PLAYSTATION PC-FX ファーストkiss☆物語 PC-FX&PS版 メーカー:HuneX
流竜馬 様
 本体の価格の高さ&ソフトの少なさ(しかもマニア向け多数)が原因で、次世代機合戦で真っ先に脱落してしまったPC-FXですが、幾つかは大人気ソフトを生みだし、他機種への移植を実現させました。本作品はその代表格ともいえる作品です。

(ストーリー紹介)
 高校卒業まであと一ヶ月となった主人公「水沢 芳彦」(変更可能)は父から急な転勤による引っ越しを告げられた。
 しかし、芳彦は残り一ヶ月を今の高校で過ごし、卒業したいと思っていた。
 そんな時、父の知り合いである「織倉家」から電話がかかり、その電話がきっかけとなった父と織倉家のはからいによって、芳彦は卒業までの間、織倉家に居候することになった。
 そして、いざ行ってみれば何とその家は女性ばかりの家族だったのである。
 この日を皮切りに、芳彦の女難に満ちた一ヶ月が始まる…(笑)。


(ゲーム展開)
 織倉家の居候となった2月1日から卒業までの約一ヶ月の間に織倉家・学校(微風高校)・MAP移動先での会話で女の子の好感度を上げていきます。
 そして2月22日、友人である香坂 宏(こうさか ひろし)との会話後、自分が想いを告げたい女性を選択します。
 選択すると、それ以降はその女の子の個別シナリオへと進みます。


(メインキャラ紹介)
水沢 芳彦(みずさわ よしひこ)
 主人公。成績も運動もそこそこで、おっちょこちょいの3枚目。
 …という公式設定ですが、本編ではとにかく前向きでアクティブです。
 ぶっ飛んだ特徴こそ無いものの、「一途に頑張る姿」は好感が持てますよ。

織倉 香奈(おりくら かな)
 織倉家の長女で、芳彦と同じ微風高校の1年生です。
 真面目で優しいしっかり者ですが、冒頭で「風呂上がりにはちあわせ」という事件にあったため、最初は芳彦を嫌ってます。

織倉 真奈美(おりくら まなみ
 織倉家の次女で、秋月中学2年生です。
 「まだ甘えたい年頃」のため、芳彦を「お兄ちゃん」と慕ってます。

織倉 弥生(おりくら やよい)
 香奈・真奈美の母で、セーラー服を着ても違和感が無いほど若いです(FXソフト発売当時は年齢不明でしたが、後に36歳と判明しました)。
 秋月総合病院の外科医で、多忙なために娘達にあまり構ってあげられないことを気にかけてます。

杉崎 由希子(すぎさき ゆきこ)
 明朗活発、気立てよしの学校の人気者(特に女子)で、芳彦、綾乃(後述)とは高校入学以来の腐れ縁(笑)。
 「気兼ねなくつき合える」タイプで、他の女の子のシナリオでも芳彦のよき相談相手です(僕の一番のお気に入りです)。

七瀬 綾華(ななせ あやか)
 香奈の級友で親友。とにかく無邪気で明るい性格なのですが、それが女子の反感をかっており、かなり苦労してます。
 また、芳彦にかなりベタ惚れしてます(笑)。

蒼月 ひより(そうげつ ひより)
 芳彦と同じ微風高校に通っていたのですが、2年前から原因不明の病気に侵され、秋月総合病院に入院してます。
 優しい性格なのですが、闘病生活によってやや弱気になっており、唯一の可能性である「生への執着」に欠けています。

藤沢 優(ふじさわ ゆう)
 藤沢姉妹の双子の姉で、妹と違って明るいスポーツ少女。
 常に「姉として妹のために」行動していますが、芳彦への想いが姉妹の仲に変化をもたらします。

藤沢 舞(ふじさわ まい)
 藤沢姉妹の双子の妹で、姉と違って内気な才女。
 普段はお堅い生徒会委員ですが、実は芳彦のことが好きなのです。

春日野 美穂(かすがの みほ)
 綾乃の同級生で、高校入学前に交通事故で亡くなっており、それ以来、無念から微風高校の桜の木に留まってます。
 また、彼女の姿は一部の人間にしか見えません。

森村 恭子(もりむら きょうこ)
芳彦のバイト仲間で、先輩のイジメやコーチの厳しい言葉に
耐えながら、一途に役者を目指してます。

橘 美里(たちばな みさと)
 芳彦の親友・綾乃の姉で、喫茶「チェリーポット」店長です。
 イタズラ好きで、ケンカ無敵のスーパーお姉さんですが、バリバリの不良だった自分を変えてくれた恋人の死を今でも引きずっています。

橘 綾乃(たちばな あやの)
 女性のような名前ですが、ガタイのいい男です。
 また、ごつい外見とは裏腹に、性格は結構繊細です。
 芳彦&由希子とは高校入学以来の仲で、由希子が好きなのですが、彼女が芳彦を好きなことを察しているため、未だに告白できてません。

橘 香澄(たちばな かすみ)
 橘美里・綾乃の妹で、素直で明るい中学2年生です。
 芳彦に憧れており、他の女の子といようものなら、即ヤキモチ炸裂です(笑)。
 (実は隠しキャラで、攻略には美里EDを見る必要があります)

香坂 宏(こうさか ひろし)
 綾乃や由希子同様、高校入学以来の芳彦の友達です。
 クールな物腰&美形なため、女子に常にモテモテなのですが、本人は「彼女たちに興味はゼロ」なようです(公式設定では由希子が好きなのだそうです)。
 また、とにかく謎めいた言動が多く、作品随一の謎キャラです(ドラマCDでも彼の謎っぷりは存分に発揮されます)。


(ゲーム評価)
シナリオ
 決して順風満帆という訳ではなく、恋路に待ちうける様々な困難を乗り越えて結ばれる(ファーストキス達成)過程は本当に良かったです。
 ただ、全員が良いわけではなく、特に「橘美里」さんのシナリオでは「亡き恋人」や「昔の不良仲間との決着」に関する説明が殆ど無いため、EDを迎えても「不完全燃焼」気分は拭えませんでした。
 他のシナリオでも突っ込み所は多少ありますが、これが一番ネックでしたね。

システム
 特に不満点はないですね。
 選択肢は2択か3択で、「森林公園ではぐれた香奈ちゃんを探す」イベント以外はこれという苦労もしませんでした。
 また、要所(OP、女の子の登場、イベント、ED)にムービーが存在し、長い読み込みもないため、初プレイ時はビックリしましたね(あえてケチをつけるとしたら、ムービーとCGではキャラ(特に主人公)の顔にギャップがある所ですね)。

音楽
 前半のコミカルな音楽と、後半のシリアスな音楽のバランスがとれていると思います。特に個別シナリオ突入時のOP曲「だから涙をふいて…」はかなりお気に入りですよ。

・総合的に見て
 「短所は多少あるものの、長所がそれに勝った」と言える作品だと思います。本当に買って良かったと思える作品でしたよ。


●ゲーム以外について

<ドラマCD>
1)主人公・水沢芳彦とメインヒロイン・織倉香奈の恋愛ストーリーで、殆どが「ゲーム内容そのまんま」だったKanonとは違って、ゲーム版の香奈シナリオとは後半が違った展開なので、クリア済みの方でも楽しめますよ。
  
2)「芳彦が香奈と結ばれた後、他の女の子はどうしているのか?」というストーリーです。特に「失恋の痛みを乗り越える」藤沢姉妹のストーリーは堪えましたね…。もう切なくて切なくて…(他にも「由希子の大学生活」のように明るいものもあります)。

3)「杉崎由希子」「春日野美穂」ストーリーをうまく絡めた「蒼月ひより」のアレンジストーリーです。喜び・悲しみ・そして全ての困難を乗り越えた後に来るハッピーエンド…全ドラマCDの中で個人的に一番の出来です。

その他)ラジオドラマ&ショートストーリーで構成されたドラマCDが二つ出てます。本編の番外編ストーリーなラジオドラマは結構面白いですし、ショートストーリーも悪くはありません(ただ、ショートストーリーの方は人によって好みの分かれる物が多いです)。

<小説>
 …個人的にはこれが唯一の「地雷」でした!!(ぐわぁぁぁ!!)
 話は「織倉香奈シナリオ」をベースに進むのですが、オチが何よりも酷かったのです。
 結局、小説版では芳彦の香奈への告白は(言い過ぎかもしれませんが)玉砕し、そのままお終い(バッドエンド)かと思いきゃ、織倉家を去る前に二人はキスしてしまいます(汗)。

 まぁ、これは「香奈が戸惑う気持ちの整理をつけた」とも考えられますが、さらに地雷の爆発は続きます(うおぉぉぉ!!)。
 不完全燃焼の様子はあったとはいえ、芳彦が香奈を好きなことには変わりありません。
 しかし…芳彦は由希子のこともキスしとけばよかったとまだ未練がましく思っているのです。
 ゲーム本編で「惚れた女に一途」に行動していた芳彦の影は微塵もなく、ただの中途半端男になった姿には本当に幻滅しましたよ。

 小説の結論を言わせてもらえば……

 「織倉香奈と杉崎由希子のファン及び主人公に好感を持っている方なら絶対買うな!!」です(血涙)。

<OVA>
 僕が唯一手を付けてない一品で、「ED後、織倉香奈がどうしていたのか」という内容の作品です。金銭的余裕ができたら買いに行きます。
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