<基本ストーリー>
主人公、瀬川真人(せがわまさと・変更不可)は大学の夏休み、天文部の友人に誘われて、彼の田舎である上郷町に向かう。
そこで彼は三人の少女に出会い、一週間ばかりの時を過ごして親睦を深め、翌年もここを訪れる約束をする。
翌年、再び町を訪れた彼は三人がそれぞれ見せる一年間の成長に驚き、その中で三人の一人と心の距離を縮め、彼女と翌年も再び訪れる約束をする。
そして三年目…
<システム>
基本的なものはそろっています。
セーブ数が43と多目ですが、後述のとおり分岐は複雑ではないので基本的には余るでしょう。
あと、私のパソコンのせいかもしれませんが、フルスクリーンモードにした後、ウインドウモードにする事が永遠に出来ませんでした。
ちなみに修正パッチ付けても直りません。
<CG関連>
良いです。
このゲームの目玉であろう、田舎の夏の景色や、一年ごとに微妙に成長する女の子の姿などもしっかり書けています。
ただ、HCGに関しては少ないです。
ストーリー上、各ヒロイン1回ずつしかHはありませんので。
なお、このゲームに付属しているアンケート葉書を送ると攻略不可能なヒロインのお母さん三人や、主人公の後輩を交えたエロ満載でウッハ、ウッハーなサマーディスクというのが送られてくるそうです(もちろん私も送るので、届いたら報告するかも)。
よって、エロを求める方が中古品で買う際にはアンケート葉書が付いているかどうかの確認をお忘れなく(ちなみに平成17年までだそうな)。
<サウンド、ボイス関連>
これも良いです。
特に主題歌は夏というイメージにぴったり合っています。
声もヒロイン三人を含め、基本的には脇役であるお母さん三人の声なども合っています。
なお、女性のみフルボイス。
まあ、男キャラでちゃんと喋るのは、主人公の友人(こいつは良く動くキャラなんだけど…)くらいなのでこれは別にいいか。
<シナリオ>
基本ストーリーにあるようにこのゲームは一年目、二年目、三年目と三段階で展開するストーリーとなっています。
その中で一年目、二年目の選択肢によって各ヒロインと様々なイベントが起こり、三年目はそれぞれの固定シナリオとなるのですが…。
実はどのヒロインの話に進むかは最初の選択肢でほぼ決定されるようです。
そのため、その後の選択肢で他のヒロインとのイベントも見ることが出来るのですが、あまり浮気(笑)をしすぎると二年目でストーリーがクローズしてしまうため、結局は最初に決まったヒロインを追っかけてくことになります。
まあ、大抵は初めから決まった人だけ追いかけるのでしょうが、もう少し自由度があっても良かったと思うけどなあ。
なお、この三人、二年目で初めて制服を身に着け(一人は違う)、さらにれんりつほーてーしき(原文のまま)を解くシーンなどからどう考えても三年目で主人公とHする時は、じゅにあはいすくーる・せかんどぐれえど…。
ま、いっか、明言されてないし(オイ)
ついでに三人を攻略した後にちょっとしたおまけシナリオがありますが、これはちょっとしたエピローグ的なものであまり本編には関係ありません。
当然、エロもなし(笑)。
では、ヒロイン別に見ていくと…(以下、少々ネタバレ(ちなみに攻略順)。
<結城 京(ゆうき みやこ)>
主人公が泊まる旅館「みやこ」の娘で、主人公を今回の旅行に誘った友人の妹。
周りへの気遣いを常に行う、おしとやかなタイプ。
彼女は密かに夢を持っているのだが、実家の旅館の跡継ぎの関係からそれを言い出すことができず、それをしないでいたが主人公と出会うことにより徐々に自分の思いを自覚し始め、主人公もそれを後押ししようとする。
そうして二年目から三年目の間に彼女は夢に向かって大きくすすむようになるが、家に対する複雑な思いは消えず、さらに京の夢に対する思いをしらない主人公の友人であるシスコン気味の兄は、そんな彼女に対して不安を感じており、彼女の理解者である主人公に対してコンプレックスを抱く。
そして、それは最悪の形となって…。
京のストーリーの軸に夢というものがあり、その中で家や兄との関係が問題となって、そこで部外者である主人公が彼女の理解者になる、という感じで、二人が近づいていく様子 は全キャラ中、最も良く書けています。
その中で、周囲との葛藤から彼女の夢が一旦挫折に向かうまでは良かったのですが…。
そこからの、それぞれの立ち直り方があまりにもあっさりしすぎてEDに向かうため、少々無理やりまとめた感じが…。
特に主人公の友人(そーいや、名前は樹一郎)。
こいつはかなりシスコン風なとこがあり、そのせいで主人公や妹も自分の思いを素直に打ち明けられなった面もあるのに、必死に問い詰めて、いざ主人公に思いを打ち明けさせたと思ったら、今度は自分の嫉妬の思いをぶつけるなど、かなりどうしようもない。
おまけにそのことがきっかけで妹が苦しむことになったのに、妹の回復パーティーの準備を必死に行うことであっさり許されたりするなど、ちょっと納得がいかない。
お前のせいでそうなったんだっての。
全体的にみればいいキャラだったとは思うんですが、このせいでこいつへの印象は最悪となりました。
それとHシーンへの移行が蛇足的だったのも減点要素。
とはいえ一番シナリオとしてはまとまってたかな。
あと、どうでもいいけどこのキャラ発育良すぎ…。
発育の悪いキャラは結構見ましたが、こういうのは珍しい。
<芹沢 明希(せりざわ あき)>
元気一杯で天真爛漫な少女。
虫取りが趣味。
あれ、ダメだ。
他に書く事が思い浮かばない(汗)。
うーん、EDのタイトルがそのまま夏少女だったり、おまけシナリオの麦藁帽子にかかわっているのが彼女だったりと、おそらく製作者は彼女がメインヒロインのつもりなんでしょうが、どうにも心に残るイベントというのが少ないです。
一応、明希は「こかげ」という喫茶店の娘であり、主人公はそこでバイトをすることで親睦を深めるというストーリーなんですが…。
いかんせん、彼女と主人公は三年目で既にラブラブ状態になってる感がありストーリーもそのまんま進んでしまう印象です。
三人の中では最も薄い感じですね。
<東 絢水(あずま あやみ)>
無口で、冷静かつ人見知りする少女。
かなり大人びている。
彼女はある事情から他の二人より一学年遅れており、また父親がおらず母親と二人暮しで(これはその事情に関連しているのだが)、複雑な事情を抱え持つ絢水は偶然彼女の家庭に近づく事になった主人公に惹かれるものを感じ…
「大人になること」が彼女のテーマなのでしょうか。
その辺がちょっと良く分かりません。
絢水が主人公に惹かれたのは、彼が父親に似ている感じがあるかららしく、彼女の事情から母親を苦しめていることが嫌でそこから抜け出す(「大人になる?」)事を主人公に求め、また主人公は絢水の母親から彼女の気持ちと事情を伝えられ、それに応じるという感じなのですが…。
いかんせん、まず主人公が絢水を好きだと言い出す理由がよく分からないので、見ている側が置いてきぼりにされる感があります。
また、絢水も自分の事情はとっくに把握しており、単に主人公と抱き合う事で自分の気持ちを解決させているので、結局「二人はラブラブになった、終わりっ」てな感じが。
おまけに私は、むしろ絢水の母親である「雪江さん」に心惹かれてしまったもので(爆)。
しかも、結構彼女の方に向いてる選択肢があるじゃあありませんか!
玉砕覚悟でそっちの方選んでたら、結局、娘の方とエンディングになっちゃうしい。
何故、雪江さんは攻略できーーーん!!
はっきりいって彼女のほうが本人よりイベント度は高いぞ。
というわけで本人のストーリーの印象は希薄になってしまいました。
ダメ? (笑)。
<総評>
全体的に見ればよく作りこんでいますが、「良作か?」と問われれば、少し首を捻るところがありますね。
シナリオのところに書いた通り、ストーリーに希薄な部分が多く、特に二人が惹かれていく部分に書き込みが足りない気がします。
一年目は単に知り合って仲良くなるだけで終わるし、二年目にもそれほど二人が強く結びつくようなイベントがありません。
そのくせ、ヒロインは主人公一途になっているし、主人公も主人公で、明希シナリオでは相手からきた手紙を全て鍵付きの引き出しに保管し、何度も何度も読み返したりしているというのである。
うーん、やっぱり「知り合って一年、二年を十日かそこら仲良くしたぐらいでそこまでなるのはおかしい」っていうのは歪んだ見方でしょうか。
また「雪江さん」に限らず結構魅力的な女性キャラもいるのにそれらが攻略不可というのもやっぱりいただけません。
特に、二年目で現れる主人公の後輩は初めから主人公の事が好きで、二年目には互いに意識するシーンがあったりするのですが、そこで進展する事は無く、さらに明希シナリオでは告白するも既に主人公の心は明希にあるため、単なるかませ犬で終わるという悲惨さ。
せめて彼女ぐらいは攻略できてよかったと思うけどなあ。
個人的には二年目でクローズした時は彼女と結ばれるのだろうなんて脳内補完してますけど。
せめてマニュアルに攻略できないキャラは攻略できないって書いてくれればいいんだけどねえ、そういうわけにもいかないか。
というわけで、ストーリーに難のある部分はあるものの、コメディー的な会話などは面白いし、全体的に夏という雰囲気は出ていたと思いうので、そうした雰囲気の中でギャルゲーがしたい人は買って損はないかな。
あと、最後にどうでもいい話ですが、この主人公の名前、「まさと、まさとっ」て連呼されるとどうしても日曜朝8時から活躍中の彼の姿が…。
おかげで主人公の脳内イメージがすっかり彼に。
性格は全然違うので思わず吹き出して困ってしまいましたよ〜。 |