あらかじめことわらせてもらいますが、私は<断じて>スク水フェチではありません。
このゲームをプレイしたのは個人的な理由からで…。
先日、高校時代の友人が集まった時に何故かアニメ「ダ・カーポ」鑑賞会なるものが一部の者達の間で開催されていました。
私は横目で見ていただけだったのですが、何だか妙に楽しそうだったのでその場の談義にもあがっていた同メーカーのこのゲームにも興味が沸いた、というわけでして。
幸い「優遇接待」をやってたおかげでスク水に対する知識も充分(うああ)でしたし。
初めはまたつまらぬ好奇心から己の身を滅ぼしたかと思いましたが…。
<基本ストーリー>
大のスク水フェチで、一応名の知れた水泳選手でもある嶋野香奈太(変更不可)は母校が火災になったため、七月の一ヶ月間姉妹校である女子高に編入となり、好きなスク水が1杯見られるかもという期待に胸を膨らませていた。
編入後、なりゆきからその学校の水泳同好会に入部することになるが…。
<システム>
極めて不親切です。
インストールに結構手間取る上に、最初プレイする際にはユーザーカードのナンバーを入力しろという(中古品対策か?)。
セーブやロードの際もいちいちオプション画面を呼び出さなければなりません。
極めつけは既読スキップがないこと。
そのかわりにあらすじモードというのが二週目から加わるのですが、これは一週目と違う選択肢を選んでもそのままあらすじだけで紹介されてしまうというとんでもないもの。
なんだよ〜これ、たださえあらすじで紹介されるだと内容が薄いってことばれるのに、さんざん短くぶった切るから、ますますストーリーの冗長感が高まるじゃないか。
しょうがないから、このシステムの存在は忘れてCtrlキーを押しっぱなしでプレイ。
しかし、これってあらためてストレスたまるのを感じるなあ。
<サウンド関連>
使用曲数は結構多いですが印象に残ったものはありません。
ただ歌は全部で四曲あっていずれも力が入っています。
OP曲「ツルピトな恋」(すげえタイトル)はテープレコーダーを早回ししたかのような女性の奇声で「だけどすくっみっずっは〜」と歌ってくる電波系ソングですが、挿入歌やED曲は同じ声ながらまあよかったと思います。
だがそれより驚いたのは、主人公の通うスク水専用ブルセラショップ、通称ブルコンのテーマ曲。
最初聞いた時は、単調なフレーズの繰り返しだけのバックミュージックかと思ったら、なんと歌詞は30番まであり、歌っている時間も十数分に渡るというとんでもないもの。
歌詞もスク水への愛を歌ったものからスク水の説明、さらに特撮やアニメのパロディーまで入っていてよりどりみどり(まさかこのゲームでファ○ズのフレーズを聞くとは思いませんでした)。
このバカパワーをもっと別な所に使えれば…。
<CG・グラフィック関連>
グラフィックはなかなかキレイで、キャラデザも、まあこれに引かれなきゃ買う人はあまりいないでしょう。
ただ、CG枚数は少なめで、エロも薄いです。
作品のコンセプトやパッケージを見ると、もっとエロ満載かと思わせるので、肩透かしをくった気分になるかもしれません。
肝心のスク水もタイトルの割にはそこまでこだわったようにはみえなかったような、いや勿論全て着衣しているんですが(苦笑)。
<ストーリー>
世界がスク水を中心に回る。
これがこのゲームのコンセプトとみて間違いありますまい。
まずはさらっとキャラ紹介します。
ちなみに全員水泳同好会員。
○嶋野真帆
主人公の義妹。
典型的なお兄ちゃん子の妹キャラ。
それ以上でも以下でもなし。
○松下梨香(りこ)
主人公の幼馴染。
編入先の学校で一緒になる。
性格は明るい普通のもの
○荒谷鈴江
クラス委員長。
性格は真面目で完璧。
○石橋姫(ひめ)
体格は小さいが、態度は多きい。
ヤクザ(といっても大したものではなかったが)の娘で、語尾に「のだ〜」と付けるといえばどういうものかは分かっていただけるでしょう。
○岩崎=コナ=麗華
クラスメイトの一人。
スク水番長という架空の人物を崇拝、さらには自称しており、口調もそれに合わせて番長っぽく? 振舞っている。
また、常にそのコスプレ(スク水の上に学ラン)をしている。
○宮田葉菜
非常勤のクラス講師。
そのためか、口調はおちゃらけてほとんど生徒と同じ位置で話す。
良く言えば活発的。
と、見事なまでにありきたりなキャラしかいなかったりします。
ストーリーはこれに一ヶ月とこの手のゲームとしては結構長い期間の上に展開するのですが、展開は結構ありきたりで純愛系のところに全てスク水が絡んできます。
具体的に書くと(以下さらっとネタバレ)
・妹 互いに義兄妹の関係から意識しあうように→そのきっかけは妹のスク水に対する兄の欲情。
・幼馴染 ある事がきっかけで疎遠になったが今回の事をきっかけに仲が修復し以前以上の関係へ→疎遠の理由は幼馴染のスク水を使っての主人公の自慰行為。
・委員長 一見真面目な彼女は実はHな秘密を持っていた→その秘密はスク水を使っての裏関係への出演(といっても本番はしてない)。
さらに主人公がそれに絡むことがきっかけで家がスク水関係の仕事をしていたやくざの娘もHなことに興味を持つことに。
・教師 主人公と共有しているある秘密を持つことからお近づきに→その秘密は(以下略)
とまあ、見事なまでのスク水づくし。
意図的なものかどうかは分かりませんが、結構ありきたりな純愛パターンに見事なまでにスク水ふぇちを絡めてます。
さらに、主人公のフェチを否定する人間は一人もおらず…というか最初からほとんどうけいれられているため、ストーリーはほぼ調子よく進みます。
そういった点から、逆にスク水フェチを生かして、ストーリーに弾けとんだ物や深いものが少なかったのは残念。
主人公の性格も、スク水フェチであることを除けばいたってまとも? で、理性もしっかりしています。
まあ、妹のスク水(姿ではなくそのもの)に欲情とかしてますが。
その意味ではコナシナリオが個人的には評価高かったかな、と思います。
スク水番長という設定や彼女自体の突飛さに目をつぶれば、彼女のシナリオは結構笑いあり、感動あり? で、しっかりまとまっていた印象がありますし、また他のキャラの使い方が良かったのも高ポイントでした。
特筆するほどではないかと思いましたが、彼女は最初外観と設定だけでダメかなと偏見持っていましたが、それを結構覆してくれたということで一応。
やっぱり、色眼鏡かけちゃいけませんね。
<総評>
全体的な評価は決して高くはありませんでしたが、全体にあふれる結構おバカなテイストは中々楽しめました。
私の友人達が何にウケていたのかも多少は理解できたかも。
ただ、このゲームの売りであるスク水という要素を最大限に生かせたかどうかは疑問。
主人公やその周辺人物が、充分にスク水に関してマニアなのは充分理解できるのですが、それに関する説明は結構不足していて、スク水に詳しくない人執着の無い人は置いてけぼりを食うおそれがあるし、逆に「とにかくスク水を求めているのだー」という人には、女の子とのストーリーや演出の肝心な部分にスク水に対するこだわりがやや少なくて物足りない印象を受けるかもしれません。
まあ、フェチズムを持った男をコミカルに描くことが目的だったのだと思いますが、やはり強みのある部分がもう一つ欲しかった。
とはいえそういった部分を許容できてキャラ萌えしたという人ならやって損はないかな。
けっして強くお勧めは出来ませんけど。
手抜きというよりプレイする側の気持ちがわかってないというのが大きいようです。
あらすじの分のテキストを作るのは結構手間だったろうに、「一週目で見てない所まで飛ばされる」「あらすじで切る間隔が短く、一々中断される」の二つが大きく足を引っ張ってます。
これならもっと別なとこに容量割いて欲しかったよぅ。
まあ、あらすじも飛ばして読めば既読スキップより手早く進めるというのが唯一の利点ですが、それだとますます内容が楽しめないような…。
ブルコンのテーマ曲、今聞いてみたら後半十五番以降ぐらいは、ほぼ別なTV番組などの内容のパロディをスク水に当てはめたものでした。
水戸黄門まで入ってたのが個人的にはタイムリーなネタでツボです。
元ネタの難度はそんなに高くないものばかりでしたが、それでも全部わかった人はヤバイかも…。
上の文にもちらっと書きましたが、ベランダに干してある義妹のスク水を余す所無く調べた挙句、それで自慰行為に走るなんて所はまあ、かなりまともじゃありませんが、それもスク水への愛? と考えれば納得できますし、自分のフェチズムを普段の場所では隠しているので、日常の展開は到って普通に進むんですよね。
これがもっとスク水への愛を隠さず訴えかける弾け飛んだ男や、あるいは逆に自分が世間に理解されない事を自覚しつつ己が道を突き進む内向的なタイプな男だったりすると、もっと違った味わいが出せたと思うんですが。
まあ、それだとシナリオを組み立てるのが難しかったりするのかな。
うーむ、あと一歩どころか、二歩三歩足りなかったような…。
とにかく最初は義妹だの幼馴染だの美人教師や委員長だのとありきたりなキャラや設定の連発に頭がくらくらしていたもので(私の価値観が歪んでるだけ?)。
それらに上手くスク水フェチという要素を絡めたことから評価は多少上がったんですけど。
ボリュームの割にはプレイ時間も結構かかるのでわりと体力も必要としますし。
もっと別の良いゲームに時間を割いてくださいませ。 |