代まで解明されなかった海底ピラミッド(ラストステージ)の謎を解明。
EDで今までの功績から「ハルクイン島の将来の所有者」に任命された。

 …など、「一躍時の人になり、世界の偉人に挙げられてもおかしくない」くらい凄まじい偉業です。
 しかも、本編の流れからして、およそ3ヶ月の間にこれだけのことができたのですから、ますます凄いですよ…
 「偉業」と「鈍感」のどっちに注目するかで変化する主人公も珍しい。
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